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栄光の新幹線シリーズ(4)東北・上越・山形新幹線 200系・400系車両 昭和57年6月23日、雪国向けに耐寒耐雪構造を強化した200系が登場。今回は東北・上越・山形新幹線の初代車両にスポットを当てて紹介します。(文=結解喜幸 写真=結解学)

2階建て車両を連結した速達タイプの「やまびこ」が登場

 中間に2階建て車両を2両組み込んだ東海道・山陽新幹線の100系車両は好評を博し、東北新幹線でも2階建てグリーン車の連結が検討されていました。一部の列車の16両編成化に合わせて2両の2階建て車両を組み込むことになり、まずは平成2年6月に2階建て車両の249形が組み込まれた13両編成の列車が登場。この車両は2階がグリーン席、1階は1人用グリーン個室3室・2人用グリーン個室1室・4人用普通個室5室(オープンタイプ)で、6号車と7号車の間に7号車として組み込まれました。
 平成3年3月の東北新幹線東京開業に合わせて、2階がグリーン席、1階はカフェテリアという2階建て車両の248形が登場。9号車に249形、10号車に248形の2階建て車両を2両組み込んだ16両編成が運転を開始し、主に東京?盛岡間を結ぶ速達タイプの「やまびこ」で運用されることになりました。
 先頭に組み込まれた221形・222形の2000番台は100系と同じシャープな先頭スタイルにデザインが変更となり、窓下には1本の緑の帯が追加され、2階建て車両を組み込んだ16両編成のヘッドを飾るシンボルとなりました。
 東北・上越新幹線では、運転時間が短くて需要が見込めないことから食堂車の連結が見送られましたが、10号車の1階に設置されたカフェテリアは豊富な品ぞろえのコンビニスタイルで好評を博しました。
 なお、平成12年12月から普通個室を利用して「トレインマッサージ」の営業も行なわれましたが、このサービスも平成15年11月30日には終了。翌年5月には東北新幹線の2階建て車両もE2系にバトンタッチして廃車となり、200系は10両編成がメインとなってしまいました。

2階建て車両を2両組み込んだ16両編成の200系。先頭スタイルが100系と同じデザインとなった

2階建てグリーン車248形の階下部分に設置されたセルフサービス式売店のカフェテリア

リニューアルされた新デザイン採用の200系

 JR東日本の新系列新幹線のEシリーズとなるE1系・E2系・E3系・E4系が活躍するようになると、従来からの車内設備とリクライニングシートを装備した200系は見劣りするようになりました。そこで、10両編成に統一された200系を順次リニューアルすることになり、平成11?14年にかけて外観塗装を一新したリニューアル編成が登場しました。
 外観は運転台窓回りがシャープな雰囲気にデザイン変更され、車体塗色も飛雲ホワイトと紫苑ブルーのツートンカラーとなり、アクセントとして細い緑の帯を巻いたものとなりました。外観上では一目瞭然と違いがわかりますが、車内では普通車の座席をE4系と同じ3人掛けも回転可能なリクライニングシートに交換。モケットの色もカラフルなものへと変更されました。トイレや洗面所など車内サービス設備も大幅にリニューアルされ、E2系やE4系と比べても遜色のないものとなっています。

リニューアルされて新塗装に変更となった200系。外観スタイルも精悍さが増している

リニューアルされた200系の車内。カラフルな回転式リクライニングシートが配置されている

日本初の新在直通運転用 山形新幹線400系「つばさ」

 平成4年7月1日、奥羽本線福島?山形間の改軌が完成したのに合わせ、日本初の新在直通運転がスタートしました。そして、ミニ新幹線用の車両として400系6両編成が登場し、東京?山形間を最速2時間27分で結ぶ「つばさ」が運転を開始しました。福島駅での乗り換えの不便さが解消され、さらに在来線区間でのスピードアップが図られ、新在直通運転のメリットが発揮されるようになりました。
 車両はグレー系を基調に窓部分に濃いグレーと緑のラインを配したデザインで、東京寄りの先頭車には200系新幹線と併結するための連結器を装備。単独走行時はカバーが閉じていてわかりませんが、200系と併結する時にはカバーが開いて連結器が出てきます。
 また、車体の幅が狭いため、各車両の出入口ドアには収納式のステップがあり、新幹線区間の駅ではステップが出て車体とホームの間の隙間を埋めるようになっています。
 車内は東京寄りの11号車が2+1席配置のリクライニングシートを装備したグリーン車、12?16号車は2+2席配置のリクライニングシートを装備した普通車ですが、12?14号車の指定席と15・16号車は自由席ではシートピッチが異なるなど、3タイプの車両で構成されています。なお、平成7年の7両編成化では、新たに15号車を新製して組み込んでいます。
 日本初の新在直通運転用車両でしたが、平成22年4月にE3系への置き換えが完了し、同年4月18日の「さよなら400系つばさ18号」の運転をもって営業運転を終了。すでに全車両が廃車となり、先頭11号車の411形車両が鉄道遺産として保存されることになっています。

新在直通運転の山形新幹線用としてメタリックシルバーの塗装で登場した400系

400系の普通車車内。在来線と同様の2+2席配置のリクライニングシートが配置されている

※掲載されているデータは平成23年1月現在のものです。

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