2024.06.25ジパング俱楽部渓谷の涼感と妖怪伝説を訪ねる避暑地・祖谷温泉の旅|JR四国エリアモデルコース
徳島県三好(みよし)市
とくに暑い日が続く近年の夏、避暑地へ泊まりに行くのはいかがでしょうか。ジパング倶楽部編集部では、温泉でのんびり過ごしつつ、ひんやり涼しげなスポットを集めたモデルコースを紹介します。
四国中央部、徳島県の奥地には、山岳自然の恵みと妖怪伝説により、肌でも心でも涼を体感できる渓谷があります。日本有数の秘境にある祖谷(いや)温泉の心地よい湯に浸(つ)かり、深いV字谷が生み出す森の風に癒やされに行きましょう。
- ※メイン写真は大歩危峡をゆく観光遊覧船
「ジパング倶楽部」会員募集中
モデルコース概要
避暑地・祖谷温泉とは?
東西に延びる四国山地を南北に断ち切っている祖谷渓は、V字谷の地形と深い森が自然のクーラーになっている避暑地。
周囲の峰々から約700メートルも下にあるその谷底で、古来より湧出していたと伝わるのが祖谷温泉です。
周囲は険しい山と深い森、渓谷には清らかな水が流れ、夏でも別世界のような趣があるところです。
〈1日目〉土讃(どさん)線大歩危(おおぼけ)駅からスタート
秘境・祖谷の玄関駅。駅の隣は、山の緑を映したようなエメラルドグリーンの吉野川が流れ、遊覧船がある大歩危峡へと続きます。
駅前の「歩危マート」は地域の人気店で、石豆腐など地元食材を販売していて、観光客も多く訪れる店です。
大歩危峡観光遊覧船
大峡谷に現れる約2億年前の海底
剣山(つるぎさん)国定公園にある吉野川中流域にある大歩危峡の、急峻な山並みと美しい川面を満喫する約30分の船旅です。昔、この大歩危とその下流にある小歩危(こぼけ)は交通の難所であり、江戸時代までは街道すら通じていなかったそうです。
川面からそそり立つ岩壁は、岩石や地層から日本列島の成り立ちが分かる貴重な場所として国指定の天然記念物と名勝に指定されています。
問い合わせ先 | 0883-84-1211 |
---|---|
時間 | 9時~16時30分 |
定休日 | なし(強風、増水の場合は欠航) |
交通アクセス | 乗船所へは土讃線大歩危駅から阿波池田バスターミナル行きほか四国交通バス約4分の大歩危峡下車すぐ |
値段 | 1500円 |
URL | https://www.mannaka.co.jp/restaurant/excursionship/excursionship.html |
妖怪街道
「こなきじじい」伝承の地
山深い秘境の谷が刻む山城町は、数々の妖怪伝説に彩られています。民俗学者で『遠野(とおの)物語』の著者・柳田國男も、この地域の妖怪のことを自身が編集した書物で触れているそうです。
「道の駅 大歩危」の近くからは妖怪伝承のスポットをめぐる「妖怪街道」ができていて、渓谷の風を感じながらウォーキングが楽しめます。地域の妖怪伝承を展示する「妖怪屋敷と石の博物館」もあります。
問い合わせ先 | 0883-84-1489(道の駅 大歩危) |
---|---|
時間 | 9時~16時30分(妖怪屋敷と石の博物館) |
定休日 | 12~2月の火曜(祝日の場合は翌日) |
交通アクセス | 土讃線大歩危駅から阿波池田バスターミナル行きほか四国交通バス約3分の道の駅大歩危下車すぐ |
値段 | 妖怪屋敷と石の博物館は700円(65歳以上500円) |
URL | https://yamashiro-info.jp/ |
和(な)の宿 ホテル祖谷温泉
湧出したてで肌ざわりが素晴らしい「ぬる湯」が特徴
秘境・祖谷渓の一帯では古くから温泉が湧出しており、「風呂の谷」という地名も残っています。かの平家一族も祖谷へ落ち延びる時に、この温泉を見つけて湯治したとか。そんな伝承の地にあるのが祖谷温泉の露天風呂。
湯ざわりや香りなど温泉はさまざまな特徴で評されますが、この温泉の露天風呂を語るなら「ぬる湯」です。ホテルからケーブルカーで標高差約170メートル下った先にあるこの湯は、湧出38.2度で加温なしの源泉かけ流し。しかも、日本有数の深いV字谷「祖谷渓」の底に位置し、急傾斜の深山幽谷から降りてくる風は涼やかです。真夏の湯浴(あ)みでも長湯を快適に楽しめて、湯の効能を存分に享受できる露天風呂でしょう。
源泉は露天風呂から約30メートルの場所に位置し、湧出したてのためか、湯浴みの肌が無数の微細な気泡、いわば“絹泡”で包まれます。すべすべする湯と相まってその肌ざわりは格別です。泉質はアルカリ性単純硫黄泉で、神経痛、リューマチ、美容、疲労回復などに効能があるとされています。
標高1000~1400メートルの峰々に囲まれ、のぞき込む谷底は約170メートル下という急峻な山岳地の斜面にあるホテル祖谷温泉。秘境の自然を体感できるこの宿では、食についてもこの地域の自然の恵みを用いたメニューで楽しませてくれます。
阿波牛、ジビエ、世界農業遺産になっている「にし阿波の傾斜地農耕システム」で穫れた野菜、そして郷土伝統の味である祖谷そばなどが自慢です。
V字の峡谷景観を独占する上質な湯宿
「和の宿 ホテル祖谷温泉」のこだわりは地元の幸以外にも。それが祖谷渓の景観。山に抱かれるような気分になる露天風呂付客室や、運に恵まれれば雲海に浮かぶような体験ができる「雲の上テラス」など、さまざまな工夫で秘境の景観を楽しませてくれます。
また、こだわりの家具や、徳島県伝統のお弁当箱「遊山箱(ゆさんばこ)」など、客室空間のしつらえも見逃せません。
問い合わせ先 | 0883-75-2311 |
---|---|
交通アクセス | 土讃線大歩危駅からホテル祖谷温泉行き四国交通バス約26~42分の終点下車すぐ。大歩危駅から送迎あり(宿泊者のみ、要予約) |
値段 | 1泊2食2万3250円~ |
泉質 | アルカリ性単純硫黄泉 |
URL | https://www.iyaonsen.co.jp/ |
日帰り入浴
時間 | 7時30分~16時(2024年6月30日までは7時30分~17時) |
---|---|
定休日 | 不定休 |
値段 | 露天風呂1900円(ケーブルカー・展望風呂含む)、展望風呂のみ700円 |
〈2日目〉和の宿 ホテル祖谷温泉を出発
祖谷のかずら橋
足もとからぞわぞわと涼しく
起源は空海の架設とも平家落人によるなど諸説ある祖谷地方伝統の橋で、長さは約45メートル。
「かずら」とは「シラクチカズラ」というつる植物で、この橋には約6トンを使用し、3年毎に架け替えられています。
かずら橋の橋床は、渡した割木の幅と隙間がほぼ同じで、足が落ちそうな気分になり、約14メートル下の川面まで素通しの丸見え。渓谷を渡る風に加えて、スリルでいっそう涼しくなります。
問い合わせ先 | 0883-76-0877(三好市観光案内所) |
---|---|
時間 | 8~18時(時期で変動) |
定休日 | なし |
交通アクセス | 土讃線大歩危駅から四国交通バス約28分のかずら橋夢舞台下車、徒歩約5分 |
値段 | 550円 |
URL | https://miyoshi-tourism.jp/spot/iyanokazurabashi/ |
いこい食堂
かずら橋を眺めながら郷土の味を楽しむ
「祖谷のかずら橋」の近くで食事を提供している店。「祖谷そば」や、炭火でじっくり焼いた、ジャガイモと石豆腐とコンニャクを刺した「でこまわし」など、祖谷地方の郷土の味を堪能できます。
外国人観光客もここを訪れていて、日本語があまり得意ではない客とおかみさんとの、ほっこりとしたやり取りを見るのも楽しい食事処です。
店のすぐ近くにある、落差約40メートルの「琵琶の滝」も必見です。
問い合わせ先 | 0883-87-2840 |
---|---|
時間 | 10~17時(時期で変動) |
定休日 | 不定休 |
交通アクセス | 土讃線大歩危駅から四国交通バス約28分のかずら橋夢舞台下車、徒歩約5分 |
大歩危駅ゴール!
紹介スポット一覧マップ
文・写真/大村嘉正
- ※記事中の情報は2024年6月時点のものです。
- ※列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
- ※店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
- ※花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
- ※同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。
- ※新型コロナウイルス感染症等の影響により、掲載している内容が変更となる可能性があります。お出かけの際は事前にご確認ください。