『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

この冬、「青春18きっぷ」で旅せよオトナ。

2016年冬 時短と旅情の北陸・飛騨よくばり旅

「青春18きっぷ」とは?

年齢制限なし。全国のJR線普通・快速列車の普通車自由席が一日乗り放題のきっぷ。1券5回(日)分セットで、ねだんは1万1850円。同一行程であれば、最大5人まで同時に利用できる。冬の利用期間は1月10日までだが、発売期間は12月31日までなので、ご注意を。

きっぷの詳細はこちら

発売期間:平成28年12月1日〜31日/利用期間:平成28年12月10日〜平成29年1月10日

青春18きっぷ 1日目

1日目午前

「青春18きっぷ」で旅するオトナ旅、今回は名古屋発。今だから出合える冬景色を求め、まだ暗き早朝、名古屋駅から高山本線に乗り込む。飛騨川を望み、飛水峡を越え、山あいを縫いながら、列車は下呂(げろ)駅へ。朝の澄んだ空気が迎えてくれるなか、立ち寄りたいのが「天下の三名泉」のひとつといわれる下呂温泉。「クアガーデン露天風呂」(写真1)なら朝8時から営業しており、朝風呂にもってこい。運が良ければ雪見風呂が楽しめる日も!

下呂駅からは「青春18きっぷ」適用外となるが、特急乗車で時短といこう。10時14分発、「(ワイドビュー)ひだ3号」(写真2)で北へ北へ。車窓の主役は飛騨川が造った峡谷美だ。飛驒金山駅付近より以北は、地元では益田(ましだ)川とも呼ばれている。高山駅を過ぎ、杉原駅を越えると、ここから先はJR西日本のエリア。めざす富山はもうすぐだ。

富山駅に着いたら、あいの風とやま鉄道で高岡駅に向かおう。この区間も途中下車しなければ、「18きっぷ」を利用できる。そして高岡駅からはお楽しみの観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール」(愛称・べるもんた)に乗り込む……と、その前に、今年1月に登場した駅弁「とやま弁当」(写真3)をゲット。細長い箱には、とやま牛の牛丼、ぶりかまステーキ丼など富山の味覚が横一列にずらり。

  1. 打たせ湯、箱蒸しなど全6種類の温泉浴が楽しめる「クアガーデン露天風呂」。
  2. 「(ワイドビュー)ひだ」は、前面展望も楽しめるワイドビュー車両。
  3. とやまポーク丼や紅ずわいちらしなど富山の幸が競演する「とやま弁当」1300円。

1日目午後

さあ、午後からはお楽しみの観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール3号」(愛称・べるもんた、写真4)14時25分発に乗り、氷見(ひみ)をめざす。同列車最大の魅力は、「走るギャラリー」と呼ばれる車両の内装だ。高岡銅器をイメージした吊り革の持ち手や、南砺(なんと)市の伝統工芸・井波彫刻の展示、深緑色した壁や座面がシックな雰囲気を醸し出している。車窓のハイライトである雨晴(あまはらし)海岸越しの立山連峰を望むポイントでは、列車が一時停車してくれるのだ。

氷見駅を降りたら、バスなどで「比美町商店街」へ。レトロな商店街には氷見市出身の藤子不二雄Ⓐ先生の漫画『忍者ハットリくん』のモニュメントが! そのまま徒歩で氷見漁港場外市場の「ひみ番屋街」に向かい、今が旬、「ひみ寒ぶり」(写真5)を堪能! この季節、富山湾に南下してきたブリは脂のりのり。脂の旨みいっぱいの刺身を口に含むと、その旨さで恍惚(こうこつ)状態に。

「ひみ番屋街」からはバス「わくライナー」16時45分発に乗り、今晩投宿する「和倉温泉」(写真6)までショートカット。宿で湯にゆったり浸かったら、夕食は加能(かのう)ガニやのどぐろなど、旬の魚介三昧へとなだれこもう。地元の旅館15軒の各料理人が県産米や能登の食材を使い、おむすびにダシをかけた一椀を考案した「わくらむすび」も気になるところ。宿により夕食または朝食での提供となるので、宿泊先に問合せてみて。

  1. 額縁風にデザインされた「べるもんた」窓枠は、最大幅2.52メートル。富山湾と雄大な立山連峰を一望!
  2. 見よ、「ひみ寒ぶり」の脂ののりを! 刺身はもちろん、ぶり大根やしゃぶしゃぶも旨い。
  3. 海沿いにある和倉温泉。「日本の宿 のと楽」(写真6)など七尾湾を臨む風呂を備える宿が多い。

列車Data

特急「(ワイドビュー)ひだ」

名古屋・大阪と富山などを結ぶ特急列車。名古屋駅〜富山駅間は一日4往復運行。飛騨路を行く列車の車窓は山と峡谷の風景がすばらしく、とくに先頭車の最前席は絶景を望める特等席だ。

運転区間 東海道本線・高山本線 大阪駅・名古屋駅〜岐阜駅〜高山駅・飛驒古川駅・富山駅

詳細はこちら

「ベル・モンターニュ・エ・メール 〜べるもんた〜」

土曜は氷見線(新高岡駅〜高岡駅区間のみ城端‹じょうはな›線)、日曜は城端線を一日各2往復運転。車内では数量限定で地酒や「ぷち富山湾鮨セット」の販売も。

運転区間 氷見線 新高岡駅・高岡駅〜氷見駅間、城端線 高岡駅・新高岡駅〜城端駅間
運転日 土曜(氷見線)・日曜(城端線)

詳細はこちら

店・施設Data

クアガーデン露天風呂
営業時間 8〜21時(受付〜20時15分)、木曜休
アクセス 高山本線下呂駅から徒歩10分

詳細はこちら

とやま弁当

あいの風とやま鉄道高岡駅、富山駅売店などで販売。1300円。

詳細はこちら

ひみ番屋街

営業時間 8時30分〜21時(鮮魚・物販〜18時、フードコート〜19時、回転寿司10時〜、飲食施設11時〜)、元日休

一部店舗により異なる

アクセス 氷見線氷見駅から加越能バス12分のひみ番屋街下車

詳細はこちら

青春18きっぷ 2日目

2日目午前

2日目の朝は8時41分発、特急「能登かがり火」に別料金で乗車し、時短旅でスタート。およそ1時間ちょっとで金沢へ。約2時間の滞在時間を有効に使い、今回は駅東口側に絞って散策することに。

北陸新幹線開通以来、多くの旅行客で賑わう北陸随一の人気スポットは、冬も見どころがいっぱいだ。有名な「兼六園」の雪吊りをはじめ、旬のカニや加賀野菜を求める客で賑わう「近江町(おうみちょう)市場」、雪から土塀を保護するために薦掛(こもが)けされた「長町武家屋敷跡(ながまちぶけやしきあと)」(写真2)などの風景に、本格的な冬の到来を感じたい。

久しく金沢を訪ねていない人におすすめなのが、平成27年3月に復元された「玉泉院丸庭園(ぎょくせんいんまるていえん)」(写真1)だ。加賀藩三代藩主・前田利常(としつね)公による寛永11年(1634)の作庭を皮切りに、その後、歴代藩主に手を加えられながら、廃藩時まで存在していた同園。城内に引かれた辰巳用水を水源とする池泉回遊式の大名庭園は、庭のほとりにある玉泉庵から眺めるとなお美しい。散策後は、この冬お目当てのランチを食べに、北陸本線(写真3)で加賀温泉駅に向かおう。

  1. 玉泉庵から望む玉泉院丸庭園。庭園内は散策無料。金・土曜・祝前日などは日没から21時までライトアップ。
  2. 加賀藩中・下級武士の屋敷跡が残る長町武家屋敷跡。薦掛けされた土塀の道を歩く。
  3. 北陸本線を走る521系。今回の旅、名古屋への帰路はロングラン乗車になる。「青春18きっぷ」適用外だが、特急「しらさぎ」で楽に帰るのもいい。

2日目午後

加賀温泉駅での楽しみは、「加賀カニごはん」(写真5)。平成27年4月に登場した話題のご当地グルメで、橋立漁港で水揚げされた香箱(こうばこ)ガニ(メスのズワイガニ)を丸ごと一杯使っているうえ、山中漆器と九谷焼の器で供され、見た目にもかなり贅沢だ。加賀温泉駅徒歩圏内の提供店では「くいもん家 ふるさと」「カーサ フォルトゥーナ」の2店舗で堪能できる。ランチのみで数量限定なので、要予約を。

北陸本線でさらに8駅南下して福井駅に着いたら、国の名勝に指定された「養浩館(ようこうかん)庭園」(写真4)へ。かつて福井藩主・松平家の別邸だった同園は、回遊式林泉庭園と数寄屋造りの邸宅との調和が美しい。木々の雪吊りや心落ち着く静けさは、この季節しか出合えない庭園の表情だ。

福井の食事で利用したいのが「幸(YUKI)-FULL TICKET〜酒と魚バージョン〜」(写真6)。クーポン3枚綴りの2500円のチケットで、福井駅周辺の参加14店舗で利用できる。各店指定の枚数を渡せば、おトクに地酒と地魚の楽しめるというわけ。例えば、クーポンが1枚必要な店と2枚必要な店のはしごだってOK! 福井駅西口の駅ビル1階にあるウェルカムセンター(福井市観光案内所)で購入できる。福井の美味をFULLに堪能したら、北陸本線でコトコトと帰路につこう。

  1. 御茶屋から養浩館庭園を望む。運が良ければ、池に雪が降り積もった水墨画のような風景に出合える。
  2. 香箱ガニやコシヒカリ、献上加賀棒茶など地場産にこだわった「加賀カニごはん」。加賀市内では全5店で提供。写真は「カーサ フォルトゥーナ」。
  3. 「幸-FULL TICKET〜酒と魚バージョン〜」で味わえる福井駅西口駅ビル「ハピリン」2階「福福館」の海鮮三種盛りと地酒セット。

列車Data

北陸本線

金沢駅〜米原駅間の176.6キロメートルを結ぶ路線。沿線には温泉地が点在するほか、粟津駅〜動橋駅間では雄大な白山が見られる。

運転区間 北陸本線金沢駅〜米原駅

店・施設Data

兼六園
開園時間 8〜17時(季節により変動)、無休
アクセス 金沢駅から兼六園シャトルバス16分の兼六園下・金沢城下車、徒歩2分

詳細はこちら

近江町市場
営業時間 9時〜17時30分、1月1〜4日休

営業時間・休みともに店舗により異なる

アクセス 金沢駅から徒歩15分

詳細はこちら

玉泉院丸庭園
開園時間 8〜17時(金・土曜・祝前日は日没〜21時にライトアップ)
アクセス 金沢駅から兼六園シャトルバス11分の広坂・21世紀美術館下車、徒歩5分

詳細はこちら

養浩館庭園
開園時間 9〜17時(入園は〜16時30分、季節により変動)、12月28日〜1月2日休
アクセス 北陸本線福井駅から徒歩15分

詳細はこちら

乗り鉄派なら、やっぱりおトクな「18きっぷ」!

名古屋発、冬なお美しさが増す北陸・飛騨の絶景に出合う。(1泊2日)

JR線普通・快速列車の乗車料金

1日目
  • 東海道本線名古屋駅〜高山本線下呂駅(2270円)
  • あいの風とやま鉄道富山駅〜高岡駅(360円)
  • 氷見線高岡駅〜氷見駅(320円)
2日目
  • 北陸本線金沢駅〜加賀温泉駅(760円)
  • 北陸本線加賀温泉駅〜福井駅(580円)
  • 北陸本線福井駅〜東海道本線名古屋駅(3020円)

合計……7310円

「青春18きっぷ」なら

2回(日)使用で4740円‼

旅先で、おいしい食事やおみやげ用の余裕ができる!

  • 上記きっぷ代には、行程内の特急「(ワイドビュー)ひだ」乗車券および座席指定席券、特急「能登かがり火」乗車券および座席指定席券は含まれておりません。

地図

バックナンバー

このページのトップへ