『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

『フルムーン夫婦グリーンパスで行く 世界遺産ふたり旅~遥かなる時を超えて 7つの世界遺産を周遊する2500キロの旅~』夫婦の合計年齢が88歳以上で利用できる「フルムーン夫婦グリーンパス(以下、フルムーンパス)」。JR全線が乗り放題、しかも、新幹線を含めて快適なグリーン車に何度でも乗車できる(一部例外あり)。そんなフルムーンパスを使って、日本の14ある世界遺産のうちの7つを縦横無尽、ご当地グルメにも舌鼓。リッチでお得な「大人の修学旅行」に出かけよう。

  • 1日目 日光日帰りで夫婦円満祈願
  • 2日目 厳島神社と広島の旅
  • 3日目 奈良・斑鳩 古都の社寺へ
  • 4日目 高山・奥飛騨 名湯でゆったり
  • 5日目 白川郷に感動 帰路へ

1日目 東照宮・輪王寺・二荒山神社 夫婦円満、日光日帰りの旅 東北新幹線・日光線[東京⇔日光]

  • 「やまびこ」にも使用される東北新幹線E2系グリーン車。乗り心地抜群。「やまびこ47号」は「こまち」タイプと「はやて」タイプの合体型

  • レトロ調の塗装が似合う日光線の電車。三猿や眠り猫など日光がモチーフになっている

  • 日光市街と日光山内の境、大谷川。清流にかかる神橋の朱塗りに映える姿はおごそかだ

  • 日光東照宮にある彫刻で最も有名な「眠り猫」。国宝で、左甚五郎作と伝えられている

  • 日光の新名物、生ゆば豆乳ラーメン。名水仕立ての豆乳スープがマイルドなお味でした

  • 日光の帰り、ギョーザで有名な宇都宮駅で途中下車。駅でおいしいギョーザが味わえる

 清冽な大谷川(だいやがわ)の流れ、清々しい杉並木、壮麗な東照宮を前に人は謙虚な気持ちになっていく……。

 東京駅9時32分発「やまびこ47号」は僅か50分で宇都宮に着く。日光線ホームで待つ電車はレトロ調の色合いがよく似合い、標高110mほどの宇都宮から標高533mの日光駅まで軽快に登っていく。およそ40分で到着した日光駅の素晴らしさ。世界遺産の玄関にふさわしい端整でレトロな雰囲気だ。日光ではクラシックホテルでランチもよし、新名物の生ゆば豆乳ラーメンを食べるのもよし。豆乳仕立てのスープは優しい味だ。

 世界遺産、日光の社寺。徳川家康を祀る東照宮では、左甚五郎作と伝えられる国宝「眠り猫」は必見。真正面よりも、やや左から見たほうが生き生きとした表情に見える。輪王寺にも立ち寄り、そして、夫婦杉そびえる二荒山神社にも足を運びたい。

 名水で知られた日光。おみやげには名物の水羊羹も。地元では一年を通して食べるという。全線開業120年を迎えた日光線で再び宇都宮へ。すぐに新幹線に乗り換えず、有名な宇都宮餃子を味わってみたい。駅にも餃子店が並び、焼きたての餃子に生ビールは最高だ。列車の変更も自在にできるフルムーンパス。みどりの窓口で少し後の列車に変更してもらえば、おかわりの餃子もゆっくり食べられる。

 新幹線は速い。宇都宮から東京までは食後の一休みをするうちに着いてしまう。

1日目●乗車距離:300 km 運賃合計2人分:2万8120円

モデルコース

日光の社寺めぐり(日帰り)自宅泊
1日目 駅名 時間 メモ
東京 発 09:32 東北新幹線【やまびこ47号】 グリーン車
宇都宮 着 10:23 在来線に乗り換え
宇都宮 発 10:35 日光線・普通電車 レトロ調の塗装が似合っています
日光 着 11:17 端整な日光駅の駅舎をバックに記念写真をお忘れなく
世界遺産・日光の社寺へ 国宝の「眠り猫」も必見です
日光 発 17:07 日光線・普通電車 日光がモチーフの車両です
宇都宮 着 17:49 ちょっと途中下車。名物の餃子に生ビール!宇都宮といえば餃子。駅で本格的な餃子が味わえます
宇都宮 発 19:06 東北新幹線【Maxやまびこ126号】 グリーン車
東京 着 19:56 たった50分でもう東京駅

旅のメモ

観光の問合せ
日光観光協会 TEL 0288-54-2496

日光、けっこう、いい夫婦

 日本には2010年現在、世界遺産が14件もある。それらは北から順に、「知床」、「白神山地」、「日光の社寺」、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」、「古都京都の文化財」、「古都奈良の文化財」、「法隆寺地域の仏教建造物」、「紀伊山地の霊場と参詣道」、「姫路城」、「石見銀山遺跡とその文化的景観」、「広島の平和祈念碑(原爆ドーム)」、「厳島神社」、「屋久島」、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」。どこを訪ねても意義深い旅になるのは言うまでもないが、なかでもフルムーンパスで旅する夫婦にとって、日光の社寺めぐり、特に二荒山神社の参詣はお忘れなく。

 二荒山神社の境内には御神木の杉の巨木がそびえているが、寄り添うように立つ夫婦杉もここにある。「夫婦円満の御神木」とされ、二人で祈願すればもっといい夫婦になれるかもしれない。夫婦円満御守などもあり、世界遺産の地で、夫婦杉の凛とした姿とともに夫婦の歩んできた歴史を振り返ってみるのもいい。

2日目 海に浮かぶ厳島神社、そして広島 世界遺産とグルメの旅 東海道山陽新幹線・宮島フェリー[東京⇒広島・宮島]

  • 広島で在来線に乗り換え、山陽本線の電車で約25分。宮島の玄関、宮島口へ向かう

  • JR西日本宮島フェリーの船。日中の時間帯は15分間隔で運航されていて、とても便利だ

  • 世界遺産、厳島神社。満潮時、壮麗な社殿はまさに海に浮かんでいるよう。宮島の鹿たちは穏やかな表情。カメラを向けると「ニコッ」と笑う?鹿も

  • 食欲の秋。安芸の宮島では、名物の「焼き牡蠣」も食べたい。大ぶりの身がプリプリ!

  • 世界遺産、原爆ドーム。あの日から65年、平和の大切さをあらためてここで考えてみたい

  • 広島市内で食べた本場「お好み焼き」。目の前の鉄板で焼く光景はショーのように面白い

 食欲の秋。安芸の宮島はおいしい食べものでいっぱいだ。とりわけ地元、地御前(じごぜん)産の牡蠣を味わってみたい。東京発6時26分「ひかり501号」で早出するのは、お昼を宮島でいただくため。東海道新幹線は他の新幹線に比べトンネルが少なく、グリーン車からの眺めが一番いい。ただ、朝は進行方向左手、海側のAB席は日差しが入る。富士山側、山側のCD席なら日焼けの心配もほとんどなく、女性のお肌にも優しい旅ができる。フルムーンパスで座席の指定を受ける際、CD側の席をさりげなくリクエストするとご主人の株が上がるかもしれない。

 新大阪からは高速で人気の「ひかりレールスター」の旅。1時間半で広島に着く。在来線に乗り換えて宮島口へ行き、いよいよ船で宮島へ。フルムーンパスならJR西日本宮島フェリーが利用でき、10分の船旅とはいえ、大鳥居寄りの航路で厳島神社のパノラマが楽しめる。宮島では牡蠣や穴子めしに加え、できたての「もみじ饅頭」もぜひご賞味を。

 世界遺産、厳島神社。現在の社殿は平清盛によって造営されたもの。満潮の時、海上に浮かぶ回廊は極楽浄土のように華麗だ。干潮の時は朱塗りの大鳥居まで歩いて行くことができ、奈良の大仏とほぼ同じ高さだという大鳥居(高さ16m)を間近で実感できる。

 宮島を堪能し広島へ。唯一の被爆国である日本。原爆ドームや平和公園を訪ね、平和の大切さを噛みしめたい。

2日目●乗車距離:939.8km 運賃合計2人分:5万8960円

モデルコース

安芸の宮島へ (3泊4日旅の1日目) 広島泊
2日目 発着駅 時間 メモ
東京 発 06:26 東海道新幹線【ひかり501号】 グリーン車 (300系)
新大阪 着 09:30 山陽新幹線に乗り換え
新大阪 発 09:59 山陽新幹線【ひかり553号ひかりレールスター】 サイレンス・カーなど
広島 着 11:28 在来線に乗り換え
広島 発 11:49 山陽本線・普通電車
宮島口 着 12:16 フェリー乗り場へ
宮島口 発 12:25 JR西日本宮島フェリー
宮島 着 12:35 JRのフェリーは大鳥居に近い航路
宮島、厳島神社へ 名物の「牡蠣」や出来たての「もみじ饅頭」も
宮島 発 15:40 JR西日本宮島フェリー
宮島口 着 15:50 わずか10分の船旅も楽しいもの
宮島口 発 16:04 山陽本線・普通電車
広島 着 16:32 市内電車で原爆ドームへ
原爆ドームを訪ね、夕食には名物の「お好み焼き」も

旅のメモ

観光の問合せ
宮島観光協会 TEL.0829-44-2011
広島観光コンベンションビューロー TEL.082-247-6916

フルムーン流“節約術”

 こんな時代、誰もができれば節約をと考えるもの。高速の新幹線が利用でき、快適なグリーン車にも乗れるフルムーンパスだからこそ、実は節約も自由自在で楽ちんだ。

 このプランでは、2日目に広島で宿泊せず、東京まで戻ってしまうのも一案。自宅をホテル代わりにすれば宿泊費が浮く。広島から17時15分発「ひかり572号」で新大阪へ、そして、新大阪19時13分発「ひかり530号」に乗れば22時10分には東京に到着。

 もし原爆ドームに立ち寄るなら、宮島を少し早めに発ち、宮島口駅から広島電鉄で広島駅へ向かう方法も。これなら原爆ドーム前の電停に停まり、歩いてすぐだ。翌3日目、東京7時33分発「ひかり503号」に乗車すれば新大阪には10時30分に着き、もとのプランに復帰できる(京都で下車し奈良線で奈良へ向かうのもOK)。

 節約して浮いたお金はどうしよう? 最終日の温泉宿の、豪勢な夕食にあててみるのもフルムーンらしい"プチ贅沢"だと思う。

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