『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

栄光の新幹線シリーズ(4)東北・上越・山形新幹線 200系・400系車両 昭和57年6月23日、雪国向けに耐寒耐雪構造を強化した200系が登場。今回は東北・上越・山形新幹線の初代車両にスポットを当てて紹介します。(文=結解喜幸 写真=結解学)

What's ミニ新幹線

 国鉄の軌間(線路幅)は新幹線1435mm在来線1067mmで異なるため、新幹線と在来線の車両は相互に直通運転ができませんでした。フル規格の線路を新規に建設するには費用がかかるため、新幹線の分岐駅から在来線の施設を活用して新幹線との直通運転ができないかと考えたのが「ミニ新幹線」方式です。在来線の線路幅を新幹線と同じ1435mmに改軌し、新幹線の車両を直通させる方式ですが、在来線のトンネル施設などを使用するため車両限界などは在来線と同じにする必要がありました。
 そこで、在来線の車体サイズに新幹線と同じ軌間1435mm用の台車を履いたミニサイズの新幹線車両で運転することになり、日本初の新在直通運転となる山形新幹線用の400系車両が製造されました。
 在来線区間は最高速度130km/hでの運転となりますが、新幹線区間では最高速度240km/hの新幹線車両として運転でき、車体はミニでも性能は新幹線という高性能車両となっています。このため、普通車車内の座席配置は新幹線が3+2席のに対し、在来線の特急車両と同じ2+2席となっており、3人掛けの中央席がないので新幹線車両と併結する列車ではミニ新幹線車両の号車を指定する人がいます。
 平成4年7月1日から山形新幹線東京〜福島〜山形間で400系「つばさ」、さらに平成9年3月22日には東京〜盛岡〜秋田間でE3系「こまち」が運転を開始しました。平成11年12月4日には山形新幹線が新庄まで延伸開業し、奥羽本線福島〜山形〜新庄間および田沢湖線盛岡〜大曲間を走る普通・快速列車も軌間1435mmの台車を履く専用車両が運用されています。
 しかし、貨物列車や普通列車など軌間1067mmの台車を履いた車両が入線する必要がある区間では、在来線の線路の外側に1本の線路をプラスした3線軌道区間を設置。開業当時は奥羽本線蔵王〜山形間や神宮寺〜峰吉川間が1435mmと1067mmの両方の車両に対応した3線軌道区間になっています。

耐寒耐雪構造を強化した東北・上越新幹線用200系が登場

 東海道・山陽新幹線に続く新たな新幹線として、「ひかりは北へ」のキャッチフレーズで建設が進められたのが東北新幹線および上越新幹線です。上越国境を長大トンネルで越える上越新幹線は工事が難航し、中山トンネルの出水事故によるルート変更などもあり、まずは東北新幹線大宮〜盛岡間が開業することになりました。
 昭和57年(1982)6月23日、東北新幹線大宮〜盛岡間が先行開業し、同区間を3時間12分で結ぶ「やまびこ」が運転を開始しました。同年11月15日には上越新幹線大宮〜新潟間が開業し、同区間を1時間17分で結ぶ「あさひ」が登場しました。
 そして、豪雪地帯を走る東北・上越新幹線用として開発されたのが、0系車両に耐寒耐雪構造を取り入れた200系車両です。先頭スタイルは0系を踏襲していますが、0系が鋼製であるのに対し200系はアルミ合金製で、さらに雪害対策として床下もカバーで覆うボディーマウント構造を採用しています。車体はクリーム色に緑の帯をデザインしたため、登場当時は「緑の疾風」とも呼ばれていました。
 なお、昭和39年(1964)10月1日の登場時以来、東海道新幹線車両は「新幹線電車」と呼ばれてきましたが、東北・上越新幹線用が200系になったのに伴い、はじめて「0系」という系列名が制定されました。100系が飛ばされているのは、百の位が奇数は東海道・山陽新幹線、偶数が東北・上越新幹線としたためです。

東北新幹線用として耐寒耐雪構造を強化して登場した200系は「緑の疾風」と呼ばれていた

雪景色の上越国境を走る上越新幹線。登場当時は「あさひ」「とき」の愛称で活躍していた

ビュッフェ車を組み込んだ200系車両の車内設備

 登場時の200系の基本編成はグリーン車1両+普通車10両+半室ビュッフェ車1両の12両編成で、グリーン車は2+2席配置のリクライニングシート、普通車には3+2席配置のリクライニングシートが設置されています。
 普通車の座席は0系で試用されたオレンジ色のモケット地の簡易リクライニングシートで、3人掛けの座席は中央部分を境に壁に向かって座席が固定されたものとなり、半分の座席が逆向きで走ることになっています。0系登場当時は転換クロスシートで向きは変わりましたが、リクライニング機能がありませんでした。これは東京〜新大阪間が3時間10分であることや、当時の技術では回転させることが不可能であったためです。
 また、12両編成の9号車に連結された半室ビュッフェ車は、東海道新幹線の0系と同じ立食スタイルですが、列車の現在のスピードを示す速度計がデジタル式になっています。ビュッフェ車内では飲み物や軽食が楽しめますが、電子レンジ対応食品やレトルトパックがバラエティ豊かなメニューを提供しています。
 なお、その後に増備された車両では普通車の座席がリニューアルされ、東海道・山陽新幹線の100系と同じ3人掛けも回転できるリクライニングシートを取り付けた車両が登場しました。登場当時は編成中の先頭車両のみということもあり、このタイプの車両では先頭車に人気が集中しました。

200系登場当時の普通車車内。3列側の座席は固定式で、中央を境に壁側を向いている

200系に組みこまれたビュッフェ車。運転時間が短いことから食堂車は製造されなかった

次のページへ

バックナンバー

このページのトップへ