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久住 昌之 Kusumi Masayuki (文・写真・画)

東京都出身。ドラマ化された『孤独のグルメ』(谷口ジローとの共著・扶桑社)、『花のズボラ飯』(水沢悦子との共著・秋田書店)ほか、漫画、エッセイ、音楽など多方面で創作活動を展開中。

大鰐線 おおわにせん

大鰐駅(青森県大鰐町)から中央弘前駅(弘前市)までの13.9㎞、14駅を結ぶ。 大鰐温泉と弘前市街をつなぐ路線はJR奥羽本線もあり、一時は廃線の検討もなされたローカル線である。

 松木平駅。「まつきたい」と読む。ら抜きか。もちろん無人駅。越えたところに農家直売の野菜売り小屋。車だったら絶対買う。そういう気持ちになっている。収穫の秋を浴びるようにして歩いている。

 「千年公民館」。なんだろう。すごい公民館だ。と思ってしばらく歩いたら千年駅があった。ちとせ、と読むのか。でも小さいのに妙な貫禄のある駅だ。カーテンは閉まってたが、有人の券売所もある。


千年の歴史、はないだろうけど、
名前のせいか貫禄さえ感じてしまう千年駅の姿

 千年駅を過ぎたあたりから、だんだん市街地っぽくなって来た。商店や飲食店が現れた。そうか、大鰐でもやしラーメンが食べられなかったら、ここまで飲食店なし。あらためて山崎食堂に感謝。

 「楠美歯科」という大きな歯科医院。字は違うけどどうしてもクスミに反応してしまう。

 弘前学院大前駅は、駅も2階建てで大きくその周りは賑やかだった。学生向けと思われるアパートがたくさんある。すぐ大学も現れた。学園祭が近いようだ。構内の樹々に紅葉が始まっている。見るからに大学生、という大学生が歩いている。弘前のキャンパスライフ、どんな感じなんだろう。木造モルタル造りながらきれいで規模の大きそうな「さいとう下宿」の大きな看板。下宿。東京ではほとんど死語だ。でもなんだか下宿生活も楽しそうだ。コタツなんかありそうで。若者ばかりで。夜更かし、飲み会、恋愛……。

 やがてマンションが現れ、終点の中央弘前駅に到着。時刻は15時22分。リンゴと稲に力をもらい、久々の全線踏破だ。


中央弘前駅停車中の車両。前面の色は数種あるようだ。
どれも乗りたかった

※「旅の手帖」2015年12月号より掲載しました。

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