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まだまだ知られざるご当地の味 行って食べたい!ニッポンA級発掘グルメ

vol.11 周南のトラフグ [山口県周南市]


周南市から広まった「フグ延縄漁」。鋭い歯で噛み切られないよう、鋼線を使っている。釣り針にはエサのイワシを付け、ラインホーラーと呼ばれる揚げ縄機で引き揚げる

フグ漁法の歴史は試行錯誤の歴史。現在、各地に広く普及している「フグ延縄漁」は、フグを傷めることなく、新鮮な状態で市場に提供する最も適した漁法だと言われている

フグとシジミの炊き込みご飯に、フグの南蛮漬けや季節の惣菜、だし巻き玉子が入った「幸ふく弁当」。山陽新幹線徳山駅改札内「デイリーイン」で購入できる。
問い合わせ先:徳山フグセンター(株) TEL.0834-22-3000

徳山駅新幹線口の南側は、石油化学や半導体関連などの工場プラントやクレーンが立ち並ぶコンビナート地帯。新幹線口から車で約5分の「晴海親水公園」から見える工場夜景は「日本夜景遺産」に認定されている。周南コンビナートを巡る工場夜景ツアーもあり。

おいしい“冬”をありがとう!トラフグ漁の礎を築いた町

 山口県は、秀吉の時代に制定された「ふぐ食禁止令」の取り締まりが全国に先立って解かれた県。初代総理大臣の伊藤博文が下関の料亭を訪れた際、しけで魚料理が出せずに困った女将が恐る恐るフグ料理を差し出したところ、そのあまりの旨さに感動。山口県令に働きかけ、明治21年(1888)に、同県に限って禁止が解かれた。

 いまや高級魚の代表格として名を馳せるトラフグだが、現在市場に出回っているものの約9割が養殖ものと言われている。天然のトラフグが獲れるのは伊勢湾から瀬戸内海、若狭湾にかけてのごく限られた海域、とも。さらに、近年はその個体数自体が激減していることから、天然のトラフグは、フグの中でも最も高価な魚種として取り扱われている。
 山口県周南市は、そんな貴重な天然トラフグが揚がる一大漁場。この辺りの海底は岩が多く、潮の交流が激しいため、フグのエサとなる海草や稚魚が豊富なのだ。
 地元では、周南市沖から姫島沖、大島郡上関周辺の瀬戸内海で獲れる天然ものを「徳山ふぐ」と呼び、ブランド化している。トラフグの個体を少しでも増やそうと、人工的に卵をふ化させ、ある程度育てたところで海に放流する「中間育成」にも積極的だ。
 旬は、秋の彼岸(9月中旬)から春の彼岸(3月中旬)まで。養殖ものに比べ、身が強く締まっているだけでなく、繊細な甘みが楽しめるのも「徳山ふぐ」の特徴だという。

 古くからフグ漁が盛んに行われてきた周南市は、現在のトラフグ漁の礎を築いた町でもある。フグを傷つけずに捕獲できる最良の漁法として、いま最も普及している「フグ延縄漁(はえなわりょう)」は、この町で生まれたもの。鋭い歯を持つフグは網を噛み切って逃げてしまうため、フグの歯にも負けない鋼線を使った同漁法が、明治30年代に周南市の粭島(すくもじま)に住む漁師・高松伊予作さんによって考案された。

 フグとなじみの深い町だけに、スーパーなどでも刺し身やフグ皮の湯引きなどが安価で手に入るそう。特に、“厚みのある”てっさは地元ならではの贅沢。通常は皿が透けるほど薄くひかれるフグの刺し身を、この地では絵皿が見えないほどぶ厚く切られて供されるため、「徳山ふぐ」の持つやさしい甘みが一層際立つ。
 とは言え、フグ料理の醍醐味はフルコースで食べること。てっさに始まり、から揚げ、ちり鍋、しめの雑炊……。せっかく足を運ぶのなら、この冬最後の贅沢を楽しみたいところだ。


SPOT いざ、トラフグを食べよう!

コリコリとした食感のてっさや、コラーゲンたっぷりプリンプリンのフグ皮、旨味がジュワーッと広がるから揚げやちり鍋など、フグのおいしさを存分に楽しむならフルコースが一番。300年もの禁を思わず解かせた、天然ものならではの歯応えと甘み、旨味を楽しもう。

ぶりんと引き締まったフグを冬鍋の王様“ちり鍋”で!|日本料理 藤吉

昭和39年創業のフグ料理店。店内には大きな生け簀があり、鮮度抜群のトラフグを提供する。その日に絞めたものだけを使用する「白子刺」は、他ではなかなか味わえない貴重な品。クリーミーな身をポン酢ともみじおろしで楽しむ。メインは、徳山ふぐの繊細な旨味が凝縮された「ふくちり鍋」をいただこう。自慢の刺し身も、ぜひ味わいたい。

白子刺:2,100円、徳山ふぐのちり鍋:6,300円、
徳山ふぐコース15,750円(ふくちり鍋を含む)
※できれば予約を
営業時間:17:00〜21:30LO、日休
住所:周南市栄町2-6
交通:山陽新幹線・JR山陽本線徳山駅在来口から徒歩5分
TEL.0834-21-2020 店ホームページはコチラ

スタイリッシュな空間で楽しむトラフグの贅沢フルコース|ふく処 快

分厚く切ったトラフグを七輪で焼く「炭火焼き」は同店のオリジナル。醤油・塩麹・味噌の3種の自家製ダレに漬けた、香ばしい炭火焼きは「焼き」のコースで。定番の鍋コースも、刺し身、白子焼き、から揚げ、ちり鍋と、フグづくしの内容だ。1日20食限定のランチ「快御膳」でも、刺し身や炊き込みご飯といったフグ料理があれこれ楽しめる。

快コース(焼き) 、快コース(ちり鍋):各10,500円、
粭島コース(天然ふぐのコース):時価
※すべて要予約 
快御膳(3〜10月):2625円
営業時間:11:00〜15:00(LO14:00)・17:00〜22:00(20:30LO)、日休 ※11〜2月は夜のみ営業
住所:周南市徳山港町8475-5
交通:山陽新幹線・JR山陽本線徳山駅新幹線口から徒歩10分
TEL. 0834-32-3625 店ホームページはコチラ

フグのプロが目利きした最高級のトラフグを個室で堪能|ふぐ処 栄ふく

フグ専門卸が手掛ける、全室個室のフグ料理専門店。扱うトラフグは、すべて「フグ延縄漁発祥の地」粭島から直接仕入れる「徳山ふぐ」で、その旨さを、フルコースで余すことなく堪能できる。つるんととろけるような食感のにこごりや、しっかりとした歯応えが楽しめる分厚い刺し身など、地元ならではの贅沢を味わいつくしたい。

とらふぐフルコース:
12000円(10~3月)、10000円(4~9月) 
※要予約
住所:周南市櫛ヶ浜242-30
交通:山陽新幹線・JR山陽本線徳山駅から車で15分
TEL.0834-25-0575 店ホームページはコチラ

周南市のとらふぐ知識&とらふぐ料理を提供する飲食店・宿泊施設情報はコチラ 周南市とふぐ

ACCESS いざ、周南へ行こう!

<大阪方面から>

JR新大阪駅から山陽新幹線「のぞみ」で約2時間10分の徳山駅下車

<博多方面から>

JR博多駅から山陽新幹線「のぞみ」で約1時間の徳山駅下車

あなたの出発地+目的地「徳山」で経路検索するならコチラ

山陽新幹線内設定区間の「こだま号」および、一部「ひかり号」の普通車指定席が往復で利用できます。
こども一律3,000円でファミリーはさらにおトク。さらに、駅レンタカーが2名以上のグループ限定(要予約・Sクラス限定・台数限定)で、24時間2,000円で利用可能です
【発売期間】発売中~平成25年3月25日(月)
【利用期間】~平成25年3月31日(日)までの連続する7日間
【利用条件】 2名以上で同行程で利用する場合のみ有効。片道販売なし。ほか、各種制限事項あり

<大阪方面から通常期に利用した場合(直行)><大阪方面からこだま指定席往復きっぷ利用の場合(広島駅で途中下車)>

<博多方面から通常期に利用した場合><博多方面からこだま指定席往復きっぷ利用の場合> 「こだま指定席往復きっぷ」の詳細はコチラ

おトクな「こだま指定席往復きっぷ」で行こう!

取材・執筆・構成:松井さおり(teamまめ)
写真提供:周南市役所観光交流課
※掲載されているデータは平成25年2月現在のものです。

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