『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

こころ解かれて。旅さきは、ながさき。

Vol. 3 海に囲まれた壱岐(いき)・対馬(つしま)・五島列島で、国境の島文化に触れる

鎖国時代に唯一、海外に開かれた窓口として発展した長崎の町には、日本の「和」、中国の「華」、オランダやポルトガルなど西洋の「蘭」がミックスされた「和華蘭(わからん)文化」が息づきます。海に囲まれた壱岐・対馬・五島列島エリアにも教会や古墳が多く、大陸から伝わった焼酎など、“国境の島々”ならではの文化が多く受け継がれています。長崎のさまざまな表情に出合いに、さあ、「旅さきは、ながさき」へ。

五島列島
キリシタンクルーズ

船でしか行けない洞窟など
潜伏キリシタンの遺産をめぐる

世界遺産暫定リスト登録の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」のうち、五島列島に点在する遺産である旧五輪教会堂やキリシタン洞窟(写真)を海上タクシーやバスでめぐる。巡礼ガイドが同乗し、教会や潜伏キリシタンの歴史、見どころを解説する。土・日曜・祝日中心に運航、申込みは2名から出発7日前まで。五島バス観光課 TEL.0959・72・2173

コース内容
上五島発コースまたは下五島発コース。所要各4時間
出発地へのアクセス

【上五島発コース】

若松港:福江港から五島旅客船フェリー1時間40分

【下五島(福江)発コース】

福江港:長崎本線長崎駅前から長崎電気軌道1号系統4分の大波止(おおはと)下車、徒歩5分の長崎港で九州商船ジェットフォイルに乗り継ぎ1時間25分

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高浜海水浴場

波打ち際から沖へ変化する
海の色や日暮れが絶景

五島の美しい白砂の浜に、遠浅で澄み渡った海が広がる。波打ち際から濃い青色へと変化していくグラデーションがすばらしい。沖に浮かぶ嵯峨ノ島や水平線を真っ赤に染めながら落ちていく夕日の光景も抜群。

アクセス
長崎本線長崎駅前から長崎電気軌道1号系統4分の大波止下車、徒歩5分の長崎港で九州商船ジェットフォイルに乗り継ぎ1時間25分の福江港下船、タクシー約50分

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頭ヶ島かしらがしま天主堂

堂内随所に花の装飾が
あしらわれた「花の御堂(みどう)」

安政6年(1859)頃から潜伏キリシタンが多く入植したが、その後キリシタン弾圧「五島崩れ」が起こり、島民全員が島外へ脱出。弾圧後に島に戻り、大正8年(1919)、長崎の教会堂建築を数多く手がけた建築家・鉄川与助(てつかわ よすけ)の施工により天主堂が完成した。石造りの重厚な外観に、華やいだ内部の装飾が特徴的。見学は長崎の教会群インフォメーションセンターに事前連絡が必要。

アクセス
佐世保線佐世保駅から徒歩10分の佐世保港で九州商船高速船に乗り換え1時間20分の有川港下船、頭ヶ島教会行き西肥(さいひ)バスに乗り継ぎ約30分の終点下車、徒歩5分

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小値賀おぢか
古民家ステイ

100年以上、島の暮らしと
ともにあった古民家に滞在

小値賀島で100年以上の時を経た古民家を、古きよき美しさを残したまま、リノベーションして快適さをアップ。1棟まるごと、一日1組貸切で上質な島時間をゆったりと過ごせる。港の見える家、緑鮮やかな庭を囲む家など趣の異なる古民家が6棟ある。

アクセス
佐世保線佐世保駅から徒歩10分の佐世保港で九州商船高速船に乗り換え1時間25分の小値賀港下船、宿泊客送迎あり

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とよ砲台跡

砲座ほうざ砲具庫ほうぐこ・巻揚機室など
内部構造をじっくり見学

対馬要塞群の砲台跡地で、昭和9年(1934)の完成当時は世界最大級であった。戦艦の主砲をこの砲台に取り付けたといわれ、実戦では一度も発射されなかったが、第二次世界大戦時に日本海側の都市に艦砲射撃による被害がなかったのは、豊砲台などの威圧効果が大きかったためといわれている。跡地では現在、砲座・砲具庫・巻揚機室などの内部構造を見学できる。

アクセス
九州新幹線博多駅から博多ふ頭行き西鉄バス約20分の終点下車後、博多港で九州郵船ジェットフォイルに乗り換え2時間15分の厳原(いづはら)港下船、タクシー約2時間(要呼出)

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シーキャンドル作り
体験

美しい壱岐の海を
閉じ込めたようなキャンドル

壱岐島の「工房如月(きさらぎ)」では、砂浜で拾った貝殻や色砂を用いた「シーキャンドル」作りを体験できる。グラスに芯を入れ、色砂、その上に小さい貝殻を重ね、大きめの貝殻を立てるようにして置き、透明ジェル(ロウ)を流し込んで完成。まさに美しい壱岐の海そのもののようなキャンドルができあがる。2日前までに要予約。壱岐市観光連盟 TEL.0920・47・3700

アクセス
唐津線西唐津駅から大島液化ガス行き昭和バス10分の唐津フェリーターミナル下車後、唐津東港で九州郵船フェリーに乗り換え1時間45分の印通寺港下船、タクシー10分

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五島コンカナ王国
ワイナリー&リゾート

温泉で五島の自然を満喫
ワイナリー見学も楽しい

五島のシンボル・鬼岳(おんだけ)の中腹に広がるホテルや温泉、ワイナリーからなる複合リゾート施設。褐色のにごり湯が特徴の鬼岳温泉が湧き、周囲の自然や夕日、夜空の星を眺めながら入浴できる。宿泊のほか、日帰り入浴も可能。五島産のブドウで醸造する「五島ワイナリー」が併設され、醸造館では施設見学や試飲ができる。

アクセス
長崎本線長崎駅前から長崎電気軌道1号系統4分の大波止下車後、徒歩5分の長崎港で九州商船ジェットフォイルに乗り換え1時間25分の福江港下船、タクシーまたは送迎車20分

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浅茅あそう湾の多島美

展望所から多島美を望み
船から断崖を見上げる

対馬の中央部に広がり、複雑な入り江と無数の島々が織りなす典型的なリアス海岸。その海域すべてが壱岐対馬国定公園に指定されている。烏帽子岳(えぼしだけ)展望所などから望む多島美は圧巻。島民の海上バスとして活躍している市営渡海船「うみさちひこ」は、定期運航のほかに周遊観光の乗合遊覧も行なう。

烏帽子岳展望所へのアクセス
九州新幹線博多駅から博多ふ頭行き西鉄バス約20分の終点下車後、博多港で九州郵船ジェットフォイルに乗り換え2時間15分の厳原(いづはら)港下船、タクシー約1時間(要呼出)

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五島手延うどん
(五島うどんの里)

「地獄炊き」をあごだしの
つゆで食べるのが地元定番

遣唐使の時代に大陸から五島列島に伝わったとされる。細麺で、五島列島特産の椿油を用い、昔ながらの伝統製法で強いコシとなめらかな喉越しをもつのが特徴だ。茹で上げた大鍋からうどんを各自ですくい、溶き卵とつけ汁で食べる「地獄炊き」が定番の食べ方。「五島うどんの里」では「五島手延うどん」を味わえるうどん茶屋のほか、特産品が揃うみやげ物店もある。

「五島うどんの里」へのアクセス
佐世保線佐世保駅から徒歩10分の佐世保港で九州商船高速船に乗り換え1時間20分の有川港下船、徒歩3分

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旧野首教会

荒涼とした集落跡に建つ
美しい教会が印象的

江戸時代後期、野崎島の野首(のくび)地区や舟森地区には潜伏キリシタン集落があり、明治41年(1908)に鉄川与助設計によるレンガ造りの野首教会が完成。だが戦後は島の過疎化が進み、集落の住民がいなくなった。現在は小値賀町の文化財として改修された美しい旧教会に比して、周囲は荒涼とした集落跡が広がる。見学は長崎の教会群インフォメーションセンターに事前連絡が必要。

アクセス
佐世保線佐世保駅から徒歩10分の佐世保港で九州商船高速船に乗り換え1時間25分の小値賀港下船後、徒歩5分の笛吹港から町営船「はまゆう」に乗り継ぎ35分の野崎港下船、徒歩20分

町営船は1日2往復、月に2回運休日あり。

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壱岐焼酎

7軒の蔵元が守り継ぐ
発祥の地の麦焼酎

その歴史は16世紀まで遡り、麦焼酎発祥の地といわれる壱岐島。古来、島民が米よりも安い麦で造った焼酎をよく飲み、急速に広まった。平成7年にその伝統と製法が認められ、WTO(世界貿易機関)により壱岐が「焼酎」の原産地として地理的表示が認められた。

アクセス
九州新幹線博多駅から博多ふ頭行き西鉄バス約20分の終点下車後、博多港で九州郵船ジェットフォイルに乗り換え1時間10分の郷ノ浦(ごうのうら)港下船など

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おぢか民泊

一日1組限定で島の
家庭にホームステイ

小値賀島では旅人が一般の家庭に泊まり、家族と同じように生活と食事をともにする「おぢか民泊」を体験できる。料理を手伝って郷土料理を味わったり、のんびり釣りをして魚をさばいたり、島暮らしをまるごと体験。希望により農業体験や漁業体験も可能。

アクセス
佐世保線佐世保駅から徒歩10分の佐世保港で九州商船高速船に乗り換え1時間25分の小値賀港下船

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古墳群散策ツアー

古代ロマン感じる島独特の
古墳をガイドとめぐる

“国境の島”として発展した壱岐島には、長崎県で確認された古墳の6割にあたる約260基が存在。国指定史跡「壱岐古墳群」を含む数ある古墳のなかから、掛木(かけぎ)古墳(写真)などを1〜2時間かけて地元ガイドとめぐる「古墳群散策」ツアー。古墳散策をじっくり楽しめる。5日前までに要予約(人数は応相談)。壱岐市観光連盟 TEL.0920・47・3700

アクセス
九州新幹線博多駅から博多ふ頭行き西鉄バス約20分の終点下車後、博多港で九州郵船ジェットフォイルに乗り換え1時間5分の芦辺港下船など(集合・解散場所は参加者の状況により変動)

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釜山の夜景
(韓国展望所)

「国境の島」を実感する
水平線上の釜山の灯火

対馬北部から韓国までは最短距離で49.5キロメートル。気象条件が整えば、韓国展望所からは釜山市街が望め、夜には水平線上に釜山の町明かりが見え、その近さを実感することができる。展望所は韓国の古代建築様式を採り入れた建造物となっている。

アクセス
九州新幹線博多駅から博多ふ頭行き西鉄バス約20分の終点下車後、博多港で九州郵船ジェットフォイルに乗り換え2時間15分の厳原港下船、タクシー約2時間

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上五島教会の
イルミネーション

信徒による手作りイルミネーションで祝福ムードに包まれる

毎年12月初旬から1月初旬まで、上五島町にある教会は信徒による手作りのイルミネーションで輝く。夜空に教会を彩るライトアップは平成24年、「日本夜景遺産」にも認定された。キリストの生誕を祝福する厳かな光のなか、各教会ではクラシックコンサートなど工夫を凝らした集会が催される。

アクセス
長崎本線長崎駅前から長崎電気軌道1号系統4分の大波止下車後、徒歩5分の長崎港で目的の教会の最寄り港に応じて各船に乗船。(九州商船ジェットフォイル1時間15分で奈良尾港、五島産業汽船高速船1時間40分の鯛ノ浦港など)

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旅さきはながさき

長崎デスティネーションキャンペーン 平成28年10月1日(土)〜12月31日(土)

JRグループでは、長崎県と共同で大型観光キャンペーン「長崎デスティネーションキャンペーン(DC)」を開催中!端島(はしま)炭坑や三菱長崎造船所など、長崎県の8つの構成資産を含む「明治日本の産業遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は平成27年夏、世界文化遺産に登録されました。また「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、平成30年度の世界遺産登録をめざし、本年度の国内推薦候補として選ばれています。古来、新風を受け入れてきた長崎は今、よりいっそう世界へ魅力を発信し続けます。豊かな自然と和華蘭文化に育まれた多彩な表情を見せる長崎へ、さあ旅立ちましょう!

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