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車窓で旅する日本列島:釧網本線

地図

路線図

広大な湿原をひた走る

 釧網本線は、東釧路駅から川湯温泉駅を経て網走駅に至る全長166.2kmの路線。釧路湿原の中を走り抜け、オホーツク海に沿って走る風光明媚な路線として人気が高い。まずは、釧路駅から知床斜里駅まで、釧路湿原を中心とした車窓の旅を楽しんでみよう。

 釧路駅を発車した列車は、湿原の中を蛇行して流れてきた釧路川を渡り、根室本線との分岐点・東釧路駅へ。しばらく国道と併走し、遠矢駅を通過するといよいよ車窓左に、大パノラマが展開する。総面積26861ha(ヘクタール)、昭和62年(1987)に国立公園に指定された、日本最大の湿原・釧路湿原。湿原の先には雄阿寒(おあかん)岳、雌阿寒(めあかん)岳も望め、絶景を楽しめる。

 ログハウスの釧路湿原駅は5~11月のみ列車が停まるシーズン駅だ。釧路湿原観光の拠点で、観光案内所や売店もある。次の細岡駅を発車すると、車窓右に達古武沼(たっこぶとう)が望め、ほどなくして車窓左に蛇行して流れる釧路川が近づいてくる。釧路川はカヌーツアーが盛んで、車窓からもカヌーを楽しむ姿を見ることができる。

 列車はやがて、釧路湿原最大の湖・塘路湖近くの塘路駅へ。この先、五十石駅あたりまで釧路湿原がつづく。標茶駅を過ぎ、磯分内駅、南弟子屈駅、摩周駅へと進む。このあたりは車窓に牧場と草原がつづく。

 川湯温泉駅は、摩周駅と同様、屈斜路(くっしゃろ)湖や摩周湖などへの下車駅。川湯温泉駅からの勾配区間を上り、トンネルを抜けると、今度は森の中を下り走り始める。徐々に畑が多くなると札弦駅。さらに進んで清里町駅、中斜里駅など抜け、知床半島への玄関口・知床斜里駅へと到着する。

 春から秋にかけては釧路駅~塘路駅間で「くしろ湿原ノロッコ号」が運転され、車窓風景がとくに素晴らしい区間では“日本一遅い”スピードで走る。釧路湿原からの風を肌に受け、大自然を堪能するのもいい。

間近に迫るオホーツク海

 つづいて、冬のオホーツク海を中心とした車窓をご紹介しよう。今度は釧網本線の終着駅・網走駅から知床斜里駅まで、逆方向からの旅。こちらは、夏の釧路湿原とは対象的でありながら、ともに北海道を代表する大自然を満喫できる車窓だ。網走駅を発車してしばらく市街地を走り、桂台駅、鱒浦駅と進んで市街地を抜けると、車窓左はもうオホーツクの海で、例年、2月頃には、流氷が接岸しているダイナミックなシーンが望める。このまま列車は知床斜里駅付近まで、オホーツク海に沿って進む。

 藻琴駅を過ぎるとやがて、オホーツク海にもっとも近い駅・北浜駅に到着する。列車を降りて、駅の展望台から列車と流氷を眺めたり、駅舎内の喫茶店「停車場」で、コーヒーを飲みながら景色を楽しむのもいいだろう。北浜駅のほか、藻琴駅や止別駅、浜小清水駅にも駅舎内に食堂があり、「オホーツクグルメライン」と呼ばれている。カニやホタテ、エビなどの魚介類を使ったメニューで、オホーツクの幸を堪能したい。

 北浜駅を発車すると、車窓右に広大な凍てつく濤沸(とうふつ)湖。夏にはエゾキスゲなどが咲き誇る小清水原生花園の砂丘の中を、列車は進む。5~10月に開設される臨時駅・原生花園駅を通過し、浜小清水駅に停車する。駅舎は、道の駅「はなやか(葉菜野花)小清水」の建物に併設しており、近隣の観光情報が入手可能。また、屋上のテラスからは、オホーツク海や知床連山が一望できる。さらに止別駅を過ぎたあたりが、流氷のハイライト。車窓からは刻々と変わる流氷の姿を堪能できる。ほどなくして列車は知床斜里駅へと到着する。

 冬期には、この区間を「流氷ノロッコ号」が運転され、大きな窓からはオホーツク海の流氷や知床連山が見渡せる。車内にはダルマストーブも設置され、旅情豊かな列車として人気が高い。

冬期に釧路駅~標茶駅間で運転される「SL冬の湿原号」。C11形SLが牽引するレトロな車両で雪の湿原を楽しめる

車窓に広がる、流氷のオホーツク海。知床斜里駅~止別駅。「流水ノロッコ号」車内にはダルマストーブがあり、売店で買ったスルメを焼くこともできる

世界遺産・知床の玄関口、知床斜里駅。駅ホームでは、冬のオホーツクの風物詩・鱈干しを再現

北浜駅には丸太づくりの展望台があり、天気がよければ知床連山が望める

北浜駅待合室。壁には、訪れた人々のメッセージがびっしりと張られている

細岡駅~塘路駅間を走る「くしろ湿原ノロッコ号」と夏の釧路湿原。釧路湿原は、山手線がすっぽり入ってしまうほどの、日本一広大な湿原だ

素朴な木造駅舎の藻琴駅。軽食&喫茶「トロッコ」がある

オホーツクグルメラインのひとつ、止別駅「ラーメンきっさ えきばしゃ」。海の幸たっぷりの駅長ラーメン

朝日に照らされた、オホーツク海の流水

釧網本線

 根室本線の東釧路駅と石北本線の網走駅を結ぶ、営業キロ166.2kmの単線・非電化路線。網走側は網走本線の一部として大正13年(1924)11月に網走駅~北浜駅間が開通、翌年には斜里駅(現・知床斜里駅)に達した。

 一方、釧路側からは釧網線として昭和2年(1927)9月に別保駅(現・東釧路駅)~標茶駅間が開通、同6年9月に東釧路駅~網走駅間が全通した。

 昭和33年6月、釧路駅~川湯駅(現・川湯温泉駅)間に気動車準急「摩周」が設定され、線内最初の優等列車となる。現在は普通列車、快速「しれとこ」が運転されているほか、冬期には「SL冬の湿原号」や「流氷ノロッコ号」が、春から秋には「くしろ湿原ノロッコ号」が運転される。

 普通列車は、1往復を除いて、キハ54形またはキハ40形ディーゼルカーの1両編成で運転されている。

知床斜里駅~止別駅間を走るトロッコ列車の「流氷ノロッコ号」。2月を中心に知床斜里駅~網走駅間で運転

※掲載されているデータは平成21年12月現在のものです。詳しい運転時刻については『JR時刻表』をご確認ください。

次回は、「東海道本線」(予定)です。

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