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駅弁の女王小林しのぶが選ぶ 絶対に食べたい駅弁

“安芸の八珍”を集めたにぎり寿司弁当「おまかせ寿し」広島駅

 棒寿司や押し寿司、ちらし寿司などさまざまな寿司駅弁があるが、なぜかにぎり寿司は少数派。そこで、「日本一のにぎり寿司弁当を作ろう」と雑誌企画で立ち上げ、調製元の協力を得て1998年に誕生した。この企画には筆者も携わっている。

 経木容器にアナゴ、カキ、小イワシ、牛肉など“安芸の八珍”といわれる広島名物の食材を8種類、1カンずつにぎり寿しにした。小イワシは足が早いが、どうしても欠かせない広島名物。下処理と酢の加減を工夫し、臭みのない一品に仕上げて仲間入りした。春・夏は小鯛、秋はマツタケ、冬はカキと、ネタは季節ごとに若干変わる。その内容は職人さんに“おまかせ”することからこの名称がついている。

 発売開始から10年以上が経過したが、現在では広島駅の名物駅弁としてすっかり定着。掛け紙の裏面には、広島のふるさと名産マップや駅弁開発の経緯、弁当の献立などが紹介されている。デザートとして添えられた柿ようかんをかじりながら、じっくり読んでみてください。

Data
価格:1050円
種類:寿司弁当
調製元:広島駅弁当(株)
電話:082-286-0181

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2種類のめんたいご飯入りの幕の内「博多めんたい弁当」博多駅

 辛子明太子ではなく、めんたい弁当。博多エリアではタラコのことを“めんたい”という。唐辛子に漬け込んだ辛子明太子とは、はっきり区別されている。これを知らずに「全然辛くないよー」などとつぶやくと恥ずかしい思いをするのでご注意を。

 木製の容器を、スケトウダラが波間を泳ぐイラストを描いた掛け紙で巻いている。最近では珍しくなった木箱は、通気性があり、おいしさが持続するという理由から使っているそう。中身は、十字に組んだ木できれいに仕切った松花堂弁当。中心となるのは梅の花をかたどった2つのめんたい混ぜご飯で、表面にめんたいと青海苔をのせて、やさしい風味を醸し出している。ご飯の横に、生の辛子明太子を一切れ添えているのも心憎い配慮だ。

 おかずはタケノコやシイタケの煮物、かまぼこ、卵焼き、ひじき煮、昆布巻きと品数も豊富で充実したラインナップ。刺激やダイナミックさには欠けるものの、手作りの温かみにあふれる逸品だ。

Data
価格:1050円
種類:松花堂弁当
調製元: 寿軒
電話:092-431-0331

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ニシンとカズノコの親子駅弁
「鰊みがき弁当」函館駅

 モノトーンの掛け紙に、巨大な「鰊(にしん)」の文字。容器を掛けひもでしばる昔ながらのスタイルに郷愁が漂う。それも当然で、この駅弁はJR函館駅で1966年から販売されているロングセラー商品。函館-青森間を結ぶ青函連絡船が運航していた時代から人気を集めていた。

 中身は、ニシンとカズノコの親子弁当。北海道産米で炊いた白飯の上に茎ワカメを敷き、大ぶりのみがきニシン3切れと、カズノコ3切れを豪快に盛りつけた。醤油にみりんや砂糖を加えた特製のタレで煮込んだニシンは、箸を入れただけでハラリと身がほどけるほどやわらかい。舌にのせると、とろけるような食感を堪能できる。カズノコは身がしまり、水っぽさはまったく感じられない。かぶりつくとうっすらと甘口のだしがしみ出て、ツブが勢いよくはじける。思い出すだけでビールや辛口の酒がほしくなる。

 函館駅構内の売店には駅弁が何種類も並んでおり、どれにしようか迷うが、結局はこの弁当に手が伸びる。何度食べても飽きのこない完成度の高さに脱帽だ。

Data
価格:840円
種類:魚介
調製元:みかど(株)函館営業所
電話:0138-22-2690

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新品種米を使った、おむすび弁当「宮城ろまん街道」仙台駅

 駅弁の命は何といってもご飯。いくら惣菜類がうまくても、ご飯の味がいまひとつだと駅弁はうまく感じない。だから調製元は、理想の米を探し求めたり、独自に開発したりと、必死に見えない努力を続けている。

 宮城県の鳴子地区は、寒冷な気候によって米作りが順調に運ばないのが課題だった。このため周辺農家は、プロジェクトを結成して米作りの研究を重ねた。こうして誕生した新品種「ゆきむすび」を使った駅弁が「宮城ろまん街道」である。

 竹皮製の容器には、南蛮みそ焼きと梅干しの2種類のおむすびのほか、岩出山産の凍(し)み豆腐や、みちのく鶏など地場産の食材を使った11品のおかずが詰め込まれている。おかずを串に刺しているのは、揺れる列車内でも食べやすいようにという心配りだ。

「ゆきむすび」は、もちもちとした粘りがあり、冷めても硬くならないという特性のため、おむすびに最適の米といわれる。シンプルな具入りのおむすびは、新種米の特徴をストレートに押し出しており、米のうまさをじっくりと味わえる。調製数は1日50個前後の限定品なので、見かけたら即買いがオススメだ。

Data
価格:800円
種類:おむすび弁当
調製元:(株)こばやし
電話:022-293-1661

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※掲載されているデータは平成22年9月現在のものです。

小林しのぶ(旅行ジャーナリスト・エキベニスト・駅弁愛好家)

 駅弁の食べ歩きは20年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから"駅弁の女王"と呼ばれる。全国各地の調製元と新作駅弁の共同開発を手がけるほか、新聞、雑誌、ウエブ等に連載多数。プロデュースした駅弁は「1000号はっこう弁当」「東京もちべん」(東京駅)ほか。

 フードアナリスト。日本旅のペンクラブ会員。千葉県佐原市出身。

 近著に『全国美味駅弁 決定版』(JTBパブリッシング)、『五つ星の駅弁』(東京書籍)、『どんぶりこ』(交通新聞社)、『超いまうまい帖』(ぶんぶん書房)、『すごい駅弁!』(メディアファクトリー)などがある。NEXCO東日本で展開している「どら弁当」の監修者でもある。

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