加賀藩主・前田氏の文化奨励政策によって発達した「九谷焼」「金沢箔」などに代表される伝統工芸の数々。それらは脈々と受け継がれ、今も市内の随所で触れることができる。金沢駅の改札を出てまず目を引くのが、伝統芸能に使われる鼓をモチーフとした「鼓門」と「もてなしドーム」。圧倒的な迫力の加賀百万石のおもてなしを前に、シャッターを切る旅行者も多い。金沢は見どころがコンパクトにまとまっているので、駅前からバスで中心街まで行き、そこから徒歩で移動するのがスムーズ。観光名所の巡回バスもあり、場面に合わせて使い分けたい。
兼六園近くの「加賀友禅会館」は春に訪れたい伝統工芸スポット。友禅職人の作業風景見学や彩色体験に加え、実際に友禅を着用して散策できる。金沢市内の桜の見頃は4月上旬。優雅な加賀友禅を身にまとって、桜舞う兼六園と金沢城公園をそぞろ歩けば、すれ違う人々の注目を集めること請け合いだ。
伝統工芸が息づく場所として忘れてはならないのが、江戸〜明治時代に誕生した3つの茶屋街。街の東側にあるひがし茶屋街と主計(かずえ)町茶屋街、西側にあるにし茶屋街、いずれも紅殻格子が特徴的な町家が連なり、貴重な茶屋建築を今に伝えている。そのなかで最も規模が大きいひがし茶屋街は、金沢はもちろん石川県の工芸品も扱うショップやギャラリーが点在し、土産探しにぴったり。伝統工芸を現代風にアレンジした若手作家の作品にも出合える。市内中心部では、九谷焼の彩色や金箔貼りなどの伝統技を体験できる施設も充実しているので、旅の思い出に挑戦してみては。