2025.11.25ジパング俱楽部静岡駅スタート!自然と歴史を肌で感じる賎機山|鉄道で行く低山ハイク

天気のいい日は、列車に乗って気軽な日帰りハイキングへ。ここでは駅からのアクセスがしやすくて、体力的な難易度の低い、低山トラベラー・大内征さん監修の低山歩きコースを紹介します。
静岡市街中心部から安倍川に沿って北に長く伸びる山で、標高は171メートル。山麓の静岡浅間神社境内から始まる登山道は整備が行き届き、傾斜も比較的緩やかで歩きやすいので、静岡市民もよく散策に訪れる人気のコースです。尾根(おね)づたいの道中には絶景スポットが点在し、静岡の町並みや、富士山、日本平(にほんだいら)、駿河湾、安倍川などが眺められます。
賤機山(しずはたやま)
県庁所在地の山で絶景を満喫
静岡県静岡市
登山道から眺める安倍川
徳川家康が生涯で3度も過ごしたのが、駿府こと静岡市。温暖な気候、東にも西にもアクセスしやすい便利な立地、そして山にも海にも近い自然の恩恵。この暮らしやすさは、ほかの地域からやってくる旅人にとっての“遊びやすさ”でもあるのです。
温暖ゆえ一年を通じて山に入れることや、新幹線を利用すれば関東からも関西からも日帰りハイクができることなど、四季を通じて低山ハイクを楽しめるうれしいポイントが揃う好条件の町。後は、静岡駅から歩いていける“いい山”さえあれば……。
そこで、足を運びたいのが賎機山です。低くたなびく丘陵のような山ですが、尾根道あり、そして駿河湾と富士山ありの楽しいコース。静岡ならではの景観を、存分に楽しみましょう。
本記事のアドバイザー・大内 征(おおうちせい)さん
コース概要
| 所要時間 | 約2時間10分 |
|---|---|
| 歩く距離 | 約7.8キロ |
| 標高 | 171メートル |
| 低山ハイクの注意点 | トイレは浅間山山頂に仮設が2つ。水場なし |

東海道新幹線静岡駅スタート
静岡みやげを買うなら駅ビル内で
静岡県の中部に位置し、新幹線と東海道本線が接続する駅。賤機山へは北口から向かいます。
駅前バスターミナルから登山口最寄りの赤鳥居浅間神社入口バス停まではバスで約8分ですが、繁華街の呉服町通りや、庶民的な商店街の浅間通りをぶらぶら歩いて向かうのもおすすめです。
① 徳川家康も崇敬した静岡浅間神社・赤鳥居
赤鳥居は町のシンボル的存在
浅間通り商店街を抜けると、静岡浅間神社の南入口に立つ赤鳥居が視界に飛び込んできます。これをくぐって境内に入りましょう。
鳥居の向こうにあるのは大歳御祖神社(おおとしみおやじんじゃ)。静岡の産業の守護神として広く崇敬を集める神社です。登山の前に、まずはここでお参りを。
② 神社の奥にある登山口
拝殿の裏から登山開始!
大歳御祖神社の拝殿を左手に進むと、すぐに賤機山の登山口が現れます。いくつかある賤機山の登山口のなかで、ここがもっともスタンダード。自由に使える杖も置いてあります。
最初は階段からスタート。傾斜はさほど急ではありません。登り始めてすぐ、右に分かれる階段を登ると、賤機山古墳があります。
国の史跡に指定されている賤機山古墳
しだいに登山道らしい雰囲気に
③ 最初の休憩スポット・一本松
尾根道に立つ一本松
一本松付近から清水区方面を望む
木立の中の登り坂を抜けると、最初の休憩スポット「一本松」に到着。かつては松の巨木があったそうですが、現在は四代目の若い松が植えられ、足もとをゆく人々を見守っています。
松のあたりから木立の間をのぞくと、静岡市街東部から清水区の町並みが見わたせます。写真の画面左に見える構造物は、清水港のガントリークレーン群(船にコンテナを積み下ろしするクレーン)です。
④ 浅間山手前の東屋から富士山が
椅子とテーブルあり。ここで弁当を広げる人も
東屋(あずまや)付近で姿を見せる富士山
彼方に横たわるのは箱根の山並み
休憩タイムは、一本松の少し先、道がやや平坦になったところにある東屋で取ってもいいでしょう。この付近からは、北東方向に富士山を眺めることができます。今回のルートで富士山を拝むことができるポイントはここが唯一なので、お見逃しのないように。南西方向に目を向けると、ヤマトタケルの伝説で知られる日本平も見えます。
⑤ 階段の道はここまで。浅間山山頂
東屋の先は傾斜の緩い坂道になっています
山頂の広場に祀(まつ)られる戦没者慰霊塔
歩き始めて約30分、標高139.8メートルの通称「浅間山」山頂に到着です。山頂は広場になっており、思いおもいに体を伸ばしたり、腰を下ろしてひと休みする人が何人も。
ここまでは地元の人たちや静岡浅間神社を参拝した観光客の散策コースになっており、ここで引き返す人も多いようです。ここから先は階段区間もなくなり、登山気分がより味わえる道になっているので、先へ歩みを進めてみましょう。
⑥ 木立の中の尾根道と安倍川眺望ポイント
枝を豪快に伸ばす木々の下に続く道
浅間山より先はアップダウンが多く、所どころ傾斜が急な区間や、木の根が盛り上がって歩きにくい箇所もあるので、足もとに注意しながら慎重に先へ進みましょう。途中には尾根の上を進む平坦な区間もあり、枝葉が頭上に覆いかぶさって、まるで木々のトンネルの中を歩いているかのよう。木漏れ日が作る陰影も美しく、爽快な散策が楽しめます。
急坂を登ったところに置かれた竹製ベンチ
ここから見える静岡奥部の美しい山並み
⑦ 山頂手前の登り坂と賤機山山頂
賤機山山頂までもうひと息!
手作りの山頂プレートがかわいい
最後の坂を登り切ったら、ついに標高171メートルの賤機山山頂に辿り着きました。木立の中に、賤機山城跡であることを示す石柱と案内板が立っています。賤機山城は南北朝時代、北朝方(ほくちょうがた)の今川氏によって築城され、安部川右岸に本拠地を置く南朝方の狩野氏に対する備えだったと考えられています。現在は、木立に遮られて山頂からの眺めはよくありませんが、賤機山が戦略的に重要な場所だったことがうかがえます。
⑧ 浅間神社の「山宮」こと麓山(はやま)神社
下山の前に立ち寄ってお参り
賤機山山頂からは、来た道を引き返します。浅間山を通り過ぎ、一本松まで下ってきたところで道が二手に分かれるので、行きに通らなかった左側の道を進みましょう。ほどなくして、麓山神社の社殿が見えてきます。
山の中腹にあるこの神社は、古くから「山宮(やまのみや)」と称されてきました。木立の中に立つ朱塗りの社殿は荘厳です。
⑨ 「おせんげんさん」の文化財を訪ねる。静岡浅間神社
1816(文化13)年に完成した楼門
麓山神社の先にある急傾斜の長い石段を下りてゆくと、八千戈(やちほこ)神社の脇に出ます。
登山の締めくくりに、静岡浅間神社の境内をひとめぐり。
静岡浅間神社は、賤機山の山麓に鎮座する浅間神社、神部神社、大歳御祖神社の総称で、古くから「おせんげんさん」と呼ばれて静岡の人々から親しまれてきました。江戸時代後期に建造された境内の社殿群26棟が国の重要文化財に指定されています。
社殿や楼門は朱色が鮮やかな総漆塗りで、細部までていねいに彫り込まれたみごとな彫刻が、それぞれの建物に施されています。
⑩ 静岡駅ゴール!
下山後のお楽しみ
駿府城公園
2014年に再建された坤櫓(ひつじさるやぐら)
駿府城を居城としていた晩年の家康像
天守台の発掘調査の様子
徳川家康が築城した駿府城の広大な跡地に整備された公園。城郭の南西角にある坤櫓、東南角にある東御門・巽櫓(たつみやぐら)は内部が見学でき、駿府城に関するさまざまな資料や往時の駿府城のCG画像などを見ることができます。
また園内では、日本最大級とされる天守台の発掘調査が進行中で、その様子を間近に見学できます。
壮麗な巽櫓と二ノ丸堀(中堀)
堅牢な東御門
駿府城公園
| 問い合わせ先 | 054-251-0016 |
|---|---|
| 時間 | 園内自由(坤櫓、東御門・巽櫓、紅葉山庭園は9~16時) |
| 定休日 | 月曜(祝日の場合は営業)、年末年始 |
| 交通アクセス | 東海道新幹線静岡駅から徒歩約15分 |
| 値段 | 坤櫓100円、東御門・巽櫓200円、紅葉山庭園150円(園内全施設共通360円) |
| URL | https://sumpu-castlepark.com/ |
用宗(もちむね)みなと温泉
日差しが降り注ぐ日中の露天風呂
漁港の向こうには富士山が
夜の雰囲気も抜群です
静岡市西部に位置し、シラスの水揚げで知られる用宗漁港に隣接する日帰り入浴施設。
かつてはマグロ加工場だった建物を大幅リノベーションした特徴的な外観で、館内のテラスと露天風呂からは風情ある漁港の風景と富士山が眺められます。
湯は地下約1000メートルから汲み上げた天然温泉。肌にやさしい湯と絶景が、山歩きで疲れた体を芯から温めてくれるでしょう。
用宗みなと温泉
| 時間 | 10~23時(土・日曜・祝日は9時~) |
|---|---|
| 定休日 | なし |
| 交通アクセス | 東海道本線用宗駅から徒歩約11分 |
| 料金 | 1000円(土・日曜・祝日は1200円) |
| 泉質 | ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉(低張性・弱アルカリ性・低温泉) |
| URL | https://minato-onsen.jp/ |
紹介スポット一覧マップ
文・写真/内藤昌康 文(山紹介)/大内征 写真/用宗みなと温泉
- ※記事中の「歩く距離」はスタート駅からゴール駅までの徒歩での移動距離を記載しています。「所要時間」は食事や休憩や見学の時間を含まない時間を記載しています。
- ※本記事の地図はコース概要を示したもので、実際の登山道の詳細をすべて網羅したものではありません。安全のため、登山の際は必ずGPS対応の登山アプリや登山地図を携行し、現地の案内表示を確認しながら行動してください。
- ※記事中の情報は2025年11月時点のものです。
- ※列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
- ※花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
- ※店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
- ※同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。

