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フルムーン夫婦グリーンパスで行く新幹線の旅 大人の“新婚フルムーン”  ~夫婦になった二人でめぐる夢の弾丸ハネムーン~

  • 1日目 東京駅から九州 由布院温泉へ
  • 2日目 由布院温泉から 食の都・大阪へ
  • 3日目 伊勢神宮に参拝 一旦、東京へ
  • 4日目 東京から函館へ 夜景にうっとり
  • 5日目 函館から小樽へ 「北斗星」で帰京

3日目 伊勢神宮に参拝し、一旦、東京へ 夫婦二人、幸多からんことを願う 東海道新幹線[新大阪⇒名古屋]/関西本線・伊勢鉄道・紀勢本線・参宮線[名古屋⇒伊勢市⇒二見浦⇒名古屋]/東海道新幹線[名古屋⇒東京]

  • 伊勢市駅に到着した快速「みえ」。名古屋と伊勢方面を結ぶ列車で、途中、伊勢鉄道を経由する

  • 伊勢市駅から伊勢神宮の外宮までは徒歩10分。清々しい気持ちでお参りしたい

  • たまり醤油仕立ての濃厚なつゆに極太の麺。伊勢うどんは意外にもまろやかな味わいだった

  • いよいよ宇治橋を渡り伊勢神宮の内宮へ。おごそかながらも心懐かしい気持ちに

  • 伊勢神宮・内宮前、おはらい町の風景。江戸時代を思わせる町並みは、テーマパークのよう

  • おはらい町の横、おかげ横丁で出会った“猫”さん。民話では猫も伊勢参りをしたという

 旅の3日目は日本人の心のよりどころ、伊勢神宮を参拝し、一旦、東京へ戻ろう。庶民の旅は江戸時代、伊勢参りが始まりとされている。民話では猫も伊勢参りをしたそうだが、“新婚フルムーン”で夫婦一緒に伊勢神宮にお参りし、家内安全、無病息災、そして、前途の幸多からんことを願うのはとても意味がある。

 伊勢市駅で快速「みえ」を下車し徒歩10分、まずは伊勢神宮の外宮(げくう)に参拝。続いて向かう内宮(ないくう)へは路線バスが連絡している。ただ、混み合う場合もあり、タクシーの利用(所要時間15分ほど)が便利と思う。

 内宮もお参りし、昼食は江戸時代さながらの町並みが続く、おはらい町・おかげ横丁で。名物の伊勢うどんは、黒く濃いつゆながら意外にもまろやかな味わい。同じく名物の手こね寿司も食べてみたい。内宮から伊勢市駅へ戻るが、こちらの移動もタクシー(所要時間15分ほど)のほうが路線バスより楽だと思う。

 さて、伊勢といえば二見浦の夫婦岩もぜひ見ておこう。再び快速「みえ」に乗車、ほんの6分で二見浦駅に到着。目指す夫婦岩までは徒歩20分、海辺の道は潮風が心地よい。

 伊勢神宮に夫婦岩、おごそかな時間は夫婦の絆を深めてくれる。帰路、名古屋から乗車の「ひかり476号」は熱海(19時1分着)にも停車。その熱海も新婚旅行先として数多くの夫婦が訪れた温泉地だ。プランを変更して熱海に宿泊するのもおすすめ。往年の新婚旅行気分が味わえる。

3日目●乗車距離:782.2km 運賃合計2人分:56,380円 ※伊勢鉄道分を含む
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
新大阪~名古屋:@8,340円(乗3,260円 特グ5,080円) 乗車距離186.6km
名古屋~伊勢市:@2,450円(乗1,940円 指510円) 乗車距離108.4km ※1
伊勢市~二見浦:@710円(乗200円 指510円) 乗車距離6.4km
二見浦~名古屋:@2,620円(乗2,110円 指510円) 乗車距離114.8km ※1
名古屋~東京:@14,070円(乗6,090円 特グ7,980円) 乗車距離366.0km
※1 伊勢鉄道(距離22.3km、運賃@490円)分を含む
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

<東京発5日間・後編【旅の3日目】>
伊勢神宮に参拝 一旦、東京へ
3日目 発着駅 時間 メモ
伊勢神宮参拝、一旦、東京へ(自宅泊)
~ 700系に乗車 ~
新大阪 発 8:13 東海道新幹線【ひかり512号】グリーン車(700系)
名古屋 着 9:23 在来線に乗り換え
名古屋 発 9:35 快速【みえ3号】普通車指定席 ※別途、伊勢鉄道の運賃、二人分980円必要
伊勢市 着 11:03 伊勢神宮参拝、そして、ランチ
伊勢市 発 14:04 快速【みえ9号】普通車指定席
二見浦 着 14:10 夫婦岩まで夫婦散策を
二見浦 発 15:18 快速【みえ18号】普通車指定席 ※別途、伊勢鉄道の運賃、二人分980円必要
名古屋 着 17:02 東海道新幹線に乗り換え
名古屋 発 17:34 東海道新幹線【ひかり476号】グリーン車(700系)
東京 着 19:40 自宅泊

旅のメモ

観光の問合せ
■伊勢市:伊勢市観光協会 TEL. 0596-28-3705

新婚フルムーン ここも行きたいコラム 3 東海・北陸・近畿

 本プランでは、伊勢神宮(三重県)と二見浦(同)の夫婦岩、そして“食い倒れ”の大阪を訪ねているが、当地方にも好適地がいっぱいある。

 東海地方では名古屋で「名古屋めし」を堪能したい。なかでも鰻料理の「ひつまぶし」を食べてパワーアップ。鰻つながりでは、夜のお菓子として知られる「うなぎパイ」は無料で工場見学が可能とのこと。浜松(静岡県)にある工場に出かけてみるのも楽しそうだ。
 北陸地方といえば石川県の金沢や能登半島がおすすめ。ノドグロ(赤ムツ)や甘エビといった日本海の幸に舌鼓を打つ。
 近畿地方では京都、奈良、神戸と行きたい街が目白押し。それぞれの夫婦お好みのスポットを周ってみよう。そして、温泉旅行派なら城崎温泉(兵庫県)でカニ料理を、南紀白浜温泉(和歌山県)でクエ料理を味わってみたい。

二見浦の夫婦岩。ぜひ新婚フルムーンで訪ねたい。二見浦駅から夫婦岩まで徒歩20分

4日目 東北新幹線「はやぶさ」を利用し 夜景もロマンチックな函館へ行く 東北新幹線[東京⇒新青森]/奥羽本線・津軽線・津軽海峡線・江差線[新青森⇒函館]

  • 東京駅に入線した東北新幹線E5系「はやぶさ3号」。最高速度300km/hで新青森まで駆け抜ける

  • 鳥のハヤブサがモチーフという、E5系新幹線のシンボルマーク。メタリックで精悍な印象だ

  • 東北新幹線E5系「はやぶさ」のグリーン車。乗り心地は抜群、コンセントも設置されている

  • 特急「スーパー白鳥」は新青森~函館間を約2時間5分で結ぶ。グリーン席は1号車にある

  • “100万ドルの夜景”といわれる函館の夜景。ロマンチックで、まるで宝石をちりばめたよう

  • 函館、湯の川温泉の宿でいただく夕食。湯の川温泉は函館駅前から市内電車で約30分と近い

 日本全国をグリーン車で旅行できるフルムーンパス。4日目からは風薫る季節を迎えた北海道へ出かけよう。

 東京駅9時36分発「はやぶさ3号」に乗車。前夜、東京まで戻らず、熱海温泉に宿泊されたご夫婦は、熱海8時38分発の東海道新幹線「こだま630号」に乗車し、東京駅(9時26分着)で「はやぶさ3号」に乗り継ぎを。

 スピード感あふれるE5系「はやぶさ」は新緑の東北地方を最高速度300km/hで駆け抜け、12時46分に新青森到着。快適なグリーン車のペアシートに身をゆだねれば、時の流れは速く感じられ、もっと乗っていたい気分に。新青森からは特急「スーパー白鳥19号」の旅が続く。青函トンネルをくぐり、15時10分には函館に到着する。

 ここでちょっと旅をアレンジ。新青森までの道すがら、盛岡で“新婚フルムーン”らしい寄り道はいかが。漂泊の歌人・石川啄木は新婚生活を盛岡で送ったが、その家は「啄木新婚の家」として公開され、駅から徒歩15分ほどと近い。もし寄り道をされる場合は、盛岡で「はやぶさ3号」を下車(11時56分着)し、サクッと散策の後、同駅13時26分発「はやて23号」に乗って新青森14時33分着。そこで14時41分発の特急「白鳥23号」に乗れば、函館には17時1分に着く。

 100万ドルの夜景で知られる函館。ロープウェイで函館山に登り、夫婦揃って展望台に立てば、眼下には宝石をちりばめたような絶景が! このロマンチックな夜景こそ“新婚フルムーン”のハイライト、二人で眺めれば夜景は何倍も美しく輝く。

 

4日目●乗車距離:878km 運賃合計2人分:57,720円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
東京~新青森:@21,360円(乗9,870円 特グ11,490円) 乗車距離713.7km ※「はやぶさ」の運賃
新青森~函館:@7,500円(乗3,150円 特グ4,350円) 乗車距離164.3km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

<東京発5日間・後編【旅の4日目】>
東京から函館へ 夜景にうっとり
4日目 発着駅 時間 メモ
「はやぶさ」に乗って、北へ(函館泊)
~ E5系に乗車 ~
東京 発 9:36 東北新幹線【はやぶさ3号】グリーン車(E5系)
新青森 着 12:46 在来線に乗り換え
新青森 発 13:03 特急【スーパー白鳥19号】グリーン車
函館 着 15:10 100万ドルの夜景を眺め、市内、湯の川温泉などに宿泊

旅のメモ

観光の問合せ
■函館:函館市観光案内所(JR函館駅内) TEL. 0138-23-5440

新婚フルムーン ここも行きたいコラム 4 東北・関東・甲信越

 E5系「はやぶさ」の登場で、一段と身近になった東北地方。青森県と秋田県にまたがる十和田湖や田沢湖(秋田県)といった湖が神秘的で美しく、ぜひ夫婦で訪ねてみたい。美しいといえば、東能代駅(秋田県)と川部駅(青森県)を結ぶ五能線の車窓もおすすめ。JR東日本のジョイフルトレイン「リゾートしらかみ」に乗って、秋田~青森間をゆったりと走り、日本海や岩木山を眺めるのはなんとも贅沢な気分。
 関東・甲信越では、日光(栃木県)、軽井沢(長野県)、上高地(同)、清里(山梨県)に代表されるリゾート地でゆっくりするのもいいだろう。
 温泉旅行派には、まずは法師温泉(群馬県)。国鉄時代、フルムーンパスのポスターに登場した名湯だ。そして、大正ロマンあふれる銀山温泉(山形県)や、大自然に抱かれた乳頭温泉郷(秋田県)も旅行先の候補に入れたい。

大正ロマン薫る銀山温泉(山形県)。懐かしい和の情緒は、新婚フルムーンにふさわしい

5日目 函館から札幌を経て、小樽を散策 ラストナイトは「北斗星」で乾杯! 函館本線・室蘭本線・千歳線[函館⇒札幌]/函館本線[札幌⇔小樽]/寝台特急「北斗星」[札幌⇒上野]

  • 函館駅の特急「北斗」。グリーン車は横3列のシート配置で、眺めのよいハイデッカー車両

  • 特急「北斗」グリーン車。一人掛けと二人掛け、横3列のシート。前後の間隔も余裕がある

  • 小樽駅4番線は『裕次郎ホーム』と呼ばれ、「おたる」と青字で書かれた駅名標にも趣が

  • 寿司の街として知られている小樽。好みの寿司店に出かけ、おいしい寿司を味わってみよう

  • 外側から見た寝台特急「北斗星」2人用B寝台個室
    「デュエット」。上段と下段の個室が並ぶ

  • 上野へ帰る「北斗星」食堂車のパブタイム。予約不要で利用できるのがうれしい

 “新婚フルムーン”の最終日。旅の最後のお楽しみは上野行き寝台特急「北斗星」で過ごす夜。始発駅の札幌を「北斗星」が出発するのは17時12分、時間はまだまだたっぷりとある。

 北の幸に恵まれた北海道、函館と並び小樽も寿司をはじめとするグルメの街として人気を集めている。午後は小樽を歩いてみよう。

 函館9時30分発の特急「北斗5号」に乗り、札幌で快速に乗り換えて13時46分小樽着。俳優の石原裕次郎にちなみ『裕次郎ホーム』と呼ばれる4番線、「おたる」と青字で書かれた駅名標には趣があり、それらをバックに記念写真をお忘れなく。

 歴史ある小樽駅のたたずまい、初代駅長の山本千三郎は石川啄木の姉の夫だった。盛岡で新婚生活を送った啄木はやがて函館や小樽でも一時期暮らしたが、彼の歌集『一握の砂』には函館や小樽を詠んだ歌も収められており、現在、小樽駅前広場横等に歌碑が立つ。

 小樽では寿司を堪能し、「北斗星」が待つ札幌へ。2人用B寝台個室「デュエット」が使えるフルムーンパス。「デュエット」はコンパクトな個室ながらも寝台が横に2つ並び、いわばスイートホーム。夫婦二人、まったりできる。

 旅の締めくくり、「北斗星」の食堂車「グランシャリオ」でディナー(予約制)もよし、21時頃からのパブタイム(予約不要)に食堂車へ出かけるのもよし。

 パブタイムの食堂車、たくさんの旅の思い出とともに、二人の明るい未来を願い、ビールで乾杯しよう!

5日目●乗車距離:1601.2km 運賃合計2人分:82,180円
※青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道分を含む

【各区間ごとの運賃と乗車距離】
函館~札幌:@12,080円(乗5,560円 特グ6,520円) 乗車距離318.7km
札幌~小樽:@920円(乗620円 指300円) 乗車距離33.8km
小樽~札幌:@920円(乗620円 指300円) 乗車距離33.8km
札幌~上野:@27,170円(乗17,930円 特寝9,240円) 乗車距離1214.9km ※1
※1 青い森鉄道(距離121.9km、運賃等@3770円)、IGRいわて銀河鉄道(距離82km、運賃等@2790円)分を含む
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

<東京発5日間・後編【旅の5日目】>
函館から小樽へ 「北斗星」で帰京
5日目 発着駅 時間 メモ
小樽を散策し、「北斗星」で帰京(車中泊)
函館 発 9:30 特急【北斗5号】グリーン車
札幌 着 12:59 乗り換え
札幌 発 13:14 快速【エアポート125号】普通車指定席
小樽 着 13:46 お寿司を食べ、運河沿いを散策
小樽 発 16:34 快速【エアポート170号】普通車指定席
札幌 着 17:06 乗り換え
札幌 発 17:12 寝台特急【北斗星】2人用B寝台個室「デュエット」
上野 着 9:38 新婚フルムーン旅行の終わり

旅のメモ

観光の問合せ
■小樽:小樽観光協会 TEL. 0134-33-2510

新婚フルムーン ここも行きたいコラム 5 北海道

 北の大地・北海道。函館、小樽、札幌をはじめ、行きたいところは数知れず。しかし、北海道は面積が広く、いくらフルムーンパスとはいえ短時間で周遊するのは難しい。できうるならば5日間パスよりも7日間パスで北海道を満喫してみたい。
 1日目に東京から函館へ[函館泊]、2日目には札幌や小樽を観光[札幌泊]、3日目に釧路へ行き[釧路泊]、4日目は網走へ[網走泊]、5日目に網走から稚内へ向かい[稚内泊]、6日目に最北の地をめぐり(利尻島など)[稚内泊]、7日目に稚内から札幌に戻り、寝台特急「北斗星」で上野へ。7日間パスの旅はざっとこんな感じになるのだろう。
 全国を旅するプランに北海道を組み込む場合は、やはりアクセスのいい函館本線、室蘭本線周辺がメインに。温泉旅行派であれば、洞爺湖温泉、登別温泉、定山渓(じょうざんけい)温泉あたりが行きやすい。

教会を望む函館の坂道。新婚フルムーンで北海道をめぐる時、やはり函館ははずせないところ

<東京発5日間の運賃総額、JR総乗車距離>
JR運賃総額:318,720円(2名分合計 通常期で算出)※運賃総額-伊勢鉄道、青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道分
JR総乗車距離:5026.3km ※運賃計算キロ ※総乗車距離-伊勢鉄道、青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道分
お得になった金額:236,260円(JR運賃総額-フルムーン5日間パス定価80,500円+伊勢鉄道2名分合計1,960円)
乗車倍率:3.86倍(JR運賃総額÷{フルムーン5日間パス定価80,500円+伊勢鉄道2名分合計1,960円})
※運賃計算キロは、JR東日本のサイト、えきねっと「乗換・運賃案内」で表示のものです

● 旅人(著者)紹介 相澤秀仁&相澤京子

写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で3巡している。これまでに100日「フルムーン旅行」をし、JR路線も約9万キロ乗車。著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』、『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。また、英語クロスワードパズルを新聞に17年に渡って連載。
ホームページhttp://www.aizawa22.com

 

文・撮影:相澤秀仁&相澤京子
※掲載されているデータは平成24年4月20日現在のものです。
※JR時刻表4月号を使用。到着時刻等、一部時刻未掲載のものは、えきねっと「乗換・運賃案内」で表示の時刻を使用。
※時刻および運賃は通常期の「平成24年5月12日」をモデルに算出しました。

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