トレたび JRグループ協力

2021.05.18旅行<一人旅>東京発「青春18きっぷ」分割利用はこう楽しむ。三陸・復興の軌跡そして道東の短い夏を感じる旅

密を避け、飛行機や新幹線との組み合わせで広がる青春18きっぷ時短活用術

5回(5日分)ワンセットとなる青春18きっぷ。この夏、短い旅を重ねて1人で利用期間中にすべて使い切るプランを計画しました。

東日本大震災から10年を経た東北の三陸海岸。1年で最も、緑の美しさが際立つ北海道・道東の釧路湿原。北の駅弁や旬の味覚も手に入れつつ、北国の短い夏を堪能します。東京~現地は、新幹線や飛行機も利用しつつ、現地では青春18きっぷを活用してこまめにめぐる。さらに、東北は広いので、1泊2日ずつ、2つの行程にわけて。1日あたりでは、なるべく短い時間、短い距離にすることで、密を避けた旅ができるはずです。

  • 新型コロナウイルス感染症の影響により、列車の運休や変更、施設の営業変更等が発生することがあります。JRニュースや運行会社、および各施設のHP等をご確認ください。

プラン1<東北・福島~南三陸>青春18きっぷで行く1泊2日の旅。駅弁と絶景と復興の軌跡をたどる旅

夏の青春18きっぷの旅、最初のプランでは、青春18きっぷ2回分を使って福島の浜通りと三陸海岸を目指します。東日本大震災の痕跡や復興を間近で感じながら、東北の短い夏を体験します。広い三陸を、密を避けた時短術で、プラン2と合わせてコンプリートできるようになっています。

1日目 鉄道とBRTを乗り継いで、震災から10年を経た被災地をゆく

2021年7月某日 上野駅から南東北・仙台へ向かう


モデルルート
5:11発

上野駅

  • 常磐線 勝田行
6:58着

水戸駅 乗り換え

7:03発

水戸駅

  • 常磐線 いわき行
8:35着

いわき駅

  • 駅弁を購入。
9:22発

いわき駅

  • 常磐線 原ノ町行
10:44着

原ノ町駅 乗り換え

10:51発

原ノ町駅

  • 常磐線 仙台行
12:18着

仙台駅

  • 駅弁や地ビール、地酒を購入。
12:45発

東北本線 小牛田行

13:30着

小牛田駅 乗り換え

13:38発

小牛田駅

  • 石巻線 女川行
13:53着

前谷地駅 乗り換え

14:40発

前谷地駅

  • 気仙沼線BRT 気仙沼行
15:40着

志津川駅

  • さんさん商店街でお土産購入。旧南三陸町防災対策庁舎を見学。
17:10発

志津川駅

  • 気仙沼線BRT 気仙沼行
18:22着

南気仙沼駅

  • 気仙沼に宿泊

生まれ変わった商店街と保存された震災遺構

北へ向かう列車旅の起点は、やはり上野駅から。5:11発とやや早いのですが、いわき駅で次の列車まで1時間弱の待ち時間があります。駅構内のコンビニエンスストアで駅弁が購入できます。「早起きは三文の得」、腹ごしらえをしたら次の列車に乗り込みます。


E531系:常磐線で運用されていた403系・415系鋼製車の置き換え電車として登場した交直流電車。

震災後、常磐線が全線開通したのは、実は昨年の2020年3月14日のこと。富岡駅~浪江駅間が最後に復旧し、東京から仙台までの鉄路が再び一本で繋がりました。津波により流失した駅や鉄橋、線路も多く、一部、ルートや駅の位置が変わっているところもあります。

仙台駅着は12:18。ここでも30分弱の乗り換え時間を利用して、駅弁を購入しましょう。仙台駅といえば、日本で最も駅弁の数が多い駅。牛タンから海鮮まで選び放題です。駅1Fの「地酒とワインのお店 ケヤキ」で、地ビールや地酒を購入する手も。アテはもちろん、笹かまに決まりでしょう。

東北本線に乗り込み、小牛田で乗り換え前谷地駅へ。ここからいよいよ三陸エリア。気仙沼線に乗り換えるのですが、ここから先は「バス旅」になります。

気仙沼線と大船渡線のBRT(バス・ラピッド・トランジット)という、日本でも数少ないスタイルの乗り物は、やはり震災からの復興の過程で誕生しました。かつては鉄路だった気仙沼線ですが、被災により全線不通に。その後、代行バスによる運行となり、今に至っています。BRTが走るルートの一部は、かつての大船渡線の線路敷で、バス専用道路となっています。レールはなくなったけれど、鉄道時代と同じ場所をバスがひた走ります。

この気仙沼線とその先の大船渡線のBRTは、いずれもJRが運行しているため、青春18きっぷで乗車ができます。乗降場所の名称も、「バス停」ではなく「〇〇駅」となっています。

ちなみに気仙沼線、前谷地駅~柳津駅間のみ、BRTとは別に鉄道も復旧しています。「列車の乗りつぶし」や「終着駅詣で」も目的の人は、柳津駅までは鉄道で行き、そこからBRTに乗り継ぐことも可能です。ただしその場合、接続が悪く後述する志津川駅への到着が夕方を過ぎてしまいますのでご注意を。

スポット1:<南三陸さんさん商店街>日本を代表する建築家とコラボレーション


南三陸さんさん商店街

志津川駅で途中下車したら、南三陸さんさん商店街へ。土産店や飲食店が並ぶ商店街は、建築家・隈研吾氏監修。商店のほか写真屋が営むミニギャラリーもあります。同じく隈氏デザインの中橋を渡った先に、震災遺構・旧南三陸町防災庁舎がたたずんでいます。


中橋は上下二重構造になっている。写真は下段。

スポット2:<旧南三陸町防災庁舎>鉄骨や外階段に生々しい爪痕が残る


かさ上げされた周囲との高低差が、廃墟と化したかつての庁舎とともに、津波の恐ろしさを物語っているようです。

志津川駅から再び気仙沼線BRTに乗り込み、1時間ほど走れば気仙沼の町が見えてきます。飲食店や観光施設、宿泊施設が集まっているのは、港近く。南気仙沼駅で下車すると便利です。


南三陸さんさん商店街

住所 宮城県南三陸町志津川五日町201-5
問い合わせ先 0226-25-8903(さんさん商店街事務局)
時間 店舗により異なる(さんさん商店街事務局は9:00~17:00)
定休日 店舗により異なる
交通アクセス JR志津川駅から徒歩3分
URL https://www.sansan-minamisanriku.com

旧南三陸町防災対策庁舎

住所 宮城県南三陸町志津川塩入77
問い合わせ先 0226-47-2550(南三陸町観光協会)
時間 見学自由
定休日 なし
交通アクセス JR志津川駅から徒歩8分
URL https://www.m-kankou.jp/view_spot/234397.html

運賃料金参考

合計:8490円
上野駅 → 志津川駅7810円、志津川駅 → 南気仙沼駅680円
青春18きっぷ1回分2410円なら、6080円もお得!

2日目 絶景めぐりのあとはご当地B級グルメ。そして「さんてつ」にも乗車


モデルルート
レンタカー

唐桑半島半日ドライブ

  • 巨釜半造(おおがまはんぞう)、御崎(おさき)を見学。
11:00発

気仙沼駅

  • 大船渡線BRT 盛行
12:17着

盛駅

  • 百樹屋で炙り秋刀魚のちらし寿司を堪能。
15:20発

盛駅

  • 三陸鉄道リアス線 久慈行
16:11着

釜石駅 乗り換え

17:44発

釜石駅

  • 釜石線 盛岡行
19:53着

花巻駅 乗り換え

20:06発

花巻駅

  • 東北本線 一ノ関行
20:56着

一ノ関駅 乗り換え

21:13発

一ノ関駅

  • 東北新幹線やまびこ70号 東京行
23:44着

東京駅

三陸の変わらぬ絶景を目に焼き付ける

青春18きっぷで行く東北一人旅2日目は、三陸海岸をさらに北上しますが、その前にレンタカーを借りてドライブでちょっと寄り道を。唐桑半島には、三陸を象徴するような絶景が待ち受けています。気仙沼市街から唐桑半島の最先端・御崎までは30分ほどです。


三陸を代表する景勝地、巨釜。大理石の石柱・折石(おれいし)は海中からそびえる高さが16m。1896(明治29)年の明治三陸地震の際に津波で先端が2mほど折れたが、東日本大震災ではその姿は変わらず。


御崎の遊歩道から見られる奇岩のひとつ・児置島(こおきじま)。激しい白波に絶えず洗われ続ける姿が圧巻。


巨釜半造

住所 宮城県気仙沼市唐桑町
問い合わせ先 0226-32-3029(唐桑町観光協会)
時間 見学自由
定休日 なし
交通アクセス JR気仙沼駅から車で25分
URL http://www.karakuwa.com/view/

御崎

住所 宮城県気仙沼市唐桑町崎浜
問い合わせ先 0226-32-3029(唐桑町観光協会)
時間 見学自由
定休日 なし
交通アクセス JR気仙沼駅から車で30分
URL https://kesennuma-kanko.jp/御崎(八隻曳)/

失われた町の風景の中をBRTでゆく

市街地に戻ってきたら、BRTへ。こちらの大船渡線は、内陸部にある東北本線の一ノ関駅から気仙沼駅までは、今も鉄道で結ばれていますが、気仙沼駅から先の沿岸部がやはり、震災後は代行バスとなり、BRTとなっています。しばらくゆくと県境を越え、岩手県陸前高田市へ。市街地の高台移転が進み、海辺に広がっていたかつての市街地の空き地が目立つ広大な光景に胸を打たれます。陸前高田から、三陸らしいいくつかの峠と漁村をたどると、大きく内陸に切れ込んだ湾が見えてきます。大船渡です。盛駅が大船渡線BRTの終着駅です。


盛駅には、かつての駅舎や跨線橋、ホームがそのまま残っています。ホームには駅名看板や番線の表示も。車両は変わってしまいましたが、かつての鉄道時代そのままに、横付けされたバスとの乗降に利用されています。

ホームの反対側は、三陸鉄道の線路。ここから再び列車の旅へと続くのですが、その前に腹ごしらえを。

三陸グルメ:<百樹屋>港町のお昼はやはり海の幸!


「百樹屋」の炙り秋刀魚のちらし寿司1100円(税込)。

旬はもう少し先の秋ですが、やはりご当地名物は食べておきたいものです。夏場の大船渡では、カツオやホタテ、サバが最盛期です。

盛駅に戻ったら、三陸鉄道リアス線で、一路釜石まで。リアス式海岸のため、トンネルが多いのですが、抜けるたびに新たな風景が目の前に現れるのもまた格別。釜石駅手前では、向かって左手の車窓に注目を。日本製鉄の工場の巨大な煙突が見えてきたら、青春18きっぷで行く1泊2日<東北・福島~南三陸>の旅のフィナーレです。


百樹屋

住所 岩手県大船渡市盛町内ノ目2-14
問い合わせ先 0192-26-5123
時間 11:30~14:00、17:00~21:00(20:00L.O.)
定休日 不定休
交通アクセス JR・三陸鉄道盛駅から徒歩5分
URL https://ofunato.jp/Summary/info/18

運賃料金参考

●青春18きっぷ対象
合計:3500円
気仙沼駅 → 盛駅860円、釜石駅 → 一ノ関駅2640円
青春18きっぷ1回分2410円なら、1090円お得!

●青春18きっぷ対象外
合計:13630円
盛駅 → 釜石駅(1100円)、一ノ関駅 → 東京駅(12530円)

プラン2<東北・北三陸>青春18きっぷで行く1泊2日の三陸旅。途中下車の楽しみだらけの2日間

このプランでは、東京駅からスタートし、まず前回の旅の終着点、釜石へ向かいます。前回旅した三陸海岸の、さらにその先へと足を延ばし、青森県の八戸まで。さらに、ちょっとした「18きっぷの裏技」を用いてその先へ。2日目は途中下車三昧、そして海鮮三昧の1日です。

1日目 ローカル列車にガタゴト振られて三陸の新名物を目指す

2021年7月某日 東京駅から岩手へ向かう


モデルルート
6:04発

東京駅

  • 東北新幹線やまびこ51号 盛岡行
7:58着

仙台駅 乗り換え

8:11発

仙台駅

  • 東北本線 小牛田行
8:58着

小牛田駅 乗り換え

9:06発

小牛田駅

  • 東北本線 一ノ関行
9:52着

一ノ関駅 乗り換え

10:15発

一ノ関駅

  • 東北本線 盛岡行
11:05着

花巻駅 乗り換え

12:11発

花巻駅

  • 釜石線 快速はまゆり3号 釜石行
13:58着

釜石駅

14:30発

バス停釜石駅前

  • 岩手県交通 平田ニュータウン線 上平田ニュータウン西入口行
14:46着

釜石大観音入口

  • 鉄の歴史館を見学
16:43発

バス停釜石大観音入口

  • 岩手県交通 平田ニュータウン線 上大畑行
17:00着

釜石駅前

18:04発

釜石駅

  • 三陸鉄道 リアス線
19:23着

宮古駅

  • 蛇の目本店で瓶ドンを堪能し、宮古に宿泊。

釜石には「鉄の町」を陰で支えた鉄道機関車があった

この青春18きっぷの旅では、まず、プラン1<東北・福島~南三陸>旅のフィナーレを迎えた釜石駅を一気に目指します。今回の旅では、時短と青春18きっぷを現地で最大限に活用するため、仙台駅まで新幹線を利用します。仙台駅で東北本線に乗り換えて花巻駅まで北上したら、いよいよ沿岸部へ向かいます。釜石線の前身は岩手軽便鉄道。花巻出身の作家・宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』のモデルともいわれています。そのシンボルといえるのが宮守川橋梁。現宮守川橋梁(めがね橋)は1943(昭和18)年に架替えられたもの。賢治が目にした旧橋は、三脚の橋脚のみが、その脇にたたずんでいます。


宮守川橋梁を駆け抜ける釜石線(SL銀河)。※「SL銀河」は2023年6月をもって定期運行を終了


「SL銀河」についてもっとくわしく

SL銀河―少年たちが乗り込んだ不思議な列車で、宮沢賢治が愛したイーハトーブ・東北へ(THE列車)

釜石駅に着いたらバスに乗り換え、「鉄の歴史館」へ。製鉄で栄えた町は、かつては人口が9万人を超えたことも。その栄華を感じることができます。釜石は、採掘した鉱石を製鉄所まで運ぶため、1880(明治13)年に全国で3番目の鉄道が敷設されました。1965(昭和40)年の廃線まで釜石鉱山鉄道を走っていたC1 20形蒸気機関車が、鉄の歴史館の屋外に展示されています。


展示されているC1 20形蒸気機関車は、廃線時の最終列車として使用されたもの。(写真提供:鉄の歴史館) 展示されているC1 20形蒸気機関車は、廃線時の最終列車として使用されたもの。(写真提供:鉄の歴史館)


鉄の歴史館

住所 岩手県釜石市大平町3-12-7
問い合わせ先 0193-24-2211
時間 9:00~17:00(最終入館16:00まで)
定休日 火曜、(2月29日~1月3日)
交通アクセス JR釜石駅から岩手県交通バスで約16分
値段 大人500円(税込)
URL https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2016101700037/

一本で繋がった三陸鉄道を満喫する


宮古駅手前の第34閉伊川橋梁を渡る三陸鉄道の車両。橋梁は津波で流出後に復旧した。

釜石駅までバスで戻ったら、三陸鉄道で北上。釜石駅~宮古駅間は、もともとはJR山田線の一部でしたが、東日本大震災による運休・代替バスの時代を経て、三陸鉄道へ移管。以前は山田線を挟んで「南リアス線」と「北リアス線」に分かれていた三陸鉄道は、2019年3月23日に一本の「リアス線」として復旧しました。

宮古グルメ:<蛇の目本店>色とりどりの海鮮づくし瓶ドン


宮古駅に到着したら、駅前の名店「蛇の目本店」で夕食を。何を頼んでもハズレのない寿司店です。ここ数年、宮古のご当地グルメとして注目を浴びているのが瓶ドン(大2970円)。もともと、現地では生ウニを牛乳ビンに入れて販売しており、そこからヒントを得て誕生した海鮮丼です。ご飯とは別に、海産物はぎっしり詰まったビンで供されます。お好みで盛り付け、頬張れば一瞬にして〝口〟福に包まれること必至です。


蛇の目本店

住所 岩手県宮古市栄町2-8
問い合わせ先 0193-62-1383
時間 10:00~21:00(20:30L.O.)
定休日 水曜
交通アクセス JR・三陸鉄道宮古駅から徒歩1分
URL https://www.kankou385.jp/eat/sushi/index_03.html

運賃料金参考

●青春18きっぷ対象
合計:4510円
仙台駅 → 釜石駅(4510円)
青春18きっぷ1回分2410円なら、2100円お得!

●青春18きっぷ対象外
合計:12700円
東京駅 → 仙台駅(10560円)、釜石駅 → 釜石大観音入口(往復/600円)、釜石駅 → 宮古駅(1540円)

2日目 震災後に誕生したご当地ワインを土産に。駅弁&握りで食も充実


モデルルート
7:52発

宮古駅

  • 三陸鉄道リアス線 久慈行
9:07着

野田玉川駅

  • マリンローズパーク野田玉川を見学。
10:44発

野田玉川駅

  • 三陸鉄道リアス線 久慈行
10:50着

陸中野田駅

  • 「道の駅のだ観光物産館/ぱあぷる」で土産購入。
12:14発

陸中野田駅

  • 三陸鉄道リアス線 久慈行
12:28着

久慈駅

  • 三陸リアス亭でうに弁当を購入(事前予約が無難)。
13:03発

久慈駅

  • 八戸線 八戸行
14:53着

八戸駅 乗り換え

16:25発

八戸駅

  • 青い森鉄道 青森行
18:00着

青森駅

  • 「大黒寿司」で特上寿司を堪能。
19:26発

青森駅

  • 奥羽本線 弘前行
19:31着

新青森駅 乗り換え

19:44発

新青森駅

  • 東北新幹線はやぶさ48号 東京行
23:04着

東京駅

ご当地ワインと海鮮が駅前で待っている

途中下車の楽しみがさらに満載の2日目は、三陸鉄道の「旧北リアス線」を乗りつぶします。2013年上半期のNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台となったエリア。沿線には、名シーンの舞台となったロケ地も点在しています。


白井海岸駅~堀内駅間の大沢橋梁。絶景ポイントのため、列車はしばらく橋の上で停車してくれる。

ドラマ内では、主人公達が東京へ旅立つ最寄駅とされたのが堀内駅。その次の野田玉川駅で下車し、山の方へしばらく歩くと、マリンローズパーク野田玉川。かつての野田玉川鉱山です。総延長28km、観光坑道だけでも1.5km。マンガン採掘で栄えた構内には、なぜかワインセラーがあります。


坑道の一角でワインが樽熟成されている。

鉱山のある野田村は山ぶどうの名産地。震災後、新たな特産品として誕生したのが、この山ぶどうで醸造するワインです。2016(平成28)年、「涼海の丘ワイナリー」が鉱山そばに誕生しました。購入は2駅先の陸中野田駅に直結の「道の駅のだ/観光物産館ぱあぷる」でも可能。地元の名産品も手に入れたいなら、途中下車を。


「山葡萄ワイン 紫雫(しずく)」。左からロゼ(2618円)、赤(2860円)、樽熟成(3520円)の三種。※ねだんはすべて税込


マリンローズパーク野田玉川・涼海の丘ワイナリー

住所 岩手県野田村玉川5-104-13
問い合わせ先 0194-66-7177(てしごと屋 マリンローズパーク野田玉川店)/0194-75-3980(涼海の丘ワイナリー)
時間 9:30~17:00(最終入館16:00。11月~3月は~16:00[最終入館15:00])
定休日 火曜
交通アクセス 三陸鉄道野田玉川駅から徒歩20分
値段 大人700円(税込)
URL https://www.noda-kanko.com/kankou/spot/marinerose.html

道の駅のだ観光物産館/ぱあぷる

住所 岩手県野田村野田第31地割31-1
問い合わせ先 0194-78-4171/0194-78-4191(レストラン)
時間 9:00~18:00(産直8:30~。レストラン11:00~15:00)
定休日 産直:なし/レストラン:水曜
交通アクセス 三陸鉄道陸中野田駅に直結
URL http://nodaeki.com

三陸グルメ:<三陸リアス亭>ご飯の上をウニが覆いつくしている「うに弁当」は震災前から久慈駅の名物駅弁


<三陸リアス亭>ご飯の上をウニが覆いつくしている「うに弁当」

さらに2駅先の久慈駅で、三陸鉄道の旅は終了。ここからはJRの八戸線に乗り換えますが、忘れず立ち寄りたいのが、三陸鉄道久慈駅の駅舎内にある「三陸リアス亭」です。うに弁当1570円(税込)は、「この値段でこんなに!」と思わず感激してしまうほどウニがたっぷり。1日20食限定なので、事前予約しておくのがおすすめです。


三陸リアス亭

住所 岩手県久慈市中央3-38-2
問い合わせ先 0194-52-7310
時間 7:00~16:30
定休日 不定休
交通アクセス JR久慈駅から徒歩1分、三陸鉄道久慈駅構内
URL https://sanriku-travel.jp/fun/gourmet_spot/p397/

青森グルメ:<大黒寿司>太平洋、日本海、陸奥湾とタイプの異なる漁場を持つ青森ならではの旬ネタが味わえる


<大黒寿司>太平洋、日本海、陸奥湾とタイプの異なる漁場を持つ青森ならではの旬ネタが味わえる

八戸駅からは、帰路を急ぐなら東北新幹線に飛び乗ってもよいのですが、せっかくならもう少し、みちのく旅を楽しみたいところ。青い森鉄道に乗って、青森市を目指しましょう。同鉄道は第三セクターですが、実は八戸駅~青森駅間は途中下車しなければ、追加料金なしで、青春18きっぷで乗車できるのです。一日乗り放題の青春18きっぷ、利用しない手はありません。時刻はちょうど夕暮れ時。旅のしめくくりにふさわしい、見事な夕景を車窓から眺められるかもしれません。

新幹線に乗る前に、青森駅前で夕食を。海鮮三昧の東北の旅の〆は、大黒寿司のウニやマグロ、ホタテなど、青森ならではの極上ネタがズラリと並ぶ特上にぎり2600円(税込)。次に乗る列車は1時間半後。カウンターで地酒を一杯やりながら、寿司をつまむのにちょうどいい感じです。


大黒寿司

住所 青森県青森市新町1-2-6
問い合わせ先 017-722-6480
時間 11:00~22:00
定休日 火曜(祝日は営業)
交通アクセス JR青森駅から徒歩1分

運賃料金参考

●青春18きっぷ対象
合計:3850円
久慈駅 → 八戸駅(1340円)、八戸駅 → 青森駅(2320円)、青森駅 → 新青森駅(190円)
青春18きっぷ1回分(2410円)なら、1440円お得!

●青春18きっぷ対象外
合計:19870円
宮古駅 → 野田玉川駅(1540円)、野田玉川駅 → 陸中野田駅(260円)、陸中野田駅 → 久慈駅(400円)、新青森駅 → 東京駅(17670円)

プラン3<北海道・道東>青春18きっぷ最後の1枚を使って行く絶景車窓の1日旅

長距離列車の多い北海道は、青春18きっぷで旅するのにふさわしい地域かもしれません。ただし、乗り継ぎさえ上手く行くならば、ですが……。今回は、現地までの往復は飛行機で行く「フライ&トレイン」スタイルで、1日でも北海道のさまざまな「顔」を満喫できる釧網本線を1日で全線乗りつぶします。

朝から夕暮れまで車窓をとことん楽しむ

2021年8月某日 飛行機で釧路に向かう


モデルルート
9:20着

釧路空港

  • 阿寒バス 釧路市内行
10:30頃着

釧路駅

  • 釧路駅で駅弁を購入。
11:06発

釧路駅

  • くしろ湿原ノロッコ2号 塘路行
11:54着

塘路駅

  • 塘路湖畔を散策。
14:46発

塘路駅

  • 釧網本線 網走行
17:17着

網走駅 乗り換え

17:25発

網走駅

  • 特急オホーツク4号 札幌行

夏の道東でしか出合えない絶景


夏の釧路湿原をゆくノロッコ号。

旅の起点となるのは釧路駅。空港からのバス到着から、列車の出発までは約30分しかないので、食は駅弁の購入が無難。駅徒歩約2分の和商市場で勝手丼、という手もナシではありませんが、よほど駆け足と早食いに自信がある人でもスリリングです。

釧路駅からのノロッコ号は自由席もありますが、夏の繁忙期は追加料金を払って指定席を選びましょう。進行方向左側のボックスシート席の車窓が釧路湿原に面しています。


塘路湖サルボ・サルルン展望台からの眺望。 サルボ展望台からの景観。はるか地平線まで見晴らせる。 (写真提供:塘路湖エコミュージアムセンター)

塘路駅で下車したら、湿原を見晴らすサルボ・サルルン展望台まで散策。3時間近く滞在時間はあるので、夏の陽光に輝く大湿原を、心ゆくまで楽しめるはずです。生態系や湿原の成り立ちなど、予備知識を得てから巡りたいなら、塘路湖エコミュージアムセンター「あるこっと」へ。


塘路湖(サルボ・サルルン展望台)・塘路湖エコミュージアムセンター「あるこっと」

住所 北海道標茶町塘路
問い合わせ先 015-487-3003
時間 展望台:見学自由/あるこっと:10:00~17:00(11~3月は~16:00)
定休日 展望台:なし/あるこっと:水曜
交通アクセス 展望台:JR塘路駅から徒歩約45分/あるこっと:JR塘路駅から徒歩約20分 
URL https://www.kushiro-shitsugen-np.jp/kansatu/tooroedo/

北の夏は短い。青春18きっぷを使い切ったら時短で楽しもう

再び列車に乗り、釧網本線で一路、網走を目指して北へ向かいます。車窓の風景は、湿原から根釧台地の雄大な眺めに。開拓の時代へと思いを馳せながら列車は、やがてオホーツク海に到達。知床斜里駅から網走駅までの約40km、波打ち際をひた走るラストラン。目を引く車窓の路線が多い北海道の鉄道ですが、まるで舞台のシーンが変わるように展開してゆく釧網本線はその中でも随一。ただ車窓を眺めているだけで、誰もが旅心をくすぐられるはずです。

網走駅から先は、残念ながら接続が悪いため、青春18きっぷ5回分使い切りの旅はここまで。特急に飛び乗って旭川や札幌を目指します。せっかくの夏の北海道。もう一泊してあと一日過ごしてから、飛行機で帰途についてもいいでしょう。


運賃料金参考(鉄道のみ)

●青春18きっぷ対象
合計:3830円
釧路駅 → 塘路駅(640円)、塘路駅 → 網走駅(3190円)
青春18きっぷ1回分(2410円)なら、1420円おトク!

●青春18きっぷ対象外
合計:12020円
釧路空港 → 釧路駅前(950円)、釧路駅 → 塘路駅(指定席料金/530円)、網走駅 → 札幌駅(特急料金+指定席/10010円)

JRのおトクなきっぷ「青春18きっぷ」

全国のJR線普通・快速列車の普通車自由席が一日乗り放題のきっぷ。別料金を支払うことで指定席やグリーン席に乗車可能な列車もある。また、一部在来線のない区間などで、私鉄在来線の利用ができる区間もある。1券5回(日)分セットで、ねだんは12050円。利用者の年齢制限はなく、同一行程で複数人での利用も可能。


2021年~2022年「青春18きっぷ」発売期間・利用期間

◎夏
発売期間:2021年7月1日(木)~2021年8月31日(火)
利用期間:2021年7月20日(火)~2021年9月10日(金)

◎冬
発売期間:2021年12月1日(水)~2021年12月31日(金)
利用期間:2021年12月10日(金)~2022年1月10日(月)


青春18きっぷの使い方や最新情報など詳しくはこちら


著者紹介

今田 壮(株式会社風来堂)

編集プロダクション。旅、歴史、地域文化、アウトドア、サブカルチャーが得意分野。編集を担当した本に、『秘境鉄道の謎』『四大空港&ローカル空港の謎』『「地形」と「戦術」で見る日本の城』(以上、イースト・プレス)、『秘境路線バスをゆく1~7』(イカロス出版)、『ウソみたいだけど実在する! 世界のめっちゃスゴい国』(JTBパブリッシング)、『オートキャンプ場ガイド2021』(実業之日本社)など。
http://furaido.net

  • 写真:南雲恵里香・今田 壮(株式会社風来堂)、鉄の歴史館、塘路湖エコミュージアムセンター
  • 文:今田 壮(株式会社風来堂)
  • 掲載されているデータは2021年5月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
  • 乗車日によっては発着時刻が異なる場合があります。事前にご確認の上、お出かけください。
  • 列車の発着時刻についてはJR時刻表 2021年4月号に基づいています(平日ダイヤで旅程を組んでいます)。
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