嚴島神社|広島県/平成8年登録/文化遺産|平安の世を今に伝える自然を巧みに取り入れた美しき建築

嚴島神社は、推古天皇元年(593)に創建、仁安3年(1168)に平清盛により再建、造営され、現在の社殿群の基本が築かれた。現在に至るまで、幾度も戦乱・火災に遭いながらもその度に再建され、寝殿造りなど造営当時の姿を今によく伝えている。

登録の対象となったのは、建造物群のほか、社殿の前に広がる海と背後にそびえる弥山(みせん)を含む森林で、弥山原始林には、他では見られなくなった瀬戸内海の島本来の森の姿が残っている。
 大鳥居をはじめ、境内が浅瀬の浜にあるため、満潮時には社殿や廻廊がまるで海に浮かんでいるように見える。こうした特徴的な構造となったのは、御神体として神聖視されていた島そのものを少しでも傷つけないためという説もあり、周囲の自然と調和した景観は、日本古来の自然に対する信仰や美意識を感じさせてくれる。

データ

問合せ・詳細:宮島観光協会 TEL.0829-44-2011

主なアクセス:JR山陽本線宮島口駅から徒歩6分の宮島桟橋よりJR西日本宮島フェリーで10分のち徒歩12分

データ

青い海と緑深い森林に朱色の建物が映える
満潮時の様子は龍宮城を思い起こさせる

写真提供:広島県
※掲載されているデータは平成24年6月現在のものです。
※月刊『旅の手帖』2011年6月号より転載、再構成。