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達人の鉄道利用術

ちょっとした達人テクであなたも快適&ラクラク鉄旅しよう!

12「ダイヤ改正」をマスターする

鉄道をより楽しみたいのなら、JRグループ「ダイヤ改正」は要注目です。
大幅な「ダイヤ改正」が実施された3月。どう変わったのだろう?
そのワクワク感を楽しみながら春の鉄道旅を計画しましょう。

わずか1分、されど1分

 JRグループが大幅な「ダイヤ改正」を実施することが多い3月。鉄道旅好きにとって、毎年3月は楽しみな月でもあるだろう。現在は、改正日より前にインターネットで容易にJR旅客各社からの発表が見られるが、かつてはダイヤがどう変わるのか、時刻表の発売が待ち遠しかったものだ。とくに昭和63年には、3月13日の青函トンネル開通と4月10日の瀬戸大橋開通により、日本四島がレールで結ばれ、ダイヤ改正に「一本列島」というキャッチコピーが与えられていた。子供心に大変楽しみにしていたのを覚えている。

 もちろん時刻情報の入手が容易になった現在も、JR時刻表などのダイヤ改正号を手にする「ワクワク感」は同じだ。次回の鉄道旅でどこへ出かけるか迷ったとき、ダイヤ改正で登場した列車にいち早く乗りに行く、というのもいいだろう。ページをめくりながら、旅先の有力候補地を見つけられるのも時刻表のよさだ。

 平成29年春のJRグループダイヤ改正日は3月4日。昨年の北海道新幹線開業のようなビッグイベントはないが、よく見るとなかなかおもしろい変化があったようだ。

 東海道・山陽新幹線では、最新車両N700Aの増備、山陽新幹線での「新ATC(Automatic Train Control=自動列車制御装置)」導入により、東京駅~博多駅間を直通する全「のぞみ」が所要時間を1~7分短縮。東京駅~博多駅間の最速所要時間が1分減の4時間46分(東京行き「のぞみ64号」)になり、同区間における新幹線の最速所要時間が1分更新された。なお、山陽新幹線が岡山駅から博多駅まで延伸した昭和50年3月10日のダイヤ改正において、東京駅~博多駅間の所要時間は「ひかり」で6時間56分だった(当時「のぞみ」は運行されていない)。

 新ATCが導入された山陽新幹線では、たとえば駅に停車するとき、ブレーキ作動と解除を繰り返し減速する従来の方式から、低速度まで一段階で滑らかに減速できる方式へと変わった。そのため山陽新幹線の乗り心地も向上したはずだ(新ATCはダイヤ改正に先駆け、2月19日より使用開始された)。なお、ほかの新幹線路線ではすでにこのタイプのATCが導入されている。

 また、平成28年4月に発生した熊本地震から今年の春で一年が経つ。いまだ復興途中ではあるが、九州新幹線の一部区間で実施されていた徐行運転が、このダイヤ改正で解除され、所要時間が約5分短縮された。

  • 山陽新幹線では新ATCの導入により所要時間の短縮などが実現した。

  • 熊本地震の影響による熊本駅~新八代駅間の一部区間での徐行運転が解除された九州新幹線。

JR発足30年の歴史で「初」

 廃線の復活も「ダイヤ改正」のポイントだ。JR西日本の可部(かべ)線は平成15年に可部駅~三段峡駅間が廃止され、広島市内の横川駅~可部駅間のみに短縮されたが、廃止された一部区間に再び列車が走るようになった。可部駅~あき亀山駅間のわずか1.6キロメートルで、正式には「復活」ではなく「延伸開業」という扱いではあるが、事実上の「廃線復活」といえるだろう。これはJR発足30年の歴史において初めてだ。

 さらに今回のダイヤ改正は、「鉄道車両」においても特筆すべき点がある。栃木県内を走るJR東日本の烏山線と、福岡県内を走るJR九州の筑豊本線(若松線若松駅~折尾駅間)で、すべての列車が蓄電池電車運転になったのだ。搭載するバッテリーの電力でモーターを駆動する車両で、架線のない区間でも走行できる。そのためディーゼルカーの代替として注目されている。

 烏山線では、平成26年3月15日のダイヤ改正で蓄電池電車EV-E301系「ACCUM(アキュム)」が、若松線では平成28年10月19日から蓄電池電車BEC819系「DENCHA(でんちゃ)」が導入されていたが、JRのひとつの路線で全列車が蓄電池電車になったのは今回が初。ディーゼルカーから蓄電池電車への世代交代という意味で、鉄道車両の変遷において、節目となるダイヤ改正かもしれない。また今回のダイヤ改正では、秋田県内を走るJR東日本の男鹿(おが)線でも、一部列車で蓄電池電車EV-E801系「ACCUM」が導入された。

  • JR東日本の烏山線を走る蓄電池電車、EV-E301系「ACCUM」。

  • JR九州の若松線はダイヤ改正で全列車が蓄電池電車に。写真はBEC819系「DENCHA」。

青函トンネルを走っていたあの車両が特急「ライラック」として再び活躍

 また、昨年の改正で大きな変化があった車両が再び活躍を始めた。北海道新幹線の開業前まで、函館駅~新青森駅間を結んでいた特急「スーパー白鳥」。それに使われていた789系0番台という車両が心機一転、札幌駅~旭川駅間を結ぶ特急「ライラック」として走り出したのだ。先頭部分が緑色をした「ライラック」の車両に出合ったら、そんな車両の歴史にも思いをはせてみたい。ちなみに「ライラック」車両には、旭山動物園にいる動物や、オホーツクの自然や産物といった沿線周辺の観光素材のイラストがラッピングされた。

 JR四国管内では、香川地区・愛媛地区で一部のダイヤを変更した。列車のダイヤはこうした大きな改正時はもちろん、それ以外でもしばしば変更されるため、常に最新のJR時刻表で確認して出かけたい。


 以上、一年にわたり、旅のいい経験や今となってはよい(苦い?)思い出……も含め、私の「鉄道好き人生」を連載してきた。鉄道をより楽しむための一助になれば幸いだ。今年、平成29年4月1日でJRが発足して30周年。記念のおトクな乗車券の発売も予定されているので、この機会にぜひ鉄道の旅を楽しんでほしい。

  • 特急「スーパー白鳥」として青函トンネルを走っていた時代の789系0番台。

  • 北陸新幹線は、平成29年3月で運行2周年。前身は平成9年に開通した「長野新幹線」。開業当初は「長野 新幹線」と呼ばれていた。

最終回です。ありがとうございました!

恵 知仁

文・写真(烏山線・若松線の写真以外) / 恵 知仁 ● Megumi Tomohito

1975年東京都生まれ。鉄道ライター、イラストレーター、WEBメディア「乗りものニュース」編集長。
小学生の頃から鉄道旅行記を読みあさり、カメラを持って子どもだけでブルートレインの旅へ出かけていた「旅鉄」兼「撮り鉄」。
日本国内の鉄道はJR・私鉄の全線に乗車済みで、完乗駅はJRが稚内駅、私鉄がわたらせ渓谷鐵道の間藤(まとう)駅。

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