列車旅なら飲まなきゃ損! 日本全国酒蔵めぐり 静岡編

列車で出かける旅の醍醐味は、やっぱり「お酒が飲める」こと! 日本全国の酒蔵を訪ねて、日本酒への愛を深めませんか? 知っているお酒も、知らなかったお酒も、きっと新たな発見があるハズ。 今回は富士山の美味しい水と、駿河湾の豊かな海に恵まれた静岡県へ。酒蔵を堪能したら、ちょっと足を延ばしてご当地グルメに舌鼓!日本酒だけじゃなくビールやハイボールも進んじゃう旅になること間違いなし。 こんなにお酒を楽しめる鉄道旅、やっぱり最高!

この記事の目次

富士高砂酒造

富士山本宮浅間大社の西側に「富士高砂酒造」はあります。天保元年(1830)にこの地へ酒蔵を構えた歴史ある蔵。そして、昔ながらの日本酒造りを行いながら、味わい深いお酒を醸しています。

この列車で行こう! 東海道新幹線

まずは東海道新幹線で新富士駅を目指します。東海道新幹線ほど多彩な車窓風景を楽しめる路線はあるでしょうか。富士山、浜名湖などの自然風景、掛川城や浜松城、名古屋城など城巡りまで出来るのです。旅のお供に、東京駅や新大阪駅で販売されている「東海道新幹線弁当」なんていかがですか。おかずが多くてお酒のおつまみにも。缶ビールやワンカップ片手に、窓の外を眺めながら乗るN700Aは、旅の気分を一気に盛り上げてくれるでしょう。

富士山の伏流水で仕込む 老舗酒造を見学!

JR身延線西富士宮駅から徒歩約10分。江戸時代の風情がある酒蔵が見えてきます。事前予約をすれば見学が可能。タイムスリップしたような気持ちで蔵の内部を見ることができるのです。

蔵見学は、ベテラン蔵人が説明しながら案内してくれるので初心者でもわかりやすく、社会科見学のような気分に。入り口横には、酒造りの図解や、昔使用されていた酒造りの道具が展示されています。

作業場には、お米を洗うためのザル、浸漬や米を蒸す時に使用する甑(こしき)などが並べられています。こうして見ると、昔のような木製のものは少ないのがわかりますね。

仕込み用のタンクが並ぶ部屋に一歩足を踏み入れると、ひんやりした空気が流れます。この中で日本酒が出来上がっていくのかと想像すると、神聖な感じを受けます。

富士高砂酒造の仕込み水は、井戸を掘り、富士山の伏流水を使用。この仕込み水は誰でも飲むことが出来ます。優しく丸みがある口当たりの水を味わってみてはいかがでしょう。

「高砂」と言えば山廃造り。“生酛(きもと)”や“山廃(やまはい)”といった造り方は、自然界の乳酸菌を取り込み、雑菌の繁殖を無くし、発酵しやすい環境にする昔ながらの造り方で、手間や技術が必要になってきます。その製法を長い間ずっと続けている富士高砂酒造。この「高砂山廃純米辛口」は、爽やかな香りとふくよかな味わいでキレが良いお酒。ロンドンで開催される「IWC(インターナショナルワインチャレンジ)」の日本酒部門純米酒の部で銀メダルを獲得しました。世界最大規模である品評会での受賞はとても素晴らしいことであり、山廃で仕込まれたお酒が世界に認知されるのは感激です。

日本酒初心者の方は、ヨーグルト酒から試してみるのはどうですか。山廃本醸造と富士宮産のヨーグルトで仕込みました。低アルコールの6%で、ヨーグルトの滑らかな口当たりと酸味で呑みやすい。甘く、カクテルのような味わいで、食後酒にぴったり。

他にも、山田錦、雄町、美郷錦など様々な酒米を使用したお酒があり、試飲スペースでいろいろ呑み比べることができます。お酒の原材料は米と水。仕込み水と同じような柔らかく優しい口当たりを感じることが出来、酒米の違いを確かめながら呑むのも楽しいのではないでしょうか。このスペースには常にスタッフがいるので、どんどん相談しましょう。きっと自分好みの1本が見つかると思います。

富士高砂酒造株式会社

住所
静岡県富士宮市宝町 9-25
電話番号
0544-27-2008
酒蔵見学
平日8:30~18:00 土・日・祝10:00~17:30 定休日 年末年始
※要予約

酒蔵見学の後は静岡グルメを堪能しよう!

富士宮の隠れたグルメ「むめさん」

富士宮といえば焼きそばを思い浮かべる方も多いでしょう。富士宮市街から離れている場所ではありますが、白糸の滝も近く、1時間に1本程度の富士急静岡バスでも向かうことは可能。県道71号線沿いに看板が見えてきたらそこが「むめさん」。

店内は大きな鉄板の前のカウンター、奥のテーブル、そして大広間まであり、大人数が入れます。一度に大量の注文がかかっても、鉄板で一気に焼かれていく様子が圧巻。お好み焼きは、キャベツとネギの「並」のほか、豚肉やエビやイカ、ミックスまで豊富。どれもキャベツがたっぷりで生地が薄め。鉄板から熱々を頬張れるのも、カウンターの魅力です。

※桜えび不漁のため、現在はえびのメニューは休止中

焼きそばは奥の厨房で作られて出てきます。「むめさん」の麺は富士宮市内の製麺所「曽我めん」を使用。柔らかでありながらモチモチとした食感でコシがあり、ソースの絡みもよく、無我夢中で完食してしまうほど。熱々のお好み焼きや焼きそばに冷たいビールを流し込む、この幸せ感。列車やバスを乗り継いでも、ここまで来てよかった!と実感するでしょう。

「むめさん」

住所
静岡県富士宮市上井出854-50
電話番号
0544-54-1161
営業時間
10:30~17:00(L.O. 16:30) 土・日・祝 10:30~19:00(L.O. 18:30)
定休日 : 火・第3水曜

オリジナル餃子「中央亭」

沼津は何気に餃子の街だって知っていましたか。餃子店は多くあり、居酒屋などでも餃子は定番メニュー。中でもここ、「中央亭」は行列必至、お持ち帰りに至ってはすでに年末分は完売という大人気店。それもそのはず、一度食べたらこの魅力から逃れられないのですから。

沼津駅南口から徒歩約7分、大手町交差点の近くにお店を構えています。創業70年以上の老舗で、初代が考案した餃子はオリジナル料理と言っていいほど。餃子専門店だけあって、メニューは大10個、中8個、小6個とライス、飲み物はビールとソフトドリンクのみという潔さ。餃子が出てくる前に、瓶ビールで喉を潤しながら待ちます。

程なく出てきた餃子は、1個が大きめでキュッと皮が握られている可愛らしい見た目。具は、ざく切りのキャベツと肉感がしっかり残っている豚肉のバランスが絶妙。何より、焼き上げてから大量の湯を注ぎ茹で上げているそうで、口に入れた瞬間の食感は“ふわっもちっ”と独特です。油っぽさはなく、水餃子のような感覚もあり、大きいサイズですが何個でも食べられそう。何もつけず、そのままでも十分美味しい餃子ですが、酢が多めに入っているタレ、からし油、一味唐辛子がテーブルに置いてあるので、お好みのものでどうぞ。唯一無二の餃子を味わってみてください。

「中央亭」

住所
静岡県沼津市大手町4-4-7
電話番号
055-962-4420
営業時間
11:00~売り切れるまで
定休日 : 月・第3月曜日翌日の火曜

富士錦酒造

富士山の麓にある、元禄年間から18代続く酒蔵。JR身延線富士宮駅から車で約10分ほどのところに「富士錦酒造」があります。

この列車で行こう! (ワイドビュー)ふじかわ

「ワイドビューふじかわ」は、静岡駅~甲府駅を、東海道本線・身延線経由で結ぶ特急列車です。座席はリクライニングシート。足元にはフットレストが装備されていて快適。2号車と3号車の間には4人がけのセミコンパートメント席があり、ちょっとした個室のようで特別感が。窓が大きいので、景色を見ながら呑むお酒は最高です。身延線は電車の本数が少ない区間もあるので、「ワイドビューふじかわ」を利用するのも便利ですよ。

酒造りは米づくりから。「富士錦酒造」のこだわり

自然溢れる場所にある「富士錦酒造」。酒蔵から富士山を眺めるのは格別です。

ここが作業場の一部。酒米を蒸すときに出る蒸気を逃がすため煙突がある蔵が多いのですが、富士錦酒造にはその煙突がありません。以前、この近所に軍事施設があり、戦時中、軍事場所の目印になるということで撤去することになったのだとか。以来、写真の上の部分から排出しているそう。

蒸したお米に麹菌をふり、米麹を造る“麹室”と呼ばれる部屋。酒造りには、「一麹 二酛 三造り」と工程の大切さを表した言葉があり、麹作業はとても重要。こうして丁寧に掃除されている部屋では、きっと美しい麹が造られるのだろうと想像できます。

醪(もろみ)のタンクはたくさんありますが、長い時間をかけて発酵させる大吟醸は、温度の低い別の部屋のタンクで仕込みます。

富士錦酒造では、海中で熟成させるという試みも。海の綺麗な静岡県ならではという気がします。「海底は温度変化が少ないからか、海の中での微妙な揺れのせいなのか、要因はわからないのですが、とても美味しく熟成されるんですよ。」と、蔵元の清(せい)さん。海から引き上げた後は、こうして井戸水に入れ、瓶に付着した海水や不純物を取り除いて出荷されます。

何より素晴らしいのは、自社で米栽培も手がけていること。農作業に触れ、自分で育てた酒米で仕込むお酒は、思い入れも違うでしょう。酒造りは米づくりから始まっているのです。誉富士は静岡県で誕生した酒米。地元の米を地元で育て、日本酒を造って地元で消費するという、まさに“地酒”とはこういうことではないでしょうか。

蔵元の清信一さん。

実は清さん、横浜生まれの横浜育ち。全く違う職業に就いていました。しかし、奥様の実家である富士錦酒造の後継者が居なくなってしまったことで、婿に入り蔵を継ぐことを決意したそうです。酒造りは初めてということで、東京農大に入学して醸造を、国税局で鑑定や分析、酒税を学んだというから、その努力は計り知れません。こうして蔵に入ってからは、コンピューターを導入し、今まで手作業で行ってきた経理作業、顧客の管理など事務作業の効率化をはかり、改革を進めていきました。蔵をもっと知ってもらおうと蔵開きを始めたのも清さんの代から。毎年3月の第3日曜に行われる蔵開きは、初回は800人ほどだったのが、リピーターが増えて今では1万人を大幅に超え、西富士宮駅からシャトルバスを出すほど大規模なものに。地元の特産物を販売するなど、蔵だけでなく地域にも欠かせないイベントになりました。

柔らかな口当たりとスッキリした味わいで、食中酒に最適な「富士錦」、もっと多くの方に呑んで欲しいと思います。

富士錦酒造株式会社

住所
静岡県富士宮市上柚野532
電話番号
0544-66-0005
酒蔵見学
※見学コースはありませんが、事前連絡すれば一般の方も見学可能。希望すれば、試飲、購入も出来ます。

沼津港で味わいたい! お酒がススムお店

絶品フライに新鮮なお刺身「魚河岸にし与」

沼津港は観光施設も充実している大きな漁港。新鮮な魚や干物が並んでいるだけで、心が弾みます。場外の卸や飲食店が連なり、これだけ広いと何処で食事をしようか迷ってしまいませんか。そんな時はここ、「魚河岸にし与」に決まり。お刺身から揚げ物まで揃い、中でもフライは絶品です。

ふかふかのアジにカラリと揚がった衣、揚げ油はラードを使用しているため風味抜群のフライです。

「今日はイワシがいいよ。」なんて声をかけてくれる気さくな接客。ピカピカのイワシは新鮮さを物語っています。フライも刺身もついてくる魚河岸定食や、アジたたき丼など、どれもコストパフォーマンスが良く、お腹も大満足。昼は観光客で賑わいますが、朝はトラックドライバーや市場関係者が集まる食堂です。港で仕事を終えた人たちに囲まれながら、漁港ならではの雰囲気を味わってみませんか。

「魚河岸にし与」

住所
静岡県沼津市千本港町109
電話番号
055-951-6041
営業時間
平日 6:00~15:00(L.O.)
土 10:00~15:00(L.O.)
日・祝 6:00~15:00(L.O.)
定休日 : 木曜

ベアードビールのタップルーム「沼津フィッシュマーケット」

沼津港を眺めながら、クラフトビールはいかがでしょう。静岡を代表するクラフトビール「ベアードビール」のタップルーム(パブ)が沼津港の目の前にあります。修善寺に広大な醸造場を構え、毎日様々なクラフトビールが造られています。しかし、始まりはここ、沼津から。創業者のベアード・ブライアンさん、さゆりさん夫妻がこの場所で2000年にスタートさせた「ベアードビール」は、今では全国でも知られるビールに成長しました。

人気メニューはフィッシュアンドチップス。 なんと、こちらの「フィッシュ」はアジフライなんです。アジフライに沼津らしさを感じつつ、揚げたてのフライを頬張れば、クラフトビールも進みます。

ビアパブは、外国人にとって居酒屋感覚。外国人観光客の姿もよく見かけ、近所の英語教室の先生なども常連だとか。そしてビアパブでありながら、地元のお酒「白隠正宗」もあります。異国のような雰囲気と居心地の良い空間、優しいスタッフが揃い、至福の時間を過ごせることでしょう。

「沼津フィッシュマーケット」

住所
静岡県沼津市千本港町19-4
電話番号
055-963-2628
営業時間
平日17:00~24:00
土・日・祝12:00~24:00

電車で1杯、酒蔵で日本酒を堪能、そして静岡の美味しいものと共に1杯。電車で行く静岡酒蔵の旅、是非楽しんでください!

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著者

まゆみ

料理家・酒匠。日本酒を愛し、1日も欠かすことなく酒を呑む驚胃の持ち主。
著書「うち飲みレシピ」「スバラ式弁当」。酒と旨いものを綴ったブログ「スバラ式生活」https://blog.goo.ne.jp/subarasikiseikatu

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