『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

まだまだ空気は冷たいけれど、少しずつ、確実に、聞こえてくる春の足音。「いわて復興元年」。生命力あふれる早春の息吹のように元気に旅人を迎えてくれる春のいわてを訪れよう。

早春のいわて路 ほっこり温泉に浸かり、城下町を歩く

例えばこんなめぐり方|【1日目】東京駅⇒盛岡駅⇒田沢湖線⇒小岩井駅⇒小岩井農場まきば園⇒鶯宿温泉orつなぎ温泉泊
例えばこんなめぐり方|【2日目】鶯宿温泉orつなぎ温泉⇒雫石駅or小岩井駅⇒田沢湖線⇒盛岡駅⇒【城下町めぐり】石割桜⇒盛岡城址公園⇒桜山神社⇒岩手銀行中ノ橋支店⇒もりおか賢治・啄木青春館⇒鉈屋町界隈(町屋の旧暦の雛祭り)⇒盛岡駅⇒東京駅
1 思わず深呼吸! 残雪の農場で、春を告げる花木に出あう 小岩井農場まきば園

 真っ白に雪を抱いた山々に囲まれ、山野草がそっと芽を出す早春。都心の喧騒を離れ、思わず深呼吸……。1年を通じて楽しめる日本最大級の民間総合農場「小岩井農場」では、この季節だからこその風景が体験できます!!
 まずは、北国に春を告げる花、ザゼンソウとミズバショウ。どちらも湿地の花だけど、なんと!ザゼンソウは開花のときに自分で発熱して雪を溶かすそう。ミズバショウは5万株の大群落が見られます。観察会も予定されているので、ぜひ参加してみよう。
 そして、小岩井農場の春と言えば「一本桜」。岩手山麓の牧草地に、たった1本だけ根を張るエドヒガンザクラは、明治40年代に植えられたと言われています。残雪の岩手山を背景に緑の牧草地で薄紅色に開花した姿はもちろん、雪原にどっしりとたたずむ一本桜もステキ♪

小岩井農場まきば園

営業時間:9:00~16:30(4月20日~11月4日は~17:30)。4月12日休。入園無料(4月20日~11月4日は中学生以上500円、子供250円)。交通:東北新幹線盛岡駅からバス35分の小岩井農場まきば園下車。TEL.019-692-4321

○小岩井農場の一本桜

例年の開花は4月下旬~。開花状況はサイト内に情報がアップされる。

2 温泉天国!! 実力派のお湯で美肌づくり 鶯宿温泉、つなぎ温泉

 名湯や秘湯、個性豊かな温泉がたーくさんある温泉王国・岩手ですが、今回は、盛岡市内から行きやすい温泉を2つご紹介?
 まずは雫石町の「鶯宿(おうしゅく)温泉」。開湯450年、ウグイスが傷ついた足を浸して治しているのを見つけたのが、開湯の起源なんだって。鶯宿川に沿って続く温泉街には、個性豊かな旅館が建ち並んでいて、渓谷美を満喫できます。3月末まで、温泉街の宿泊施設にお得な料金で泊まれるキャンペーンを開催中。鶯宿温泉のゆるキャラ「ケキョきち」のタオルももらえちゃうよ♪
 もう一つが、約900年の歴史を誇る盛岡の奥座敷「つなぎ温泉」。平安末期に源義家が愛馬をつないで入浴したので、繋(つなぎ)温泉と呼ばれるようになったそう。アルカリ性の単純硫黄泉がお肌を柔らかくしてくれるよ。温泉街で買える100%つなぎ温泉を使った完全無添加の「つなぎ温泉ミスト」は、キメの整った肌になると評判です。

鶯宿温泉

交通:盛岡駅からバス約50分の鶯宿温泉下車(無料シャトルバス1日2~3便もあり)。またはJR田沢湖線雫石駅からタクシー15分。鶯宿温泉観光協会TEL.019-695-2209 

つなぎ温泉

交通:盛岡駅からバス約30分のつなぎ温泉下車、またはタクシー約20分。つなぎ温泉観光協会TEL.019-689-2109

3 城下町・盛岡の桜の名所とパワスポを訪ねる 石割桜、盛岡城址公園、桜山神社

 安土桃山時代に勢力を広げた南部氏の城下町として発達した盛岡市。盛岡駅から歩ける範囲に桜のみどころやパワスポがあるので、ぶらり街あるきはいかが?
 まずは、盛岡きっての桜の名所「石割桜」のある盛岡地方裁判所。大きな花崗岩から樹齢360年を超えるエドヒガンザクラが、石を割るように伸びています。官公庁街を抜ければ、石川啄木や宮沢賢治も愛したという盛岡城址のある盛岡城址公園。4月中旬からの「さくらまつり」では、ぼんぼりに灯りがともされ夜桜も見物できます。
 公園内の盛岡城三の丸跡にある桜山神社の「烏帽子(えぼし)岩」は、全国有数のパワースポットとして知られているよ。南部藩の総鎮守で、藩の「お守り岩」として崇拝されてきた巨大な奇岩だから、それも納得です。

石割桜

交通:盛岡駅からバス約10分の中央通一丁目下車。盛岡観光コンベンション協会TEL.019-604-3305

盛岡城址公園

交通:盛岡駅からバス約10分の中央通一丁目下車。「さくらまつり」=開催日時:平成24年4月14日~5月6日。盛岡観光コンベンション協会TEL.019-604-3305

桜山神社

交通:盛岡駅からバス10分の県庁・市役所前下車。TEL.019-622-2061

4 レトロな洋風建築や町家をめぐる 岩手銀行中ノ橋支店、もりおか啄木・賢治青春館、鉈屋町

 比較的戦争の被害が少なかったと言われる盛岡の街には、明治・大正期の建造物が数多く残っています。
 例えば、「岩手銀行中ノ橋支店」。明治44年(1911)に建てられた旧盛岡銀行の本店で、東京駅のような赤レンガづくりの緑色のドームが美しい!! また、旧盛岡銀行より5カ月早く竣工した第九十銀行を改修・保存したのが、「もりおか啄木・賢治青春館」。ドイツ風ロマネスク様式をとりいれた建物内では、賢治や啄木に関する企画展やコンサートが開かれています。館内の喫茶コーナーでは、ひき立て淹れたてのコーヒーやスイーツも楽しめちゃいます。
 さらに、鉈屋町(なたやちょう)界隈では、昔ながらの盛岡の住まいの形を残した約40軒の盛岡町家を特別開放し、ひな人形を飾る「旧暦の雛祭り」も開かれます。レトロな雰囲気にとっぷり浸れること間違いなし!

岩手銀行中ノ橋支店

開館時間:9:00~15:00(銀行営業時間)。土・日曜休。見学無料。交通:盛岡駅からバス約10分の中ノ橋通1丁目下車。盛岡観光コンベンション協会TEL.019-604-3305

もりおか啄木・賢治青春館

開館時間:10:00~18:00。第2火曜休。入館無料(2階展示ホールは有料の場合も)。交通:盛岡駅からバス約15分の盛岡バスセンター下車、徒歩3分。TEL.019-604-8900

盛岡町家 旧暦の雛祭り

開催日:平成24年4月14日、15日(3月1日から一部町家でプレ雛祭りを開催)。交通:盛岡駅からバス約15分の盛岡バスセンター・中三前下車、徒歩10分。盛岡まち並み事務局TEL.019-624-2466

5、 ちょっと足を延ばして…春の雪あそび! 安比(APPI)高原スキー場

 盛岡駅からバスで約1時間。日本有数の規模を誇る安比高原スキー場は、毎年12月上旬から5月下旬までの半年もの間スノースポーツが楽しめるエリア。オンシーズンは水分の少ないサラサラの「アスピリンスノー」がサイコーだけど、この季節には、ぜひ雪山トレッキングにチャレンジ!!  初挑戦でも楽しめる「雪山トレッキング体験」のほか、4月には「中倉山・松川温泉ツアー」「八幡平大黒森ツアー」などのスノーシューツアーも開催されます。北緯40度に広がる豊かな銀世界を、経験豊かなスタッフと一緒に楽しみながら、ダイエットもできちゃうかも?
 また3月24日まで、スキー場に十数万個のイルミネーションとライトアップしたオブジェのエリア「APPIナイトイリュージョン」が出現。キラキラ☆のロマンチックな夜が過ごせそう♪

安比高原スキー場

春スキー期間:平成24年3月26日~5月6日、8:30~16:00。交通:盛岡駅からバス約1時間の安比高原スキー場下車。ゲレンデダイヤル(音声案内)TEL.0195-73-5141

○雪山トレッキング(安比高原宿泊者限定)

「中倉山・松川温泉ツアー」=平成24年4月1日、8:30~16:00ごろ。約5.5km。
「八幡平大黒森ツアー」=平成24年4月15日、8:30~16:00ごろ。約7km。料金:7000円。定員8人(2人以上で実施)。開催日3日前の17:00までに要申込み。イーハトーヴォ安比高原自然学校TEL.0195-73-6228

○APPIナイトイリュージョン

開催期間:平成24年3月24日まで。営業時間:17:30~21:00。入場無料。

女子旅コラム「知って得する、美味しい話」  ヘルシー&キレイの源☆ 岩手県北部は雑穀料理・スイーツの宝庫

 食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富で、体の中からキレイを作ってくれる雑穀。 今でこそ健康食として人気の高い雑穀ですが、北上盆地に位置する岩手県北地域では、夏に吹く冷風「やませ」の影響で稲が育ちにくく、代わりに蕎麦やヒエ、アワ、キビなどの雑穀が農業の中心でした。
 岩手で蕎麦といえば、わんこそば。掛け声とともに、朱塗りの椀に一口ずつ盛った蕎麦をリズミカルに食べます。「ゆでたてのおそばをお腹いっぱい食べて」という“おもてなし”の気持ちの表れとか。この蕎麦を三角に切って豆腐や大根と茹でて食べるのが「そばかっけ」。ハレの日の行事食で、大人はニンニク味噌、子どもは甘くコクのあるクルミ味噌などをつけていただくそうです。
 久慈市山形町では、正月や祭りなどのお祝いの時に「まめぶ」という郷土料理を食べます。親指大に丸めた小麦粉団子のなかにクルミと黒砂糖を入れて、中身が出ないように野菜や焼き豆腐と一緒に、醤油ベースの汁で煮ます。昨年「久慈まめぶ汁」としてB-1グランプリにもエントリーされました。
 同じく親指ほどの団子をタカキビの粉で作って、小豆汁に入れて食べるお汁粉のようなものが「へっちょこだんご」。名前の由来は、真ん中をくぼませた形が「へっちょこ(へそ)」に似ているから♪
 身も心も温めてくれる伝統の味「ひっつみ」は、水でこねた小麦粉を手でちぎって鶏肉やゴボウ、キノコなどの醤油ベースの汁で煮ます。小麦粉は、南部藩の名前を冠した「南部せんべい」の原料。江戸時代まで「煎餅」といえば一般的に米ではなく小麦粉で作ったものを指したと言われているので、さすが伝統を感じます。


岩手県は国内生産量日本一をほこる「雑穀王国」

そばかっけは、エゴマ味噌や
クルミ味噌で食べることも

へっちょこだんごは、
へその部分に汁が絡んでおいしい

地域おこしのツールにもなっている、
まめぶ汁

「手で引きちぎる」=ひっつむ、が
名前の由来のひっつみ
文=本間朋子 写真協力=岩手県観光協会、小岩井農場
※掲載されているデータは平成24年3月現在のものです。

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