桜前線を追って、まずは新幹線の新青森駅から奥羽本線で弘前駅へ。東北屈指の桜の名所として知られる「弘前公園」では、本丸にある弘前城天守や、名峰・岩木山を背景に、ソメイヨシノを中心とする約2600本の桜が咲き競う。特筆すべきは、散り際に外濠が花びらで埋め尽くされる「花いかだ」。淡いピンク色のじゅうたんを敷いたような、なんとも幻想的な光景だ。
城下町としての面影を残す一方、弘前公園周辺には明治〜大正時代に建てられた洋館も数多く残る。カフェやレストランとしても利用され、特産のリンゴを使った料理やスイーツを味わえるところもあるので、散策途中に訪れたい。
少し足を延ばすなら、弘前駅から五能線に乗り五所川原駅へ。「ストーブ列車」でおなじみの津軽鉄道は、ここを起点に津軽半島を北上していく。途中の芦野公園駅周辺では線路の両脇に桜並木が続き、開花時には桜のトンネルが現れる。車窓に迫りくる花々はもちろんのこと、電車の通過とともに舞い散る桜吹雪もまた趣深い。
芦野公園駅がある金木町は、文豪・太宰治の出身地としても有名。生家で、今は記念館となっている「斜陽館」や、幼い頃に訪れた「雲祥寺」など、沿線にはゆかりの地が点在している。