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北海道 東北
Course1 北海道|煙をあげて厳冬を走る「SL冬の湿原号」をキャッチ

漁船がもやう岸壁へと
橋を渡り来るSL

撮影ポイント

JR根室本線
釧路駅〜東釧路駅間

釧路駅を出て間もなく、釧路川橋梁を渡るシーンを撮影する。漁船が停泊する岸壁で、足場がシッカリしていて安全に撮影できる。多くのカメラマンが集まる場所なので、譲り合って撮影を楽しもう。

 雪景色の中を走る蒸気機関車の姿はたいへん絵になる。全国各地で蒸気機関車が復活運転しているが、雪景色との取り合わせは数少ない。そんななかで、JR北海道の根室本線・釧網(せんもう)本線、釧路駅〜標茶(しべちゃ)駅間に毎シーズン運転される「SL冬の湿原号」は、今や名物的な存在だ。
 港町の釧路駅から広大な釧路湿原を抜けて、標茶駅までの48.1kmに1日1往復運転される。2016年は1月30日から2月28日まで合計21日間の運行予定だ。
 作例の釧路川橋梁のほかにも、釧路湿原を走る姿はぜひ撮影したいシーン。塘路(とうろ)〜茅沼(かやぬま)間にある「サルルン展望台」などがおすすめの撮影ポイントだ。
 冬の北海道は昼間でも道路が凍結している場合があるので、レンタカーの運転は特に慎重に。急ブレーキ、急ハンドルなど、急のつく動作を控え、安全運転を心がけよう。

風の吹く方向を読む

 煙を吐きながら走る蒸気機関車は、煙のカタチにも気をつけよう。風が弱ければ問題ないが、強風の場合には煙が風で横に流される。最悪の場合は車両を隠してしまったり、せっかくきれいな列車写真を撮ろうと思っても、煙に包まれて台無しになってしまったり。風下側で撮影する場合は、例えばアップ狙いに趣旨を変えるなど、ひと工夫が必要になる。

レンタカーで巡ろう! オススメ周辺スポット
美しい雪の造形物となった樹々を眺めつつ、
塘路湖からカヌーで下る
釧路市や鶴居村は冬の間、タンチョウに
人工給餌を行なう施設が複数ある
雪原を川が蛇行して流れる光景が素晴らしい
「細岡展望台」
 札幌駅7:02発の特急「スーパーおおぞら1号」は釧路駅着11:01。初日は、まずは釧路駅11:08発のSL冬の湿原号の乗車を楽しむ。塘路駅で下車し、「塘路ネイチャーセンター」の冬の釧路湿原カヌー下り、白霜(はくそう)コースを体験。寒さへの覚悟は必要だが、白い雪を身にまとった樹々が両岸に連なる光景は幻想的で、心まで澄み渡るよう。宿泊は釧路に戻ってもいいし、釧網本線を少し北上し、標茶温泉あたりに泊まるのもいいだろう。
 2日目、釧路駅で「駅レンタカー」を借り、いよいよSLを撮影。釧路川橋梁での撮影に満足したら、釧路の冬の風物詩であるタンチョウも撮影したい。「阿寒国際ツルセンター」「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」では、タンチョウの生息地を保護するため人工給餌を行なっており、野生のタンチョウが集う様子を間近で見学できる。
 国道274号を進んで、JR釧網本線と並行する国道391号へ出たら、塘路湖方面へと南下。茅沼駅の少し先にあるサルルン展望台は、雄大な釧路湿原を走る釧網本線の光景が印象的なビュースポット。釧路行きの「SL冬の湿原号」は茅沼駅14:19発。その頃にあわせてサルルン展望台に上り、SLを再び撮影すれば、より満足感が大きい。しかし、駐車場から徒歩30分以上かかり少々大変。鉄道とのコラボはないが、細岡展望台からの湿原の光景も素晴らしく、こちらは駐車場から徒歩10分ほどと、行きやすい。
1日目
●札幌駅
↓特急「スーパーおおぞら」
●釧路駅
↓SL冬の湿原号
●塘路駅
↓塘路ネイチャー
  センターの送迎車
●冬の釧路湿原カヌー下り、
  白霜コース

↓送迎車
●塘路駅
↓JR釧網本線
●釧路駅または標茶駅
(釧路駅周辺・標茶温泉など泊)
2日目
●釧路駅
↓駅レンタカー
●撮影ポイント
[JR根室本線 釧路〜東釧路]
↓駅レンタカー
●タンチョウの給餌場
↓ 駅レンタカー
●サルルン展望台または
  細岡展望台

↓駅レンタカー
●釧路駅
↓特急「スーパーおおぞら」
●札幌駅
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Course2 東北|日本海が入り組み、S字を描く海岸線と五能線を連写

高台から広域を望み、
進む列車を連続撮影

撮影ポイント

JR五能線
追良瀬駅〜広戸駅間

広戸駅〜深浦駅の間、国道101号線沿いの高台にある小さな神社の脇から、望遠レンズで広戸駅から北側(追良瀬駅との間)にあるカーブを撮影。レンタカーは神社の敷地内には乗り入れずに、少し離れた安全な場所に駐車しよう。

 時に波飛沫が列車の窓に降りかかるという冬の五能(ごのう)線。厳しい日本海の荒海と列車の組み合わせは、冬のローカル線の筆頭にあげられる風景だ。東能代駅~川部駅間の五能線147.2kmのなかでも、線路が海岸線にいっそう迫る鰺ケ沢(あじがさわ)駅〜深浦駅は、千畳敷(せんじょうじき)駅周辺や大戸瀬(おおどせ)駅〜風合瀬(かそせ)駅、驫木(とどろき)駅付近、広戸駅〜深浦駅など、美しいポイントが点在している。ただし、この区間の列車本数は少ないので予めダイヤを調べておく必要がある。作例のポイントからは、入り組んだ海岸線に沿って敷かれた線路が、幾重にもカーブしながら続いている様子を見渡すことができ、驫木〜追良瀬(おいらせ)〜広戸〜深浦の間が撮影できる。撮影に訪れた日は天気が良く、穏やかな冬の表情となった。
 普段は2両編成の普通列車が行き交うが、週末を中心に「リゾートしらかみ」も運転され風景に華を添える。

ズームレンズを有効活用

 ズームレンズを使用し、レンズの焦点距離を変えながら撮影する方法がある。まず遠くを走る場面を望遠レンズで撮影した後、次にレンズをワイド側に変えて、手前へやって来たところを狙う。そうする事で、同じ場所で数パターンの絵柄を得ることができる。ただし、焦点距離を変えながら連続して撮影する場合は、構図が散漫になりがち。それぞれの焦点距離での構図を考えながら撮影しよう。

レンタカーで巡ろう! オトナの撮り鉄スポットin 北海道
日本海が目の前に広がる野趣満点の
露天風呂がある「黄金崎不老ふ死温泉」
冬期、ガイドなしで十二湖への立ち入りは不可。
「アオーネ白神十二湖」でガイドツアーを頼める
青森県内でマグロの水揚げ高No.1を誇る
深浦町の「深浦マグロステーキ丼」
 追良瀬駅〜広戸駅間の撮影がひと段落したら、ランチに深浦マグロステーキ丼を賞味。広戸駅〜深浦駅間などで再度、撮影を楽しんだら、黄金崎不老ふ死温泉など近隣の温泉に宿泊しよう。
 翌日は「十二湖スノーハイク」に挑戦。十二湖は白神(しらかみ)山地西麓に位置し、ブナの森の冬を散策できる貴重な体験メニュー。落葉した明るいブナの森の様子や動物の足跡、冬でも凍ることなく黒い(春〜夏は青い)湖面を見せる青池など、冬の美しさが全開だ。
 再び五能線に沿って国道101号を南下。秋田県能代市内の酒店で「喜久水(きくすい)酒造」の吟醸酒をおみやげに購入しよう。喜久水酒造では、かつての奥羽(おうう)本線トンネル内で吟醸酒を貯蔵しているのだ。冬期は酒造り期間中のため見学不可だが、3月下旬以降ならばトンネル地下貯蔵庫を見学することもできる(要予約)。
1日目
●東京駅
↓東北新幹線
●新青森駅
↓駅レンタカー
●撮影ポイント
[JR五能線 追良瀬〜広戸]
↓駅レンタカー
●深浦マグロステーキ丼の
  ランチ

↓駅レンタカー
●黄金崎不老ふ死温泉泊
2日目
●黄金崎不老ふ死温泉
↓駅レンタカー
●十二湖スノーハイク
↓駅レンタカー
●能代市の酒店
↓駅レンタカー
●秋田駅
↓秋田新幹線
●東京駅
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山形県天童市生まれ。広告写真家・安達洋次郎氏、鉄道写真家・真島満秀氏に師事の後、フリーランスとなる。鉄道と人の結びつきをテーマに日本と世界の鉄道を撮影。著書に写真集『I LOVE TRAIN –アジア・レイル・ライフ-』(ころから)、近著に『鉄道一族三代記』(小社)など。(公社)日本写真家協会会員。
写真集『I LOVE TRAIN−アジア・レイル・ライフ−』の版元「ころから」Webサイトにて、新連載『亜細亜人生鐵道』がスタート。アジアで人とともに生きる鉄道の様子を、写真と文章でお届けしますのでご覧ください。
●詳しくはコチラ
写真・執筆:米屋こうじ
写真提供:ひがし北海道観光事業開発協議会、秋田県
※掲載されているデータは2015年12月現在のものです。

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