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2026.08.25ジパング俱楽部今訪れたい、昭和の作家とゆかりの町20選|西日本エリア



西日本エリアの「昭和の作家とゆかりの町」

会員誌「ジパング俱楽部」2026年9-10月号の特集は、「昭和の作家とゆかりの町」。誌面で紹介した場所を含め、旅先として訪れてみたい、昭和の頃に活躍した作家ゆかりの町にある記念館・文学館を紹介します!



  目次  


名張/江戸川乱歩生誕地ミュージアム

「見知らぬふるさと」名張を歩く

三重県名張市


「赤い部屋」では、その世界に没入できます 「赤い部屋」では、その世界に没入できます

江戸川乱歩(らんぽ)は名張で生まれたものの生後8カ月ほどでこの地を離れ、その後も生涯で40回以上の引っ越しを重ねています。そのため、名張のことを「見知らぬふるさと」と呼んだそう。

生家跡の旧病院を活用した館内は、乱歩ゆかりの資料が「明智探偵事務所」など作品の世界観を生かした体験型ミュージアムとして展示されています(事前予約制)。
周辺の古い町並みや迷路のような路地を歩き、名張市立図書館の乱歩コーナーや生誕地碑へ足を延ばせば、幻想的な物語世界へとさらに没入できそうです。

交通アクセス 紀勢本線松阪駅から近鉄大阪線約57分の名張駅下車、徒歩約14分
URL https://www.ranpomuseum.com/


東大阪/大阪樟蔭女子大学 田辺聖子文学館

お聖さんの人生と恋愛小説を訪ねて

大阪府東大阪市


壁を彩る、圧巻の「田辺聖子 文学ウォール」 壁を彩る、圧巻の「田辺聖子 文学ウォール」

芥川賞作家、文化勲章受章者である田辺聖子(せいこ)の母校・大阪樟蔭(しょういん)女子大学の緑翠館(りょくすいかん)内にある小さな文学館。
戦中の少女時代から戦後の文学修業時代や、半世紀以上にわたる作家生活を紹介する展示に加え、「田辺聖子 文学ウォール」では膨大な著作を一覧することができます。
再現された書斎コーナーや、私物のアクセサリーなどにかわいらしい人柄が表れる「お聖さん・夢の世界」、宝塚歌劇とのつながりを紹介するコーナーなど、多種多彩な田辺文学の素顔に出合えます。

交通アクセス おおさか東線河内永和駅から徒歩約7分
URL https://bungakukan.osaka-shoin.ac.jp/


東大阪/司馬遼太郎記念館

自宅敷地でその思索をも体感する

大阪府東大阪市


庭の小径から窓越しに見る書斎 庭の小径から窓越しに見る書斎

戦後日本を代表する国民的作家・司馬遼太郎の自宅敷地が記念館に。
建築家・安藤忠雄氏が手がけた本館は、司馬が暮らし、執筆した旧宅と、コンクリート打ちっぱなしの新館が連なり、文学と建築が響き合う美しい空間です。吹き抜けの壁一面に約2万冊の蔵書が埋め尽くす様子は、圧巻の一言。

『竜馬がゆく』『坂の上の雲』など、読み継がれる作品の背後にある膨大な知識と深い思索を、まさに本人が過ごした場所で体感できるぜいたくな場所です。

交通アクセス おおさか東線河内永和駅から徒歩約15分
URL https://www.shibazaidan.or.jp/


養父/山田風太郎記念館

忍法帖と明治伝奇の魔界へ

兵庫県養父市


記念館を拠点に、山陰街道の町並みを散策したい 記念館を拠点に、山陰街道の町並みを散策したい

忍法帖シリーズや明治伝奇小説で知られる山田風太郎は、現在のアニメや漫画などのクリエイターにも多大な影響を与え続けています。

記念館は郷里の本人も通った旧関宮小学校跡に建てられ、直筆原稿や草稿、書簡など1500点超の資料を収蔵。
記念館周辺の生家や彼の言葉を刻んだ石碑を訪ねると、忍者ものから歴史改変ものまで、奇想天外で複雑怪奇かつ知的な物語を構築した、風太郎ワールドの魔界へとじっくり分け入ることができます。

交通アクセス 山陰本線八鹿駅から湯村温泉行きほか全但バス約28分の関宮下車、徒歩約3分
URL http://futarou.ez-site.jp/


和歌山/和歌山市立有吉佐和子記念館

紀の川のほとりで有吉文学に触れる

和歌山県和歌山市


復元された旧宅内、本人が執筆した書斎 復元された旧宅内、本人が執筆した書斎

女性三代の人生を描いた代表作『紀ノ川』は英訳もされ、世界中の読者の胸を打つ長編です。
その紀の川が流れる和歌山市に生まれた有吉佐和子の記念館には、原稿を執筆した東京・杉並の旧宅が復元され、資料や愛用品が静かに来訪者を待ちます。
再現された書斎では、社会問題から家族のドラマまでを鋭く見つめた有吉のまなざしに触れられ、机や本棚に目を凝(こ)らすうちに、和歌山の風土が有吉文学の物語世界の奥行きを支えていることにふと気づくことでしょう。

交通アクセス 紀勢本線和歌山市駅から徒歩約5分
URL https://www.ariyoshi-sawako.jp/


岩国/宇野千代生家

コケむす庭に宿る宇野千代の美学

山口県岩国市


修復後、庭を眺めながら執筆することもあった大切な場所 修復後、庭を眺めながら執筆することもあった大切な場所

名勝・錦帯橋(きんたいきょう)から徒歩20分ほどの旧山陽道沿いの町並みにある、宇野千代の生家(せいか)。
明治時代の建物を宇野自身の手でほぼ昔のままに修復し、室内には愛用品や写真が展示され、庭にはこだわり抜かれたコケと紅葉の美しい日本庭園が広がります。
『おはん』『薄墨の桜』など多くの作品で女性の生き方や美意識を描いた彼女の粋でたおやかな感性が伝わる、美しい日本家屋。
岩国観光の途中で立ち寄れば、静かな時間とともに作品中に漂う気配がそっと重なります。

交通アクセス 岩徳線川西駅から徒歩約4分
URL https://www.unochiyoseika.jp/


松山/伊丹十三記念館

多才な「伊丹十三」の世界に出会う

愛媛県松山市


外壁は深みのある黒い焼き杉板。建築家・中村好文氏による設計 外壁は深みのある黒い焼き杉板。建築家・中村好文氏による設計

高校時代を松山で過ごした伊丹十三(いたみ じゅうぞう)。この記念館は、妻で女優の宮本信子館長のもと、映画監督、俳優、エッセイストなど、いくつもの顔を持った唯一無二の表現者の仕事と生活者としての魅力を伝えます。

館内には13のコーナーで生涯を辿る常設展示と、テーマごとにバラエティ豊かに展開する企画展示が用意され、愛用品や直筆原稿類、ポスター、映像資料などに引き込まれます。
料理や乗り物、猫、音楽といった趣味も紹介されていて、好奇心の赴くまま伊丹十三の世界を存分に堪能できます。併設の入館者専用カフェで本人が愛したドリンクも味わって。

交通アクセス 予讃線松山駅下車、徒歩約3分のJR松山駅前電停から伊予鉄道市内電車2番環状線で約11分の松山市駅下車後、伊予鉄バス森松・砥部線に乗り換え約20分の天山橋(あまやまばし)下車、徒歩約2分
URL https://itami-kinenkan.jp/


松山/坂の上の雲ミュージアム

激動の明治を舞台にした『坂の上の雲』を体感する

愛媛県松山市


建築家・安藤忠雄氏による大胆な設計にも注目を 建築家・安藤忠雄氏による大胆な設計にも注目を

司馬遼太郎の長編小説『坂の上の雲』を軸に、松山出身の3人の主人公、秋山好古(よしふる)・真之(さねゆき)兄弟と正岡子規の生涯、そして明治日本の歩みを辿れます。
新聞連載原稿の壁面展示や登場人物の直筆資料、映像、グラフィックを展示。
松山城の麓(ふもと)で、日本の歴史の転換点にあった明治という時代を追体験できます。
また、本に親しむ滞在型の図書室「こども本の森 松山」も併設しています。

交通アクセス 予讃線松山駅下車、徒歩約3分のJR松山駅前電停から伊予鉄道市内電車5番約12分の大街道駅下車、徒歩約2分
URL https://www.sakanouenokumomuseum.jp/


香美/香美市立やなせたかし記念館

作家の優しいまなざしを育んだ故郷

高知県香美市


家族で訪れたい、やなせ作品の夢あふれる建物 家族で訪れたい、やなせ作品の夢あふれる建物

高知市の中心部から約30キロ東にある香美市香北町は、やなせたかしが生まれた町。
物部川(ものべがわ)の清流と柚子畑に囲まれた山里で、素朴な暮らしの中で育まれた優しいまなざしが、詩や絵本、漫画作品に息づいています。
記念館では、「アンパンマン」の絵本原画や編集長を務めた雑誌『詩とメルヘン』などの作品を通じて、この山間の町から「愛と勇気」の物語が生まれた軌跡を知ることができます。

交通アクセス 土讃線土佐山田駅から美良布(アンパンマンミュージアム)行きジェイアール四国バス約25分の終点下車、徒歩約5分
URL https://anpanman-museum.net


北九州/北九州市立 松本清張記念館

人間を見つめ社会の闇に迫った現場に立つ

福岡県北九州市


小倉城そばに立つ、迫力ある記念館 小倉城そばに立つ、迫力ある記念館

『或る「小倉日記」伝』で芥川賞を受賞、その後は『点と線』『砂の器』などの社会派ミステリや歴史小説で巨匠となった松本清張の故郷・小倉に開館。映像資料などに加え、館内には書斎や応接室、膨大な蔵書を収めた書庫が再現され、徹底した取材と読書から作品が生まれたことを実感できます。

記念館は研究センターとしての機能も備え、文学のジャンルを超え表現方法を変えた作品を次々と発表し、類を見ない探究心で社会の闇に挑み続けた清張文学を現在進行形で読み解く拠点になっています。

交通アクセス 鹿児島本線西小倉駅から徒歩約10分
URL https://www.seicho-mm.jp/


長崎/長崎市遠藤周作文学館

沈黙の海を見わたす文学館

長崎県長崎市


心が落ち着く館内。時間をかけて訪れたい 写真/長崎県観光連盟 心が落ち着く館内。時間をかけて訪れたい 写真/長崎県観光連盟

キリスト教徒であった遠藤周作の文学と生涯を紹介する文学館は、世界的な評価を得た『沈黙』の舞台・外海(そとめ)地区の高台に立ち、遺品や生原稿、蔵書などから、信仰と人間の弱さを見つめた作品世界に触れられます。

厳しく深い宗教テーマに向かい、また茶目っ気ある「狐狸庵(こりあん)先生」としての顔も持つ遠藤が、「神様が私のために残しておいてくれた場所」と語った、五島灘(ごとうなだ)を望む併設エリア「思索空間アンシャンテ」で、遠藤文学へ思いを馳(は)せましょう。

交通アクセス 西九州新幹線長崎駅から桜の里ターミナル行きほか長崎バス約46分の終点下車後、板の浦行きに乗り換え約17分の道の駅(文学館入口)下車、徒歩約2分
URL https://www.city.nagasaki.lg.jp/site/endou/


鹿児島/かごしま近代文学館

常設展示「向田邦子の世界」へ

鹿児島県鹿児島市


常設展示「向田邦子の世界」では、本人が過ごしたリビングを再現 常設展示「向田邦子の世界」では、本人が過ごしたリビングを再現

海音寺潮五郎(かいおんじちょうごろう)や島尾敏雄など、鹿児島県ゆかりの作家28人の足跡と作品世界を紹介したコーナーや、著作を手に取れる「文学アトリエ」などで構成。
なかでも向田邦子は、鹿児島市で暮らしたのは小学生時代の2年3カ月ながら、この地を「故郷もどき」として愛したことで知られます。
2階の常設「向田邦子の世界」には自宅のリビングが再現され、本人の映像や留守番電話の応答テープなどの肉声を聞くこともでき、全国からファンが訪れます。

交通アクセス 九州新幹線鹿児島中央駅から市営バス「カゴシマビュー」約14分の西郷銅像前下車、徒歩約3分
URL https://www.k-kb.or.jp/kinmeru/


紹介スポット一覧マップ

文/篠賀典子

  • 記事中の情報は2026年8月時点のものです。
  • 列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
  • 花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
  • 店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
  • 同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。