『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

錦繍に染まる風景の中をシュッポ、シュッポ! 紅葉の蒸気機関車 懐かしい汽笛とドラフト音を響かせて走るSL列車。錦繍の車窓風景と力強く煙を吐いて走るシーンが楽しめる秋ならではの紅葉SL旅へ!

鉄道博物館で保存・展示されている国鉄最後の旅客列車を牽引したC57形135号機

動態保存蒸気機関車?

 全国で活躍した蒸気機関車も動力近代化によって減少し、昭和50年12月14日に国鉄最後のSL牽引の旅客列車として、C57形135号機が牽引する室蘭本線室蘭〜岩見沢間の普通225列車が運転されました。さらに同年12月24日にはD51形241号機が牽引する夕張線の貨物6788列車が運転され、これが国鉄本線上を走る最後のSL牽引列車となりました。
 日本の近代化に貢献したSLの静態保存は全国各地に及びましたが、昭和51年7月9日に静岡県の大井川鐵道でC11形227号機牽引のSL列車「かわね路号」の復活運転を開始。さらに国鉄でも昭和54年8月1日から山口線でC57形1号機牽引のSL列車「やまぐち号」の復活運転が開始され、その後は動態保存される蒸気機関車が増加しました。今では観光の目玉として全国各地で復活SL列車が運転されるようになっています。
 なお、昭和47年10月14日の鉄道100年を記念して、京都の梅小路機関区には16形式を保存展示。現在、梅小路蒸気機関車館のC57形1号機とC56形160号機の2両は本線用の動態保存機、C62形2号機やD51形200号機などは施設内専用の動態保存機として活躍しています。


秋のニセコの山並みを車窓に走る SLニセコ号[JR北海道]

 JR北海道にはC11形171号機とC11形207号機の2両が動態保存されており、函館本線や釧網本線、富良野線などで観光用のSL列車を牽引しています。秋の紅葉シーズンには函館本線蘭越(らんこし)〜札幌駅間で「SLニセコ号」を運行します。
 今年で運転10年目を迎える同列車は、上り列車の小樽〜蘭越駅間、下り列車の倶知安(くっちゃん)〜小樽駅間でSLが牽引。列車はスハフ42+オハフ33+オハシ47+スハフ42の旧形客車4両編成(オハシ47形はピアノが設置されたカフェカー)で、上り下り列車ともに最後部にはDE15形ディーゼル機関車を連結して運転されています。
 小樽駅を発車した列車は、余市や仁木付近の果樹園を車窓に映して快走。然別(しかりべつ)駅を通過すると勾配区間が連続し、倶知安峠までドラフト音を響かせて力走します。羊蹄山(ようていざん)の山容が映し出されると倶知安駅に到着です。
 さらにニセコ、蘭越と秋の紅葉が美しいエリアを走り、乗客が温泉を楽しんでいる間に倶知安駅で小休止。復路も紅葉に染まった峠道を越えて、小樽までのSL列車の旅を楽しむことができます。

データ
運転線区:
函館本線
運転区間:
蘭越〜札幌駅間(SL牽引は蘭越・倶知安〜小樽駅間)

「2つ目」が特徴のC11形207号機が牽引する「SLニセコ号」。豪快なドラフト音を響かせて峠道に挑む

4両編成の2号車に連結されるオハシ47形。車内にピアノを設置したカフェカーになっている

新潟デスティネーションキャンペーンのイベント列車 SL信越線 秋の収穫祭号[JR東日本]

 磐越西線会津若松〜新潟駅間の「SLばんえつ物語」で活躍するC57形180号機は、車体のボディーラインの美しさが人気の旅客用テンダー機関車です。牽引される12系客車は座席車6両+展望車(中間4号車)の7両編成で、車内はSL列車にふさわしいレトロ調のデザインになっています。
 平成21年10月1日〜12月31日に開催中の新潟デスティネーションキャンペーン「うまさぎっしり新潟」では、この車両を使用して信越本線でイベント列車を運転します。11月14・15日に運転が予定されている「SL信越線 秋の収穫祭号」は、日本海の美しい風景を車窓に映して走るため、今から人気の的となっています。
 信越本線では鯨波(くじらなみ)付近の海岸線が車窓に映し出され、山と川の風景が広がる磐越西線とはひと味違う山と海の風景を楽しむことができます。

データ
運転線区:
信越本線
運転区間:
新井・直江津〜長岡駅間

新潟DCのSLイベント列車に使用されるC57形180号機が牽引する「SLばんえつ物語」

12系レトロ調客車7両編成の中間4号車に連結される展望車。ワイドな車窓に秋の風景が楽しめる

C11形325号機が牽引するSL列車 SL会津只見紅葉号[JR東日本]

 車窓に映し出される秋の紅葉が美しいことで知られる只見線。平成13年10月の運転開始以来、春・夏・秋の観光シーズンに真岡鐵道所有のC11形325号機が、スハフ32+オハ47+スハフ42またはスハフ42+オハ47+オハ47の旧形客車3両を牽引して走行しています。
 会津若松駅を発車した列車は市内を走り抜け、会津盆地の水田地帯を快走。会津坂下(ばんげ)駅を発車すると徐々に上り勾配となり、列車は山間に入り込んで行きます。右手に只見川の流れが現れると会津柳津(やないづ)駅に到着。この先は只見川の流れに沿って走り、何度となく川を渡って美しい紅葉に染まった渓谷美を望むことができます。
 只見川の流れが右手、左手へと何度か移るうちに、列車は終着の只見駅に到着します。SL運転日には只見駅から小出方面への接続列車もあり、会津エリアをぐるりと一周するルートを楽しむことができます。

データ
運転線区:
只見線
運転区間:
会津若松〜只見駅間

真岡鐵道所有のC11形325号機が茶色塗装の旧形客車3両編成を牽引して走る「SL会津只見紅葉号」

只見線を走るSL列車の車窓には、只見川の深い渓谷やダムサイドの美しい風景が映し出される

次のページへ

バックナンバー

このページのトップへ