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JRでおトクに行く 決定版! 湯ったり満足温泉旅【前編】

  • 幾重にも連なる山並みの麓 文学の香り漂う素朴ないで湯『天城温泉郷』
  • 手つかずの自然が残る山の中で 湧き出たままの湯に浸る『奥鬼怒温泉郷』

幾重にも連なる山並みの麓 文学の香り漂う素朴ないで湯『天城温泉郷』[静岡県伊豆市]

温泉美容達人もハマるここでしか出会えないお湯の魅力

 鳴子温泉郷の魅力は個性的な温泉が多いこと。黒・白・赤・緑・青・紅茶色と多彩な色だけでなく、感触もつるつる、すべすべ、ヌルヌル、さらさら、きゅるきゅる、あわあわ、こってり。香りだって硫黄臭のみならず、木材臭、金っ気、油臭……。もうあらゆるボキャブラリーを駆使しないと鳴子温泉郷は語れない。ここにまず温泉達人をも魅了する鳴子の理由がある。

 しかし、リピーターになるとさらにお湯だけじゃない鳴子の奥深さにはまることになる。商店街が楽しいから、人が温かいから、というと当たり前の言葉のようだが、例えば「この店のシュークリームが食べたいから」「この魚屋さんの手作り塩辛で一杯の飲みたいから」「このおじさんのこけし作りをぼーっと眺めたいから」、さらには「この部屋のこの畳の上で大の字になりたいから」などなど。例えをいえばきりがない。ともかく、鳴子に行かないと気がすまなくなってしまうのだ。

 そんな鳴子にどっぷりはまる美肌旅の始まりは、鳴子の原点、温泉神社のご神湯を引く千年湯「滝の湯」。酸性の硫黄泉に負けない総ヒバ造り、釘を使わず造り上げた芸術品級の共同湯だ。近隣の宿泊客には入浴券が支給される。ここには神の湯を大切に愛してきた鳴子の人々の心意気が生きている。隅々まで手入れされた心地よいお湯。3本の太い丸太の樋から滝落としされる源泉。手前の湯船は44度ほど、打たせ湯もできる奥の湯船は39度ほどだが、これに交互に入って決して長湯せず、すかっと出て行く地元の人たちの姿が実に粋なのだ。まずはこの滝の湯でお肌に"渇"を入れ、身体のめぐりを良くしてから鳴子の湯めぐりを始めるのが定番だ。

 女性のひとり旅にもおすすめしたいお宿が、川渡(かわたび)温泉「山ふところの宿みやま」。金山杉の新館はすっきりとしたインテリア、和室の畳は生麻(きあさ)使いでご主人のこだわりとセンスを感じる宿である。黒い湯船に褐色のお湯、47.2度の自家源泉をそのまま注いでいる(寒冷期のみ加熱あり)ので、やや温めのお湯で長湯できる。木炭のような木材臭がまるで森林浴のようなアロマセラピー作用となって肌も心も癒される温泉だ。


"神の湯"と呼ばれる共同湯「滝の湯」は鳴子のランドマーク。7:30~22:00 150円


竜神様もいらっしゃる鳴子温泉の原点「温泉神社」は散歩の定番


「山ふところの宿 みやま」の新館の館内は金山杉。新館での宿泊は1日3組までのみ


「みやま」の山里料理。地元の畑直送の野菜には大地のパワーがぎっしり

ハイキングでかいた汗は意匠を凝らした露天風呂で流す

 鳴子温泉商店街にはコンビニがない。商店街を歩けば何でも揃うので、通り全体がいわばコンビニみたいなものだ。住民も、湯治客も、そして旅人も、みんなが利用するので土産物屋や飲食店だけでなく、電気店、魚屋、肉屋、花屋、酒屋、豆腐屋など生活に密着した店が混在していて実に楽しい。

 平成20年4月に鳴子温泉駅前の路地にオープンした「好日館」は町の人たちが自主運営する無料休憩所で、オリジナルの「いいっ茶いいっちゃ」は古代米・黒豆の真っ黒いお茶。鳴子のお湯みたいに温かくて美味しい。鳴子御殿湯駅でもお馴染み、大野隆司氏が描く猫の苦消しの鳴子オリジナル製品も揃う。

 青い温泉があるという「旅館すがわら」にも立ち寄った。ぬるぬるツルツルのお湯、青くなる理由は「メタケイ酸」。含有量498.6mg/kgと中山平温泉の「しんとろの湯」と並ぶ多さだ。メタケイ酸は温泉の中の天然保湿成分で、お湯の感触をまろやかにしてくれる美肌のサポーター。これが結晶していくとお湯が青く変化することがある。
 商店街散歩の途中で立ち寄り湯。オモシロすぎます! 鳴子温泉。


鳴子温泉商店街では500円玉で買える「ワンコインプロジェクト」が実施中。懐かしのこけしタオルセット、地酒セット、500円の宮城産「ひとめぼれ」などなど多彩


時間の経過や天候で湯の色が変わる自家源泉「七変化の湯」で知られる「名湯の宿 鳴子ホテル」。足湯が付いた洋室の部屋もある


8つのお風呂を持つ「旅館 大沼」の、天女が描かれた薬師千人風呂。混浴で、水音が響き、お湯の香りに癒される

旅のDATA

■山ふところの宿 みやま
宮城県大崎市鳴子温泉字要害91 
TEL.0229-84-7641
1泊2食 新館1万6950円~ 本館8550円
JR陸羽東線川渡温泉駅からタクシー5分
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■名湯の宿 鳴子ホテル
宮城県大崎市鳴子温泉字湯元36
TEL.0229-83-2001
1泊2食 足湯付き客室プラン2万2050円~、温泉バイキングプラン1万500円~
日帰り入浴 11:00~14:00、大人1000円
JR陸羽東線鳴子温泉駅から徒歩5分
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■旅館 大沼
宮城県大崎市鳴子温泉字赤湯34 
TEL.0229-83-3052
1泊2食 本館A 1万3800円、本館B 1万1700円、湯治館C 9390円
日帰り入浴 大人500円
JR陸羽東線鳴子御殿湯駅から徒歩5分
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☆POINT☆

 連続する土休日2日間有効のウィークエンドパス。フリーエリアを最大限活用することで、こんなにおトクになります。特急券を別途購入すれば、新幹線や特急列車にも乗車できます。

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 さらにゆったり滞在したい方には、スリーデーパスがおすすめ。

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旅のMEMO

観光の問合せ
鳴子観光・旅館案内センター TEL.0229-83-3441

※ 掲載されているデータは平成22年6月現在のものです。
※ 月刊『旅の手帖』2009年1月号より転載、再構成。



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