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2022.04.12

  • 注目の列車

「ななつ星in 九州」第2章、始まる。2022年秋からの車両リニューアル・新コース詳報!

豪華クルーズトレインの先駆けとして、今年で運行開始から9年目を迎えるJR九州「ななつ星in九州」。この度、デビュー以来初となる車両の大幅リニューアルの実施と、新コースを発表しました。より「豊かな旅」を目指して行われる今回のリニューアル。その概要発表会が東京、明治記念館で開催されました。


「ななつ星in九州」の雰囲気にふさわしいラグジュアリーな空間で行われた発表会


水戸岡鋭治氏、女優檀ふみさん、株式会社ほぼ日 糸井重里社長、JR九州唐池恒二取締役相談役(左から)を招いてトークショーも実施

「ななつ星」で過ごす時間をより特別にする、車両リニューアル

今回のリニューアルは「車両」と「コース」の大きく2つについて実施。まず、車両には「サロン」、「茶室」、「ギャラリーショップ」、「バーラウンジ」が新設されます。

現在、ダイニングカー「木星」となっている2号車が、乗客どうしの語らいの場や、食事の前の時間を過ごす、サロンとして生まれ変わります。食事は1号車ラウンジカー「ブルームーン」で提供されます。加えて、これまでにも車内には立席タイプの茶室がありましたが、これをより本格的な茶室にリノベーション。こちらも2号車に新設されます。サロンでは乗車中に行われる車内アクティビティなども実施される予定です。


リニューアルで登場する2号車サロン (Design & Illustration by Eiji Mitooka + Don Design Associates)

新設される2号車茶室 (Design & Illustration by Eiji Mitooka + Don Design Associates)

隣の3号車には新しくギャラリーショップとバーカウンターを設置。今回のリニューアルコンセプトの一つに、「ななつ星車内で過ごす時間をより魅力あるものに」というものが掲げられており、これが今回の新設される各施設のベースにもなっています。
現在でも車内では、1号車ブルームーンなどで、アルコールなどを楽しむことができます。ですが、それとは違う、たった4席しかない「特別な」バースペースの登場に、今回のリニューアルにかける思いの強さを感じます。


3号車バーラウンジ (Design & Illustration by Eiji Mitooka + Don Design Associates)

3号車ギャラリーショップ (Design & Illustration by Eiji Mitooka + Don Design Associates)

今回のリニューアルデザインも、「ななつ星in九州」のデザインを担当した水戸岡鋭治氏が行います。
「ななつ星in九州」は氏の中でも特別な思いが詰まる列車で、会見では「正直まだリニューアルをしなくてもという思いがあります。それぐらいやり切った車両なので。しかし、よりこの車両を魅力的な存在にするためにというJR九州の熱意に応えなければと思い、リニューアルを実施しました」と話しました。


ななつ星への思いを語る水戸岡鋭治氏。「ここまで大きな改修に携わるのは余生を考えても最後」とも

より豊かな体験を提供するための、新コース設定

1泊2日コース ~走行距離の最も長いコース、「やま中」のお寿司も!~

コースも大幅にリニューアル。1泊2日コースでは九州をぐるりと西回りで1周するコースが登場。肥薩おれんじ鉄道にも乗り入れ、夕暮れ時には東シナ海沿いを走り、車内からは沈みゆく夕日を楽しむことができます。これまでの1泊2日コースの中でも最も走行距離の長いコースとなり、「ななつ星in九州」の列車で過ごす時間を満喫できそうです。さらに注目なのが、これまで3泊4日コースで提供されていた「やま中」のお寿司が、1泊2日コースに登場した点です。車内に職人自ら乗車し、握りたてのお寿司を提供するこのサービスは「ななつ星in九州」デビュー時の大きな話題にもなりました。これまでは3泊4日コースの最初の車内食として提供されてきましたが、これが1泊2日コースで味わえるように!


1泊2日コース1日目昼食で提供される「やま中」のお寿司 (提供:JR九州)

3泊4日コース ~100年の鉄道浪漫を感じる、霧島コース~

続いて3泊4日コースでは、季節によって異なるコースが設定されています。
2022年10月~12月は霧島コースを設定。「九州の焼き物と歴史に触れ、100年の鉄道浪漫に思いを馳せる旅」として、福岡から鹿児島、宮崎、大分、熊本を中心に周遊するコースを設定。肥薩線嘉例川駅、豊肥本線立野のスイッチバックなど、JR九州管内の鉄道史を感じられる箇所も走行します。2日目には霧島妙見温泉に宿泊。このコースではデビュー以来初となる吉都線へも入線します。

3泊4日コース ~西九州の船旅も楽しめる、雲仙コース~

2023年1月~2月に設定された「雲仙コース」では、なんと行程に船旅が登場!西九州新幹線開業で活気づく、佐賀、長崎をはじめ、福岡、熊本、大分といった九州の北側を中心に巡り、2日目には雲仙温泉に宿泊。熊本から島原までは熊本フェリー、3日目には選択制の観光プランの中に「島原鉄道の旅プラン」が用意されており、「ななつ星in九州」初となる、雲仙&船旅コースが話題になりそうです。

手間暇かかった3コース、そのお値段は…

気になるお値段は1泊2日コースで650000円、3泊4日コースで1250000円から。(雲仙コースは1150000円から)。いずれも2名1室利用時の一人あたりの料金です。今回のリニューアルで、これまでより高額な料金設定となりましたが、「このリニューアルで乗車定員を最大14室30名から10室20名とし、よりゆとりある旅とした点やクルー自ら九州中を周り新たな魅力を探求したことなどからこの値段設定としました。しかし、どのコースも本当に手間暇かけて設定したので、きっと満足いただけるはず」と取材に対応したJR九州鉄道事業本部クルーズトレイン本部長 松尾英典さんは語ります。


「手間ひまかけて丁寧に作り上げる新たな魅力をぜひ」と話す、JR九州 松尾英典クルーズトレイン本部長

「ななつ星in九州」の新しい旅は2022年10月からスタート。JR九州が考える「豊かさとは」なにか。そのメッセージに注目です。


ななつ星in九州 詳細はこちら

  • 取材・文・写真:村上悠太
  • 車両走行写真:交通新聞クリエイト
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