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新幹線・特急で行く5日間! 秋の古地図フルムーン旅 (6)夫婦で歩くニッポンの歴史!

君とレールと、どこまでも。

この秋、夫婦あわせて88歳以上になった。だから記念に旅に出よう。いつか話したフルムーン夫婦旅。ガタンゴトンと列車に揺られ、寝顔を見つめレールの上なら、今よりきっと、素直になれるはず。

1日目 | 北海道エリア | 「はやぶさ1号」で向かう、函館の古地図歩き

  1. 函館山から見下ろした函館の町。独特な形の港は開国した当時から変わらない
  2. 観光案内所で配布している「函館古地図マップ」。明治初期の函館が描かれている。Stroly.comからはwebブラウザで閲覧できる「函館真景」古地図マップ
  3. 今夜の宿は湯の川温泉「望楼NOGUCHI函館」。洗練された和の趣ある宿だ
  4. 北海道新幹線H5系。車両のラインは北海道のラベンダーをイメージした「彩香(さいか)パープル」

 旅先で古地図を眺めれば、いつもとはまた違った町のおもしろさを実感できる。この秋、JR「フルムーン夫婦グリーンパス」きっぷ(5日間)で、全国の古地図フルムーンの旅に出かけよう。

 広大な北海道でもっとも本州に近く、大きく湾曲した湾が港に適していたことから交易の拠点として発達した函館(当時は「箱館」と書いた)。日本が開国した1854年、伊豆の下田とともに開港された港でもある。今回のフルムーンの旅のテーマ、古地図を見ながら散歩するのに最適な町ではないか。1日目は早起きして東京駅6時32分発の北海道・東北新幹線「はやぶさ1号」で新函館北斗駅へ向かう。函館本線「はこだてライナー」に乗り継げば、昼前に函館駅に着く。

 函館駅を出たら右手(南)を見よう。駅前の大通りへ出れば道路の向こうにちょっとした山が見える。それが夜景で有名な「函館山」。山の向こうは津軽海峡。すぐに海だ。「函館山」が津軽海峡の荒波を抑えてくれるので、函館は天然の良港として発展したのである。駅前の観光案内所で入手した明治15年(1882)に描かれた鳥瞰図「函館古地図マップ」を広げると、山の麓に発展した町の様子がよくわかる。マップは函館市の観光サイト「はこぶら」でもダウンロード可能だ。

 函館の町は斜面を利用してつくられており、坂の上に残る明治初期から大正時代に建てられ、日本の夜明けを見てきた洋館の存在感は格別だ。大正15年(1926)に建てられた三井銀行は「北方民族資料館」、明治初期の「金森洋物店」は郷土資料館として公開されているし、明治43年(1910)に建てられた「旧函館区公会堂」は今でもモダンで美しい。港の「赤レンガ倉庫群」はショッピングモールとなっているため歩き疲れたら休憩を。市電を上手に使えば一日で十分見て回れる。

 宿泊は市電で行ける湯の川温泉「望楼NOGUCHI函館」で。旅館のコンセプトは「洗練されたラグジュアリー空間」。天空の露天風呂から、暗闇に浮かぶ津軽海峡の漁火を眺めよう。

本日の町歩き

北海道・函館

◎市街地へのアクセス

函館本線函館駅から函館どっく前行き函館市電で約10~15分

詳細はこちら
函館市観光サイト「はこぶら」

2日目 | 東日本エリア | 立派な石垣と城門で江戸時代の城を味わう

  1. 江戸城の石垣。江戸城がまわりより一段高い場所にあるのがよくわかる
  2. 誰もがくぐれる桜田門。幕末、この門のすぐ外で桜田門外の変が起きた
  3. スマホ用無料アプリ「タイムトリップビュー江戸城門」。江戸初期や末期、現代の地図を見ながら楽しめる
  4. 北海道・東北新幹線E5系。初日に乗ったH5系のデザインのベースとなった車両だ

 2日目の目的地は東京駅。函館駅から快速「はこだてライナー」で新函館北斗駅へ戻り、北海道・東北新幹線「はやぶさ」で向かう。

 東京駅の住所は千代田区丸の内。江戸城の内堀と外堀の間にあるため、そう呼ばれていた。そう、東京駅は江戸城の真ん前にあるのだ。東京駅丸の内中央口から幅の広い行幸通りをまっすぐ進むと、徒歩約5分で江戸城の内堀。幸いなことに今でも内堀は水を湛(たた)え、石垣や門が残っているので、古地図散歩にはうってつけだ。

 スマートフォン用アプリ「タイムトリップビュー江戸城門」を使えば、江戸城周辺の古地図(江戸時代初期と幕末)と現代地図を切り替えられ、江戸時代の様子をCGで見ることができる。おすすめは「桜田門」と「大手門」。「桜田門」は完全に一般開放されていて、お濠を観ながら壮大な門をくぐることができる。「大手門」は江戸城のメイン玄関で、譜代大名が登城するのに使っていた。門の内側は「江戸城本丸・大奥跡」。皇居東御苑として無料で一般公開されており、ぜひ足を踏み入れて欲しい(開園日に注意)。疲れたら「和田倉門」。石垣が残るのみだが、「和田倉噴水公園」として整備され、レストランや無料休憩所もある。

 江戸城を訪れたら地形にも注目。東京駅からお城までは平地だが、内堀の内側は一段高台になっている。水害を避け、見通しがよい台地のキワにつくられたのである。体力があるなら江戸城(皇居)一周散歩もいい。けっこうな高低差があり、半蔵門前から見下ろす官庁街の景色は格別だ。

本日の町歩き

東京・江戸城

◎アクセス

北海道・東北新幹線東京駅から徒歩5分

3日目 | 北陸エリア | 加賀百万石の城下町・金沢を古地図で歩く

  1. 東山から浅野川越しにみる主計町の茶屋街。明治初期から戦前にかけて賑わった
  2. 金沢市観光協会が作成した「金沢古地図めぐり ~東山・長町・石引エリア~」より
  3. 金沢市民の台所「近江町市場」。江戸時代後期から続く市場で小売店がひしめきあう。カニ漁解禁は毎年11月6日
  4. 新幹線の金沢延伸に伴って導入された北陸新幹線W7系。「グランクラス」車両を備えて話題に

 2015年に開業した北陸新幹線「かがやき」に乗って、東京駅から金沢駅へ。新幹線開業で金沢は首都圏から本当に近くなった。金沢といえば加賀百万石。前田家の治めていた加賀藩が約百万石という広い領地を持っていたので、通称としてそう呼ばれていたのだ。金沢は加賀前田家の城下町である。

 金沢駅は「金沢城」や「兼六園」から少し離れているので、観光にはバスがおすすめ。駅前から「城下まち金沢周遊バス」や「兼六園シャトル」など便利なバスが頻繁に走っている。出発前、金沢駅構内にある観光案内所で「金沢古地図めぐり」のパンフレット(写真②)をもらおう。防水の効いた和紙のような感触の詳細な江戸時代の地図だ。

 金沢は戦火にあっていないので江戸時代の道路や区画割、水路が多く残っており、古地図と現代地図を照らし合わせながら歩きやすい。金沢市街地の中心部、香林坊でバスを降りたら古地図の出番。「長町武家屋敷跡」の町並みを散歩する。高台から見る城のつくりに、古い町並みが残る武家屋敷に茶屋街。一日でどれも楽しめるのが金沢のよさだ。北陸一の繁華街と藩政期の土塀の続く武家屋敷の町並みの組み合わせも新鮮。お殿様気分を味わうなら日本三名園のひとつ「兼六園」、再現された金沢城や多彩な城の石垣を楽しむのがいい。

 今や金沢一の人気観光スポットとなった「ひがし茶屋街」は古地図にも「茶や町」と描かれているほど古い町で、茶屋街が許可された文政3年(1820)に建てられた建物もそのまま残っているほどだ。浅野川を挟んだ主計町(かずえまち)の茶屋街とともに重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、今も多くの芸妓が活躍する茶屋街の艶やかな雰囲気を実感できる。町家カフェで一服しながら散策したい。予約制ではあるが、ボランティアガイドによる「加賀百万石ウォーク 金沢古地図めぐり」(無料)も行なわれている。旅程が決まったら問い合わせてみる(金沢市観光協会TEL.076-232-5555)のもいいだろう。

本日の町歩き

石川・金沢

◎金沢城下町へのアクセス

北陸新幹線金沢駅から兼六園シャトルバス約20分

詳細はこちら
金沢市観光サイト「金沢旅物語」

4日目 | 山陰エリア | 江戸時代の地図が使える町・萩

  1. 道を鍵の手(直角)に曲げた「かいまがり」。幕末の城下町特有の曲道だ
  2. 「萩まるごとクーポン」の古地図は、現在の道やお店が重ねてあるのでわかりやすい
  3. 「リゾートホテル美萩」の旬の味覚 創作会席。写真は秋メニュー
  4. 8両編成の山陽・九州新幹線の車両。東海道・山陽新幹線16両編成のN700系をベースに開発された

 2017年は大政奉還150周年。大政奉還といえば幕末から明治維新にかけて活躍した長州藩を忘れてはいけない。その本拠地が今の萩市だ。維新の先覚者である吉田松陰、奇兵隊を結成して旧幕府軍と戦った高杉晋作、明治維新に貢献し廃藩置県を実現した木戸孝允(桂小五郎)、幕末期に吉田松陰が主宰した「松下村塾」で学び初代総理大臣となった伊藤博文と、錚々(そうそう)たる顔ぶれを輩出した場所なのだ。

 4日目に訪れるのはその萩市。山口県の日本海側にあり、金沢から向かうには乗り継ぎが必要だ。7時15分発の北陸本線を走る特急「サンダーバード」で金沢駅から新大阪駅へ出て、山陽新幹線「さくら」で新山口駅へ。ここからは「フルムーンきっぷ」とは別料金となるが、新山口駅前から出発する高速バスが便利。山陽から山陰へ縦断し、1時間8分で東萩駅に到着。

 さっそく東萩駅の観光案内所で「古地図でめぐる萩まるごとクーポン」(5枚つづり2000円)を購入しよう。江戸末期の萩城下町絵図で散策しながら、食事や買い物もお得にできるマップ付きのクーポンだ。「江戸時代の地図がそのまま使えるまち」と謳(うた)う萩市にぴったりである。古地図を見ながら「萩城跡」へ行くのもいいし、明治維新好きなら、吉田松陰ゆかりの「旧萩藩校明倫館跡」や「松下村塾」など、維新の志士たちの足跡を辿(たど)るのもいい。

 個人的には江戸時代の地図を見ながら「日本の道100選」に選ばれた「菊屋横町(高杉晋作の誕生地もある)」や、江戸時代の風情を残す「鍵曲(かいまがり)」などの古い町の散策も捨てがたいところだ。夜は白砂青松の美しい菊ヶ浜沿いにある「リゾートホテル美萩(みはぎ)」をチョイス。城下町まで徒歩圏内で、絶景のオーシャンビューと天然温泉、料理長こだわりの和創作会席がおすすめのホテル。大浴場からは萩城のあった指月山(しづきやま)が見えるので、早めにチェックインして夕陽を愛でるのもいい。

本日の町歩き

山口・萩

◎萩城下町へのアクセス

山陰本線東萩駅から萩循環まぁーるバス約20分

詳細はこちら
萩市観光協会サイト「ぶらり萩あるき」

5日目 | 九州エリア | 『魏志倭人伝』の時代に思いを馳せる吉野ヶ里

  1. 吉野ヶ里歴史公園にて。発掘された弥生時代の甕棺墓(かめかんぼ)列(復元)
  2. 復元された集落の様子。公園を歩くとかなり大規模な集落だったのがわかる
  3. 博多といえば豚骨スープに細麺硬めの長浜ラーメン。細麺なのはすぐゆであがるので時間がない漁師に好まれたからとか
  4. 九州新幹線の800系車両。N700系をベースにしつつ、丸みをおびた先頭車両と赤いラインが特徴

 5日目の最終日は九州の佐賀県へ。今までは現代に残る江戸から明治の町や城をめぐってきたが、最後はさらに1500年以上遡った弥生時代へ飛ぼう。佐賀県の「吉野ヶ里遺跡」だ。

 萩からは山陰本線、美祢(みね)線を乗り継いで厚狭(あさ)駅から山陽新幹線で博多駅へ。そこから特急「かもめ」と長崎本線を乗り継いで吉野ヶ里公園駅で降りれば「吉野ヶ里歴史公園」までは徒歩15分だ。

 弥生時代というとはるか昔のことと思いがちだが、弥生時代後期は1~3世紀。すでに米作が行なわれ、環濠集落という濠と土塁で守られたムラが作られ、『魏志倭人伝』に倭人として詳細な記述が残されるなど(邪馬台国で有名だが、ほかにも当時の日本人の風習や国の様子について細かく記述されている)、日本が歴史書にはじめて登場した時代なのだ。

 「吉野ヶ里遺跡」はそんな紀元前から3世紀後半までの約700年にいたる弥生時代の遺跡が見つかったところ。弥生時代中期の墳丘墓や副葬品の管玉や銅剣、後期の大規模な環濠集落跡が発掘された。もちろん当時の建物がそのまま残っているわけではないが、歴史公園内には竪穴住居、高床倉庫、首長らが暮らし物見櫓が建てられた南内郭、まつりごとが行なわれていた北内郭など、幅広く居住空間が復元されており、墳丘墓や古代水田もある。大規模に復元されているので、当時の暮らしを想像しながら歩く。大和朝廷による日本統一がはじまる前の日本がそこにある。

 遺跡や古地図でめぐるフルムーンの旅も5日目。帰りは長崎本線、九州新幹線と乗り継ぎ、博多駅から東海道・山陽新幹線で東京駅まで直行だ。

本日の町歩き

吉野ヶ里歴史公園

◎アクセス

長崎本線吉野ヶ里公園駅から徒歩約15分

詳細はこちら
吉野ヶ里歴史公園

今回の旅程のうち、私鉄・バス乗車料金等は「フルムーン夫婦グリーンパス」の適用外です。ご利用の際は別途料金が必要になります。

JR「フルムーン夫婦グリーンパス」発売中!

JRでは、お二人の年齢合わせて88歳以上のご夫婦を対象に、JR線のグリーン車(新幹線「のぞみ」「みずほ」など一部列車、設備を除く)およびBRT(バス高速輸送システム)ならびにJR西日本宮島フェリーに有効期間内に自由に乗り降りできる「フルムーン夫婦グリーンパス」を発売しています。

『トレたび』では、全国の素敵な「夜景」や「古地図歩き」など、ユニークな旅のテーマを掲げた新しい夫婦旅を提案。ご夫婦揃って新しいフルムーンの旅を始めませんか?

◎種類とねだん(2人分)
フルムーン夫婦グリーンパス
【5日間用】82,800円(一般用)
【7日間用】102,750円(一般用)
【12日間用】127,950円(一般用)

お二人のうちどちらかが70歳以上の場合、よりおトクな「フルムーン夫婦グリーンパス(シルバー用)」を利用できます。

◎発売期間
2018年5月31日(木)まで
◎利用期間
2018年6月30日(土)までの連続した5・7・12日間

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