『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

茨城県では「歴史・文化・自然・食」をもっと知ってもらおうと、
3月まで冬期観光キャンペーン「知らないなんてもったいない!いばらき」を実施中。
春の足音が聞こえてきたら、春めく茨城県の、未知の魅力を見つけに行こう。
 知らないなんてもったいない。茨城県を知れば知るほど、その言葉が頷ける。ということで、上野駅から特急を使えば最短1時間5分で行ける水戸市と笠間市の魅力を紹介したい。
 笠間市といえば、関東屈指の陶芸の町。江戸時代中期に製陶が始まり、江戸に近いことから甕や鉢などの日用雑器を主に製造した。普段でも、製陶ふくだのように気軽に陶芸体験できる窯元があるのもうれしい。
 左党にとって、酒蔵が多いのも魅力。須藤本家は平成28年の伊勢志摩サミットの夕食に純米大吟醸酒を提供。磯蔵酒造は全国新酒鑑評会をはじめ、3つの鑑評会の6部門に出品し、全部門で受賞するなど、実力派の酒蔵だ。そんな笠間の地酒は松榮鮨(まつえいずし)ほか市内の飲食店、割烹旅館 城山などの宿泊施設でも味わえるのでぜひ試したい。
 スイーツで人気のクリも、生産量日本一は茨城県。特に岩間地区のクリは適度な大きさで風味が強い。栗専門店の小田喜商店では、賞味期限45分の「もんぶらん」が土・日曜限定で販売され、予約が殺到している。
 地元でも知る人ぞ知るスポットは稲田地区の石切山脈だ。稲田石(御影石)の採石場跡で、湧き水湛える湖のほとりに岩壁がそそり立つ絶景はまるで別世界。きっと驚くことだろう。
 水戸市は水戸徳川家のお膝元で、偕楽園、弘道館などの見どころが多い。食では2代藩主・徳川光圀公ゆかりの黄門料理がおすすめ。とう粋庵(すいあん)ほか市内9店舗で味わえる。ひと休みするなら水戸プラザホテルのカフェ&バー・プラザが穴場。都内ならば数千円はしそうな豪華なアフタヌーンティーセットが1800円で楽しめる。茨城県の魅力は尽きないが、あとは現地でのお楽しみ。春の旅先は、茨城で決まり!
巨大な岩壁が目の前に広がる

いしきり山脈(笠間)

国会議事堂、最高裁判所、日本橋などの建材に使われた稲田石。白く美しい御影石(花崗岩)で、経年変化がほとんどないことから好まれた。採石場跡は今、絶景スポットとして注目を集めている。現役の採石場も事前予約すれば見学できる。
TEL:0296-74-2112(想石)/9:00~16:30、不定休(要確認)/見学無料/茨城県笠間市稲田4260-1/JR水戸線稲田駅から徒歩20分

平成16年から平成26年まで採石されていた採石場跡。水面から最深部までは約30メートルの深さがある。撮影/川崎秀典

平安時代後期から続く蔵元

須藤本家(笠間)

商品は純米大吟醸酒のみ。収穫後5カ月以内の地元産酒米と敷地内の井戸水を使い、昔ながらの寒仕込みを続けている。搾ったあとに自然の沈殿を待ち、澱だけを取り除く無ろ過にもこだわっている。日本酒通には山桜桃(ゆすら)720ミリリットル2879円。
TEL:0296-77-0152/9:00~17:00(蔵見学は10:00~15:00。要予約)、日曜・祝日休・土曜は不定休/茨城県笠間市小原2125/JR常磐線友部駅から車10分

上/酒蔵内のサロンでは酒造りの工程や酒蔵の歴史などを解説。試飲、チーズなどとのマリアージュが楽しめる
下左/木を切るなという代々の教えを守り、酒蔵は立派なケヤキの木々に囲まれている
下右/日本酒の魅力をいち早く海外に伝えた55代当主の須藤源右衛門さん

人気銘柄「稲里」で知られる

磯蔵酒造(笠間)

「蔵人とは半年間、蔵で寝起きして仕込み中の酒の面倒を見る人のことをいいます」とは社長の磯貴太(たかひろ)さん。この蔵では“蔵人”が地元の酒米と蔵内の石透水(地下水)を使い、旨い酒を醸している。稲里純米山田錦720ミリリットル 1944円。
TEL:0296-74-2002/9:00~18:00、無休/茨城県笠間市稲田2281-1/JR水戸線稲田駅から徒歩3分

上/磯貴太さん(左)の解説を聞き試飲を楽しむ。常時7種類前後を用意
下/1日2組限定の予約制で酒蔵見学も行っている。所要時間は約1時間30分

王道の寿司で地酒を!

まつえい(笠間)

東京の築地玉寿司本店を皮切りに、海外でも修業した店主・臼井幸紀さんが腕を振るう。豊洲市場から仕入れた最高の素材をカウンターで味わう店主のおまかせは1人前1万6200円~。須藤本家、磯蔵酒造の銘酒もそろえているので旬の料理とあわせて楽しみたい。
TEL:0296-77-0317/12:00~14:00・17:00~22:00、月曜休/茨城県笠間市東平1-1-21/JR常磐線友部駅から徒歩3分

上/コース料理4320円~で提供されるNYスタイルの料理
下/昔ながらの店構え。洗練されたオリジナル料理が自慢

伝統の窯元で自作の器を

製陶ふくだ(笠間)

寛政8年(1796)に初代義右門(ぎえもん)が信楽(しがらき)から来た陶工・園部善六から窯を買い取り、当代6代目の義右門勝之さんまで、窯の火を焚き続けている。笠間藩御用達の仕法窯(しほうよう)の1つでもある。近年は納豆を混ぜやすくした納豆鉢も人気。
TEL:0296-72-0670/9:00~17:00、無休/茨城県笠間市下市毛754/JR水戸線笠間駅から徒歩15分

上/指導を受けながらのろくろ体験(要予約/所要1時間)。茶碗なら3000円前後(送料別途)で、オンリーワンの器を作ることができる
下/納豆鉢は使い勝手を考えて進化し、初代~5代目の5タイプがある。各864円

旬の会席料理でもてなす

割烹旅館 しろやま(笠間)

元料亭の雰囲気を残した料理自慢の宿。月替わりの会席膳のほか、最高級ブランド和牛の常陸牛コースやアンコウ鍋(冬期限定)をオプションで用意している。男女入れ替え制の大浴場に浮かべられたバラの花に癒やされる。
TEL:0296-72-0861/1泊2食1万5500円~/8室/茨城県笠間市笠間14-1/JR水戸線笠間駅から車3分

上/元料亭らしい落ち着いた雰囲気が漂う、隠れ家的な宿
下左/窓から笠間を代表する佐白山(さしろさん)が望める客室「筑波」
下右/茨城県産の旬の食材を使った、見た目も美しい会席膳

年間200トンものクリを扱う専門店

商店(笠間)

日本が原産の「日本栗」をこよなく愛する小田喜保彦さんが開発したオリジナル栗菓子がいっぱい。蒸した日本栗に砂糖を加えて軽く焼いた栗菓子「ぎゅ」は、口中に上品な甘さと焦がしカラメルとクリの濃厚な香りが広がる逸品だ。
TEL:0299-45-2638/10:00~18:00(土・日曜は~17:00)、月曜・祝日休/茨城県笠間市吉岡185-1/JR常磐線岩間駅から徒歩15分

上/栗菓子「ぎゅ」553円。1片横20ミリ×縦40ミリ×高さ17ミリの大きさで1袋3片入り
下/岩間で生まれ育った栗好きの小田喜保彦さん(右)・かおりさん

午後の優雅なひとときを過ごす

水戸プラザホテル(水戸)

吹き抜けの空間に、多くの木々を配したアトリウムガーデン・パークにカフェ&バー・プラザがある。アフタヌーンティーセットはケーキが月替わりで、イチゴやメロンなどの果物は主に茨城県産が使われる。
TEL:029-305-8180/カフェ&バー・プラザのカフェタイムは10:00~20:00(アフタヌーンティーセットは12:00~16:00)、無休/茨城県水戸市千波町2078-1/JR常磐線水戸駅から無料シャトルバス15分

左/ガラス天井から太陽の光が差し込む空間は、まるで森の中の雰囲気
右/数量限定のアフタヌーンティーセット1800円は予約がおすすめ。プラス200円でドリンク飲み放題

地産地消を目指す現代風の黄門料理

とう粋庵(水戸)

徳川光圀公の食事を文献で調べ、現代風にアレンジした黄門料理。平成20年に元祖店が閉店し、市内9店舗がその意志を継ぎ、新しい黄門料理を提供している。ここではチーズの一種である白乳酪(はくにゅうらく)などの定番に加え、夏は久慈川のアユが付く。
TEL:029-305-7560/11:30~14:00LO・17:30~21:00LO、無休/茨城県水戸市千波町2755-1/JR常磐線水戸駅から車10分

左/黄門料理3780円~は1品ずつ提供。冬はアンコウ鍋が付く
右/ワインが自慢の店で、和モダンな空間にはおしゃれなカウンターもある

4月20日~5月12日

ネモフィラハーモニー

450万本のネモフィラが、丘一面を青一色に染め上げる。
場所:国営ひたち海浜公園(みはらしの丘) 
TEL:029-265-9001/9:30~17:00(閉園時間は季節により異なる)、月曜(祝日の場合は翌日)休/450円/茨城県ひたちなか市馬渡字大沼605-4 (公園管理センター)/JR常磐線勝田駅からバス15分

4月29日~5月5日

第38回 笠間の陶炎祭(ひまつり)

200軒以上の陶芸家・窯元・地元販売店などが集う陶器の祭典。
場所:笠間芸術の森公園(イベント広場)
TEL:0296-73-0058(笠間焼協同組合)/9:00~17:00、期間中無休/茨城県笠間市笠間2345(公園内インフォメーションセンター)/JR常磐線友部駅からシャトルバス(陶炎祭期間中のみ)15分

開催期間中、「偕楽園臨時駅」を開設します。
【開設日】 土・日曜・祝日
【時 間】 9:10~15:30
※下り列車(水戸方面)のみ停車いたします。
※変更になる場合があるので、最新情報はJR東日本 水戸支社ホームページにてご確認ください

早咲き、中咲き、遅咲きと開花期が異なり、長い期間観梅できる
日本三名園のひとつ

偕楽園

後楽園(岡山県)、兼六園(石川県)と並ぶ日本三名園の1つで、天保13年(1842)に水戸藩主の徳川斉昭(なりあき)により開園された。2~3月にかけて白梅、紅梅など約100品種3000本の梅が園内を美しく彩る光景は必見。
TEL:029-244-5454/6:00~19:00(10月~2月19日は7:00~18:00)、無休/無料(好文亭は200円)/茨城県水戸市常磐町1/JR常磐線水戸駅からバス20分の偕楽園下車、徒歩5分


藩主が臨席して文武の試験を行った正庁。国の重要文化財にも指定されている
日本遺産に認定された旧水戸藩の藩校

弘道館

天保12年(1841)開設。当時最大規模の藩校で、最後の将軍・徳川慶喜も幼少期に学び、大政奉還後に謹慎生活を送った。正門、正庁、至誠堂は国の重要文化財。区域内には約60品種800本の梅がある。
TEL:029-231-4725/9:00~17:00(10月~2月19日は~16:30)、無休/200円/茨城県水戸市三の丸1-6-29/JR常磐線水戸駅から徒歩8分

フリーエリア内 乗り降り自由 周遊に便利な「ときわ路パス」

フリーエリア内の普通列車の普通車
自由席が乗り降り自由のきっぷです。

利用期間
~4月21日の土・日曜・祝日
大人の休日倶楽部会員用は~3月31日の土・日曜・祝日
有効期限
1日間
発売額
おとな2,150円 こども540円
大人の休日倶楽部会員用は1,650円
販売箇所
フリーエリア内のJR東日本の主な駅の指定席券売機、みどりの窓口およびびゅうプラザ
※大人の休日倶楽部会員用をお求めの際には、必ず「大人の休日倶楽部カード」で決済ください。
※詳しくはJR東日本公式サイトの「おトクなきっぷ」ページをご覧いただくか、駅係員におたずねください。
※路線図は略図です。
取材・文・撮影=内田 晃
※掲載されているアクセスは2019年2月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。

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