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トレタビ列車図鑑

第3回 快速「SLみなかみ」

快速「SLみなかみ」*高崎~水上(JR東日本)*

C61形やD51形などが牽引するSL列車

 快速「SLみなかみ」は今年6月に復活運転を開始した旅客用大型蒸気機関車のC61形20号機や、「デゴイチ」の愛称で親しまれるD51形498号機が牽引する上越線高崎~水上間を結ぶSL列車。同列車にはブルー車体の冷房付き12系客車または茶色車体のレトロな旧形客車が使用されており、昔懐かしい汽笛の音を聞きながら汽車旅を楽しむことができる。それでは高崎駅で「上州D51弁当」を購入し、SL列車の旅を楽しんでみよう。

 高崎駅を発車して渋川駅へ向かう途中、妙義山や赤城山、榛名山が車窓を飾る。吾妻(あがつま)線が分岐する渋川駅を発車。利根川に架かる鉄橋を渡り、しばらくすると利根川の美しい渓谷が車窓に広がってくる。この先、田園風景と利根川が車窓の供となるが、左手に水上温泉郷のホテル・旅館街が見えてきたところで、列車は終着の水上駅に到着する。駅構内で転車台に載るSLの姿を見学し、水上温泉街の散策を楽しむことにしよう。

1 C61形蒸気機関車

貨物用のD51形のボイラーを流用し、日本初となる2C2の軸配置で登場した旅客用蒸気機関車。東北本線や鹿児島本線の特急・急行列車を牽引した。

2 華蔵寺公園で展示中のC61形

昭和24年に製造されたC61形の20号機。昭和48年の廃車後は伊勢崎市の華蔵寺公園で展示されていたが、今年6月から上越線で復活運転を開始した。

3 D51形蒸気機関車

軸配置が1D1の貨物用蒸気機関車で、総計1115両が製造された。デゴイチの愛称で親しまれており、現役時代は四国を除く全国各地で活躍した。

4 D51形498号機の運転台

昭和15年に製造されたD51形の498号機。昭和47年の廃車後は上越線後閑駅前で展示されていたが、昭和63年12月から復活運転を開始。

5 レトロ客車

JR東日本のイベント列車用として残る非冷房の旧形客車。スハフ32形やスハフ42形、オハ47形、オハニ36形がSL列車などで活躍している。

6 12系客車

大阪万博EXPO70開催時の旅客輸送用として登場した急行用客車。その後は急行列車に活躍したが、現在はイベント列車用として在籍している。

DATA

デビュー年:1989年3月(上越線高崎~水上間での運転)
運転日:春~秋の土曜・日曜・祝日を中心に運転
運転区間:上越線 高崎~水上(1日1往復)
車両形式:C61形20号機(またはD51形498号機)+12系客車6両編成(またはレトロ客車6両編成)

「SLみなかみ」でめぐる上越線の旅

高崎駅の上州D51弁当

D51形498号機のボイラー正面を容器にデザインした駅弁。竹炭ご飯の上に地鶏やマイタケ、山菜など彩り豊かなおかずが添えられている。

水上駅 転車台広場

水上駅構内に設置されている機関車の方向を変える転車台。SL列車の運転日には、SLが方向転換する様子を見学することができる。

水上温泉郷

群馬の奥座敷として賑わう温泉郷。水上温泉を中心に、巨大な露天風呂で有名な宝川温泉、谷川温泉、湯檜曽温泉などがある。写真は向山温泉。

諏訪峡

水上峡谷の下流にある水上を代表する景勝地。渓谷に沿って遊歩道が整備され、諏訪峡大橋からは利根川の美しい渓谷美や谷川連峰の山並みを望むことができる。

みなかみバンジー

諏訪峡大橋で春から秋の期間限定で実施されるバンジージャンプ。ブリッジバンジーが体験できる日本唯一のスポットで、約40m下の利根川ダイブは絶叫モノ。

みなかみスイーツ

昔ながらの温泉まんじゅうをはじめ、シフォンケーキやプリン、ガトーショコラなど水上は知る人ぞ知るスイーツタウン。水上駅周辺でスイーツめぐりも楽しめる。

JR土合駅

“日本一のもぐら駅”として知られ、下りホームと改札口の間には486段の階段がある。このため、列車の発時刻の10分前には改札口を通る必要がある。

谷川岳ロープウェイ

山麓の土合口と標高約1300mの谷川岳天神平を約15分で結ぶロープウェイ。展望台からは雄大な大パノラマ風景を堪能することができる。

鉄道写真作家 結解喜幸の
「SLみなかみ」 マル得利用術

 今年は7~9月に開催される群馬デスティネーションキャンペーンにあわせて、県内のJR線や私鉄線、第三セクター鉄道線が乗り降り自由となる「ぐんまワンデーパスSP」(おとな1900円、こども950円)および「ぐんまツーデーパスSP」(おとな3600円、こども1800円)を発売中。別途に特急券や指定席券を購入すれば、新幹線・特急列車やSL列車に乗車できる。

文・写真:結解喜幸
※掲載されているデータは平成23年6月現在のものです。

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