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いい湯だね!! 名湯秘湯フルムーン~城崎温泉、伊東温泉、丸駒温泉をめぐる3576kmの旅~

  • 1日目 旬のカニが魅力 城崎温泉へ
  • 2日目 城崎を散策して 一旦、東京へ
  • 3日目 伊東温泉に入り 一路、北海道へ!
  • 4日目 支笏湖畔の秘湯 丸駒温泉へ
  • 5日目 冬の函館を訪ね 「北斗星」で帰京

1日目 冬、旬を迎えるカニが食べたくて 城崎温泉1泊2日グルメ旅行 東海道新幹線[東京⇒京都]/山陰本線[京都⇒城崎温泉]

  • 東京駅を行く東海道新幹線700系「ひかり」。京都までの所要時間は2時間40分ほどと速い

  • 温かみがあり、落ち着いた雰囲気の700系グリーン車。フルムーンにふさわしい上質な空間だ

  • 天気が良ければ雪をいただく富士山が車窓を飾る。グリーン車から眺める雄姿は一際印象的

  • 京都から城崎温泉へ向かう特急「きのさき3号」。昭和の懐かしい183系もやがて新型車両に

  • 城崎温泉を代表する外湯「一の湯」。明かりが灯る夕暮れ時、一段と風情あるたたずまいに

  • 城崎温泉で食べたおいしい「カニすき鍋」。鍋のしめは「カニみそ」を溶いて雑炊にします

 寒い季節、一段と恋しくなる温泉。ほっこり湯にひたる至福のひと時、「日本に生まれて良かったなぁ~」としみじみ実感。新幹線をはじめ日本全国のJR線に乗り放題できるフルムーンパスなら、あの名湯もこの秘湯も、快適なグリーン車で楽々満喫できる。

 旅の初日、1泊の予定で東海道新幹線と山陰本線を乗り継ぎ、懐かしい町並みも魅力の名湯、城崎温泉へ向かう。

 東京駅8時3分発の「ひかり463号」に乗車。700系グリーン車は乗り心地も良く、雪をいただく富士山を車窓に望むのも、日本らしい最高のひと時。城崎は志賀直哉の短編小説『城の崎にて』の舞台となったところ。車内で彼の小説を読み直してみるのもいい。

 京都駅で山陰本線の特急「きのさき3号」グリーン車に乗り継ぐ。使用する183系電車はフルムーン世代がまだ子供だった頃、1972年から走り始めた形式。働き者の183系電車も新型車両にバトンタッチする時が近く、昭和の懐かしい雰囲気を味わうのも今のうちだ。

 城崎温泉駅の到着は13時49分。14時からチェックインできる宿もあり、早々に宿に入ってのんびりしよう。

 宿の内湯のみならず、外湯めぐりが特徴の城崎温泉。宿で入浴券をもらい、浴衣姿で出かける外湯にも温泉地らしい風情が漂う。そして、最大のお楽しみは冬に旬を迎えるカニ料理の夕食。ここは夫婦水入らず、部屋食でゆったり味わうのもフルムーン旅行ならでは。城崎にて、贅沢な時間が過ぎていく。

1日目●乗車距離:671.6km 運賃合計2人分:49,460円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
東京~京都:@17,860円(乗7,980円 特グ9,880円) 乗車距離513.6km
京都~城崎温泉:@6,870円(乗2,520円 特グ4,350円) 乗車距離158.0km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

東京発5日間・前編【旅の1日目】
旬のカニが魅力、城崎温泉へ
1日目 駅名 時間 メモ
名湯、城崎温泉で旬のカニを味わう
(城崎温泉泊)
東京 発 8:03 東海道新幹線【ひかり463号】グリーン車(700系)
京都 着 10:48 駅弁などを買い求め、在来線に乗り換え
京都 発 11:25 特急【きのさき3号】グリーン車
城崎温泉 着 13:49 城崎の名湯でゆったり

旅のメモ

観光の問合せ
■城崎:城崎温泉観光協会 TEL. 0796-32-3663

温泉コラム① フルムーンパスで行きたい「北海道・東北」の温泉

 冬ならではの雪見風呂も楽しめる北国の温泉。全国をめぐるフルムーン旅行に組み込む時は、アクセスの良さからJR沿線の温泉地をおすすめしたい。
 北海道であれば、函館本線、室蘭本線、千歳線の沿線、すなわち、湯の川温泉(函館)、洞爺湖温泉、登別温泉、定山渓温泉など。また、秘湯・丸駒温泉も行きやすい。
 東北地方では、“温泉新幹線”とも呼ばれる山形新幹線の沿線、大正ロマンあふれる銀山温泉を筆頭に、天童温泉、かみのやま温泉、小野川温泉など。秋田新幹線では田沢湖駅から行ける乳頭温泉郷、東北新幹線では花巻温泉郷もアクセスがいい。そして、新幹線と接続の在来線沿線には、鳴子温泉(陸羽東線)、作並温泉(仙山線)、会津東山温泉(磐越西線)などもある。

北国の冬、暖かい温泉のありがたみが身にしみる。源泉かけ流しの貸切露天風呂でほっこり

2日目 城崎温泉で「外湯めぐり」を楽しみ グリーン車に乗って一旦、東京へ 山陰本線[城崎温泉⇒京都]/東海道新幹線[京都⇒東京]

  • 城崎温泉にある温泉寺。薬師堂の本尊は、人々の病気を治す仏様として知られた薬師如来

  • 城崎温泉の“源”、源泉「元湯」。約80度あるため温泉玉子も作れ、近くには足湯もある

  • 冬、城崎では旬の「松葉ガニ」が売られている。タグ付きの“ブランドガニ”をおみやげに

  • 城崎温泉の町並み。大谿川(おおたにがわ)沿いに続く温泉街は懐かしい風情に満ちている

  • ズワイガニがいっぱいに盛られた城崎温泉の「カニ寿司」。頬張ればカニの甘さが広がった

  • 来年の春、引退するという300系新幹線。「ひかり522号」も1月10日からは700系にチェンジ

 外湯めぐりが楽しい城崎温泉。いくつかの外湯は朝7時から入浴でき、旅の2日目は目覚めの朝風呂から始まる。

 城崎では宿泊客は宿にて外湯入浴券がもらえ、チェックインからチェックアウトまで(14時から翌10時まで)利用できるが、外来客の場合、外湯の入浴には600円~800円の料金が必要に。やはり、城崎は宿泊してこそ満喫できる温泉地なのだろう。
 10時のチェックアウト後は、買い物がてら、あらためてぶらりと散策。温泉街を流れる大谿川(おおたにがわ)の情緒に包まれながら、温泉寺へ歩き、参拝するのもいい。

 駅へ戻る道沿いでは、シーズンともなれば日本海の「松葉ガニ」がいっぱい売られている。水揚げされた港を示すタグ付きのものは、値段は高いが本当においしそうだ。また、メスの「セイコガニ」は小さいながらも美味だという。ランチの「カニ寿司」もうまかったが、たっぷりのカニを食べると、なんとも幸せな気分になってくる。

 東京への帰路、城崎温泉駅12時31分発の特急「きのさき16号」も懐かしい183系を使用している。そして、京都からの東海道新幹線「ひかり522号」は2012年1月9日までは300系を使用。1992年3月の「のぞみ」運転開始以来、ずっと走り続けてきた300系もどこか懐かしいが、2012年春には引退といわれている。

 よく弾丸列車にたとえられる新幹線。しかし、時の流れは弾丸以上に速いもの。夫婦が夫婦でいられる時間を大切にしていきたい。

2日目●乗車距離:671.6km 運賃合計2人分:49,460円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
城崎温泉~京都:@6,870円(乗2,520円 特グ4,350円) 乗車距離158.0km
京都~東京:@17,860円(乗7,980円 特グ9,880円) 乗車距離513.6km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

東京発5日間・前編 【旅の2日目】
城崎を散策し、一旦、東京へ
2日目 発着駅 時間 メモ
外湯めぐりを楽しみ一旦、東京へ
(自宅泊)
城崎温泉 発 12:31 特急【きのさき16号】グリーン車
京都 着 15:05 新幹線に乗り換え
京都 発 15:29 東海道新幹線【ひかり522号】グリーン車(300系 ※1月10日からは700系)
東京 着 18:10 この日は自宅泊

旅のメモ

観光の問合せ
■城崎:城崎温泉観光協会 TEL. 0796-32-3663

温泉コラム② フルムーンパスで行きたい「関東・甲信越」の温泉

 関東地方でまずおすすめしたいのは、群馬県の法師温泉だろう。ここは国鉄時代、フルムーンパスのポスターに登場した秘湯。往年の映画スター、上原謙と高峰三枝子が登場し、とても話題になったが、ご記憶の方も多いと思う。アクセスは、上越新幹線で上毛高原駅へ行き、バスを猿ヶ京で乗り継いで向かう。

 その上越新幹線では、越後湯沢温泉もはずせない。こちらは駅周辺が温泉街になっており、アクセスは楽々。川端康成の小説『雪国』の舞台となった温泉地としても有名だ。

 一方、長野新幹線では、軽井沢から草津温泉が、上田からは別所温泉や戸倉上山田温泉が行きやすい。また、在来線では、群馬県を走る吾妻(あがつま)線沿線に温泉地が多いほか、中央線沿線も石和(いさわ)温泉(山梨県)や上諏訪温泉(長野県)など温泉に恵まれている。

関東・甲信越地方の温泉地は東京から行きやすいのが特徴。ぜひ列車に乗って出かけたい

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