トレたび JRグループ協力

2023.01.04旅行三菱の創業者一族 岩崎家ゆかりの地を訪ねて

三菱第3代社長・岩崎久彌の足跡を辿る旅へ

岩崎彌太郎の長男で三菱第3代社長の岩崎久彌。北は東北から南は四国まで、全国4地域に大きな足跡を残している。

久彌が幼少期を過ごした生家のある高知県安芸市、三菱合資会社の社長就任後に旧岩崎邸庭園で長きにわたり過ごした東京都台東区、小岩井農場で農牧研究に明け暮れた岩手県雫石町、そして生涯を閉じた旧岩崎家末廣別邸のある千葉県富里市。

この4つの「岩崎家ゆかりの地」をめぐりながら、岩崎久彌の生涯を追体験しよう。

※上の写真は、東京都台東区の旧岩崎邸庭園(和館)

高知県安芸市~岩崎久彌が彌太郎の長男として産声を上げる~

南は土佐湾に面し、北は四国山地を背にするのどかな町、安芸市。

市内を流れる安芸川東部には、岩崎彌太郎が堤防を築き稲や綿を植えたとされる開墾地「岩崎開き」の逸話が残る。また、井ノ口地区には、岩崎彌太郎とその息子である久彌の生家があることでも有名だ。

生家や周辺のスポットを訪れると、この土地にルーツを持つ久彌の人物像が見えてくる。


岩崎彌太郎・久彌生家


建坪訳30坪の平屋で、間取りは4畳半の2間、茶の間9畳などで構成されている。

母屋や倉は間近で見学できて、岩崎家のエピソードを記した解説板も設置。


生家前では、貫禄十分の彌太郎先生像がお出迎え

敷地内にある土蔵の鬼瓦には、現在の三菱のマークの原型になった「三階菱」の家紋が見られる


施設情報

0887-34-8344(安芸観光情報センター) /8:00~17:00、無休/無料/高知県安芸市井ノ口1696/土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線安芸駅から車で10分

【周辺のみどころ】野良時計(のらどけい)


時計がまだ普及していなかった明治時代中期、当時の地主が作りあげた。野良時計前のヒマワリ畑は、夏の風物詩に。


施設情報

0887-34-8344(安芸観光情報センター) /外観のみ見学自由 /高知県安芸市土居638-4 /土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線安芸駅から車で5分

【周辺のみどころ】伊尾木洞(いおきどう)


周辺が海だった約300万年前、波の浸食によってできた洞窟。洞窟を抜けた先には国天然記念物のシダ植物が群生し、神秘的な空間が広がる。


施設情報

0887-34-8344(安芸観光情報センター)/入場自由/高知県安芸市伊尾木117/土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線伊尾木駅から徒歩7分

【周辺のみどころ】安芸駅ぢばさん市場


ナスやちりめんじゃこといった特産品のほか、内原野焼や地酒なども取り扱う直売所。周辺を散策するなら、無料のレンタサイクルがおすすめ。


施設情報

0887-35-7500/7:00~19:30、無休/高知県安芸市矢ノ丸4-2-30/土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線安芸駅に併設

【周辺のみどころ】廓中(かちゅう)ふるさと館


軽食を提供する休憩処。安芸市名物「釜あげちりめん丼」が味わえる。


施設情報

0887-34-0701/9:00~17:00(食事は11:00~15:30LO)、月曜・金曜休(祝日の場合は営業)/高知県安芸市土居1017-1/土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線安芸駅から車で6分

東京都台東区~50年間暮らした本格的和洋木造邸宅~

久彌が三菱合資会社の社長に就任後、しばらくして移り住んだのが、台東区にある茅町本邸。現在では「旧岩崎邸庭園」として一般公開されている。

主に迎賓のために用いられた洋館は、“日本近代建築の父”ともいわれるコンドルが設計した、複数の様式が折衷しながらも整然としたデザインが印象的だ。
洋館に併設する、家族の日常生活の場だった和館とあわせて見学すると、経営者として、一家の主として、久彌の二つの顔が垣間見える。

また、台東区は江戸期の神社仏閣や明治の文化施設も多く、こちらのスポットもあわせて巡りたい。


旧岩崎邸庭園


敷地内には洋館、和館のほか、撞球(ビリヤード)室も残っている。

1961(昭和36)年に洋館と撞球室が、1999年に敷地全体が重要文化財に指定された。


書斎には三菱幹部が訪れることもあった。一角には、久彌が使っていた本棚が

書院造りを基調にした和館は、現在大広間の1棟だけが残っている


施設情報

03-3823-8340/9:00 ~17:00(入園は16:30まで。詳しくはホームページで確認を。https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index035.html)、年末年始休/400円/東京都台東区池之端1-3-45/地下鉄千代田線湯島駅から徒歩3分

【周辺のみどころ】上野東照宮


1627(寛永4)年に創建された、上野恩賜公園内に鎮座する神社。金色に輝く唐門や社殿は必見。


施設情報

03-3822-3455(社務所)/透塀内拝観9:30~16:00(3〜9月は〜17:00)、無休/無料(透塀内拝観は500円)/東京都台東区上野公園9-88/JR上野駅から徒歩5分、地下鉄上野駅から徒歩10分

【周辺のみどころ】恩賜上野動物園


1882(明治15)年に開園した日本初の動物園。約350種2500点の動物を飼育している。ぜひ、パンダに会いに行こう。


施設情報

03-3828-5171/9:30~17:00 、月曜(祝日の場合は翌日)休/600円/東京都台東区上野公園9-83 /JR上野駅から徒歩5分、地下鉄上野駅から徒歩8分

【周辺のみどころ】旧東京音楽学校奏楽堂


1890(明治23)年建築の日本最古の洋式音楽ホール。


施設情報

03-3824-1988/9:30~16:30(最終入場16:00)、月曜(祝休日の場合は翌平日)休/日・火・水曜に見学可能(ホールの使用がなければ木・金・土曜も可)/入館料300円/東京都台東区上野公園8- 43/JR・地下鉄上野駅から徒歩10分

【周辺のみどころ】摩利支天 徳大寺


アメ横随一のパワースポットで、約400年の歴史をもつ寺。猪に乗った摩利支天像を祀る。ご利益は開運厄除け、家内安全、必勝祈願など。猪のデザインをあしらったおみくじやお守りも人気。


施設情報

03-3831-7926/7:00 ~18:30 、無休/東京都台東区上野4-6-2 /JR御徒町駅から徒歩2分

岩手県雫石町~不毛の地に小岩井農場を拓く~

雫石町(しずくいしちょう)には、1891(明治24)年に開設された国内最大級の民間総合農場「小岩井農場」がある。

当時の鉄道庁長官・井上勝(まさる)、日本鉄道副社長・小野義真、そして三菱第2代社長にして久彌の叔父である岩崎彌之助の3人で共同経営されていた。「小岩井」の名も、この3人の名字に由来する。
その後1899(明治32)年に岩崎家が単独で経営を引き取り、久彌が実質的なオーナーとなった。久彌は海外の最新技術の導入や事業拡大を通して、経営を軌道に乗せていく。

現在でも、温泉やスキー場と並んで雫石町を代表する観光地として有名で、久彌の時代から残る牛舎などを見学できる。


小岩井農場


観光エリア「小岩井農場まきば園」では、農場ならではの体験や食事が楽しめる。

「上丸牛舎」エリアでは、明治末期~昭和初期に建てられた牛舎やレンガサイロなどの国指定重要文化財を多数見学可能。


一号牛舎では成長した乳牛を間近で見学できる

資料館には当時使われていた道具も展示


施設情報

019-692-4321/9:00 ~17:00(時期によって変動)、無休/入場料800円/岩手県岩手郡雫石町丸谷地36-1/JR・IGRいわて銀河鉄道盛岡駅からバス35分の小岩井農場まきば園下車すぐ

【周辺のみどころ】休暇村岩手網張温泉(あみはりおんせん)


宿泊施設を備えた温泉。人気は「仙女の湯」。「網張ビジターセンター」(写真)も併設。


施設情報

019-693-2211/入浴時間、営業日は温泉ごとに異なる/日帰り入浴 本館 800円、温泉館 600円/岩手県岩手郡雫石町網張温泉/JR・IGRいわて銀河鉄道盛岡駅から送迎バスで約1時間(宿泊者限定、要予約)

【周辺のみどころ】鶯宿温泉(おうしゅくおんせん)


約450年前、傷ついた脚を温泉に浸していたウグイスを木こりが発見したことが起源と伝わる。川の両岸に20軒ほどの宿が並ぶ。


施設情報

019-692-5138(しずくいし観光協会)/岩手県岩手郡雫石町鶯宿/JR田沢湖線雫石駅から車で15分

【周辺のみどころ】道の駅「雫石あねっこ」


岩手と秋田を結ぶ国道46号沿いにある。地域の特産品を販売するショップや温泉施設、食事処、キャンプ場など楽しみ方多数。


施設情報

019-692-5577/ショップ 9:00~18:00 ※冬期間は9:00~17:00、温泉 9:00~20:00、食事処 11:00~16:00 ※土・日曜・祝日は11:00~20:00、無休/岩手県岩手郡雫石町橋場坂本118 -10/JR田沢湖線雫石駅から車で20分

【周辺のみどころ】農家レストランらら


花の直売所「花工房らら倶楽部」に隣接。3 ~11月の土日祝は自家生産の野菜たっぷりのランチバイキングを、それ以外の日は写真のおまかせ定食などのセットメニューを提供。


施設情報

019-692-6001/10:00 ~16:00 、3~11月は無休、12~2月は水曜休み/岩手県岩手郡雫石町長山24七ッ田27/JR田沢湖線小岩井駅から車で7分

千葉県富里市~末廣農場の別邸で生涯を閉じる~

社長退任から3年後の1919(大正8)年、久彌は富里市にある末廣農場の再建に乗り出し、先進的な農法に取り組んでいく。

特に千葉県農場試験場から委託されて特産品化につとめたスイカの栽培は、今では全国的に有名な「富里スイカ」にも深くかかわっている。

末廣農場は戦後間もなく姿を消すが、久彌は1949(昭和24)年に農場内に建てられた別邸に隠棲した。また、久彌が1955(昭和30)年に息を引き取ったのもこの場所だ。

富里市に点在する牧場やホースパーク、名産品のスイカやニンジンには、今でも久彌が農牧事業に注いだ情熱が息づいている。


旧岩崎家末廣別邸


1927(昭和2)年に久彌が末廣農場内に建てた別邸。中庭をもつ木造平屋の瓦葺きで、貴重な近代和風建築として国の登録有形文化財となっている。現在、公園として一般公開されている。


外周のガラス障子の意匠が美しい

当時の最新設備を整えた台所も


施設情報

0476-93-7641(富里市教育委員会教育部生涯学習課文化資源活用班)/月曜(月曜が祝日の場合は火曜)、祝日の翌日(休日に当たる場合を除く)、年末年始休/千葉県富里市七栄650-25

  • 休日を変更して、臨時に休園日を設ける場合があります。
  • 末廣別邸整備中のため、非公開エリアがあります。

【周辺のみどころ】富里鎮守香取神社


祭神は経津主大神(ふつぬしのおおかみ)。禰宜(ねぎ)の篠原政弘さんはスイカ農家でもあり、スイカ柄のお守りや御朱印帳を頒布。毎月1日と15日に限定配布のスイカをモチーフにした御朱印も人気で、多くの参拝者が訪れている。


施設情報

0476-94-0633/参拝自由/千葉県富里市高松101/東関東自動車道酒々井ICから車で10分

【周辺のみどころ】富里ホースパーク


競走馬の育成牧場に併設された乗馬クラブで、初心者でも気軽に乗馬に挑戦できると評判。体験レッスンは1回30分で平日3000円(土・日曜・祝日は3500円)。要予約。


施設情報

0120-542-064/8:00~15:00、月曜休/千葉県富里市中沢1155/東関東自動車道酒々井ICから車で10分

【周辺のみどころ】インターナショナルリゾートホテル湯楽城


末廣農場の前身である「獅子穴牧場」の跡地に立つリゾートホテル。昭和に入り、成田空港の造成に合わせて旧ノースウエスト航空の関連施設となったが、航空会社の羽田移転に伴い、現在はホテルと大型温泉施設が多くの観光客を迎えている。東京駅から直通の高速バス、成田空港・成田駅からシャトルバスが運行。


施設情報

0476-93-1234/千葉県富里市七栄650-35/東関東自動車道富里ICから車で7分
公式ホームページ:https://chi-hotelsresorts.com/

【周辺のみどころ】末廣農場


富里市で初めての観光・交流拠点施設として6月にオープン。物販施設ではスイカをはじめとする特産品や、富里の野菜などを購入できる。レストランでは希少な豚肉(ダイヤモンドポーク)を使った料理や地元の食材の野菜などを使った料理を味わえる。


施設情報

0476-93-1200/9:00~18:00/月曜(月曜祝日の場合は火曜)、年末年始休/千葉県富里市七栄650-206/東関東自動車道富里ICから車で10分、酒々井ICから車で15分

「岩崎家ゆかりの地広域文化観光協議会」とは

高知県安芸市、東京都台東区、岩手県雫石町、千葉県富里市の4自治体が2018年に設立。それぞれの地域にある岩崎久彌ゆかりの史跡を生かした広域連携事業に取り組んでいる。

岩崎彌太郎・久彌生家(安芸市)、旧岩崎邸庭園(台東区)、小岩井農場(雫石町)、旧岩崎家末廣別邸(富里市)の4カ所を「岩崎家ゆかりの地」と称して、地域住民と事業者間の交流活性化、観光客の誘致、地域産品の販路拡大などに寄与することを目的に、それぞれの地域の魅力を国内外へ広く発信している。また、PRイベントなども実施している。

  • 提供:岩崎家ゆかりの地広域文化観光協議会
  • 取材・文:NEZUMI
トレたび公式SNS
  • X
  • Fasebook