2026.05.18ジパング俱楽部国立歴史民俗博物館総合展示第5室「近代」約30年ぶりに全面リニューアル|JR東日本エリアおでかけニュース

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今月、編集部が注目したJR東日本エリアのニュースは、「歴博(れきはく)」の愛称で知られる国立歴史民俗博物館の総合展示第5室「近代」の展示内容全面リニューアルについてです。
- ※メイン画像は「鉄道おもちゃ」 国立歴史民俗博物館蔵
膨大な資料と研究が蓄積された、日本列島の歴史と民俗を学べる博物館
千葉県佐倉市
佐倉城址の一角に立つ、1983(昭和58)年に開館した国立歴史民俗博物館。歴史学や考古学、民俗学に関する調査研究と展示を行なう博物館で、先史・古代から現代までの日本列島の歴史・文化について、生活や民衆の視点から紹介する「総合展示」を常設しています。
総合展示は館内外の研究者が参加する研究の成果をもとに構成されており、博物館が所蔵する貴重な実物資料をはじめ、精巧な複製品や考証に基づく復元模型、パネルやシートによる解説、映像・音声資料など、歴博ならではの豊富な資料を展示しています。本格的な内容でありながらも見て、体感して楽しめる工夫が随所になされた展示を通して、永い時間をかけて培われてきた日本列島の歴史や民俗文化について学ぶことができます。
3つの展示テーマと3つの視点から、激動の日本近代史を考える
ブラントン「日本図」(複製) 国立歴史民俗博物館蔵
沖縄対話(改正再版) 国立歴史民俗博物館蔵
19世紀後半から1920年代までの歴史を3つのテーマから読み解く総合展示第5室「近代」が、2026年3月17日にリニューアルオープンしました。
これまでは「文明開化」「産業と開拓」「都市の大衆の時代」の各テーマから展示を構成していましたが、新たなテーマのもとで新しい資料の展示を行なうなど1993年3月の開室以来33年ぶりに展示構成が全面的に見直されました。リニューアルによって開室からの約30年間にわたる日本近代史研究の進展が反映されるとともに、近代を生きた多様な人びとの視点を踏まえた内容となり、通史的紹介に留(とど)まらない多角的な観点から近代日本の姿と変遷について知ることができます。
ここからは、新たな展示テーマとともに主な展示内容や資料を見ていきましょう。
最初に設けられている展示テーマは「〈国民〉の誕生」です。幕末から明治時代初期の対外関係や世界史的視点を導入として、明治政府による学校・軍隊制度の整備、自由民権運動や対外戦争などの出来事を通して、人びとのなかに「国民」という意識が形成される過程や、社会から生活様式まで幅広い事象に生じた変化を紹介。
明治時代初期に整備されていた日本の鉄道や灯台などのインフラ情報が詳細に書き込まれた『日本図』や文明開化を描いた本、当時建てられた擬洋風建築校舎の模型や教室に掲げられていた「単語図」、沖縄の学校で日本語教育のために使用された教科書『沖縄対話』をはじめとした関連資料が、国民意識の形成や変化を物語っています。
2つ目の展示テーマは「近代化する人びとのくらしと仕事」。ここでは、資本主義経済の発展や貿易の拡大などにより変化したくらしと仕事に焦点を当て、農村や都市、工場、鉱山などの働く場所や働く人の様子を通して近代社会を考察しています。大正時代の横浜港の模型をはじめ、足尾(あしお)鉱山を紹介するグラフ誌『風俗画報』増刊号や鉱毒事件を物語る資料、中国向け輸出マッチの複製品などが展示されています。
『風俗画報』増刊第234号 足尾銅山図絵 国立歴史民俗博物館蔵
第5室最後のスペースの展示テーマは「〈帝国〉日本の社会と人びと」です。植民地などを持つ帝国となった20世紀初頭の日本の姿を、移民や出稼ぎなどによる人びとの移動をはじめ、都市生活や食糧問題、性差などの多様な観点から紹介。「鉄道おもちゃ」や「二十四時家庭双六」などの玩具から、朝鮮米の米袋、朝鮮半島の海女から房総半島の海女に伝えられた「チョウセン」と呼ばれる漁で着用する衣服の複製などの帝国内外の交流を物語る資料まで、多種多様な資料が見られます。
同潤会(どうじゅんかい)アパートの間取りや浅草繁華街の町並みなど、当時にタイムスリップしたかのような臨場感溢れる実寸大の復元模型も見ものです。また、ここでは関東大震災に関する展示も設けられています。
チョウセン 上衣(複製) 国立歴史民俗博物館蔵 原品 館山市立博物館蔵
『新流行唄 大震災の歌』 国立歴史民俗博物館蔵
今回のリニューアルでは、新しい3つの展示テーマを踏まえつつ、より多様な視点から近代日本を考えるため、〈アイヌにとっての近代〉〈琉球・沖縄からみた近代〉〈「水平」をめざして〉という3つの視点の展示も設けられています。
独自の言語体系や文化を持ちながらも政府による北海道の開拓や植民などのために生活の場所を奪われ少数者となったアイヌ民族、琉球処分で日本へ編入され同化が進むなかで固有のアイデンティティを求めた琉球・沖縄や宮古・八重山の諸島群、近世の被差別身分が形を変えて近代にも続いた被差別部落の人びとについて、それぞれに培われてきた歴史や文化、諸問題と活動、暮らしや仕事など、さまざまな要素から紹介しています。
第6室も一部展示をリニューアル。歴史のダイナミズムに出合おう
第5室のリニューアルに合わせて、1920年代後半から1970年代までの歴史を扱う総合展示第6室「現代」の冒頭部分「戦争と平和」の一部についても展示内容がリニューアルされました。
男子普通選挙の実施による民衆の政治参加が始まった当時の世相や、その後の満州事変以降の戦争の時代と敗戦・占領の経験と合わせて、『普通選挙演説集』や婦人参政権を特集する『女性日本人』創刊号、佐倉城址に置かれていた佐倉連隊跡地から出土された水筒などの資料を交えながら紹介。リニューアルされた第5室の展示からの連続性を持ちながら、戦前・戦中の歴史を辿れるよう工夫されています。
『女性日本人』創刊号(婦人参政号) 国立歴史民俗博物館蔵
佐倉連隊跡地からの出土遺物 水筒 国立歴史民俗博物館蔵
館内には第5・6室のほかにも、先史から江戸時代までの歴史を扱う第1から第3までの展示室や、祭儀や風習、くらしのなかから生まれた技術など幅広い日本列島の民俗文化を紹介する第4室「民俗」、展示内容に関連する図書を閲覧できる図書室などがあります。また、佐倉城址の一郭には生活文化にゆかりのある植物を植栽している「くらしの植物苑」もあり、博物館や植物苑をじっくり見て回るだけでも丸一日楽しめるほどの充実した時間を過ごすことができます。
国内有数の展示の量と質を誇る歴史博物館で、歴史や文化の多様な姿や新たな発見に出合ってみませんか。
基本情報
| 名称 | 国立歴史民俗博物館 |
|---|---|
| 開催期間 | 9時30分~16時30分(10~2月は16時まで)、月曜(祝日の場合は翌平日)・年末年始休 ※その他休館日および月曜に開館となる場合あり。詳しくは、国立歴史民俗博物館公式サイトをご確認ください |
| 料金 | 総合展示900円 ※「くらしの植物苑」も博物館の半券で当日にかぎり入苑可。企画展示の場合は別(総合展示も見学可) |
| 交通アクセス | 総武本線佐倉駅から国立歴史民俗博物館経由田町車庫行き京成バス千葉イースト約13分の国立歴史民俗博物館下車すぐ。または、佐倉駅から田町車庫行き京成バス千葉イースト約12分の国立博物館入口下車、徒歩約9分 |
| 問い合わせ先 | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
| URL | https://www.rekihaku.ac.jp |
文/毛塚貴康
- ※記事中の情報は2026年5月時点のものです。
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