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トレタビ列車図鑑

第10回 特急「SL冬の湿原号」

【第10回】「SL冬の湿原号」*釧路~標茶・川湯温泉間*

冬の釧路湿原の風景を車窓に走るSL列車

 冬の道東の美しい風景の中を走るSL列車として登場したのが、炭水車が一体化されたタンク機関車C11形が牽引する「SL冬の湿原号」だ。厳しい寒さの中を走ることもあり、豪快なドラフト音と白い蒸気が織り成すSLの雄姿を存分に楽しむことができる。
 それでは、釧路駅から「SL冬の湿原号」に乗車し、昔懐かしい汽笛の音と車窓に広がる道東の冬景色を楽しむことにしよう。
 汽笛を響かせて釧路駅を発車した列車は、薄氷が漂う釧路川を渡り、次の東釧路駅から分岐して釧網本線に入る。車窓の左手に湿原の美しい風景が広がってくると釧路湿原駅で、この先は車窓の左右に広がる湿原の風景を堪能できる。
 列車が茅沼駅に停車すると、左手車窓に優雅なタンチョウの姿を見ることもある。また、エゾシカの群れと遭遇することもあり、まさに道東の大自然を実感することができる列車だ。なお、毎年の運転開始日から2日間は川湯温泉駅まで延長運転され、険しい峠道を登るシーンを見ることができる。

1 C11形171号機

昭和7年から製造されたタンク機関車で、現役時代は国鉄標津線などで活躍。昭和50年の引退後は標茶町の桜児童公園で保存されていた。

2 C11形207号機

濃霧対策として前照灯が左右に2個装着された北海道特有の機関車。SLファンの間では「二つ目」と呼ばれ、国鉄日高本線で活躍していた。

3 普通車指定席

2号車を除く普通車指定席は14系客車の車内を大型テーブル付きのボックス席に改造した車両を使用。2号車には旧形客車を使用している。

4 カフェカー

旧形客車の2号車には軽食や飲み物などを販売するカフェカウンターを設置。車内のだるまストーブで焼いて食べるスルメも販売されている。

5 だるまストーブ

昔懐かしい客車の暖房を再現した石炭焚きのだるまストーブを各車内に設置。車内販売のスルメなどを焼いて食べることができる。

6 緩急車

釧路寄りの最後部(下り列車はSLの次位)に連結される緩急車。2軸貨車のゴトンゴトンという乗り心地とワイドな展望風景を楽しめる。

DATA

デビュー年:2000年1月8日
運転日:2012年1月21日から3月11日までと3月17日から20日までの毎日
*3月上旬も運転予定
運転区間:釧網本線釧路~標茶間
(1月21・22日と3月19・20日は釧路~川湯温泉間)
車両形式:14系500番台+スハシ44(2号車)の5両編成
(1月21・22日、2月1・27日、3月19・20日は4両編成)
牽引機:C11形171号機または207号機。2月1・27日は重連運転

「SL冬の湿原号」でめぐる釧網本線の旅 「SL冬の湿原号」でめぐる釧網本線の旅

釧路フィッシャーマンズワーフMOO

幣舞(ぬさまい)橋のたもとにある大型観光施設。釧路の魚介類を味わえるレストランや飲食店(屋台・炉端焼き)、市場、土産物店などが揃っている。

釧路湿原

釧路市の北側に広がる東西約17km、南北約36km、面積28,861haの日本最大の湿原。昭和55年に湿原を守るラムサール条約に登録されている。

茅沼駅

釧路湿原の東端に位置するタンチョウが来る駅。ホームの前に餌箱が設置されており、SL列車の到着時にも数羽のタンチョウが出迎えてくれる。

摩周駅ぽっぽの湯

摩周湖や摩周温泉の玄関口になる駅。駅舎脇には摩周湖をモチーフにした岩風呂風の足湯があり、誰でも手軽にポカポカの温泉気分を味わえる。

川湯温泉駅

白樺をイメージした木造駅舎がある川湯温泉の玄関口。駅舎の旧事務室・貴賓室にレストラン「オーチャードグラス」がオープンしている。

川湯温泉駅足湯

川湯温泉駅の脇にあるログハウス風の建物の中に足湯を設置。建物内にあるので雪の降る寒い冬でもゆったりとくつろいで楽しめる。

流氷ノロッコ号

オホーツク海の流氷を車窓に楽しめる観光トロッコ列車。毎年1月下旬から3月上旬まで1日2往復の列車が知床斜里~網走間で運転される。

流氷のオホーツク海

毎年1月下旬から3月上旬にかけてオホーツク海沿岸に押し寄せる流氷。釧網本線の知床斜里駅から藻琴駅までの車窓を白一色の世界が美しく飾る。

鉄道写真作家 結解喜幸の
「SL冬の湿原号」○得利用術

釧網本線の「SL冬の湿原号」に乗車するのに便利でおトクなのが、釧網本線東釧路~網走間が乗り降り自由のフリー区間となる「冬のぐるっと道東Vきっぷ」だ。札幌からフリー区間までの往復は根室本線経由と石北本線経由の組み合わせで、行きと帰りで異なった車窓風景を楽しめるのも魅力。「SL冬の湿原号」の利用には別途に指定席券(800円)が必要だが、オホーツク海の流氷を車窓に楽しめる「流氷ノロッコ号」の自由席にはこのまま乗車できる。

文・写真:結解喜幸
※掲載されているデータは平成24年1月現在のものです。

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