『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

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『新幹線&憧れの豪華寝台特急で行く艶やかフルムーン“桜旅”~桜とともに列島3000キロの旅~』フルムーン夫婦グリーンパスはJR全線が乗り放題できるお得なフリーパス。夫婦の合計年齢が88歳以上で利用できる。桜咲く季節、京都をめぐり北海道へ、さらに、みちのくも訪ねる大人の周遊旅行へ出かけましょう。

  • 1日目 京都ふたり、さくらめぐり
  • 2日目 憧れの豪華寝台特急で北海道へ
  • 3日目 函館、弘前。北のさくらと出会う旅
  • 4日目 車窓の花見&山形の名湯へ
  • 5日目 やまがた花回廊でさくら漫遊

3日目 函館で朝ごはんを食べて 車窓に津軽海峡を眺めつつ弘前へ - 函館、弘前。北のさくらと出会う旅[函館⇒弘前]

  • 坂の町、元町で教会をバックに花が咲く。函館の桜は早い年で4月22日頃には開花するという

  • 箱館戦争の舞台、五稜郭は今や函館随一の桜名所。桜は間近で見てもよし、展望タワーから見てもよし

  • 古くからの開港都市、函館はとてもハイカラな街だ。レトロな路面電車に揺られて観光してみたい

  • ウニ・イクラ・ホタテの贅沢な海鮮丼。駅前朝市で有名な函館は朝から旬の食材が味わえる

  • 特急「スーパー白鳥」とともに函館~青森・八戸間を走る特急「白鳥」。485系電車も元気に活躍中!!

  • 津軽を代表する桜の名所、弘前城。このところ桜の開花は早まる傾向で、4月20日前後から咲く年も

 青函連絡船の時代から函館の朝は早い。かつては青森発の深夜便が早朝5時前に入港し、道内各地へ向かう旅人を待つディーゼル特急がホームでエンジン音を響かせていた。駅横の朝市は活気がみなぎり、旅人にとって函館はことさら朝が印象的だった…。

 寝台特急「北斗星」の函館到着は6時34分。函館の朝を楽しむのにちょうどよい時間だ。新鮮な海鮮丼を朝ごはんにし、団体ツアーの人たちがやってくる前の函館を歩く。ひんやりとした朝の空気は坂の町に建つ教会の静けさを引き立て、函館ならではの異国情緒をより一層かきたてる。早い年なら4月後半には桜も開花。路面電車で五稜郭あたりへ桜を訪ねてみるのもいいだろう。

 長い年月をかけて昭和63年に開通した青函トンネル。前夜の「北斗星」ではすっかり寝てしまっていたが、青森へ向かう昼の特急「白鳥」ではしっかり見届けたい。「白鳥」は函館を発車すると進行方向左手に遠ざかる函館山や津軽海峡を望み、やがて轟音とともに青函トンネルに吸い込まれていく。青森で特急「かもしか」に乗り換え、あと30分で弘前に着く。

 津軽地方の中心、弘前。城下町としても知られ、弘前城の桜の美しさは東北の春を代表する風景の一つにも数えられている。ホテルでチェックインをすませ、一息ついてお花見へ。弘前城の桜は開花が早まる傾向にあり、4月20日頃の年が増えているようだ。

●3日目 = 乗車距離197.8km、運賃合計(2人分)19,300円

モデルコース

発着駅 時間 メモ
函館着 6:34 まずは函館朝市などで朝食を。早い年は4月22日頃に桜が開花する函館。お花見は五稜郭などで
函館発 11:28 【白鳥20号】グリーン車
青森着 13:36 奥羽本線に乗り換え
青森発 13:46 【かもしか4号】グリーン車
弘前着 14:16 到着後、津軽きっての桜名所、弘前城などでお花見

フルムーン桜旅の“コツ”

 日本の春を象徴する花、桜。フルムーンパスで桜旅をする時の“コツ”とは?

 まず覚えておきたいのはフルムーンパスには利用できない期間があること。春の場合、3月21日から4月5日、4月27日から5月6日は利用不可だ。最も早い出発日は4月6日、それでは桜は散ってしまうと思われるかもしれない。しかし、桜には早咲きのものもあれば遅咲きもある。フルムーン桜旅でぜひとも行ってみたい京都の場合、さまざまな桜が4月後半まで咲いている。また、北国の桜は温暖化の影響もあってか、このところ開花時期が早まりつつあり、弘前あたりで4月20日頃、函館でも4月22日頃には開花する年もある。つまり、利用可能な期間だけで、北も南も十二分に桜を楽しむことができる。

 インターネットの時代、各地の開花状況はライブカメラをはじめ、手にとるようにわかるようになった。それらも参考にしつつ、自由自在に日程を組めるフルムーンパスを活用したい。

4日目 弘前から八戸を経由して仙台でランチ 旅の最終泊はゆったり山形の名湯で - 車窓の花見&山形の名湯へ[弘前⇒大石田]

  • 東北新幹線E2系は「はやて」などに使用。「はやて」は八戸~仙台間280kmを1時間20分ほどで走る

  • “温泉新幹線”ともいわれる山形新幹線。E3系2000番台の「つばさ」は平成20年運行開始の新しい車両

  • 山形新幹線E3系2000番台「つばさ」のグリーン車。明るい車内でリラックス、いざ山形各地の温泉へ

  • 和風情緒満点の銀山温泉。最寄りの山形新幹線大石田駅から送迎をしてくれる宿も多く、ありがたい

  • 山形新幹線沿線には名湯がずらり。源泉かけ流しの貸切風呂はフルムーン旅行におすすめ

  • 山形の温泉宿で食べた「すきやき」。山形といえば米沢牛をはじめ銘柄牛の産地としても知られている

 弘前の朝、名峰・岩木山がまばゆく映る。独立峰の岩木山は「津軽富士」と呼ばれるだけあって本当に美しい。

 弘前を発車した「つがる12号」は岩木山に別れを告げ、青森で進行方向を変えるとやがて陸奥湾が顔を出す。野辺地あたりでは線路に沿った杉林に気づくだろう。日本で最も古い鉄道防雪林として鉄道記念物になっている。八戸で接続の東北新幹線「はやて」はグリーン車の居心地が抜群。残雪の山々のふもと、あちらこちらで咲くみちのくの桜を快適な車窓でお花見。この時期の新幹線はみな「お花見新幹線」と命名したくなるほど眺めが素敵だ。

 仙台でのランチタイム。名物の牛たんもお寿司も駅でいろいろと楽しめる。お寿司ではもし「ブドウエビ」があれば、ねっとりとした甘さを味わってみたい。

 福島でいよいよ“温泉新幹線”に乗り換え。山形路を走る「つばさ」には平成20年運行開始の新しい車両、E3系2000番台が登場し、グリーン車は明るい雰囲気で、各座席にはコンセントがあり、パソコンも使用できる。

 名湯に恵まれた山形。旅の最後の夜は銀山温泉をはじめ、お好みの温泉地に泊まりたい。銀山であれば山形新幹線大石田駅から送迎のある宿も多く、送迎車で到着した温泉街は和風情緒満点の景観が素晴らしい。温泉はもちろんいうまでもなく、源泉かけ流しの貸切風呂などはフルムーン旅行に最適。夫婦でのんびり浸かれば旅の疲れもどこかに吹き飛んでしまう。

●4日目 = 乗車距離619.4km、運賃合計(2人分)53,760円

モデルコース

発着駅 時間 メモ
弘前発 9:09 【つがる12号】グリーン車
八戸着 10:45 東北新幹線に乗り換え
八戸発 10:57 【はやて12号】グリーン車
仙台着 12:25 みちのくの桜を車窓から。仙台でランチタイム。お寿司も牛たんも
仙台発 13:21 【やまびこ54号】グリーン車
福島着 13:43 山形新幹線へさくっと乗り換え
福島発 13:48 【つばさ115号】グリーン車
大石田着 15:26 宿の送迎などで銀山温泉へ。銀山温泉の湯でのんびり。最終日はゆっくりの出発に

旅のメモ

観光の問合せ
仙台/仙台観光コンベンション協会
●TEL 022-268-6251
銀山温泉/尾花沢市商工観光課
●TEL.0237-22-1111

車窓風景の楽しみ方

 車窓風景。これも鉄道旅行の魅力の一つ。例えば、東海道新幹線。小田原を過ぎて「みかん山」が見え、三島を過ぎれば「茶畑」が点在。そして、富士川あたりから眺める富士山の素晴らしさ。やがて大井川を渡り浜名湖へ。これらの車窓風景は東京から西へ行く時、進行方向右側の席(グリーン車ではC・D席)のほうがより楽しめる。あらかじめ旅行区間を地図で眺めておけば、座席予約の際、空きがあれば希望の席を確保できる。

 そして、桜の季節の車窓も楽しい。次から次へと姿を見せる桜、これまでの桜旅からみて車窓1kmあたり20本ほどの桜が見られるのではと思っている。本プランでは5日間で3000km以上の旅。つまりざっと6万本の桜を眺め、1日あたりでは約1万本。奈良、吉野の桜は「一目千本」といわれているが、車窓桜は「1日1万本」とスケールが大きい。フルムーンパスは最強の“お花見きっぷ”なのかもしれない。

5日目 温泉をゆっくり出発する最終日 「やまがた花回廊」でお花見を - やまがた花回廊でさくら漫遊[大石田⇒東京]

  • 山形城(霞城公園)のお堀に散る桜の美しさ。すぐそばを山形新幹線も走っており、車窓を華やかに飾る

  • 桜名所、上山城も「やまがた花回廊」に含まれている。かみのやま温泉駅が近く足湯にも立ち寄りたい

  • 上山城のある月岡公園で見事に咲く枝垂れ桜。「やまがた花回廊」エリアで心ゆくまでお花見を

  • 駅舎に温泉がある高畠。ここも「やまがた花回廊」エリア。里山の小さなお宮に咲く桜が旅情を誘う

  • 山形県も言わずと知れた「そば処」。大石田や山形市内などでしっかりとした「十割そば」が味わえる

  • 福島~米沢間の板谷峠も山形新幹線は軽快に走る。名物「峠の力餅」は新幹線車内でも購入できる

 フルムーン夫婦旅のいいところは団体ツアーと違って時間を自由に組めること。朝湯に心ゆくまでひたり、宿を10時頃にチェックアウト。名湯を朝早く出発するなんてやっぱりもったいない……。

 旅の最終日、山形新幹線で締めくくりの花めぐり。数ある桜名所のうち、まず向かうのは霞城とも呼ばれる山形城。山形駅到着の少し前、進行方向右手にお堀が迫り、咲く桜と散り桜が織り成す情景が車窓を飾る。大石田といい山形といい、当地は「そば」もおいしい。十割そばを食べて、食後はお花見散歩。

 再び新幹線に乗り、かみのやま温泉駅へ。春、上山や置賜(おきたま)地方は「やまがた花回廊」キャンペーンで盛り上がりを見せている。駅からも近い上山城は枝垂れ桜も多く見事の一言。そして、足湯もあって訪れる人々に好評だ。旅も5日目となれば気恥ずかしさにも慣れてきた。夫婦並んで腰掛けて足湯を楽しもう。

 見所に富んだ「やまがた花回廊」エリア。他にも赤湯駅から「置賜さくら回廊」へ回ってみるのもよし、駅舎に温泉がある高畠駅からのどかな里山の桜に親しむのもいい。自由に行動できるフルムーン旅行だからこそ、夫婦それぞれの桜を探してみたい。

 旅の時間は流れが速い。そろそろ東京へ帰る時だ。山形新幹線のグリーン車に身をゆだねると、旅で出会ったたくさんの桜がふたりの心に咲き始める。桜の国、日本。来年もまたフルムーン桜旅に出かけてみたい。

●5日目 = 乗車距離399.7km、運賃合計(2人分)37,000円

モデルコース

発着駅 時間 メモ
大石田発 11:28 【つばさ114号】グリーン車
山形着 12:04 ランチに「十割そば」はいかが。山形城(霞城公園)でひと時の桜散歩
山形発 14:07 【つばさ118号】グリーン車
かみのやま温泉着 14:15 上山城(月岡公園)は駅からも近い桜名所。上山城でお花見。足湯もぜひ
かみのやま温泉発 17:14 【つばさ126号】グリーン車
東京着 19:56 桜咲く国に生まれた喜びとともに帰京

旅のメモ

山形/山形市観光協会●TEL.023-647-2266
上山/上山市観光物産協会●TEL.023-672-0839

回転寿司で味わう“旬”

 最近の回転寿司はすごい! 漁港など産地に近い町の回転寿司店では、寿司ダネの鮮度にしても味にしても、従来の回らない寿司店に負けない寿司を手頃な価格で食べさせてくれる。しかも、地価の高い東京とは違って、ゆとりのある雰囲気の店が多い。

 季節は春。太平洋側ではカツオが旬を迎え、日本海側では北陸のホタルイカ。特に北陸地方では地のエビもおいしく、富山のシロエビ、金沢のガサエビなど繊細な甘みを堪能したい。あまり時間に余裕のない時は、駅が便利。駅に回転寿司?と思われるかもしれないが、実はおいしい回転寿司が食べられる駅はいくつもある。盛岡駅、金沢駅などなど、いわば駅ビルが寿司処だ。また、東北地方の玄関口、仙台では回転寿司とほぼ同じ価格で食べられる回らない寿司店が駅のすぐ近くにある。フルムーン旅行の際、その土地土地の地物を回転寿司で味わってみるのもいい。

● 旅人(著者)紹介 相澤秀仁&相澤京子

写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で3巡している。これまでに70日以上「フルムーン旅行」をし、JR路線も約70,000km乗車。著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』、『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。また、英語クロスワードパズルを新聞に17年に渡って連載。 ●ホームページ http://www.aizawa22.com

文・撮影:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは平成22年4月現在のものです。
※運賃は4月の通常期で算出しています。

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