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コース2|なまはげにお酒にハタハタ……秋田の冬旅情緒に沈溺

男鹿の漁師の暮らしから生まれた石焼き料理。高温でも割れにくい男鹿半島入道崎の火成岩、通称・金石(かないし)を木桶にぶち込み、タイやソイ、海藻などを一気に煮込む。主に男鹿温泉郷の宿で味わえる。基本要予約。
TEL.0185-24-4700(男鹿市観光協会)

男鹿駅からアクセスする場合は、バス約30分+徒歩5分ほどで出会えるゴジラ岩。夕日に浮かび上がった姿が勇ましい。
TEL.0185-24-4700(男鹿市観光協会)

塩分が濃く、湯冷めしにくい男鹿温泉郷のお湯。江戸時代の温泉番付にも小鹿嶋(おがしま)の名で東の小結に挙げられたほどの名湯だ。宿は計8軒ほど。写真は「元湯 雄山閣」の露天風呂。
TEL.0185-33-3191(男鹿温泉協同組合)

1日目|男鹿|魚みて魚たべて湯につかる贅沢ざんまい男鹿の旅

 冬の日本海、そして冬の秋田の“おいしいとこどり”の旅、最初に訪ねたいのは、冬のなまはげ行事で有名な男鹿。羽立(はだち)駅で降りたら、バス約1時間の「男鹿水族館GAO」に向かおう。ホッキョクグマの親子・クルミとミルクや、巨大水槽で泳ぐ約40種2000匹の魚とのご対面には大感動。12月1~23日の土・日曜・祝日と、24・25日は、14時からサンタ姿のダイバーが魚たちへ餌のプレゼント!

 お昼に水族館から北へ3kmほどの「戸賀網元番屋」でハタハタしょっつる定食を堪能したら(12月14・15日限定オープン)、南の方へバスかタクシーで移動し、男鹿半島の西海岸へ。日本海に突き出た西海岸は荒々しい岩肌が連続する名勝で、特に夕日に浮かび上がるゴジラ岩の迫力は、本物の怪獣ゴジラそのもの!

 夜はお待ちかね、男鹿半島北部にある男鹿温泉郷で大宴会! 各旅館で味わえる名物の石焼き料理は、旬の魚介を真っ赤に熱した石で煮込む鍋料理。その豪快な調理法とは裏腹、上品な魚介ダシが激うまで、地酒が進む進む。

 12月21日までの金・土曜は「男鹿温泉交流会館 五風」で「ナマハゲふれあい太鼓ライブ」を20時30分から開催中なので、ぜひその迫力を体感してみて。

 

2日目|男鹿・八郎潟|「泣く子はいねがー」の迫力に、たじたじです

 2日目は、この旅のハイライト、「なまはげ館・男鹿真山(しんざん)伝承館」を訪ねよう。なまはげの語源は、一説によると「火斑(ナモミ)を剥ぐ」という言葉が訛ったもの。火斑とは炉端にかじりついていると手足にできる火型のことで、それを剥ぎ取って怠け者を戒めるのがなまはげ行事の由来なのだ。「なまはげ館」では、市内60地区で実際に使われていたなまはげの面や衣装を展示するほか、本物のなまはげの衣装を身に纏って記念撮影もOK。隣接の伝承館では、実際の男鹿のなまはげ行事を曲家(まがりや)民家で再現してくれる。その迫力、男鹿に来て見ないのは絶対に損! 

 男鹿駅近辺に戻って、お昼に男鹿しょっつる焼きそばを堪能したら、男鹿線・奥羽本線を乗り継いで羽後飯塚で降り、徒歩約10分の小玉(こだま)醸造へ。明治12年(1879)創業の同蔵は、レトロなレンガ造りの蔵内を見学させてくれる。もちろん試飲もOKだ。

 ほろ酔い気分で蔵を出たら、奥羽本線でもう少しだけ北上し八郎潟で下車。山間の一軒宿「小倉温泉」でつるつるの湯を満喫し、眠りにつく。

大晦日の民俗行事・なまはげに関する資料展示や、面の手彫り実演などを見学できる「なまはげ館」。「男鹿真山伝承館」では9:00~16:30にかけ、なまはげ行事の体験講座を開講。
TEL.0185-22-5050。8:30~17:00、無休。800円(共通券)、1~3月は入館料や体験講座の開講時間も変更。

ハタハタで造った魚醤(ぎょしょう)のしょっつるをベースにした、塩または醤油風味の「男鹿しょっつる焼きそば」。粉末ワカメと昆布ダシ入りの特製麺としょっつるの上品な風味がベストマッチ。男鹿市内約35軒で提供。
TEL.0185-24-4141(男鹿市商工会)

11時・13時・15時の1日3回、日本酒や味噌醤油の醸造工程の説明を受けながら蔵見学ができる小玉醸造。写真は酒蔵をギャラリーに改装した「ブルーホール」。潟上(かたがみ)市出身の水中写真家・中村征夫氏の作品を展示。
TEL.018-877-5772。10:00~16:00、12月31日~1月3日休。ギャラリー入場料300円(蔵見学は無料)

国登録有形文化財の旧料亭「金勇」は、木都といわれる能代を象徴するような豪華な木造建築。特に一本の秋田杉から採られた天井板のある「満月の間」は必見。
TEL.0185-89-2142(能代市総合政策課)。9:30~16:30、基本月曜(祝日の場合は翌日)・12月29日~1月3日休。無料

毎月2、5、7、0のつく日に開催される五城目朝市。お手玉のようにつぶしたご飯を丸めたダマコ餅など地元の味覚に加え、包丁や桶、ザル、衣類などの日用品も並ぶ。
TEL.018-852-5110(五城目朝市ふれあい館)。8:00~12:00頃

旧奥羽本線のトンネルを利用した喜久水酒造の酒蔵庫。トンネル内は低温で保たれ、酒の種類によっては熟成により、味が良くなるという。
TEL.0185-52-2271。平日のみ見学可能(酒造りの繁忙期のため見学できないことも。3日前までに要予約)。無料

3日目|三種・能代|朝市と歴史薫る町並みで地元の空気にふれる

 翌朝は、宿からバスかタクシーで数分、五城目(ごじょうめ)町の顔でもある朝市へ。約500年前、馬場目村の地頭・安東季宗が齊藤弥七郎に命じ、町村地区に市神(いちがみ)を祀らせ、市を開いたのが始まりとされるほど長い歴史を誇り、キノコや大根、白菜、ダマコ餅など地元の味覚がずらり!

 八郎潟駅に戻り鹿渡(かど)駅まで北上したら、徒歩約10分の「ちゃや亭」で三種(みたね)の名物・じゅんさい鍋を味わい体をあたため、東能代まで移動。タクシー約15分の喜久水酒造の酒蔵庫は、なんと旧奥羽本線の長ーいトンネルを貯蔵庫として再利用。この貯蔵庫だけでなく能代駅から徒歩約15分の喜久水の酒蔵も見学できるので、そちらも立ち寄ってみたい。

 能代駅ではホームに設置されたバスケのゴールにびっくり。そう、全国制覇通算58回を誇る能代高校のある能代市は「バスケの街」で街おこしをしており、市内には「能代バスケミュージアム」も。

 秋田杉の交易で栄え、町には多数の神社仏閣など懐かしい雰囲気が残る能代の中心地は、ぶらり歩きにもってこい。長慶寺などが建つ寺町や旧料亭の金勇(かねゆう)、能代ねぶながし館などに立ち寄ってみよう。小腹が空いたらレトロな町のパン屋さんといった風情の「エーワン・ベーカリー」で買い食いがおすすめ!

おらが味さ食べてけれ|秋田の激うまA級&B級グルメ|森岳じゅんさい鍋・三種じゅんさい丼

白神山地から注ぐ清水で育つ、ゼリー(寒天質)たっぷりの三種町のじゅんさい。森岳地区では古くから自生し、現在は稲作の転用作物として栽培されている。そんな生産量日本一のじゅんさいをふんだんに使ったのがこの両グルメ。
森岳じゅんさい鍋は、じゅんさい入りの比内地鶏つみれやダマコ餅が入ってボリューム満点! 町内6店で展開。要予約。TEL.0185-83-3010(三種町商工会)。
三種じゅんさい丼は、特製醤油で味付けをしたじゅんさいを包む薄焼き玉子の茶巾が、酢飯の上に鎮座。6店舗で提供。TEL.0185-85-4830(三種町商工観光交流課)

観光の問合せ

文・構成=鈴木健太
写真協力=秋田県、喜久水酒造
※掲載されているデータは2013年12月現在のものです。

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