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2026.08.20ジパング俱楽部高橋努さんインタビュー|『豊臣兄弟!』で演じる蜂須賀正勝と徳島の魅力

2026年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』は、豊臣秀長(仲野太賀さん)を主人公に、のちに天下人となる兄・豊臣秀吉(池松壮亮さん)と兄弟2人で戦国の世を駆け上がっていく姿を描く、夢と希望のサクセスストーリーです。

秀吉の最古参の側近のひとりとしてともに戦国時代を生き、やがて徳島の礎を築いた蜂須賀正勝を演じるのは俳優の高橋努さん。今回は高橋さんに、ドラマの見どころとともに撮影秘話や、撮影前に訪れた徳島の魅力を語っていただきました!

大河ドラマ『豊臣兄弟!』


天下一の補佐役・豊臣秀長の目線で描く波乱万丈のエンターテインメント!

戦国時代のど真ん中を描く、2026年の大河ドラマ。強い絆で天下統一という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡── 夢と希望の下剋上(げこくじょう)サクセスストーリーです。

放送情報
NHK総合 毎週日曜 20時~ほか
※NHK ONEにて同時・見逃し配信中
公式ホームページ https://www.nhk.jp/g/ts/P52L88MYXY/

今回の大河ドラマが、蜂須賀正勝を知るきっかけになってほしい。


印象的な初登場を飾った墨俣(すのまた)の砦の「決死の築城作戦」のシーン。藤吉郎が正勝に協力を求めます 印象的な初登場を飾った墨俣(すのまた)の砦の「決死の築城作戦」のシーン。藤吉郎が正勝に協力を求めます

―――蜂須賀正勝という人物をどう捉え、演じていますか。

蜂須賀正勝は、豊臣兄弟を長年支えた武将。1585(天正13)年の四国征伐の功績が評価され、阿波国17万余石を与えられたすごい人です。阿波国は嫡男・家政に託してしまうけれど、正勝にとって徳島は特別な地だし、徳島の人にとっても正勝は重要な人物。今年2月に徳島を訪ねました。

「徳島城博物館」で正勝が残した書状を読んだのですが、とっても頭のいい人だったと思いました。相手の気持ちや立場を考えて、丁寧に気遣う文書が多かった。たとえば息子を殿様にした時、家老たちにも「迷惑をおかけしますがお力添えを……」といった内容の書状を送っていて。任せるだけじゃなくて、ちゃんとフォローもする細やかな方だったんだと思いました。

なので、これまでの豪快で荒々しいイメージに加えて、知将的な側面、さらに人への愛情が深く、やさしさを持ち合わせる正勝像を、かなり意識して演じています。豊臣兄弟をはじめ、同じ志を持ってともに歩む仲間を思う気持ちを、最後まで大切に抱き続けたいですね。


上月城の戦いで苦渋の決断を下す秀吉と隣で寄り添う正勝 上月城の戦いで苦渋の決断を下す秀吉と隣で寄り添う正勝

正勝は、豊臣兄弟とともに勢いよく突き進んで出世する。次第に偉くなって家臣がいっぱいできて、家臣やその家族、大勢の人の命と生活を預かる立場になってゆく。指示役になるので、戦のシーンでは暴れるシーンが減るのが寂しい(笑)。以前のように暴れたくて、スタッフに「僕にも戦わせてくれ!」と笑いながら懇願しつつ、だめだと言われて孤独を感じています(笑)。500年前を生きた正勝もきっと、同じ気持ちだったのではと想像しています。

また、実在した「ご本人」がいらっしゃったことについてはすごく気を遣っています。
蜂須賀家十九代当主、蜂須賀正子さんにもお会いしました。世が世なら「姫」と呼ばれたお方。穏やかで芯があり、ものすごく教養や品が感じられる、オーラのある方でした。
僕が正勝役になったことを喜んでくださいました。僕は、目の前にいる正子さんの先祖の役をやっているわけで、なんとも不思議な感覚になりました。本当の「親族」のような感覚になったのですが、打ち解けてくださり「また会いたいわ」とおっしゃってくださったのがうれしかったです。
 

―――回を重ねるにつれ、蜂須賀正勝の雰囲気が変わってゆきますね。

僕(正勝)は日に焼けた汚い風貌の貧しい“川並衆”として、第7回から登場します。川並衆らしい荒々しさを出すために、最初の衣装合わせの時には「とにかく一番汚くしてください」とお願いして、メイクも汚く、古傷・生傷もしっかりつけました。鎧も壊れたものを着けていました。
それが、出世するにつれてだんだん立派な衣装になるんです! ボロボロの“川並衆”だった僕(正勝)が徐々に偉くなって変わってゆく様子に、撮影現場のスタッフのみんなが「お〜!」と感動してくれます。衣装もサクセスストーリーの一端で、現場のモチベーションが高まりますね。


初登場の衣装からは、川並衆らしい荒々しさが伝わります 初登場の衣装からは、川並衆らしい荒々しさが伝わります

念願の“城持ち”になった正勝。衣装も立派に 念願の“城持ち”になった正勝。衣装も立派に

―――撮影現場はどのような雰囲気でしょうか。

大河ドラマを初めて観る若い世代にも楽しんでいただけるよう、分かりやすさを求めてみんなで挑んでいます。僕は、視聴者と同じリアクションになるような演技を心がけていて、それが親しみやすさにつながるなと思っています。
なんと! 小学生にも人気があるらしく、僕(正勝)は、「ロン毛の人」って呼ばれているとか(笑)。

撮影現場の合言葉は「ノープレッシャーで行こう!」です。織田信長役の小栗旬の気迫が素晴らしく、織田軍の撮影の時はピリッとしていますが、羽柴(豊臣)軍は真逆。「大河ドラマ」の現場はやっぱり緊張しますが、自由にのびのびとした雰囲気が漂っています。


秀吉の記憶を取り戻そうと小芝居をするコミカルなシーン 秀吉の記憶を取り戻そうと小芝居をするコミカルなシーン

竹中半兵衛の策の成功を喜ぶ秀吉軍 竹中半兵衛の策の成功を喜ぶ秀吉軍

そんな雰囲気の中、本番前は必ずディスカッションして、監督も役者もみんなで意見を出し合い、一つひとつのシーンを丁寧に仕上げています。

撮影の合間に池松や太賀といろんなことを話します。最前線で命懸けで戦っていた3人。たった一代ですごい出世してウハウハだったかもしれないけど、ずっといつ死ぬかわからない状況だった。それってどういう感覚だったんだろう、とか――。死が身近にある状況でともに生きた仲間や家族の絆は、とても強かったと思います。


「金ヶ崎の退き口」で命がけのしんがりを務め、絶体絶命の窮地を脱しようとする豊臣兄弟と、蜂須賀正勝をはじめとする家臣たち 「金ヶ崎の退き口」で命がけのしんがりを務め、絶体絶命の窮地を脱しようとする豊臣兄弟と、蜂須賀正勝をはじめとする家臣たち

あちこちに蜂須賀が息づく徳島は、豊かな水の都です。

―――徳島を訪ねた時の印象をお聞かせください。

ドラマで描かれるのはまだ先ですが、史実では四国攻めの功績と長年の活躍が評価された正勝は、阿波国17万石をもらいます。でも、すべてを若い嫡男・家政に託してしまう。秀吉の側を離れず仕え続けたいと思ったのでしょう。ついに徳島で暮らすことはなかったけれど、たびたび徳島へは訪れていたんじゃないかな。何より徳島の成り立ちに、蜂須賀正勝はとてつもなく重要な人物だったんです。

徳島を訪ねた時のことで一番忘れられないのは、眉山の展望台からの景色! 素晴らしすぎて「なんだこりゃあ……!」と声が出たほど。海、山、町がすべて視界に入り、鳴門の渦潮も遠くに見えて、日本じゃないみたいでした。


眉山展望台からの眺め 眉山展望台からの眺め

眉山の中腹にある万年山墓所にも行きました。お墓の入口に鳥居があるのですが、やはり正勝は、徳島では神のような存在なのですね。その時夕方で後光がさしていて、感動のあまり一歩も動けなくなるような体験をしました。パワーをもらうというか、天から何か言われているような感覚になり、改めて正勝の役を担う大きさを実感し、身の引き締まる思いがしました。

また、歴史の先生にお話を聞いたのですが、蜂須賀氏は阿波藍や塩、煙草、和三盆などに投資をして、国の繫栄のためかなりのお金を費やしたそうです。今お土産コーナーに並ぶほとんどのものに蜂須賀家がかかわっていると知り、驚き、感動しました!
居酒屋にふらりと入っても海の幸・山の幸、何でもある。ブランド鶏の「阿波尾鶏」、お魚、お野菜、お米、味噌とか……全部おいしくて。これも歴史の先生に聞いたのですが、徳島は、衣食住にかかわるすべてが県内で成り立つのだそう。地元の人はそのすごさに気づかないらしいけど、まわりから見れば、全部が揃ったすごくいいい県だと思います。
徳島の方は出会う人みなさんが穏やかでやさしい。本当にいいところです。

そうそう、正勝が偉くなってから着ける鎧は、藍染めを使っています。ご注目を!

―――徳島が「水の都」と呼ばれる理由を感じましたか?

徳島市内はどこに行っても川があって、どの川も橋もきれい。まさに「水の都」です。
正勝はもともと“川並衆”で、備中高松城の水攻めでも活躍したそうです。そして最後に与えられた阿波国は、水の都。どこまでも水がつきまとう、水に縁がある人だったのかもしれませんね。

「ひょうたん島クルーズ」で遊覧船に乗ったのですが、護岸が低いのでより水面が近くて、川をとても身近に感じます。川岸の桜は「蜂須賀桜」という名の桜並木もあり、びっくりしました。この桜、大阪城公園にもあるのですが、花見が好きだった秀吉は、正勝たちと宴を楽しんでいたと思うんです。息子の家政もきっとそれを一緒に経験していたから、殿様になった時に花見を好んだんじゃないかなあ。


徳島城周辺を周遊する「ひょうたん島クルーズ」写真/徳島市 徳島城周辺を周遊する「ひょうたん島クルーズ」写真/徳島市

川沿いを歩くと「阿波おどり」の練習の音が聞こえてきます。徳島に行った時、「蜂須賀連」の方と踊らせていただきました。阿波おどりの歌詞の中に「蜂須賀の殿様が〜」と出てきて、蜂須賀氏がここまで浸透しているのかと驚きました。
 

―――今後の見どころとジパング倶楽部会員のみなさまへのメッセージをお願いします。

壮大なスケールの戦国時代。秀長が総大将として出陣する四国征伐が正勝の見どころ満載の大きな山場! 正勝が大活躍して阿波を任される、という史実をベースに『大河ドラマ』としてどう展開するのか!? 僕自身も楽しみです。そして、秀吉の天下一統へ――。ますますおもしろくなります。

歴史好きな方もそうでない方も、とにかく期待していてください。みなさんが学校で習った史実は、その後に見つかった史料の発見で加筆・修正された内容もあります。「あれ? 知っている内容と違うな」と思うことがあるかもしれません。が、新しい解釈を含めて決して裏切らない、学びある内容になっています。ご贔屓に、よろしくお願いいたします。

今回の大河ドラマが蜂須賀正勝という人物を知り、徳島とのつながりに思いを馳せるきっかけになりますように。そして、正勝ゆかりの徳島を訪ねてください!



高橋努

1978年生まれ、東京都出身。演劇チーム「渋谷ハチ公前」を主宰し、作・演出を担当。NHKの大河ドラマは『天地人』『西郷どん』『どうする家康』に続き4作目となる。昨年は連続テレビ小説『虎に翼』の記者役が注目を集めた個性派俳優。さまざまな映画、ドラマ、舞台に出演している。


大河ドラマ『豊臣兄弟!』

:八津弘幸
音楽 :木村秀彬
語り :安藤サクラ
出演 :仲野太賀、池松壮亮、吉岡里帆、浜辺美波、白石 聖、坂井真紀、宮澤エマ、菅田将暉、大東駿介、松下洸平、山口馬木也、宮﨑あおい、小栗 旬 ほか

公式サイト: https://www.nhk.jp/g/ts/P52L88MYXY/

戦国時代のど真ん中を描く、2026年の大河ドラマ。
強い絆で天下統一という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡──夢と希望の下剋上(げこくじょう)サクセスストーリーです。天下一の補佐役・豊臣秀長の目線で描く波乱万丈のエンターテインメント!

文/松井一恵 写真/NHK