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フルムーン夫婦グリーンパスで行く新幹線の旅|九州ぐるり一周フルムーン~温泉もグルメも観光も。九州漫遊5日間の旅~

  • 1日目|東京から別府へ名湯でのんびり
  • 2日目|日豊本線を南下宮崎も鹿児島も
  • 3日目|鹿児島を観光し新幹線で熊本へ
  • 4日目|筑後柳川を訪ね夜景輝く長崎へ
  • 5日目|長崎を散策して博多経由で帰京

3日目|桜島をはじめ鹿児島の見所を巡り九州新幹線で名城そびえる熊本へ|九州新幹線[鹿児島中央⇒熊本]

  • 鹿児島のシンボル、噴煙たなびく桜島。各所にビュースポットがあり、その雄姿に圧倒される

  • お昼に食べたい鹿児島名物、黒豚のヒレカツ。ランチタイムにはお手頃な価格でいただける

  • 鹿児島中央駅で発車を待つN700系「さくら」。ここから熊本までは1時間とかからない近さ

  • 熊本も鹿児島や長崎と同様、市内電車が駅前から出ている。モダンな電車で市内観光にGO!

  • 日本三名城の一つとされる熊本城。堂々たる天守閣は九州新幹線の車窓からも眺められる

  • 熊本で食べた桜肉(馬肉)の握り。牛とも豚とも違う馬肉特有の上品な味わいが心に残る

 旅の3日目、南国・鹿児島を観光し熊本へ。九州新幹線なら運転本数も多く便利で速い。N700系「さくら」に乗れば鹿児島中央から熊本まで50分弱。夫婦それぞれの旅程に合わせて列車を選び、鹿児島も熊本も存分に楽しもう。

 噴煙を上げる桜島と西郷隆盛がシンボルの鹿児島。市内観光には見所を周回するバス「カゴシマシティビュー」の利用がおすすめ。西郷隆盛銅像前や城山(桜島のビュースポット)、仙巖園(磯庭園)などを経由し、料金は1乗車180円。600円の1日乗車券には主な観光施設の入館料等が割引になるパスポートが付いている。

 温泉派のご夫婦はプランをアレンジ。JR線が乗り放題のフルムーンパスだから、指宿温泉まで出かけ、当地ならではの砂むし入浴を体験するのもあり。鹿児島中央から指宿までは指宿枕崎線の特急「指宿のたまて箱」で約50分。錦江湾の風景はいかにも南九州らしい。

 鹿児島名物の黒豚料理をお昼に食べて熊本へ移動。熊本も鹿児島と同様、市内電車が駅前から出ている。ここはぜひ市内電車に乗って、日本三名城の一つとされる熊本城や、明治の文豪、夏目漱石も訪れたという水前寺公園へデート気分のお出かけを。こちらも一日乗車券があり、600円で市電全線が乗り放題、しかも仙巖園などの施設利用割引券が付いている。

 熊本もおいしい食べものの宝庫。鹿児島が黒豚なら熊本では桜肉(馬肉)。新鮮な馬刺しを堪能し、夜食には同じく名物の熊本ラーメンを味わってみたい。

3日目●乗車距離:170.5km 運賃合計2人分:16,500円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
鹿児島中央~熊本:@ 8,250円(乗3,150円 特グ5,100円)乗車距離170.5km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

九州ぐるり一周フルムーン 3日目
午前は鹿児島を観光、午後は新幹線で熊本へ
(熊本泊)
3

発着駅 時間 メモ
午前は鹿児島を観光、午後は新幹線で熊本へ
(熊本泊)
~ N700系に乗車 ~
鹿児島
中央 発
14:38 九州新幹線
【さくら560号】
グリーン車(N700系)
熊本 着 15:25 この日は熊本泊

旅のメモ

観光の問合せ
■鹿児島:鹿児島中央駅総合観光案内所 TEL. 099-253-2500
■熊本:熊本駅総合観光案内所 TEL. 096-352-3743

九州7県よかよかコラム 3. 名物料理

 福岡県ではフグ料理、水炊き、もつ鍋など。大分県では高級魚の関サバ、関アジのお造りから、だんご汁、とり天、豊後牛のステーキなどなど。宮崎県では真っ先にあげたいのが地鶏料理。特に地鶏の炭火焼きは最高にうまい。他にも宮崎県発祥というチキン南蛮や、レタスを巻いた巻き寿司「レタス巻き」がある。
 鹿児島県では、しゃぶしゃぶなど黒豚料理やさつま揚げがおすすめ。また、酢味噌で食べるキビナゴもぜひ。熊本県では馬肉料理。新鮮な馬刺しはこたえられない。一方、からしれんこんもピリリと辛い熊本の味だ。
 佐賀県といえば呼子のイカに佐賀牛だろう。呼子ではさまざまな調理法でイカを食べさせてくれる。長崎県では卓袱(しっぽく)料理にちゃんぽん、皿うどん。そして、島原地方の具雑煮もヘルシーでおいしい。

からしれんこんは熊本の名物。薄いスライスを食べればピリリと辛い。これも郷土の味覚

4日目|北原白秋ゆかりの柳川で春を感じ異国情緒あふれる長崎へ向かう旅|九州新幹線[熊本⇒筑後船小屋]/九州新幹線・長崎本線[筑後船小屋⇒新鳥栖⇒長崎]

  • 熊本駅を出発する九州新幹線「つばめ」。柳川へ向かう筑後船小屋駅まで30分とかからない

  • 掘割が縦横に流れる柳川、川下りの舟がよく似合う。日本的で詩情豊かな水郷風景に心が和む

  • 柳川地域では「さげもん」という特有の飾りで雛祭りを盛り上げる風習が今も残っている

  • 佐賀県初の新幹線駅、新鳥栖。お隣の鳥栖駅の名物「かしわうどん」は新鳥栖駅でも味わえる

  • 特急「かもめ25号」は885系「白いかもめ」で運転。重役室のようなグリーン車は重厚な雰囲気

  • 長崎の宿、部屋食で味わう夕食。長崎では坂の上の宿がおすすめ。夜景を夫婦で独占できる

 熊本で朝を迎えた旅の4日目、九州の水郷として知られる柳川を訪ね、さらに列車を乗り継ぎ長崎へ行こう。

 九州新幹線「つばめ」で柳川の玄関駅、筑後船小屋までほんの23分。ここからは路線バスに乗車、20分ほどで柳川に着く。バスの時刻は筑後船小屋発が10時7分、もしすぐに柳川へ向かうのならタクシーのご利用を。

 詩人、北原白秋ゆかりの柳川は、市内を掘割が縦横に流れ、しっとりとした風情はとても日本的、詩情に満ちている。日本的といえば柳川は雛祭りも独特、ひな段とともに飾る「さげもん」が素晴らしい。「さげもん」とは柳川伝統のまり「柳川まり」や各種の縁起物を吊り下げた飾りのこと。『2013年柳川雛祭り さげもんめぐり』(平成25年2月11日~4月3日)も開催され、優雅な飾りを目にすれば春の訪れを実感できる。

 西鉄柳川12時54分発の路線バスで筑後船小屋(13時15分着)に戻り、再び九州新幹線「つばめ」に乗って佐賀県の新鳥栖へ。

 九州新幹線と長崎本線との接続駅、新鳥栖。この駅には食べておきたい名物「かしわうどん」(立ち食い)がある。お隣の鳥栖駅でブルートレイン(寝台特急)全盛時代から絶大な人気を誇った「かしわうどん」、それが新鳥栖駅でも味わえる幸せ。かしわ(鶏肉)の味付けが絶妙だ。

 特急「かもめ25号」は885系「白いかもめ」で運転。重役室を思わせるグリーン車でくつろぎ、長崎には15時48分の到着。坂の街、長崎、できれば坂の上に建つ宿を予約し、美しい夜景を夫婦で独占。旅の最後の夜は贅沢をしてみたい。

4日目●乗車距離:212.2km 運賃合計2人分:21,500円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
熊本~筑後船小屋:@ 3,440円(乗1,250円 特指2,190円)乗車距離66.9km
筑後船小屋~新鳥栖:@ 2,160円(乗450円 特指1,710円)乗車距離22.9km
新鳥栖~長崎:@ 5,150円(乗2,420円 特グ2,730円)乗車距離122.4km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

九州ぐるり一周フルムーン 4日目
水郷、柳川をめぐり、異国情緒あふれる長崎へ
(長崎泊)
4

発着駅 時間 メモ
水郷、柳川をめぐり、異国情緒あふれる長崎へ
(長崎泊)
~ 800系に乗車 ~
熊本 発 9:06 九州新幹線【つばめ336号】普通車指定席(800系)
筑後
船小屋 着
9:29 柳川を観光
筑後
船小屋 発
13:29 九州新幹線【つばめ344号】普通車指定席(800系)
新鳥栖 着 13:40 乗り換え 
名物の「かしわうどん」をぜひ味わってみたい
新鳥栖 発 14:19 特急【かもめ25号】グリーン車(「白いかもめ」で運転)
長崎 着 15:48 この日は長崎泊

旅のメモ

観光の問合せ
■柳川:柳川市観光案内所 TEL. 0944-74-0891

九州7県よかよかコラム 4. ラーメン

 九州と聞くとついつい豚骨ラーメンが頭に浮かぶ人も多いのではないだろうか。九州各県でラーメンが食べられないところはないと思うが、ラーメン処として名高い街は面白いことに九州新幹線沿いに集まっている。
 福岡県では博多ラーメンに久留米ラーメン。乳白色の濁ったスープ&細く硬めの麺が特徴で紅ショウガを添えたりする。熊本県では玉名ラーメンや熊本ラーメンが有名。福岡よりも麺は太めで紅ショウガは一般に用いない。そして、鹿児島のラーメンも南国風でおいしい。もちもち感のある中太麺が多く、合わせて出される漬物は紅ショウガではなく大根、これがぽりぽりとうまかったりする。
 他の4県はどちらかというと別の麺類が定着。大分県では別府冷麺、宮崎県では宮崎うどん、佐賀県では武雄ちゃんぽん、長崎県では本場長崎ちゃんぽんや皿うどんが目にとまる。

九州新幹線沿いにラーメン処が並ぶ九州。ラーメンも各地で微妙にスタイルが異なっている

5日目|坂の街、長崎をさるく(散策)し観光もグルメも楽しみ帰路につく|長崎本線[長崎⇒博多]/山陽・東海道新幹線[博多⇒新大阪⇒東京]

  • 長崎では散策を「さるく」という。市内電車も乗り降りしつつ、ぶらぶら歩きを楽しみたい

  • 長崎を代表する石橋、中島川にかかる眼鏡橋。水面に映る様子は丸いメガネさながらだ

  • 眼鏡橋近くの老舗カステラ店で試食させていただいたカステラ。褐色のチョコラーテは最高!

  • 博多駅に到着する長崎本線の特急「かもめ」。博多では時間を作り、おみやげを購入したい

  • 博多駅で食べたラーメン。せっかく九州に来たのだから旅の締めくくりに一杯食べて帰ろう

  • クールで落ち着いた雰囲気のN700系「さくら」グリーン車。各座席には読書灯もついている

 楽しい時間は過ぎるのが早い。気が付けばもう最終日。しかし、九州を5日間かけてグリーン車で周遊する旅は、時間の使い方も本当に贅沢、これもフルムーンパスらしい旅と思う。

 歴史の街、長崎。日本が鎖国していた時代から外国との窓口になった。オランダをはじめ諸外国の文化を取り入れ、巧みに独自の姿へと発展させてきた当地の気風。それは、ちゃんぽんや皿うどん、カステラといった食べものにも、石畳の坂道や、眼鏡橋に代表される石橋群にも感じられる。長崎では散策を「さるく」と言うが、歴史テーマパークさながらの街を夫婦ふたり気ままにぶらぶらと歩いてみたい。

 「さるく」すればお腹もすいてくる。お昼には新地の中華街へ出かけ名物の皿うどんでも。パリパリに揚げた細麺にあんをのせた皿うどんは、お好みでウスターソース(店によっては酢)をかけて食べるのが長崎流でユニーク。

 東京への帰路、博多で一度下車し、旅の締めくくりに博多ラーメンを。せっかく九州に来たのだから、本場の味を食べて帰ろう。

 東京発着の九州一周5日間フルムーン。このコースは途中の名古屋や大阪発着ももちろんOK、十分おトクな旅となる。また、東京以遠発着の場合は、初日東京発を少し遅らせ、最終日東京着を少し早めれば、長野、新潟、仙台発着も余裕で対応できる。

 九州には魅力的なスポットがまだまだたくさんある。次の機会には阿蘇山など九州横断ルートを組み込んでみたい。

5日目●乗車距離:1328.8km 運賃合計2人分:88,760円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
長崎~博多:@ 5,610円(乗2,730円 特グ2,880円)乗車距離153.9km
博多~新大阪:@ 20,380円(乗9,350円 特グ11,030円)乗車距離622.3km
新大阪~東京:@ 18,390円(乗8,510円 特グ9,880円)乗車距離552.6km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

九州ぐるり一周フルムーン 5日目
長崎を「さるく」(散歩)し、博多を経て帰京

5

発着駅 時間 メモ
長崎を「さるく」(散歩)し、博多を経て帰京
~ N700系、700系に乗車 ~
長崎 発 13:21 特急【かもめ24号】グリーン車(「白いかもめ」で運転)
博多 着 15:13 乗り換え 
おみやげを買ったり、博多ラーメンを食べたり
博多 発 16:38 山陽新幹線【さくら562号】グリーン車(N700系)
新大阪 着 19:21 乗り換え
新大阪 発 19:40 東海道新幹線【ひかり482号】グリーン車(700系)
東京 着 22:40 九州一周フルムーンの終わり

旅のメモ

観光の問合せ
■長崎:長崎市総合観光案内所(JR長崎駅構内) TEL. 095-823-3631

九州7県よかよかコラム 5. おみやげ

 旅に出ると、おみやげを買って帰るのも楽しみの一つ。福岡県では各種そろう博多駅でまとめて買うのもおすすめ。周囲の旅行者をみれば圧倒的に明太子を買う人が多く、やはり福岡みやげといえば明太子のイメージが強いのだろう。私たちも明太子をつい手にするが、駅では他にも大宰府名物の梅ヶ枝餅を購入した。おんせん県で話題の大分県、ここは別府、明礬(みょうばん)温泉名物、湯の花(天然の入浴剤)といきたい。
 宮崎県では真空パックになった鶏の炭火焼きがなんといっても美味。鹿児島県では銘菓かるかんや、薩摩きんつばなど甘味がお気に入り。熊本県では郷土菓子のいきなり団子、甘いものつながりで、佐賀県では唐津の松露(しょうろ)饅頭、長崎県では本場のカステラが喜ばれると思う。長崎市内の老舗カステラ店は試食ができるところもある。

鹿児島中央駅のおみやげ、薩摩きんつば。各地でのおみやげ選びもフルムーン旅行の楽しみ

<東京発 「九州ぐるり一周フルムーン」 の運賃総額、JR総乗車距離>
運賃総額:236,440円(2名分合計 通常期で算出)
JR総乗車距離:3310.4km ※運賃計算キロ
お得になった金額:155,940円(JR運賃総額-フルムーン5日間パス定価80,500円)
乗車倍率:2.93倍(JR運賃総額÷フルムーン5日間パス定価80,500円)
※運賃計算キロは、JR東日本のサイト、えきねっと「乗換・運賃案内」で表示のものです

● 旅人(著者)紹介 相澤秀仁&相澤京子

写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で4巡している。これまでに120日フルムーンパスでの旅をし、JR路線も約11万キロ乗車。
著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』、『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。また、英語クロスワードパズルを新聞に17年に渡って連載
ホームページhttp://www.aizawa22.com

 

文・撮影:相澤秀仁&相澤京子
※掲載されているデータは平成25(2013)年2月2日現在のものです。
※JR時刻表2月号を使用。到着時刻等、一部時刻未掲載のものは、えきねっと「乗換・運賃案内」等で表示の時刻を使用。
※運賃は通常期をモデルに算出しました。

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