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トレタビ列車図鑑

【第19回】383系 特急「(ワイドビュー)しなの」

【第19回】383系 特急「(ワイドビュー)しなの」 *大阪・名古屋~長野間*

木曽路の山中を駆け抜ける振り子式特急電車

 木曽路の山中を駆け抜けて大阪・名古屋駅と長野駅を結ぶのが、曲線通過に力を発揮する最新の制御振り子装置を装備した383系特急形電車使用の特急「(ワイドビュー)しなの」だ。下りの先頭車両は前面展望が楽しめるグリーン車で、木曽路の美しい風景をよりワイドに堪能できる。

 それでは、名古屋駅から特急「(ワイドビュー)しなの」に乗車し、長野駅までの旅を楽しんでみよう。名古屋駅を発車した列車は多治見や恵那の町並みを眺めながら中津川駅に到着。ここから先は木曽川の流れとともに、四季折々の美しい風景が広がる木曽路の山中を走る。旧中山道の宿場町が残る妻籠宿(つまごじゅく)の最寄り駅となる南木曽(なぎそ)駅を過ぎ、左手車窓に景勝地「寝覚(ねざめ)の床(とこ)」が見えると、列車は間もなく木曽福島駅に到着。さらに旧中山道の宿場町を車窓に走ると、右手に東京方面からの中央本線が寄り添って塩尻駅に到着。ここから篠ノ井線に入った列車は、大糸線が分岐する松本駅、そしてスイッチバックの姨捨(おばすて)駅を通過し、篠ノ井駅から信越本線に入って犀川(さいがわ)を渡ると終着の長野駅に到着する。

1 グリーン車

長野寄り1号車に連結されるのが前面展望を楽しめるパノラマグリーン車。車内には座席幅の広いリクライニングシートを装備している。

2 普通車

基本編成の2~6号車に連結される普通車。グレーを基調とした車内には2+2席配置のゆったりとしたリクライニングシートが並んでいる。

3 先頭車両

名古屋寄りの6号車に連結される先頭車両は、8・10両編成の増結時に便利な貫通路を装備した車両で、1号車とは異なったスタイルをしている。

DATA


デビュー年:
1996年12月1日(試作車は1995年4月から営業運転に使用)
運転日:毎日
運転区間:東海道・中央・篠ノ井・信越本線 大阪・名古屋~長野間
車両形式:383系6両編成(多客時は8・10両編成も運転)

「(ワイドビュー)しなの」でめぐる中央本線の旅

馬籠宿(まごめじゅく)

木曽11宿の最南端にあり中山道43番目の宿場町。石畳の坂の両側に商家が並ぶ宿場町で、藤村記念館となった旧本陣・島崎藤村の生家跡がある。

妻籠宿(つまごじゅく)

木曽11宿の馬籠宿に続く中山道42番目の宿場町。江戸時代の宿場町の景観を保存した町並みが続き、木曽路を代表する観光スポットになっている。

寝覚の床(ねざめのとこ)

木曽川の流れが花崗岩を浸食して作り上げた、上松町にある景勝地。エメラルドグリーンの水と岩の美しいコントラストは車窓からも眺められる。

山村代官屋敷跡

代々、木曽の地を治めた山村家の代官屋敷跡。往時の姿を今に留めており、木曽駒ヶ岳を借景した庭や木曽の名産品を販売する休憩所がある。

奈良井宿(ならいじゅく)

木曽11宿の北から2番目に位置する中山道34番目の宿場町。現在も中山道の難所・鳥居峠を望む往時の宿場町の面影が色濃く残されている。

信州そば

信州の風土は高冷地を好むそばの栽培に適しており、そばの旨い土地柄として有名。長野県内の各エリアで郷土の副菜とともに味わうことができる。

松本城

地元では烏城(からすじょう)とも呼ばれる。江戸時代初期に建造された天守(国宝)が残されており、現在もお濠に面した勇壮な姿が見られる。

善光寺

古くから老若男女が参拝することで知られる無宗派の単独寺院。天台宗の「大勧進」と25院、浄土宗の「大本願」と14坊により護持されている。

鉄道写真作家 結解喜幸の
「(ワイドビュー)しなの」 ○得利用術

名古屋駅と長野駅を結ぶ特急「(ワイドビュー)しなの」を利用し、木曽路方面へ行くには「木曽路フリーきっぷ」が便利でおトクだ。
乗り降り自由となるフリー区間は中津川~木曽福島~洗馬間で、フリー区間までの往復には特急「(ワイドビュー)しなの」の普通車指定席が利用できる。
さらに、指定のバス・タクシー・駅レンタカーが6,000円分利用でき、15の観光施設の入場券も付いた「木曽路エンジョイチケット」引換券が付いており、これ1枚で木曽路エリアの旅を満喫できる。

文・写真:結解喜幸 写真協力:裏辺研究所、信州・長野県観光協会、社団法人岐阜県観光連盟
※掲載されているデータは平成24年9月現在のものです。

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