『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

駅弁の女王小林しのぶが選ぶ 絶対に食べたい駅弁

発売から半世紀以上、横浜駅弁の隠れた名品|横濱チャーハン|横浜駅ほか

 崎陽軒で2番人気を誇る駅弁。1位は「シウマイ弁当」だそうで、この結果には多くの人が納得だろう。

 「やきめし」という名称で販売を開始してから半世紀以上。その間、時代に合わせてリニューアルを繰り返している。

 けれど、リーズナブルな値段で価値ある内容というコンセプトは不変だ。チャーハンに鶏のチリソースがけ、タケノコ煮、キュウリの漬物、そしてシウマイ2個という充実のおかずを加えた弁当の価格は540円。肝心のチャーハンには自家製チャーシューを使用し、パラパラ感を残しながらも深い味わいを醸し出した。油によるベタツキ感もないので、食がどんどん進む。このあたりが、冷めてもおいしいシウマイを開発した崎陽軒の面目躍如といえるだろう。

 全体に味付けは濃いめなので、さっぱり仕立てのキュウリ漬けは箸休めにぴったり。老舗ならではの、きめ細かな配慮がうれしい。

崎陽軒の1番人気を誇る「シウマイ弁当」を紹介!
  • 価格:540円
  • 種類:肉系
  • 調製元:(株)崎陽軒
  • 電話:0120-882-380

カニ好きならおかわりしたくなる極上駅弁|香ばしい焼かにめし|福井駅ほか

 福井名物の越前がには、生きたまま港に水揚げされるため身が締まっており、ズワイガニの中でも特別な存在として知られる。カニ刺し、ゆでガニ、カニしゃぶと食べ方は多彩だが、通を気取るなら焼きガニがお勧めだ。甲羅つきの越前がにを火であぶる豪快な料理で、立ち昇る香りが食欲をそそる。熱々の身をほおばると、香ばしさとともにカニ独特の旨みが口いっぱいに広がり、我を忘れてかぶりついてしまう。

 そんな焼きガニのおいしさを駅弁に移し替えたのが、その名もズバリの「香ばしい焼かにめし」だ。カニをかたどった容器の中身は、焼きガニのダシ汁で炊き上げたご飯の上に、焼いたカニ足やカニ爪、カニのほぐし身などをどっさり盛り付けたカニづくしの弁当。

 おかずのメーンは複数本のカニ足だが、これは周りの目など気にせず、身を吸い出すように味わいたい。そもそも焼きガニは、地元福井の漁師たちに好まれる料理。海の幸に感謝しながら、残さず味わいつくすのが正しい食べ方といえる。焼いたカニならではの独特の甘みが口中いっぱいに広がり、ご飯とのコンビネーションも抜群。食べ終えた後、おかわりしたくなる一級品である。

「トレたび」おすすめプレイバック

カツ丼の元祖はソースカツ丼。その元祖の味は福井に
  • 価格:1200円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:(株)番匠本店
  • 電話:0776-57-0849

四国八十八ヶ所の巡礼を続ける気力が湧く幕の内弁当|お遍路さん弁当|高松駅

 四国にある八十八ヶ所の霊場をめぐることを「遍路」と称し、全行程約1460kmを巡礼する人は「お遍路さん」と呼ばれる。この過酷な旅の途中で食べる弁当をイメージしてつくられたのが「お遍路さん弁当」だ。

 竹皮を編んだ長方形の容器に同じく竹皮でつくったフタをかぶせ、霊場やお遍路さんなどのイラストを配した掛け紙を巻いた。容器内には、2つのおむすびのほか、イイダコ煮、タイの塩焼き、インゲンフライ、鶏の照り焼き、醤油豆、昆布巻きなど山海の幸を詰め合わせている。巻き海苔もないおにぎりは地味に見えるが、香川産ヒノヒカリを使用したご飯に梅干とワカメを入れて仕上げたもので、米の甘みと絶妙な塩加減、そして具材の味覚が見事に融合して口中を満たす。

 おかずにメーンとなるものは見当たらないが、いずれも地場産の素材を使って丁寧に調理されている。中でもキラリとした魅力を放つのが醤油豆。そら豆の甘さにたまり醤油の香ばしさがマッチして、もっと食べたいと欲が湧く。この欲がある限り、過酷な旅も継続できるに違いない。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

プチお遍路体験と鳴門の渦潮を見に行く旅へ
  • 価格:950円
  • 種類:幕の内
  • 調製元:(株)高松駅弁
  • 電話:087-851-7711

縁起のよい“さるぼぼ”をイメージしたキャラ弁|開運さるぼぼ弁当|高山駅

 売店で異彩を放つ、子どものおもちゃのような真っ赤な容器。弁当名を書いた帯封を開けると、容器の中央におまけの特製ストラップが付いている。駅弁の売り子に扮しているのが“さるぼぼ”だ。さるぼぼは、天然痘の予防と子どもの成長を願い、赤ちゃんの生まれた家庭に贈られた飛騨地方の玩具。猿の赤ちゃん(ぼぼ)のように見えることから、この名がついたという。現在では厄除けや安産、家庭円満などにご利益がある玩具として親しまれている。これは、縁起のよいさるぼぼにあやかってつくられた“キャラクター弁当”である。

 さるぼぼ型の容器には、イカフライ、牛肉の旨煮、こんにゃく、わらび、しめじ、海老煮、ゆで卵など、子どもが喜びそうなおかずがぎっしり詰められている。添えられたのが箸ではなく先割れスプーンというのも納得の出来栄えだ。小学校時代に、母親が手作りしてくれた弁当を思い出すノスタルジック仕様。おみやげとして購入し、子どもたちと一緒に食べながら、飛騨地方に伝わる「さるぼぼ伝説」を語り聞かせる夕べも楽しいだろう。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

車窓から下呂温泉街や飛騨路の峡谷を望む
  • 価格:1050円
  • 種類:キャラクター
  • 調製元:(有)金亀館
  • 電話:0577-32-0184
※掲載されているデータは2013年8月現在のものです。

 

女王PROFILE 小林しのぶ 旅行ジャーナリスト・エキベニスト・駅弁愛好家

 駅弁の食べ歩きは20年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから"駅弁の女王"と呼ばれる。全国各地の調製元と新作駅弁の共同開発を手がけるほか、新聞、雑誌、ウェブ等に連載多数。プロデュースした駅弁は「1000号はっこう弁当」「東京もちべん」(東京駅)ほか。

 フードアナリスト。日本旅のペンクラブ会員。千葉県佐原市出身。

 近著に『全国美味駅弁 決定版』(JTBパブリッシング)、『五つ星の駅弁』(東京書籍)、『どんぶりこ』(交通新聞社) 、『超いまうまい帖』(ぶんぶん書房)、『すごい駅弁!』(メディアファクトリー)などがある。NEXCO東日本で展開している「どら弁当」の監修者でもある。

バックナンバー

このページのトップへ