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2018.01.17鉄道乗ってみたい! 寝台列車 サンライズ瀬戸

個室寝台が快適な旅を演出する。 ~プライベート空間の魅力~

かつて東京駅~高松駅間を結んでいた寝台特急「瀬戸」を受け継ぎ、個室寝台中心の快適なプライベート空間を実現した「サンライズ瀬戸」。下り列車は都会のネオンや夜明けの瀬戸内海、上り列車は漁船の灯りが揺れる相模灘など、深夜や早朝の風景を車窓に見ながら夜行列車の旅を楽しもう。

「サンライズ瀬戸」の旅

コンセプトに込められた「サンライズ瀬戸」の魅力


寝台列車 サンライズ瀬戸

1988年4月10日の瀬戸大橋(本四備讃線)の開業に合わせ、東京駅~高松駅間を結ぶ初代寝台列車として、ブルートレインを使用した寝台特急「瀬戸」が運転開始した。四国へのアクセス利便性は向上したが、開放型寝台が中心のブルートレインは時代のニーズに合わなくなった。そこで、1998年7月10日、個室寝台が中心の快適なプライベート空間を備えた新型車両を投入することになり、さわやかな朝をイメージした285系寝台電車「サンライズエクスプレス」が誕生した。

さわやかな朝をイメージした寝台電車として登場


寝台列車 サンライズ瀬戸

寝台特急列車が「夜行列車」をイメージした青い車体のブルートレインであったのに対し、「サンライズエクスプレス」はその名のとおり「さわやかな朝、新しい一日のはじまり」というイメージで命名。外観は夜明けをイメージしたベージュと赤のツートンカラーとなり、先頭車の車体前面と側面の一部に「昇る太陽」をイメージしたロゴを掲示。美しい朝の風景に溶け込む明るいデザインは、旅のスタートにふさわしい希望に満ちたものとして鉄道ファンから好評だ。

快適性とスピード感を備え夜明けを疾走する


寝台列車 サンライズ瀬戸

車体側面上下にワイドな窓を備えた2階建て車両は、重厚でスピード感にあふれた先頭車両がユニークだ。運転台の下には2列車を併結するための貫通路が設置され、14両編成で運転する場合も全車両の通り抜けができるというもの。別の行き先の列車に乗った友人同士がラウンジに集まり、寝る前にグラスを傾けることができる便利な併結機能を備えている。営業最高時速130キロメートルの高性能車両であり、寝台列車ならではの乗り心地のよさも兼ね備えている。

寝付けない夜も安心! 友人とくつろげるラウンジ


寝台列車 サンライズ瀬戸

「サンライズ瀬戸」7両編成の3号車(上り列車は10号車)には、B寝台1人用個室「ソロ」20室のほか、シャワールーム(有料のシャワーカードを先着順で購入して利用できる)と左右の窓に合わせて、窓向きの椅子を配置したフリースペースのラウンジを設置。シャワーを利用した後や寝付けない夜など、車窓から夜景を眺めながらくつろげるのが魅力。流れゆく都会の灯りを眺めてグラスを傾けたり、美しい夜明けを見ながらコーヒーを飲んだりできる魅力的な空間だ。ただし、「サンライズ」車内ではソフトドリンクの自動販売機はあるが、通常の車内販売はしていない。出発前に買って持ち込むのがおすすめだ。

超人気のA寝台個室 大型デスクや洗面台も設置


寝台列車 サンライズ瀬戸

7両編成の4号車(上り列車は11号車)の2階部分に、6室設置されたA寝台1人用個室「シングルデラックス」。85センチメートル幅のシングルベッド(レール方向に配置)と車内でパソコンや資料を広げてデスクワークができる大型デスク、洗面台を備えた人気の個室となっている。車両内に専用のシャワールームがあり、寝る前にさっぱりできるのが魅力。寝台列車とは思えないほど広く、車窓の風景も存分に楽しめる。一度は利用してみたい。

この列車の標準的な個室 2階・1階・平屋の3タイプ


寝台列車 サンライズ瀬戸

「サンライズ瀬戸」では標準的なB寝台1人用個室「シングル」。7両編成の列車に計80室が設置されている。車両中央に通路があり、車体両側のレール方向にベッドがある2階室、その下の1階室(写真)、平屋の3タイプがある。2階と1階、平屋では天井の形状などが異なるが、いずれも個室内に靴を脱ぐスペースがあり、体を横にできるほどの余裕あるプライベート空間となっている。もう少し広い空間が必要なら2人利用も可能な2段ベッド構造の「シングルツイン」、寝るだけでよい場合は「ソロ」が選べる。

リーズナブルな空間 カーペット敷きの指定席


寝台列車 サンライズ瀬戸

7両編成の5号車(上り列車は12号車)は、指定席特急料金+運賃で利用できるリーズナブルな「ノビノビ座席」を設置。フェリーの桟敷席に似て、足を伸ばして横になれることから「ノビノビ座席」と命名。2段構造の上下にカーペット敷きの桟敷があり、ひとり当たり畳一畳分の空間が確保されている。窓側の頭の部分は隣の桟敷との仕切り板や読書灯が装備され、ある程度のプライベート空間は感じられるつくりだ。枕やシーツなど寝台用品はないので、枕代わりのクッションなどを持参するといい。

オール2階建て 個室で楽しむ寝台の旅


寝台列車 サンライズ瀬戸

「サンライズ瀬戸」はオール2階建ての285系。車両に入ると、1階と2階に通路がわかれており、各個室の入口へと続く扉が並んでいる。扉は自分で設定するタイプの鍵付きだ。5号車と12号車は隣同士がカーテンで仕切られた「ノビノビ座席」で、特急料金(座席指定)で気軽に利用できるので人気がある。1階と2階、山側と海側。どの個室や座席を選ぶかは「サンライズ」の旅の楽しみのひとつ。きっぷの購入前に、JR西日本ホームページやJR時刻表などで編成表を確認しておこう。

人気のシングルツインは 一編成で全6室


寝台列車 サンライズ瀬戸

友達ふたり旅、カップル旅、夫婦旅にも人気の「サンライズ瀬戸」。B寝台のシングルツインは6・13号車にあり、一編成で6室のみ。休日前や旅行ハイシーズンは争奪戦必至となる。ベッドそれぞれに、毛布・枕・寝間着となるガウンがセットされ、入るとまるでシティホテルのような雰囲気。ふたりでおしゃべりしたり、乾杯したりしながら、東京駅から高松駅まで同じ車窓を眺めることができるのが醍醐味だ。

香川の恋人の聖地から瀬戸内の絶景を


寝台列車 サンライズ瀬戸

標高116メートルの香川・聖通寺山山頂にある結婚式場「サン・アンジェリーナ」。そのテラスが開放され、瀬戸内海の絶景を眺められる展望スポットとなっている。目の前には瀬戸大橋と海が広がり、「日本夜景遺産」にも選ばれた場所。フェンスに「誓いの鍵」(「サン・アンジェリーナ」で販売中)をかけるカップルも多く、香川の「恋人の聖地」とも呼ばれる。おすすめは日没前のマジックアワー。カフェも隣接しており、まったりしながら瀬戸内の絶景に見とれたい。予讃線坂出(さかいで)駅からタクシー約15分。

朝イチに「讃岐うどん」をかきこむ幸せ


寝台列車 サンライズ瀬戸

「サンライズ瀬戸」下りは高松駅7時27分到着。駅に着いたらまず「讃岐うどん」を食べに繰り出そう。高松市内には早朝から営業している「讃岐うどん」の店がたくさんある。ひと言に「讃岐うどん」といっても、茹でた熱いままの麺に卵と醤油をかけて食べる「釜玉」や、一度冷水でしめた麺に冷たいダシで食べる「ひやひや」など食べ方は10通り以上。シンプルで飽きのこない味付けのうどんは朝から何杯でもいけそうだ。

JR高松駅着は7時27分


寝台列車 サンライズ瀬戸

今年の2月に開業120周年を迎えた高松駅。愛称は「さぬき高松うどん駅」。構内にはコインロッカーや飲食店などがあり、駅前広場の地下1階ではレンタサイクル(7~23時、6時間以内100円)も利用できるので、讃岐うどん店めぐりや市内観光にもってこいだ。駅舎を出たら振り返ってみてほしい。微笑みの妖精「たかまつえきちゃん」がお見送りしてくれる。駅から徒歩約5分のところには「高松城跡」で有名な「玉藻(たまも)公園」がある。西門は12~1月の冬季でも7時には開門するので、早朝の散歩もおすすめ。列車の長旅で疲れた体にちょうどいい運動になる。

「サンライズ瀬戸」沿線の絶景ポイント


寝台列車 サンライズ瀬戸

東京駅発の下り列車は、有楽町や品川、横浜のネオンを車窓に映し、四国・高松をめざす。深夜の名古屋、大阪を過ぎると、白々と東の空が明け、寒い時期には姫路駅~岡山駅間を通過するあたりで地平線から朝日が顔を出す。この日の出を見ようと、朝には3・10号車のラウンジに乗客が集まってくるのだ。


寝台列車 サンライズ瀬戸

高松駅発の上り列車では、瀬戸大橋を渡り、夜の瀬戸内に浮かぶ船の灯りを眺めながら、岡山へと向かう。深夜に大阪、名古屋を走り抜け、東海道本線を上っていく。真鶴駅~早川駅間では夜明けの相模灘が車窓に広がってくる。上りと下り、また季節によって異なる日の出の時間で景色を楽しめるのが「サンライズ」の醍醐味だ。

きっぷ購入のポイント


「サンライズ瀬戸」のきっぷは基本、ネットで予約・購入できない。きっぷの発売日以降、全国のJRの窓口で購入しよう。JRのきっぷは乗車日の1カ月前10時から発売開始となる。たとえば、11月10日22時発の「サンライズ瀬戸」に乗りたい場合、きっぷは1カ月前にあたる10月10日10時に全国のJRの窓口で一斉発売となる。

「サンライズ瀬戸」は人気の寝台特急列車。金曜発や連休、年末年始などは激戦必至だ。また個室数が少ない「シングルデラックス」「ツイン」などを狙う場合も、1カ月前の発売日10時に窓口に並ぶことを覚悟しよう。駅によっては、旅行カウンターが併設されている場合もある。同様にJRのきっぷを購入できるので、たずねてみるのもいいだろう。

ほかに大手旅行会社からは「サンライズ瀬戸」乗車を含んだツアー商品が発売されることも。往復利用の四国・道後温泉の旅、現地でJR四国全線に乗車する旅など、鉄道ファンにうれしいユニークなツアーも発売されているので、好みにあわせて探したい。


列車情報

運転日 毎日1往復
運転区間 東海道・山陽・宇野・本四備讃・予讃線 東京駅~高松駅
運転時刻 【下り】
東京駅22:00発 → 高松駅7:27着
【上り】
高松駅21:26発 → 京駅7:08着

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  • 文(列車)/ミスターK(結解喜幸)
  • 掲載されているデータは2018年1月現在のものです。
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