JR東海が東海道新幹線東京〜新大阪間の2時間30分運転を目指して開発したのが、最高速度270km/hに対応した新世代の高速車両となる300系です。平成2年に登場した試作車を使用して各種試験が行なわれ、平成4年にはその試験結果を元にした量産車が製造されました。
先頭車は空気抵抗や騒音・振動を低減するための独特な流線形スタイルとなり、車体も軽量化するためにアルミ合金を使用。新幹線で初となるVVVFインバータ制御装置の採用や100系よりも30%出力アップした300kWの主電動機を搭載するなど、高速運転に対応した最新の技術が盛り込まれています。
平成4年3月14日改正から東京〜新大阪間を結ぶ「のぞみ」としてデビューを飾り、同区間を最高速度270km/h、2時間30分で結ぶようになりました。朝一番に東京駅を発車する「ひかり301号」では、途中の新横浜駅にのみ停車し、名古屋駅・京都駅を通過するという新幹線開通以来初のダイヤが組まれ、新聞紙上では「名古屋飛ばし」として話題となりました。
日本の新幹線の高速化の先陣を切った300系ですが、500系や700系の登場により「のぞみ」運用から引退。さらにN700系の増備で順次廃車となっており、活躍する姿を見られるのも時間の問題となっています。



![栄光の新幹線シリーズ(2) [東海道・山陽新幹線 300系・500系・700系車両]平成4年3月14日、最高速度270km/hの300系が登場。今回は更なる高速化時代に入った新幹線車両にスポットを当てて紹介します。(文=結解喜幸 写真=結解学)](images/main_title_01.jpg)

昭和39年10月1日に開業した東海道新幹線は世界の注目を浴びる存在となり、欧州各国でも高速列車の開発が推進されることになりました。平成2年に入ると最高速度300km/hを目指した高速車両の開発に各国がしのぎを削るようになり、フランスのTGV(テージェーヴェ)やドイツのICE、イタリアのES*(イーエススター)、スペインのAVE、スウェーデンのX2000など、欧州各国で最高速度200km/h以上の高速列車が走るようになりました。





