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「記念列車運転、記念きっぷも発売!! 祝! 全通50周年 紀勢本線」2009年に全線開通50周年を迎えた紀勢本線。“結ばれ愛され50年”をテーマに、紀伊半島は「紀勢本線全通50周年キャンペーン」で盛り上がっている。南紀の鉄道と、山海の恵みを堪能する列車旅に出かけてみよう。

What’s 紀勢本線?

 三重県の亀山駅から紀伊半島を一周して和歌山県の和歌山市駅までを結ぶ風光明媚な路線。明治24年(1891)に関西鉄道が建設した亀山~津駅間を皮切りに、徐々に開通。昭和9年(1934)には亀山~尾鷲駅間が開通した。
 一方、紀勢西線として建設されていた和歌山駅(現・紀和駅)~紀伊木本駅(現・熊野市駅)は昭和15年の開業。残りの区間は戦後建設され、三木里~新鹿駅間が開通した昭和34年7月15日に全通した。亀山~新宮駅間は非電化区間。路線総延長384.2km/駅数96。

地図


紀勢本線全通日の祝賀列車のテープカット
(昭和34年7月15日)

全通50周年に湧く南紀へ!

 白砂きらめく海、緑鮮やかな茶畑。紀伊半島の海に沿ってめくるめく絶景を駆け抜ける紀勢本線は、平成21年7月15日に全通50周年を迎える。総延長384.2kmの沿線には、世界遺産登録5周年を迎えた「熊野古道」や南紀勝浦温泉をはじめとする「熊野七湯」、日本最大級の棚田「丸山千枚田」など、自然の恵みを存分に体感できるスポットが多い。

 9月30日まで開催中の「紀勢本線全通50周年キャンペーン」では、今年限定の記念イベントが目白押し。全通50周年を迎える7月15日には、亀山~白浜駅間で記念列車が運転されるほか、50周年を記念した駅弁やお菓子も発売中で、メモリアルイヤーを盛り上げる。

 さらに亀山駅や新宮駅では車両展示や鉄道模型の展示、ミニSL運行など、鉄道ファン垂涎のイベントも行なわれるので見逃せない。

 すでに4月からは紀勢本線全96駅を撮影しながら写真でしりとりを完成させる「ウルトラ駅名しりとりラリー」を実施中。この機会に紀勢本線“海列車・山列車”旅を満喫しよう!

紀勢本線 全通50周年記念 オリジナル商品

復刻版 元祖牛肉弁当
昭和34年当時の駅弁を復刻。駄菓子付きで1380円。松阪駅及び特急「南紀号」車内で12月末まで販売(前日19時までに要予約。新竹商店TEL.0598-21-4350)。
まごと一緒に 行楽弁当
高校生料理コンクール全国1位の三重県立相可高校の生徒と共同開発。山海の幸が凝縮。900円。名古屋駅及び特急「南紀号」車内で9月末まで販売。
50周年記念弁当
沿線老舗駅弁店が製造(写真は水了軒「紀州丼」)。全通時複製ダイヤ付で1000~1130円。和歌山・御坊・紀伊勝浦・新宮駅及び特急「くろしお号・スーパーくろしお号・オーシャンアロー号」車内で9月末まで販売。
徐福巻
新宮市の柏堂切畑屋が製造。不老不死の薬木といわれている「天台烏薬(てんだいうやく)」の粉を生地に混ぜたスイーツ。1日30箱限定1050円。9月末まで販売。
ベビースター・イセエビ味ラーメン(限定発売)
発売開始から50年のベビースターラーメン。同い年の紀勢本線全通50周年を祝って、イセエビ味を9月末まで限定発売。380円。

沿線の見所ピックアップ!

丸山千枚田
1300枚を超える水田が残る日本最大級の棚田。大小様々な棚田が四季折々、息を呑むような姿を見せる。美しい石畳道が残る「通り峠」とともにJR東海さわやかウォーキングの常設コースになっている(下記「information」参照)。JR熊野市駅から車で約35分。
熊野古道 伊勢路
世界遺産に登録されてから今年で5周年の熊野古道。伊勢と熊野速玉大社を結ぶ伊勢路は、特に神秘的で味わい深い街道だ。尾鷲檜の美林の中を約2kmにわたって石畳道が続く「馬越(まごせ)峠」(写真)や、伊勢と紀伊の国境だった「ツヅラト峠」など、昔ながらの古道が残る。
熊野七湯
古来、熊野詣の旅人たちを癒してきた熊野の湯。南紀を代表する「南紀勝浦温泉」(写真は忘帰洞)や、西日本最大級のスケールを誇る大露天風呂で有名な「渡瀬温泉」など良質の温泉が湧く。湯ノ口温泉、串本温泉、南紀湯川温泉、湯の峰温泉、川湯温泉を含めて七湯。
熊野大花火大会
300年の歴史を誇る花火大会。七里御浜(しちりみはま)海岸で約1万発の花火が打ち上げられる。点火した花火玉が海上で半円形に爆発する「海上自爆」や国の天然記念物「鬼ヶ城」の岩場で花火玉を爆発させる「鬼ヶ城大仕掛」など迫力満点! 平成21年は8月17日に開催予定。

鉄道写真家・南正時の紀勢本線よもやまばなし・ブルートレイン「紀伊」

  寝台特急「富士・はやぶさ」が平成21年3月で廃止されたが、紀勢本線にもブルートレインが走っていたことはご存じだろうか? 国鉄が昭和59年まで運行していた特別急行列車「紀伊」である。

 「紀伊」は昭和50年3月に東京と紀伊勝浦を結ぶ寝台特急としてデビュー。東京~名古屋駅間はブルートレイン「いなば」(後に「出雲」と改名)と連結して運転されていた。名古屋~亀山駅間はDD51形が引き、亀山~紀伊勝浦駅間では珍しいディーゼル機関車DF50形が牽引した人気のブルートレインだったが、残念ながら昭和59年2月に廃止された。

 ちなみに蒸気機関車はC58、C57、D51形などが昭和40年代後期まで走っていた。蒸気機関車の廃止後に「紀伊」が誕生したのである。

写真・文:南 正時


DF50形に引かれていたころの「紀伊」
(宇久井~那智駅間。昭和52年撮影)


貴婦人と呼ばれたC57も走っていた
(下庄~一身田駅間。昭和48年撮影)

インフォメーション

紀勢本線全通50周年キャンペーン ピックアップイベント

■記念列車運転
全通50周年を迎える7月15日(水)に記念列車「快速 紀勢本線全通50周年記念号」(亀山~白浜駅間)を運転。全車指定席。記念品「オリジナル携帯ストラップ(クリーナー付き)」プレゼントあり。
※プレゼントは尾鷲~熊野市駅間、串本~白浜駅間車内にて進呈。
■駅イベント (新宮駅・亀山駅)
車両展示・見学、鉄道模型展示、ミニSLの運転(亀山駅のみ)、地元特産品販売など
《新宮駅》9月19日(土)・20日(日)、《亀山駅》9月21日(月)・22日(火)
■紀勢本線50年の歩み展
全通当時の懐かしい写真や鉄道用品等を展示。9月30日(水)まで三重県立熊野古道センターで開催。9~17時(入場無料)。TEL.0597-25-2666
■記念入場券・記念乗車券(懐かしの硬券・記念台紙付き)発売 (現地駅にて)
発売期間:7月15日(水)~31日(金)
記念入場券(24駅1セット/記念台紙付き)
《内容》JR東海8駅、JR西日本16駅の入場券のセット
《発売価格》3340円 《発売数》1300セット限定発売
《発売駅》亀山駅、津駅、松阪駅、尾鷲駅、熊野市駅、新宮駅、紀伊勝浦駅、白浜駅、紀伊田辺駅、御坊駅、海南駅、和歌山駅
記念乗車券(片道乗車券3枚1セット/記念台紙付き)
《内容》「三木里~新鹿(おとな)」「賀田~二木島(おとな・こども)
《発売価格》500円 《発売数》1000セット限定発売
《発売駅》尾鷲駅、熊野市駅
※1人3セットまで。郵送不可。売り切れ次第発売終了。

JR東海 さわやかウォーキング 熊野古道「通り峠・丸山千枚田コース」も人気!

JR東海で実施中のさわやかウォーキングの常設コース。苔むした石畳が残る「通り峠」を越え、日本最大級の棚田「丸山千枚田」を楽しむ。平成22年3月31日(水)までの毎日開催。コース距離=約5.6km、コース時間=約2時間30分。スタート・ゴール=熊野市駅。 ※係員による案内やコース途中の特設案内板はない。

JR+宿泊のお得な宿泊プラン

■ワイドビュー南紀で行く南紀1泊2日スペシャル
(名古屋発着)
JR東海ツアーズでは、名古屋発着のワイドビュー南紀で行く1泊2日の旅を発売中。宿泊は南紀勝浦、紀伊長島、渡瀬温泉からセレクト。詳しくはJR東海ツアーズへ。

写真協力:JR東海、三重県観光連盟、ホテル浦島チェーン
※掲載されているデータは平成21年7月現在のものです。

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