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2018.06.28鉄道あめつち―名前の由来は、日本最古のあの書物。車内設備を号車ごとに解説(THE列車)

「天地(あめつち)の初発(はじめ)のとき」に由来した観光列車

山陰デスティネーションキャンペーンの開催に合わせて登場するのが、山陰本線鳥取駅~出雲市駅間を走る観光列車「あめつち」です。山陰地方を舞台にした神話が多く書かれている古事記の「天地の初発のとき」という書き出しに由来し、天と地の恵みにつつまれる旅へと出かける列車名としています。山陰地方は、豊かな自然はもちろんのこと、神社、お酒、歌舞伎、相撲など、日本文化の様々なルーツがあるとされ、多くの神話が誕生した地。そこで、この自然や日本のルーツを「ネイティブ・ジャパニーズ」というコンセプトで車両にデザインし、山陰ならではの「古くて新しい日本」を発見してもらう旅を演出する列車となっています。

2両編成の車両は鳥取県と島根県の素材を生かした内装とし、車内では山陰の豊かな自然の中で育まれた地産品や地元にちなんだ食事、飲み物を提供。さらに日本海や大山(だいせん)の雄大な景色、宍道湖(しんじこ)の夕陽が見える区間では徐行運転を行ない、車窓に映る美しい景観を存分に楽しめるようになっています。

鉄道コンシェルジュ ミスターKのとっておき情報

山陰の美しい空や海を表現した2両編成の列車


観光列車あめつち

山陰の美しい空や海を表現した「紺碧(こんぺき)色」をメインに、車体側面下部には山陰の美しい山並みと、たたら製鉄にちなみ日本刀の刃文(はもん)を表現した銀色の帯模様をデザイン。車体全体をメタリックな色彩で仕上げ、神々しい雰囲気を表現しています。また、車両の前部と側面に山陰にちなんだデザインを採用した「天地AMETUCHI」のエンブレムが取り付けられています。

島根県産の隠岐の黒松を使用した1号車車内


観光列車あめつち

車内は1人・2人・4人掛けの座席を配置しており、壁面は豊かな日本海を表す青色を採用しています。壁面の一部に島根県産の隠岐の黒松が使用され、テーブルの一部分に石州瓦の素材でできたタイルが埋め込まれています。天井には青色と黄色の因州和紙がランプシェードのように用いられ、車内の光を演出するなど居心地の良い空間となっています。

鳥取県産の智頭杉を使用した2号車車内


観光列車あめつち

1号車と同様に1人・2人・4人掛けの座席を配置しており、壁面は神々しい山を表す緑色を採用しています。壁面の一部に鳥取県産の智頭杉が使用され、テーブルの一部分に石州瓦の素材でできたタイルが埋め込まれています。天井には赤色と緑色の因州和紙がランプシェードのように用いられ、似たような座席配置でも1号車と2号車では異なる雰囲気を演出しています。

山陰の素材を生かした内装・工芸品と車内設備


観光列車あめつち

1号車の車端に岩井窯の手洗い器を設置した洗面台、2号車の車端には西尾絞りの暖簾を配置した物販カウンターが設置されています。また、出入り口付近に鳥取県の弓浜絣・倉吉絣、島根県の安来織・出雲織、2号車後部に島根県の神楽衣装が飾られるなど、山陰の素材を生かした内装および工芸品の展示となっています。なお、物販カウンターでは飲料やあめつちの限定品などを販売予定です。

出雲市駅~鳥取駅間の予約制食事サービス


観光列車あめつち

乗車日の1カ月前から4日前までに各申し込み先に電話予約すると、下り列車は「天地御膳 世明(よあけ)」(2500円・税込)、「大江ノ郷スイーツセット」(2000円・税込)、上り列車では「山陰の酒と肴」(2000円・税込)、「松江の和菓子詰合せ」(2000円・税込)が車内で提供されます。なお、電話予約の際には「あめつち」の乗車区間・座席番号が必要となります。


列車情報

運転日 2018年7月1日~11月26日の月・土曜・休日に運転(8月12・25日と11月12日を除く)。7月27日・8月3・10日の金曜も運転
運転区間 山陰本線 鳥取駅~出雲市駅間
運転時刻 【下り】 鳥取駅9:00発 → 出雲市駅12:47着
【上り】 出雲市駅13:41発 → 鳥取駅17:36着

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著者紹介

ミスターK(結解喜幸)

1953年、東京都出身。出版社勤務を経て旅行写真作家に。鉄道や時刻表のたのしさを知り尽くした鉄道の達人。現在は地酒とつまみを追い求める「飲み鉄」にはまっている。

  • 文/ミスターK(結解喜幸)
  • 写真/JR西日本、交通新聞クリエイト
  • 掲載されているデータは2018年6月現在のものです。
  • 運転日・運転区間等は変更となる場合があります。
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