『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

映画、ドラマ、感動の舞台を訪ねて『鉄道ロケ地ガイド』近頃、新しい旅のスタイルとして注目を集めているのが映画やドラマの舞台として登場する「ロケ地めぐり」。このコーナーでは、『トレたび』ならではの鉄道にちなんだ感動の舞台をご案内します。いくつの名シーンが蘇ってきましたか?(文・写真=南 正時)

高倉健演じる“ぽっぽや”が目に浮かぶ 幾寅駅[根室本線/北海道南富良野町]

 やがて廃線を迎える北海道のローカル線。その小さな駅で、鉄道員(ぽっぽや)一筋の人生を送ってきた一人の男の「鉄道人生」を描いた名作。物語の舞台となった「幌舞(ほろまい)駅」として根室本線の「幾寅駅」が撮影に使われた。

 「だるま食堂」などロケで使用された建物が残る駅前広場には、高倉健をはじめ出演者、スタッフによる記念植樹が残っている。

 同駅は無人駅だが、撮影のため立派な木造駅舎に改装。駅舎内には、写真や出演者の色紙、ロケで着用した衣装などが展示されている。

 主演の高倉健は、映画『大いなる旅路』(昭和35年・東映)で、特急「こだま」の運転士として“国鉄デビュー”。それから39年の年月を経て『鉄道員』で定年間近の駅長を演じた。この二人が同一人物に感じられるのは“健さんファン”のひいきなのか。北海道を旅すると、ふと高倉健の“ぽっぽや”姿が目に浮かぶ。

映画『鉄道員(ぽっぽや)』

 とある北海道の小さな終着駅。そこで駅長を務めてきた佐藤乙松(高倉健)は定年退職を迎えようとしていた。乙松と運命をともにするように廃止になるローカル線。孤独を感じつつも、退職を迎えるその日まで「鉄道員」として不器用なまで実直に過ごしていた。ある日、乙松がホームで雪掻きをしていると、彼のもとに一人の少女が現れ……。

制作●平成11年・東映 監督●降旗康男 出演●高倉健、大竹しのぶ、広末涼子など

鉄道員(ぽっぽや)
DVD発売中 ¥5040(税込)
発売元:東映ビデオ

『鉄道員』の舞台となった幾寅駅。周辺には「だるま食堂」や「ひらた理容店」などオープンセットが残る

映画にも登場した赤いボディのキハ40形気動車。その一部も駅前に展示。ヘッドマークが誇らしげだ

Data
  • 住所 北海道空知郡南富良野町幾寅
  • 開業年月日 明治35年(1902)12月6日
  • 所属事業者 JR北海道
  • 周辺の観光スポット 狩勝(かりかち)峠(日本三大車窓。落合〜新得間)、かなやま湖など

地図

映画『砂の器』の幕開け、二人の刑事が降り立つ 羽後亀田駅[羽越本線/秋田県由利本荘市]

 『砂の器』は、昭和35年5月17日〜翌年4月20日に読売新聞に連載された松本清張の長編小説。昭和49年には野村芳太郎監督、加藤剛、丹波哲郎、緒形拳らの出演によって映画化された。

 駅の操車場で起きた殺人事件。東北訛りと「カメダ」という言葉を手がかりに、事件を捜査する二人の刑事(丹波哲郎、森田健作)の執念と、暗い過去を背負うために殺人を犯してしまう天才音楽家・和賀英良(加藤剛)の宿命を描いたサスペンス映画である。

 「カメダ」を羽越本線の「羽後亀田駅」と睨んで事件を追う刑事。彼らが羽後亀田駅のホームに降り立つところから映画は始まる。駅を出て駅前の食堂に入る二人。残念ながらこの駅前食堂はすでにないが、羽後亀田駅の駅舎はロケ当時の木造建築のまま現存している。

映画『砂の器』

 蒲田駅の操車場で発見された身元不明の老人(緒形拳)の他殺体。二人の刑事(丹波哲郎と森田健作)が被害者の東北訛りと「カメダ」という言葉を手がかりに、犯人を求めて日本中を駆け巡る。調べが進むうち、事件の影に新進気鋭の天才音楽家として世間から注目を集めていた和賀英良(加藤剛)の存在が浮かび上がり……。

制作●昭和49年・松竹 監督●野村芳太郎 出演●丹波哲郎、加藤剛、森田健作など

砂の器 デジタルリマスター 2005
DVD発売中 ¥3990(税込)
発売・販売元:松竹株式会社 映像商品部

撮影当時の姿が残る羽後亀田駅の駅舎。国鉄時代のこの木造駅舎から映画『砂の器』の物語が始まる

昭和47年の羽後亀田駅。映画制作の2年前にはギースル・エジェクター(横長煙突)装備のD51が走っていた

Data

地図

ハワイ生まれのヒロイン「さくら」が行き来 高山駅[高山本線/岐阜県高山市]

 ハワイで生まれた日系4世のヒロイン・さくら(高野志穂)が、飛騨高山の中学で英語助手として働きながら自分のルーツを探っていくNHK連続テレビ小説。平成14年4月1日〜9月28日の半年間放送された。

 この作品から全編ハイビジョンカメラで撮影され、ロケ地・高山地方の美しい風景が話題になった。

 ロケは三町(さんまち)の朝市や古い町並みを中心に行なわれ、高山駅はさくらが東京や飛騨古川に行くときに利用した。「飛騨の小京都」とも呼ばれる高山市にぴったりの趣のある駅舎だ。昭和9年の開業時に建設されたこの駅舎は、コンクリート2階建てながらどことなくレトロムードを漂わせている。

 高山駅には、普通列車のほかに「(ワイドビュー)ひだ」が発着し、大阪・名古屋〜高山・飛騨古川・富山間を結んでいる。『さくら』の放映効果もあり、年間を通して賑わいを見せている。

NHK連続テレビ小説『さくら』

 飛騨の小京都「高山」。ハワイ生まれで日系4世のヒロイン「さくら」は、和ろうそく店に下宿しながら、中学校の英語指導助手として勤務。下宿先の嫁姑争いなどを間近に見ながら、たくましく成長していく。飛騨市古川町には、下宿先の舞台となった「三嶋和ろうそく店」や通勤路として使っていた「白壁土蔵と瀬戸川沿いの道」などがある。

制作●平成14年・NHK 演出●清水一彦 出演●高野志穂、小澤征悦、寺泉憲など

NHK連続テレビ小説『さくら・総集編』
DVD-BOX発売中 ¥9870(税込)
発売・販売元:コロムビアミュージックエンタテインメント

主人公のさくらが東京や飛騨古川を訪ねる時に使った高山駅。小京都の玄関口は昭和9年の開業時の建築

さくらの下宿先として舞台になった「三嶋和ろうそく店」。店内の作業場では和ろうそく作りの実演を見学できる

Data

地図

写真協力(敬称略):JR北海道、写真紀行★風に吹かれて、東映ビデオ、あべくま、松竹、JR東海、岐阜県観光連盟、コロムビアミュージックエンタテインメント
※掲載されているデータは平成21年6月現在のものです。

バックナンバー

このページのトップへ