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トレたび列車図鑑

【第57回】「伊予灘ものがたり」*松山~伊予大洲・八幡浜間*

瀬戸内海&肱川を車窓に走る予讃線の観光列車

 瀬戸内海の美しい風景を車窓に楽しめる「愛ある伊予灘線」(予讃線伊予市~伊予大洲間・海回り)を経由する観光列車が、松山駅と伊予大洲駅・八幡浜駅を結ぶ「伊予灘ものがたり」です。「レトロモダン」「海を魅せる」「ゆったりとした時間」をコンセプトにした2両編成の列車は、八幡浜寄りの1号車が伊予灘の夕日を連想させる茜色の「茜(あかね)の章」、松山寄りの2号車は太陽や柑橘類の輝きを表現した黄金色の「黄金(こがね)の章」となっています。車窓の風景を満喫できる席配置が採用された車内は、和洋折衷のモダンなデザインを採用しており、落ち着きのある居心地の良い空間で過ごすことができます。

 また、全列車で事前予約制の「こだわりの食事」が楽しめるほか、各種ドリンクや軽食などの車内販売や、沿線市町の協力による各種イベントなどが行われています。なお、4本の列車にはそれぞれ「伊予灘ものがたり○○編」の沿線に因んだ列車名が付けられており、下り列車は「大洲編」「八幡浜編」、上り列車は「双海編」「道後編」となっています。

1 車両外観

八幡浜寄りの1号車は茜色、2号車は黄金色をベースにした外観塗色を採用。編成全体で太陽や夕日、柑橘類をイメージしたデザインとなっている。

2 1号車車内

海側に展望シート、山側に2人掛けの対面シート、車端に4人掛けボックスシートを配置した車内。ボックスシートは和座椅子タイプとなる。

3 2号車車内

1号車と同様に3タイプの座席が配置された車内。和と洋を調和したデザインが採用されており、和風建築の障子をイメージした窓がある。

4 ダイニングバー

2号車の連結面寄りに設置されたダイニングバー。このカウンターで食事の準備が行われるほか、ドリンク類や軽食の販売も行われている。

5 こだわりの食事

沿線のレストランなどと提携した事前予約制のこだわりの食事を提供。写真は双海編で提供される「からり」のランチボックス(イメージ)。

6 沿線のおもてなし

沿線の方々から心のこもったおもてなしを受ける事ができる。写真は大洲城での幟による歓迎。

DATA

デビュー年:2014(平成26)年7月26日
運転日:土曜・休日を中心に運転
運転区間:松山~伊予大洲・八幡浜間
車両形式:キロ47 1401+キロ47 1402の2両編成

「伊予灘ものがたり」でめぐる予讃線の旅

ふたみシーサイド公園

「日本の夕陽百選」に選ばれている公園。恋人岬や夕日の観覧席、願い石、幸せの鐘があり、カップルたちの人気スポットとなっている。

JR下灘駅

「青春18きっぷ」のポスターにも使用された伊予灘を望む駅。かつては海に一番近い駅であったが、海側を埋め立てて国道が造られている。

臥龍山荘

肱川流域随一の景勝地“臥龍淵”に臨む三千坪の山荘。神楽山や肱川の自然を取り入れた借景庭園や臥龍院・不老庵・知止庵などがある。

大洲城

伊予大洲藩の政治と経済の中心地として繁栄した城下町のシンボル。肱川の湖畔に望む雄大な天守閣は2004(平成16)年に復元されたもの。

八幡浜みなっと

観光情報を発信する「みなと交流館」や新鮮な海の幸が安い「どーや市場」、地元特産品などを販売する「アゴラマルシェ」などがある複合施設(写真はどーや市場)。

じゃこ天

宇和海で獲れる新鮮な小魚を骨ごと、皮付きのまますり身にして油で揚げたもの。愛媛県南予地方の郷土料理・特産品として親しまれている。

鉄道写真作家 結解喜幸の「伊予灘ものがたり」○得利用術

 予讃線の観光列車「伊予灘ものがたり」は全列車がグリーン車指定席のため、乗車の1か月前の10時からJRの駅のみどりの窓口などで販売される指定席グリーン券と乗車券が必要。なお、食事券の予約は乗車日の4日前まで。平成28年3月末まで発売中の「愛ある伊予灘・南予1日フリーきっぷ」(おとな5,300円、こども2,650円)は、予讃線(内子線)松山~宇和島間が1日間乗り降り自由となるきっぷで、特急・普通列車の普通車自由席が利用できるほか、1回に限り「伊予灘ものがたり」にも乗車できる(食事別)という便利なものだ。

文・写真:結解喜幸、写真:交通新聞サービス
※掲載されているデータは平成27年12月現在のものです。

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