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オール2階建て16両編成の E4系「Max」が登場

 E1系が近距離の通勤・通学輸送から長距離の観光・ビジネスユースまで幅広く運用されて好評を博したことから、その第2弾となるオール2階建て新幹線が開発されることになりました。東北新幹線では最大編成となる200系16両編成が運用されていましたが、利用時間帯や利用区間によって利用客数が大きく変化することを考慮。柔軟性のある運用が組めるように1編成の長さを8両編成(座席定員817名)とし、混雑する列車では2本連結した16両編成(座席定員1634名)で運転できるようになっています。ちなみに、座席定員1634名は世界の高速列車の中で最大となるものです。
 平成9年12月から運転を開始した新系列のE4系では、トータルデザインコンセプトを「BIGWAVE(雄大)」とし、エクステリアデザインのキーワードを「ELASTIC(しなやか)」「WAVEMOTION(躍動)」として開発。これにより先頭車両はE1系と比べるとロングノーズとなり、航空機のようなキャノピー型運転室やダイナミックな曲線の採用など独特なフォルムとなっています。
 外部塗色は上半分を白色系の「飛雲」、下半分を青色系の「紫苑(しおん)」とし、中央に黄色系の「山吹」の帯を入れた新デザインとなり、車内はグリーン車が高級質感、普通車は2階席が楽しみのある室内、階下席は車窓の景色が見えない分だけ明るく暖かみのある室内となっています。

E1系より短い8両編成で登場したE4系。16両編成では新幹線最大となる定員1634名を確保

普通車自由席の座席数を増加させるため東京寄りの1〜3号車の2階席は3+3席配置を採用

幅広く活躍する E4系8両・16両編成

 オール2階建て車両のニューバージョンとなるE4系は8両編成で運用できるため、東北新幹線東京〜盛岡間や上越新幹線東京〜新潟間を中心に幅広く活躍。東北・上越新幹線では朝の通勤時間帯に16両編成で運転されて着席率をアップしているほか、混雑する東京〜仙台間や東京〜高崎・越後湯沢間は16両編成、仙台〜盛岡間や高崎・越後湯沢〜新潟間は8両編成といったフレキシブルな運用が行なわれています。
 また、東京〜仙台間の「Maxやまびこ」の一部列車は、E3系7両編成の山形新幹線「つばさ」と連結。東京〜福島間ではE4系+E3系の15両編成(号車番号は1〜8・11〜17)で運転されるなど、他形式と連結して2層建列車としても活躍しています。
 なお、各車両のデッキ部分に車内販売ワゴン用の昇降装置(ワゴンリフタ)を設置し、E1系ではできなかったワゴンによる車内販売を実施するなど、車内サービスの向上も図られています。中間の5・13号車には、飲み物や軽食・スナック・弁当類を販売する売店も設置されており、車内販売とあわせて利用することができます。

普通車指定席および普通車自由席の階下の座席は、3+2席配置を採用

E4系では各車両デッキ部分に車内販売用ワゴンを昇降できるワゴンリフタを設置している

上越新幹線用として E1系をリニューアル

 登場から約10年が経過してE4系と比べると見劣りがしてきたE1系12両編成は、上越新幹線専用車両して運用されることになり、その後に登場したE2系やE4系と同様のインテリアや座席を採用したリニューアル車が登場しました。平成15〜18年度にかけて12両編成6本のリニューアル・アコモ改善工事が実施され、グリーン車はE2系1000番台と同じリクライニングシート、普通車指定席はE4系と同じ座面スライド方式を採用したリクライニングシートに交換。車体塗色はE4系と同じく上半分を白色系の「飛雲」、下半分を青色系の「紫苑」とし、中央に「朱鷺(とき)色」と呼ばれるピンクの帯をデザイン。上越新幹線専用車両にふさわしい「朱鷺」のイラスト入りロゴが付けられています。
 平成22年7月15日には、新幹線初のオール2階建て車両E1系が登場して16周年となり、ニューバージョンのE4系とあわせて東北新幹線や上越新幹線の「Max」として活躍。12月4日には東北新幹線の新青森延長開業が決定し、さらに平成23年3月にはE5系「はやぶさ」がデビューする予定となっています。今後も首都圏の通勤・通学輸送のエースとして、また、車窓の眺めを楽しめる新幹線として、オール2階建てのE1系とE4系の活躍する姿を見ることができます。

平成15年から平成18年にかけてリニューアルされたE1系。車体塗色に朱鷺色が採用された

リニューアルされたE1系のグリーン車には2+2席配置のリクライニングシートが並ぶ

※掲載されているデータは平成22年6月現在のものです。

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