『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

フルムーン夫婦グリーンパスで行く新幹線の旅|早春の南国フルムーン~龍馬夫妻ゆかりの霧島から宮崎、別府、そして高知へ~

  • 1日目|東京から霧島へ新幹線と特急で
  • 2日目|霧島を周遊して宮崎の宿に滞在
  • 3日目|日向の海を訪ね湯の町・別府へ
  • 4日目|別府から高知へぐるり鉄路の旅
  • 5日目|高知を見て回り岡山経由で帰京

3日目|願いが叶うという日向の海へ行き湯の町・別府で大分の幸を味わう|日豊本線[宮崎⇒日向市⇒別府]

  • 日向市駅に到着した787系の特急「にちりん」。南国のまばゆい日差しを浴びて輝いていた

  • 訪れると願いが叶うという「クルスの海」。十字状に浸食された海岸はまさに自然の神秘

  • 「クルスの海」の展望台にある「願いが叶うクルスの鐘」。夫婦で鐘を鳴らし願いを託そう

  • 宮崎県有数の漁業基地、細島港。マグロやカツオも水揚げされ、近くには「海の駅」がある

  • 湯の町・別府も新婚旅行、夫婦旅行と縁が深い。写真の竹瓦温泉も風情満点のたたずまい

  • 別府の宿の夕食。関サバをはじめ、大分の幸を部屋食でじっくりと味わってみるのもいい

 人の縁とは不思議なもの。ふとしたことで出会い、どうしたことか一緒になった二人。京都で出会った龍馬夫妻もおそらくそんな感じだったのだろう。

 夫婦の日々、それを海にたとえれば、穏やかな時も荒波が押し寄せる時もある。龍馬夫妻にとって夫婦の時間は波乱万丈であまりにも短かったが、ここは末永き夫婦の幸せを願い、日向市にある注目のスポット、「クルスの海」へ行ってみたい。

 日向市駅からタクシーでおよそ15分、日向岬にある「クルスの海」。波によって岩が十字状に浸食された海岸で、クルスはポルトガル語で十字を意味する。展望台からは十字の横の岩を取り囲む海が「口」の字のように思え、十字とあわせ、願いが叶うの「叶」の字を形作っているように見える。これにより「クルスの海」は訪れると願いが叶うといわれ、「願いが叶うクルスの鐘」も設置。二人で鐘を鳴らし、南国の海に願いを託そう。

 「クルスの海」のほど近く、漁業基地として知られる細島港には「海の駅ほそしま」があってランチも食べられる。天気が良ければもっと多く時間をとって、美しい海辺をのんびり歩いてみるのもいい。

 旅の3日目は、源泉の数にしても湧出量にしても日本一を誇る別府温泉に滞在する。かの新婚旅行専用列車こと臨時急行「ことぶき」は、運転開始当初、京都始発の別府行きであり、この別府も夫婦旅行とは縁が深かった。最近では個人客向けの隠れ家的な宿も増えており、佐賀関で水揚げされる関サバ・関アジをはじめ、大分の山海の幸が思いっきり味わえる。

3日目●乗車距離:219.1km 運賃・料金合計2人分:20,720 円
【個別区間(列車)ごとの運賃と乗車距離】
宮崎~日向市 : @3,140円(乗1,290円 特グ1,850円) 乗車距離63.2km
日向市~大分 : @5,610円(乗2,810円 特グ2,800円) 乗車距離143.8km
大分~別府 : @1,610円(乗280円 特グ1,330円) 乗車距離12.1km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

早春の南国フルムーン 3日目
3

発着駅 時間 メモ
宮崎から別府温泉へ(別府泊)
宮崎 発 9:37 特急【にちりん8号】グリーン車 787系
日向市 着 10:20 タクシーで願いが叶うという「クルスの海」へ
日向市 発 12:25 特急【にちりん12号】グリーン車 783系
大分 着 14:40 乗り換え
大分 発 14:45 特急【ソニック40号】グリーン車 883系
別府 着 14:53 この日は別府泊

旅のメモ

観光の問合せ
■日向市:日向市観光協会(日向市駅構内)
TEL. 0982-55-0235
■別府:別府市観光協会別府駅案内所
TEL. 0977-24-2838

セカンド・ハネムーン ここに行きたいコラム(3)京都

 日本を代表する古都、京都。長い歴史に彩られ、社寺にしても町並みにしても趣がある。何度訪ねても飽きることのない京都は、坂本龍馬とも深いつながりが。
 龍馬は京都で妻となるお龍さんと出会い、そして、結ばれた。市内には龍馬ゆかりのスポットも多く、そういった歴史散歩もしてみたい。
 特に伏見にある船宿「寺田屋」は二人が後に「日本で最初の新婚旅行」に出かけるきっかけとなった場所。お龍さんが急を知らせ、龍馬らはなんとか難を逃れ助かった。その時に受けた刀傷を癒すため、西郷隆盛らの勧めもあって船で鹿児島、霧島温泉郷へと向かった。
 京都はいわば日本最初の新婚旅行の起点となった都。これも古都の歴史の1ページに刻まれている。

見どころ豊富な古都、京都。坂本龍馬ゆかりのスポットも多く、写真の寺田屋もその一つ

4日目|九州を一周し目指すは南国、土佐坂本龍馬生誕の地、高知へ向かう|日豊本線[別府⇒小倉]/山陽新幹線[小倉⇒岡山]/宇野線・本四備讃線(瀬戸大橋線)・予讃線・土讃線[岡山⇒高知]

  • 別府の宿で供された朝食。おかずやサラダが籠に盛られ、爽やかな和の雰囲気が感じられる

  • 青い883系と白い885系が充当される特急「ソニック」。885系のグリーン車は革張りシートだ

  • 岡山で高知方面へ向かう特急「南風」に乗り換え。JR四国の2000系ディーゼルカーを使用

  • 瀬戸大橋を渡る特急「南風」グリーン車の車窓。穏やかな瀬戸の風景は日本的で絶景の一言

  • 高知駅に降り立った時、出迎えてくれた坂本龍馬夫妻のパネル。ここでも記念写真をパチリ

  • 各種の料理を大皿に盛った「皿鉢(さわち)料理」は、豪快な土地柄の高知らしいスタイル

 旅の4日目は別府から。本プランでは朝湯も堪能できるようゆっくりの出発としたが、観光派の方は早めのチェックアウトを。前日の別府到着も早めとしたので、時間の配分をうまくすれば8カ所ある別府名物の「地獄」もいくつかめぐることができる。

 鹿児島から長崎経由の船に乗って帰途についた龍馬夫妻。鉄道やフルムーンパスもある時代なら、途中、生まれ故郷の高知にも立ち寄っていたかもしれない。高知といえば南九州と同じく気候温暖な南国の土地。それは桜もよく知っていて、日本で最も早くソメイヨシノが開花する年も。4日目は九州を後にして、桜の蕾がふくらむ高知へ回ってみよう。

 特急「ソニック24号」で小倉へ行き、山陽新幹線「さくら550号」に乗り換えて九州を離れる。思えばこの旅は左回りに九州を1周し、783系、787系、883系、885系とJR九州の在来線特急電車の主だった形式全てに乗車。どれもユニークな顔立ちの車両ばかりだ。

 フルムーンパスならではのダイナミックな鉄道旅行を満喫する一日。山陽新幹線を岡山で下車した後は、特急「南風13号」に乗り継いで高知へ。途中、絶景の瀬戸大橋を渡り、土讃線では急峻な四国山地に挑む。江戸へ向かう若き日の龍馬は四国山地を徒歩で越えたが、現代のパワフルなディーゼル特急は大歩危、小歩危の山道を軽快に走り抜けていく。

 龍馬の故郷、高知。観光は翌日とし、南国土佐らしい味覚の数々を味わってみよう。豪快な土地らしく郷土料理を大皿に盛った「皿鉢(さわち)料理」から、そろそろ水揚げが始まる初鰹と美味が待っている。

4日目●乗車距離:674.9km 運賃・料金合計2人分:55,860 円
【個別区間(列車)ごとの運賃と乗車距離】
別府~小倉 : @5,280円(乗2,480円 特グ2,800円) 乗車距離120.8km
小倉~岡山 : @14,460円(乗6,260円 特グ8,200円) 乗車距離374.8km
岡山~高知 : @8,190円(乗3,280円 特グ4,910円) 乗車距離179.3km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

早春の南国フルムーン 4日目
4

発着駅 時間 メモ
別府から四国、高知へ(高知泊)
~ N700系に乗車 ~
別府 発 10:53 特急【ソニック24号】グリーン車 885系
小倉 着 12:03 乗り換え
小倉 発 12:25 山陽・九州新幹線【さくら550号】グリーン車(N700系)
岡山 着 13:57 乗り換え
岡山 発 14:05 特急【南風13号】グリーン車
高知 着 16:39 この日は高知泊

旅のメモ

観光の問合せ
■高知:高知市観光案内所(高知駅前)
TEL. 088-826-3337

セカンド・ハネムーン ここに行きたいコラム(4)宮崎

 日本における夫婦旅行の歴史に名を残す宮崎。南国の明るい太陽はハワイなど海外リゾート地を思わせ、特に昭和40年代頃、新婚旅行先として大いに賑わった。
 そのきっかけは昭和35年、昭和天皇の第5皇女である貴子さんと島津久永氏が新婚旅行で宮崎を訪ねたことといわれ、「宮崎県、観光客の動向」によれば、新婚旅行ブームの頂点となった昭和49年には、全国の新婚カップル100万組のうち、なんと37万組ものカップルが宮崎に来たという。
 当時の新婚カップルから誕生した子供世代もそろそろフルムーン世代になろうかという昨今、親の世代が青春を謳歌した南国、宮崎を再発見する旅はいかがだろう。大淀川沿いのフェニックス並木、日南海岸、青島と、往時に思いをはせつつ歩いてみたい。

大勢の新婚旅行客を迎えてきた宮崎。市内を流れる大淀川沿いには観光ホテルが建ち並ぶ

5日目|はりまや橋や桂浜など高知を観光在来線特急と新幹線に乗って帰京|土讃線・予讃線・本四備讃線(瀬戸大橋線)・宇野線[高知⇒岡山]/山陽・東海道新幹線[岡山⇒東京]

  • 坂本龍馬生誕の地らしく、高知の宿の朝食では味付け海苔の袋にまで龍馬が描かれていた

  • 高知市内で出会った路面電車にも龍馬のイメージが。桂浜から日本の夜明けを見ているよう

  • お月見の名所にもなっている桂浜には有名な坂本龍馬像や高知県立坂本龍馬記念館がある

  • 昭和3年(1928)建立という桂浜の龍馬像。和服にブーツ姿の龍馬が太平洋を見つめている

  • 高知駅で発車を待つ特急「南風」。2000系ディーゼルカーの横顔はどこか龍馬に似ている

  • 岡山始発「ひかり480号」は700系を使用。N700系とは一味違うグリーン車も快適な乗り心地

 鹿児島の西郷隆盛ともども、郷土のヒーローとして今も人々に愛されている坂本龍馬。旅の最終日は彼が生まれた高知をゆったりと歩き、東京へ帰ろう。

 高知で龍馬スポットといえば、絶対にはずせない桂浜。白砂青松で観月の名所にもなり、一度は会いたい龍馬像が立っている。はるか太平洋の彼方を見つめる龍馬像、その瞳には「日本の夜明け」が映っていた。近くには高知県立坂本龍馬記念館もあって彼の生涯が詳しく紹介されている。

 この桂浜エリアをはじめ、五台山の展望台、竹林寺など高知市内の観光名所をぐるっと回るなら周遊バスの「MY遊バス」が便利。毎日運行で便数もあり、乗車券(1日券、2日券)には数多くの特典も。上記、坂本龍馬記念館や高知城天守懐徳館など入館料が割引となる。高知城は江戸時代に建てられた天守や本丸御殿が現存し、国の史跡に指定。お城ファンの方はぜひ登城してみては。

 天保6年(1835)生まれの龍馬は若き日に2回、江戸へ剣術修行に出ている。鉄道のない当時、高知から江戸まで、徒歩中心の旅程は30日ほどだったという。土讃線が高知から多度津までつながったのは龍馬誕生からほぼ100年たった昭和10年(1935)のこと。現在では特急「南風」と新幹線により、フルムーンパス利用の本プランでも7時間半(乗換時間を含む)ほどに超短縮。龍馬はまたまた驚くだろう。

 日本の新婚旅行の夜明けは龍馬夫妻によって告げられた。しかし、まだまだ旅をしてほしい夫婦がたくさんいる。「セカンド・ハネムーン」など夫婦旅行の“第2の夜明け”を告げるパス、それこそがフルムーンパスだと思う。

5日目●乗車距離:912.2km 運賃・料金合計2人分:61,940円
【個別区間(列車)ごとの運賃と乗車距離】
高知~岡山 : @8,190円(乗3,280円 特グ4,910円) 乗車距離179.3km
岡山~東京 : @22,780円(乗10,480円 特グ12,300円) 乗車距離732.9km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

早春の南国フルムーン 5日目

5

発着駅 時間 メモ
高知を観光し、帰京
~ 700系に乗車 ~
高知 発 14:13 特急【南風18号】グリーン車
岡山 着 16:41 おみやげを買い求め、岡山始発、東京まで直通の「ひかり」に乗り換え
岡山 発 17:24 山陽・東海道新幹線【ひかり480号】グリーン車(700系)
東京 着 21:40 旅の終わり

旅のメモ

観光の問合せ
■高知:高知市観光案内所(高知駅前)
TEL. 088-826-3337

セカンド・ハネムーン ここに行きたいコラム(5)霧島

 坂本龍馬と妻お龍が「日本で最初の新婚旅行」に出かけた霧島。現在では広いエリアに点在する温泉地を霧島温泉郷と総称し、湯量豊富な名湯として知られている。
 京都で刀傷を受けた龍馬に霧島での療養を勧めたのは鹿児島のヒーロー、西郷隆盛とされ、さすがは西郷どんだけに霧島エリアのお湯の良さも熟知していたのだろう。
 西郷どんや龍馬夫妻は同じ霧島市内にある日当山(ひなたやま)温泉でも湯浴みをしているが、なんと日当山温泉こそ「家族湯(家族風呂)発祥の地」とされ、もちろん夫婦水入らずでのんびりと入浴できる。
 九州新幹線鹿児島ルートの全線開業により、大阪のみならず東京からも近くなった鹿児島。霧島温泉郷といい日当山温泉といい、夫婦旅行と縁の深い当地もぜひ訪ねてほしい。

温泉が点在する霧島エリア。龍馬夫妻も浸かったという「塩浸温泉」は日帰り入浴も楽しめる

<東京発 早春の南国フルムーンの運賃・料金総額、総乗車距離>
JR運賃・料金総額:250,080円 (2名分合計 通常期で算出) 
JR総乗車距離:3395.9km ※運賃計算キロ
お得になった金額:167,280円 (JR運賃・料金総額-フルムーン夫婦グリーンパス料金 [5日間用 82,800円])
乗車倍率:3.02倍 (JR運賃・料金総額÷フルムーン夫婦グリーンパス料金 [5日間用 82,800円] )
割引率:33.1%(フルムーン夫婦グリーンパス料金[5日間用 82,800円]÷JR運賃・料金総額)
※運賃計算キロは、JR東日本のサイト、えきねっと「乗換・運賃案内」で表示のものです。

● 旅人(著者)紹介 相澤秀仁&相澤京子

写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で4巡している。これまでに130日以上フルムーンパスでの旅をし、JR路線も約12万キロ乗車。著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』『わらいねこ』をはじめ、 『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。また、英語クロスワードパズルを新聞に17年にわたって連載。
夫婦旅ブログ http://fullmoon.aizawa22.com

 

文・撮影:相澤秀仁&相澤京子
※掲載されているデータは2015年2月現在のものです。
※時刻等は、時刻表2月号、えきねっと「乗換・運賃案内」、JRおでかけネット「マイ・ダイヤ」等のものを使用。
※時刻は臨時に変更となる場合があります。
※運賃例は、JR北海道以外の全JRを通常期の2015年2月22日付で算出しました。

前のページへ


バックナンバー

このページのトップへ