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いい湯だね!! 名湯秘湯フルムーン~城崎温泉、伊東温泉、丸駒温泉をめぐる3576kmの旅~

  • 1日目 旬のカニが魅力 城崎温泉へ
  • 2日目 城崎を散策して 一旦、東京へ
  • 3日目 伊東温泉に入り 一路、北海道へ!
  •  4日目 支笏湖畔の秘湯 丸駒温泉へ
  • 5日目 冬の函館を訪ね 「北斗星」で帰京

3日目 伊豆の名湯、伊東温泉で温まり 寝台特急「北斗星」で北海道へ 東海道本線・伊東線[東京⇔伊東]、山手線[東京⇒上野]、寝台特急「北斗星」[上野⇒札幌]

  • 185系の特急「踊り子」。昭和の時代から走る電車は、フルムーン世代にとっても懐かしい

  • 相模湾や駿河湾で獲れた「アジ」のおいしいこと。伊東では「アジ丼」を味わってみたい

  • 伊東温泉にも日帰り滞在(デイユース)可能な宿がある。客室でのんびり、温泉でゆったり

  • 伊東温泉でお気に入りの貸切露天風呂。源泉かけ流しの湯は柔らかく極楽気分でリラックス

  • 上野発札幌行き寝台特急「北斗星」。2人用B寝台個室「デュエット」で夫婦水入らずの夜を

  • 東京駅で買った惣菜やワインを「北斗星」の個室で食べる。夜汽車の旅情が最高のスパイス

 自由自在でダイナミックな旅ができるフルムーンパス。旅の3日目からは、伊豆の名湯、伊東温泉に立ち寄り、寝台特急「北斗星」で、一路、北海道の秘湯、丸駒温泉へ向かう。

 北海道まで持っていく荷物を東京駅のコインロッカーに預け、身軽な装いでホームへ。東京から伊豆へは、熱海で東海道新幹線を下車し、伊東線に乗り換えて行くのもいいが、在来線の特急なら乗り換えなし。到達時間の差もあまりない。

 10時ちょうど発の特急「踊り子107号」は昭和の面影を残す185系電車。昭和56年から製造された車両にはノスタルジーも乗り合わせ、懐かしい時代の温泉旅行気分が味わえる。

 伊東は、アジなどの魚がおいしい温泉地。ランチに「アジ丼」をいただき、この頃流行という日帰り滞在(デイユース)の宿へ。

 日帰り滞在は宿の客室が利用でき、タオル類や浴衣もあり、温泉が快適に楽しめる。料金は1室2名で合計5000円前後、追加料金なしで露天風呂を貸切りにできる宿もある。

 思った以上にリラックスでき伊東から東京へ。デパ地下のように食材豊富なエキナカ「グランスタ」で夕食やワインなどを買い求め、預けた荷物を取り出し、寝台特急が待つ上野駅へ移動。「北斗星」では食堂車のディナーも魅力的だが、2人用B寝台個室「デュエット」で気兼ねなく食べる夕食もまた格別。寝台列車特有の旅情が最高のスパイスになるのだろう。

 伊東温泉で温まった身体をベッドに横たえれば、レールの心地よい響きが眠りに誘う。

3日目●乗車距離:1461.5km 運賃合計2人分:76,680円 
※青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道分を含む

【各区間ごとの運賃と乗車距離】
東京~伊東:@5,510円(乗2,210円 特グ3,300円) 乗車距離121.5km
伊東~東京:@5,510円(乗2,210円 特グ3,300円) 乗車距離121.5km
東京~上野:@150円(乗150円) 乗車距離3.6km
上野~札幌:@27,170円(乗17,930円 特寝9,240円) 乗車距離1214.9km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数
※青い森鉄道(距離121.9km、運賃等@3,770円)、
IGRいわて銀河鉄道(距離82km、運賃等@2,790円)分を含む

モデルコース

東京発5日間・後編【旅の3日目】
伊東温泉に入り、北海道へ
3日目 発着駅 時間 メモ
伊豆の名湯、伊東温泉で温まり、
「北斗星」で北海道へ(車中泊)
東京 発 10:00 特急【踊り子107号】グリーン車
伊東 着 11:45 伊東温泉へ
  旅館に「日帰り滞在」して温泉三昧
伊東 発 15:56 特急【踊り子116号】グリーン車
東京 着 17:44 エキナカ「グランスタ」で夕食を買いそろえます
  山手線等で適宜、上野へ移動
上野 発 19:03 寝台特急【北斗星】2人用B寝台個室「デュエット」
札幌 着 11:15 お昼を食べて、丸駒温泉へ

旅のメモ

観光の問合せ
■伊東:伊東観光協会 TEL.0557-37-6105

温泉コラム③ フルムーンパスで行きたい「東海・北陸・近畿」の温泉

 日本の大動脈、東海道新幹線。ビジネス路線のイメージが強いものの、沿線には温泉地も多く、“温泉新幹線”の側面もあわせ持つ。まずは超有名な熱海温泉、そして、伊東線に乗れば伊東温泉も近い。熱海に続き、浜松では浜名湖畔の舘山寺(かんざんじ)温泉が近く、豊橋からは飯田線で湯谷温泉などに行ける。

 米原駅で北陸本線に乗り換え、北陸路に向かえば、こちらにも名湯がずらり。芦原(あわら)温泉駅から芦原温泉(福井県)、加賀温泉駅からは片山津温泉(石川県)、山代温泉(同)、山中温泉(同)などなど。

 近畿地方では、紀勢本線で行く白浜温泉(最寄駅は白浜駅)や山陰本線で行く城崎温泉がおすすめ。冬ともなれば、白浜では幻ともいわれた魚「クエ」が味わえ、城崎では旬の「松葉ガニ」が堪能できる。

熱海など東海道新幹線も沿線に多くの温泉地を持つ。熱海駅前の間欠泉は一見の価値あり

4日目 「北斗星」で二度寝して札幌着 送迎バスで秘湯、丸駒温泉へ

  • 札幌着の寝台特急「北斗星」。牽引するDD51形機関車も昭和の生まれで、よく頑張っている

  • 冬晴れの日、凛と建つ赤レンガの北海道庁旧本庁舎。札幌駅から近い観光スポットの一つ

  • 寒い冬こそ食べたい札幌の味噌ラーメン。一大ブームとなった昭和40年代を思い出す味だ

  • 冴え冴えとした支笏湖冬景色。向かって右手にそびえる山は「風不死岳」(ふっぷしだけ)

  • 支笏湖が見える丸駒温泉の貸切露天風呂(源泉かけ流し)。内湯もついていてほっこり

  • まったりと部屋食でいただく丸駒温泉の夕食。温泉に入るとお腹も減って、もちろん完食

 寝台特急「北斗星」で迎えた4日目の朝。目が覚めた時、車窓に広がる雪景色が旅情をかきたてる。そして、なんといってもお楽しみは、二度寝。11時15分の札幌到着まで、もう一眠りして行こう。

 札幌駅では「北斗星」の先頭に立つ2両のDD51形ディーゼル機関車をバックに記念写真をパチリ。DD51にしても24系客車にしても、昭和の時代から走り続けている車両だ。フルムーン世代としては、自分たちの人生と重なるこれらの車両が懐かしく思え、末長い活躍を願いたいところ。

 凍てつく冬の北海道。お昼には温かい札幌ラーメンが食べたい。味噌味の濃いスープをすすると、一大ブームとなった昭和40年代を思い出す。

 これから向かう丸駒温泉は支笏湖(しこつこ)畔の宿。本来なら千歳駅が最寄り駅になるのだが、11月初旬から4月末まで、無料送迎バス(予約制、年末年始運休)が札幌、千歳と宿を結んでいる。丸駒温泉は秘湯と呼ばれるだけに、送迎バスがあるととても助かる。

 天然温泉100%、もちろん源泉かけ流しの丸駒温泉。有名な大露天風呂は、源泉が底から湧き出し、水位は支笏湖と一体になるという野趣あふれるもの。貸切露天風呂(有料)もあって、こちらは夫婦でほっこりと湯浴みができる。

 冬のイベント「氷濤(ひょうとう)まつり」が開催される支笏湖(しこつこ)畔。期間は2012年1月27日から2月12日まで。秘湯とともに、真冬ならではの催しもぜひ見てみたい。

 

モデルコース

東京発5日間・後編【旅の4日目】
秘湯、丸駒温泉へ
4日目 発着駅 時間 メモ
支笏湖畔の秘湯、丸駒温泉へ 
(丸駒温泉泊)
札幌駅北口 発 13:30 丸駒温泉・無料送迎バス(要予約 ※年末年始運休)
丸駒温泉 着 15:30 風不死岳や支笏湖を眺めながらバスの旅
  支笏湖畔の秘湯、丸駒温泉に滞在

旅のメモ

観光の問合せ
■支笏湖(千歳市):千歳観光連盟 TEL.0123-45-7062

温泉コラム④ フルムーンパスで行きたい「中国・四国」の温泉

 晴れの国、岡山で中国山地にある美作三湯は「美作」と書いて「みまさか」と読む。湯原温泉、奥津温泉、湯郷(ゆのごう)温泉の三湯で、山陽新幹線姫路駅で姫新(きしん)線に乗り換えて行くのがいいだろう。日本海側へ出れば、山陰地方を代表する温泉地が山陰本線に沿うように点在。鳥取県では、倉吉駅から三朝(みささ)温泉、米子駅から皆生(かいけ)温泉が近く、島根県では玉造温泉駅から玉造温泉が、温泉津(ゆのつ)駅からは温泉津温泉が近い。これらへのアクセスは山陽新幹線、岡山駅で伯備線に乗り換え、山陰方面へ向かうのが一番だ。
 一方、四国では愛媛県、松山の道後温泉がなんといってもはずせないところ。こちらへのアクセスも岡山から直通の特急列車が出ている。中国・四国地方の温泉をめぐる旅は、岡山駅を念頭にプランを作りたい。

鳥取県三朝温泉にある河原の露天風呂。名湯秘湯に恵まれた日本は本当に温泉大国だと思う

5日目 イルミネーション輝く函館を歩き 再び寝台特急「北斗星」で上野へ 千歳線[千歳⇒新千歳空港・新千歳空港⇒南千歳]/室蘭本線・函館本線[南千歳⇒函館]/寝台特急「北斗星」[函館⇒上野]

  • 野趣満点、丸駒温泉の天然露天風呂。誰もいない男湯(女湯は奥)で支笏湖の大自然と一体に

  • 新千歳空港の食事処で味わう「鮭鉄火重」。JR線で空港に行ってランチを食べるのもよし

  • 南千歳駅に停車する283系「スーパー北斗」。札幌と函館を最速3時間で結ぶ特急列車だ

  • 函館らしい八幡坂も「はこだてイルミネーション」(2012年2月29日まで開催)で美しく輝く

  • 函館の老舗洋食店でいただく夕食。ロマンチックな街、函館は恋人時代の気分で歩きたい

  • 旅の最後の夜は上野行き寝台特急「北斗星」2人用B寝台個室「デュエット」(写真は下段)で

 温泉を満喫した旅の5日目。無料送迎バスで宿を後にし、ただ、札幌までは行かず、途中の千歳駅前で下車。周辺でランチを食べ、やはり冬が美しい函館を経由して帰京しよう。

 千歳ではJR線が直接乗り入れている新千歳空港がランチ場所に好適。北海道の幸を供する食事処が多く、お好みでいろいろといただける。一方、アウトレットモール(南千歳駅前)もあり、こちらでショッピングと食事をするのもおすすめだ。

 南千歳から特急「スーパー北斗12号」に乗車し、函館15時38分着。このプランでは函館で夜まで過ごし、再び「北斗星」で上野へ帰るようにしたが、東北新幹線の新青森延伸により、当日中の東京帰着もできる。函館17時7分発、特急「スーパー白鳥42号」で新青森19時11分着。東北新幹線「はやて42号」に乗り継げば23時8分には東京に着く。昭和の時代には考えられないスピードだが、函館に1時間半滞在でき、タクシーの利用で、ベイエリアをはじめ見所をさっと観光することもできるだろう。

 函館では冬のイベント「はこだてイルミネーション」もお見逃しなく。エキゾチックな教会が建ち並ぶ元町地区、旧青函連絡船「摩周丸」を望む八幡坂などがイルミネーションで飾られる。期間は2012年2月29日まで。

 温泉三昧のフルムーン。最後に注意点を少々。まず、フルムーンパスには利用できない期間(直近では12月28日から1月6日など)があること。また、寒い季節、ご旅行は暖かい服装で、くれぐれも無理のないご入浴を。

5日目●乗車距離:1179.1km 運賃合計2人分:73,060円
※青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道分を含む

【各区間ごとの運賃と乗車距離】
千歳~新千歳空港:@340円(乗340円) 乗車距離5.6km
新千歳空港~南千歳:@ 300円(乗300円) 乗車距離2.6km
南千歳~函館:@ 11,240円(乗4,930円 特グ6,310円) 乗車距離274.7km
函館~上野:@24,650円(乗15,410円 特寝9,240円) 乗車距離896.2km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数
※青い森鉄道(距離121.9km、運賃等@3,770円)、
IGRいわて銀河鉄道(距離82km、運賃等@2,790円)分を含む

モデルコース

東京発5日間・後編【旅の5日目】
函館に立ち寄り、帰京
5日目 発着駅 時間 メモ
冬の函館を歩き、「北斗星」で帰京
(車中泊)
丸駒温泉 発 10:00 無料送迎バス(要予約 ※年末年始運休)でJR千歳駅へ
千歳 着 10:50 JR線に乗り換え
千歳 発 11:09 快速【エアポート104号】自由席
新千歳空港 着 11:16 空港の食事処でランチ
新千歳空港 発 12:34 快速【エアポート125号】自由席
南千歳 着 12:37 特急に乗り換え
南千歳 発 12:48 特急【スーパー北斗12号】グリーン車
函館 着 15:38 駅に荷物を預け、身軽に街へ
  イルミネーションが美しい冬の函館を散策
函館 発 21:48 寝台特急【北斗星】2人用B寝台個室「デュエット」
上野 着 9:38 名湯秘湯フルムーンの終わり

旅のメモ

観光の問合せ
■函館:函館市観光案内所 TEL.0138-23-5440

温泉コラム⑤ フルムーンパスで行きたい「九州」の温泉

 九州新幹線鹿児島ルートが全線開業し、とても便利になった九州。まず最初に九州新幹線の沿線では、新玉名駅から玉名温泉(熊本県)が近い。また、不知火(しらぬい)海に面した日奈久(ひなぐ)温泉(同)は新八代駅からアクセスでき、宿によっては新八代駅から送迎してくれるところもある。
 鹿児島ルートの終点、鹿児島中央駅からは南国情緒に満ちた指宿(いぶすき)枕崎線に乗って指宿駅へ行き、「砂蒸し風呂」で有名な指宿温泉も訪ねてみたい。
 温泉豊富な九州。小倉で山陽新幹線から日豊本線、特急「ソニック」に乗り換えれば、別府温泉(大分県)まで1時間ほど。そして、大分駅からは久大本線で人気の由布院温泉(最寄駅は由布院駅)に行ける。
 新幹線と在来線特急列車を活用して、九州の温泉を楽しもう。

九州の温泉も気持ちいい。全線開業した九州新幹線に乗り、フルムーンパスでぜひ訪ねたい

<東京発5日間の運賃総額、JR総乗車距離>
運賃総額:248,660円 (2名分合計 通常期で算出)
※青い森鉄道とIGR岩手銀河鉄道分(2名分合計26,240円)を含む
JR運賃総額:222,420円 (2名分合計 通常期で算出)
※運賃総額-第3セクター分(2名分合計26,240円)
JR総乗車距離3576km
※運賃計算キロ ※総乗車距離-第3セクター分(合計407.8km)
お得になった金額:141,920円 (JR運賃総額-フルムーン5日間パス定価80,500円)
乗車倍率:2.76倍 (JR運賃総額÷フルムーン5日間パス定価80,500円)
※運賃計算キロは、JR東日本のサイト、えきねっと「乗換・運賃案内」で表示のものです

● 旅人(著者)紹介 相澤秀仁&相澤京子

写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で3巡している。これまでに80日以上「フルムーン旅行」をし、JR路線も約8万キロ乗車。著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』、『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。また、英語クロスワードパズルを新聞に17年に渡って連載。
ホームページhttp://www.aizawa22.com

 

文・撮影:相澤秀仁&相澤京子
※掲載されているデータは平成23年11月27日現在のものです。
※JR時刻表12月号を使用。到着時刻等、一部時刻未掲載のものは、えきねっと「乗換・運賃案内」で表示の時刻を使用。
※運賃は通常期の「平成23年12月9日」をモデルに算出しました。

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