『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

コース2|山あい縦断の旅で出会う紅葉のまっ赤な絨毯

十和田湖の紅葉風景は色彩豊か。遊覧船のコースは休屋(やすみや)と子ノ口(ねのくち)を結ぶAコース(11月10日まで)、休屋発着のBコース(11月24日まで)がある。約220mにも渡る千丈幕の絶壁は必見。各コースとも1,400円、50分。
TEL.0176-75-2909(十和田湖観光汽船)

鹿角ホルモンは、ニンニクとトウガラシのタレで味付けした豚ホルモンに、大切りのキャベツをのせてジンギスカン鍋で焼くという独特かつ豪快なスタイル。代表的な店は「幸楽」「花千鳥」など。
TEL.0186-23-2019(十和田八幡平観光物産協会)

大湯温泉は、江戸時代には同地を治めていた南部藩主の保養温泉地に指定され、現在は十和田湖国立公園の最寄りの温泉地として名高い。湯量豊富なナトリウム塩化物泉は、皮膚病や婦人病に効くとか。
TEL.0186-37-2960(大湯温泉観光協会)

1日目|鹿角市・小坂町|湖上から望む紅葉や絶壁、山なみという贅沢な錦秋

 秋田内陸の素朴な山里を北から南へ紅葉狩りの旅、東京・仙台方面から向かうなら、東北新幹線の盛岡駅からIGRいわて銀河鉄道を乗り継ぎ、花輪線の鹿角花輪駅で下車。まずは、ニンニクとトウガラシベースのタレに漬け込んだご当地ホルモンで、旅のスタミナチャージをしよう。

 初日のメインスポット・十和田湖へは、花輪線十和田南駅からバスでGO。例年10月中~下旬は、紅葉と青く澄んだ湖面が見事なコントラストを見せてくれる。特に十和田湖遊覧船に乗って、湖上から眺める絶壁や各半島と紅葉、借景の外輪山という壮大な風景は、日本の秋の風景の縮図を見るかのよう。時間が許せば、国登録有形文化財に指定されている「十和田ホテル」(タイトル写真右下)まで足を延ばしたい。秋田杉の木組みが美しい玄関ホールは、宿泊客以外も見学OK!

 夜は、そのまま路線バスで約800年の歴史を誇る大湯温泉へ。大湯川沿いを中心に、4軒の共同浴場や6軒の旅館・ホテルが並び、温泉街の情緒たっぷり。

2日目|小坂町・大館市|鉱山の町でレトロに触れハチ公の故郷で伝統の技に触れ

 翌朝、大湯温泉からバスで十和田南駅に戻り、秋北バスで小坂町へ向かう。小坂は、明治~大正にかけ鉱業生産額日本一を誇った小坂鉱山があった場所で、関連スポット巡りがおすすめ。「康楽館(こうらくかん)」は鉱夫たちのために建てられた厚生施設で、日本最古級の木造芝居小屋にして現役。柱がなく最大607人を収納可能という広大な空間に、往時の小坂の繁栄を想う。

 明治期築のモダンな小坂鉱山事務所でレンタルドレスを着て記念撮影をしたら(入館料込み1,000円)、十和田南駅へ戻り、花輪線で東大館へ。徒歩約8分の「大館曲げわっぱ体験工房」では、秋田杉で作る伝統工芸の「曲げわっぱ」の製作体験にチャレンジ! 世界にひとつだけのMYパン皿やMY弁当箱を作れば、旅の喜びもひとしお。

 忠犬ハチ公の出身地でもあり、駅前にハチの銅像が立つ大館駅周辺の散策では、まずはランチにふわふわ卵の比内地鶏の親子丼を味わおう。同駅周辺では、「本場大館 きりたんぽまつり」(10月12~14日)や「ゼロダテ美術展2013」(10月4~27日)など、気になるイベントも目白押し!

 宿は、秋田と青森の県境の秘湯の一軒宿・日景(ひかげ)温泉で。白濁の湯がこんこんと注がれた内風呂や露天風呂で、今宵はプチ湯治気分。

「康楽館(こうらくかん)」は明治43年(1910)築の現役芝居小屋。和洋折衷のレトロなデザインが美しい。常設公演に加え、通年で舞台裏見学も開催。12~3月は貴重な回り舞台を回す体験も。
TEL.0186-29-3732 9:00~17:00、年末年始休。2,000円(芝居公演と見学。見学のみは600円)

「大館曲げわっぱ体験工房」の製作体験では、熟練の職人が工程ごとに詳しく説明してくれるほか、場合によっては手直しもしてくれる。秋田杉ならではの真っすぐな木目が見事。
TEL.0186-42-7502 9:00~17:00、火・水曜・祝日休。2,000~4,000円

風味豊かな比内地鶏のモモ肉とたっぷりの半熟卵が丼を覆う、比内地鶏の親子丼。代表的な店は「秋田比内や大館本店」など。
TEL.0186-43-7072(大館市産業部商工観光課)

「打当(うっとう)温泉マタギの湯」では、通年「マタギ語り」を開催。森の狩人がクマの生態やクマとの知恵比べ、猟や自然についてなどを方言で語ってくれる。1週間前までに要予約。講師1人につき5,250円。
TEL.0186-84-2612

保存料を使わず、60年以上変わらぬ製法で作られる花善の「鶏めし」850円。鶏肉の出汁などで炊きこんだあきたこまちの上に、甘辛く煮た鶏肉が鎮座。盛りのよいご飯も一気にかっこんでしまうほど旨い! 店舗は大館駅真向かい。
TEL.0186-43-0870 弁当販売6:30~18:30 

鷹巣から角館まで全長94.2kmを結ぶ秋田内陸縦貫鉄道は、森吉山や比立内(ひたちない)橋梁付近など沿線に紅葉名所が目白押し。写真は鳥坂橋の紅葉。例年10月中旬〜11月上旬が見頃。
TEL.0186-82-3231(秋田内陸縦貫鉄道)

3日目|大館市・北秋田市|山あいの阿仁川沿いをローカル線でゆく極上もみじ狩り

 大館駅で名物駅弁の「花善 鶏めし」を購入したら、秋田内陸縦貫鉄道の旅へ出発! 10月19・20・26・27日には、弘前~鷹ノ巣~角館をJRと内陸縦貫鉄道で結ぶイベント列車「森吉山麓紅葉号」も出ているので、ぜひ乗車したい(大館駅9:11発)。

 同列車に乗らない場合は、鷹ノ巣で秋田内陸縦貫鉄道に乗り換えよう。阿仁(あに)川沿いに沿って山あいを進むこのローカル線は、紅葉の特等席。特に笑内(おかしない)~岩野目間で出会う鳥坂橋付近の紅葉は、渓谷が真っ赤に染まり息を呑む美しさ。

 岩野目駅の3つ隣、阿仁マタギ駅まで下ったら、徒歩約30分ほどのマタギ資料館を見学しよう。マタギたちが使った珍しい狩りの道具や衣装などの各資料は、都市部の生活とは違った、厳しい自然と生きる知恵が垣間見え、グイグイ引き込まれてしまう。

 最後は併設の「打当(うっとう)温泉マタギの湯」に入浴(400円)。源泉かけ流しの琥珀色の温泉を、今回の旅の仕上げの湯としたい。

おらが味さ食べてけれ|秋田の激うまA級&B級グルメ|きりたんぽ鍋

大館や鹿角など秋田の内陸で昔から愛される郷土料理。炊きたてご飯を潰し、杉の串につけて炭火焼きしたきりたんぽを、セリやマイタケなどと一緒に比内地鶏のスープで煮込む。香ばしいきりたんぽと澄んだ旨みのスープ、セリのほんのりとした苦みが混然一体となり、心と体を芯から温めてくれる。

TEL.0186-43-7072(大館きりたんぽ協会)、TEL. 0186-23-2019(発祥の地鹿角きりたんぽ協議会)

観光の問合せ

文・構成=鈴木健太
写真協力=JR東日本、秋田県
※掲載されているデータは2013年10月現在のものです。

前のページへ

バックナンバー

このページのトップへ