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2022.10.13鉄道この秋、君は“真の鉄道マイスター”になれるか? 伊藤壮吾くんと『鉄道マイスター検定』に挑戦

「助川康史の遖! はらから鉄道塾」伊藤壮吾くんと課外活動

「助川康史の遖(あっぱれ)! はらから鉄道塾」を連載中の月刊誌『鉄道ダイヤ情報』編集部から「『鉄道マイスター検定』を体験受験&合格せよ」との緊急指令が下った!

今年の1月に実施した、3月12日ダイヤ改正を控えた『JR時刻表』編集部潜入取材に続く、超緊急指令である。その指令書に目を通した私の緊張は一気に上昇。なにせ、私にとっては大学卒業試験以来の、実に25年ぶりとなる本格的な受験だ。キーボードを打つ指先に冷汗を感じながらも、編集部へこのように返信した。

「『鉄道マイスター検定』体験受験取材、とっても楽しそうですね!!(笑)」
こうなったらもう、あとには引けない。もちろん壮吾さんもこの緊急指令に参集し、2人で同時に体験受験することになった。果たしてその内容と結果はいかに!? 私たち二人の鉄道知識力、すなわち“鉄学”の力量が今、試される!!

伊藤 壮吾(左)
ダンス&ボーカルユニット「SUPER☆DRAGON」のメンバー。
プロフィールはたったひと言「鉄オタです」。時刻表好きで、鉄道趣味界でも将来有望。
壮都高速鉄道(妄想)を運営。

助川 康史(右)
鉄道をこよなく愛するカメラマン。いくつものシークレット鉄道旅で、楽しさを再発見。
鉄道趣味塾講師( !?)を立候補。

一筋縄ではいかない『鉄道マイスター検定』

やや弱くなったセミたちの声に、晩夏の寂しさを感じる9月中旬の某日午後。壮吾さんと私は、代官山にある株式会社CYBARD(サイバード)を訪れた。だが、ここを訪れたのは私たち二人だけではない。株式会社ジェイアール東日本企画の方々も一緒だ。
我々が案内されたのは、代官山にぴったりのオシャレな会議室。ここで今回の『遖!はらから鉄道塾』超緊急指令の第2弾、『鉄道マイスター検定』体験受験が行われる。

『鉄道マイスター検定』とは!?

さて、ここで『鉄道マイスター検定』を解説しよう。
『鉄道マイスター検定』は、日本の鉄道開業150年を記念して鉄道マイスター検定実行委員会が企画したもので、ジェイアール東日本企画とCYBARDが運営する、鉄道の知識力を幅広く試す検定だ。

スマートフォンやパソコンで参加することができ、第1 回となる今回は、「車両・列車・駅」「歴史」「技術」「時刻表」「旅・食」の各5分野から10問ずつ、計50問が出題される。制限時間内に解答。全問選択式だ。
ただ、全問選択式といっても、解答は1つのこともあれば、複数ある場合もある。これを早いペースで解いていくのだから、なかなかハードな検定だろう。

ちなみに、『鉄道マイスター検定』は、開催期間内に何度でも受験が可能。しかし、膨大な問題の中からランダムに出題されるため、2 度・3 度と受験しても、同じ問題が出るのは稀とのこと。しかも、複数回の受験を考慮してか、結果が出ても、どの問題が正解・不正解だったかを知ることはできない。受験者に知らされるのは、全体ならびに分野ごとの正答率のみ。神頼みや運が一切通用しない、まさしくスーパーガチなつくりになっているのだ!


受験結果画面。めざせ合格!

『鉄道マイスター検定』はなぜ企画されたのか

会議室に入った壮吾さんと私は、まず『鉄道マイスター検定』の受験方法に加え、その企画意図を伺うことに。説明してくださったのは、このプロジェクトを立ち上げたジェイアール東日本企画の担当者さんだ。

「今年で開業150年を迎える日本の鉄道は、世界に誇れる技術と文化の結晶です。そんな鉄道をよりアカデミックにとらえ、レイルファンの知識力と鉄道ブランドをいっそう高めることを目的に企画しました」。

鉄道趣味のこれからを見据えた、まさに新しい取組みというわけだ。
さらに「実はすでに、鉄道本職の方にも問題を見てもらいました。『これ、かなり難しいよ』とのお墨付きです!(笑)」と自信満々のようす。

そんな担当者さんを見て、壮吾さんは「楽しみですね~!」とほんわか。一方の私は「いや、ということはかなりの高難易度なのでは……?」と怖気づいてしまった。
加えて編集部からは「結果次第では、この先の連載に影響が出ちゃうかもしれませんねえ」とプレッシャーが!
緊張と焦燥が募るなか、試験会場の部屋へと移動した。

2人の矜持は保たれるのか?

試験会場にはパソコンが2台並んでいた。
先に述べたとおり『鉄道マイスター検定』はスマホでも受験できるが、今回は公平を期して……というより体験版ということで、壮吾さんも私もパソコンで、まったく同じ問題を回答することになった。

高まる緊張感……! いよいよ試験開始

受験開始が近づくにつれ、さすがに壮吾さんも「緊張するな~」とソワソワしている。壮吾さんと私とでは得意分野がまったく異なるわけだが、この『鉄道マイスター検定』ではふたりの鉄道に関する知識の総合力が問われるのだ。まずい、緊張してきた……。

すると、開発を手がけたCYBARDの担当者さんが「では、いきますよ!」というので、我々は「え! もういくんですか!?」とあたふた。覚悟を決めて臨むしかない。
ならば私の掛け声で、ということで……。
「ようい、スタート!」

「出発進行!」などと発する余裕もなく、ふたり同時に開始ボタンをクリックした。パソコンの画面構成は左側に現在の問題番号、右側に問題とチェック項目、解答ボタンが並ぶ。
非常にシンプルなつくりで見やすく、実に解答しやすい。また、問題がよくわからず後回しにしたいときは、その問題にマーキングをして、のちほど戻って解答することも可能だ。


早くも難問が立ちはだかる…… 私の脳内は最初から最後までフル回転に!

私は1問ずつ順を追って答えるのに対し、大学入学試験を終えたばかりの壮吾さんは、答えられる問題から取り掛かるという受験スキルで対応。ここではそんな解答方法も明暗を分けるかも!? 制限時間内で全力を尽くす。


壮吾さんのその笑顔、得意問題だから? それとも難しすぎての苦笑い??

気になる設問を見てみよう

そして、みなさん気になるであろう設問は……私にとって“鬼ムズ”なものばかりだった。
筋金入りどころか、鉄骨入りではないだろうか!? ぜひ読者のみなさんにも体感してほしい。ということで、以下に例題を挙げてみよう。

「歴史」分野の例題


自動改札機が日本で初めて駅に設置されたのはいつか。
❶1 9 0 5 年 ❷1 9 2 7 年 ❸1 9 6 5 年 ❹1 9 7 2 年 ❺1 9 7 5 年

「技術」分野の例題


国鉄時代に、気動車用として試験的に制作され、実際に走行したエンジンは次のうちどれか。
❶ターボプロップエンジン ❷ロータリーエンジン ❸ガスタービンエンジン ❹ニトロエンジン ❺ハイブリッドエンジン

「車両・列車・駅」分野の例題


次に掲げる地下鉄の駅のうち、ホームの反対側で別の路線に乗り換えできない駅をすべて選択せよ。
❶ 九段下駅 ❷ 小竹向原駅 ❸ 青山一丁目駅 ❹ 表参道駅 ❺ 金山駅 
❻ 栄駅 ❼ 天神橋筋六丁目駅 ❽ 大国町駅 ❾ 動物園前駅 ➓コスモスクエア駅

「時刻表」分野の例題


瀬戸大橋を渡る瀬戸大橋線(通称)は、複数の路線から成り立っている。その路線名すべてを選択せよ。
❶山陽本線 ❷本四備讃線 ❸宇野線 ❹赤穂線 ❺予讃線 ❻土讃線 ❼ 高徳線

「旅・食」分野の例題


JR松阪駅の駅弁「モー太郎弁当」の特徴で、正しいのは次のうちのどれか。
❶容器の下のひもを引くと、たれの香りが周囲に広がる
❷容器の下のひもを引くと、肉がこんがりと焼ける
❸この弁当を買うと生卵がおまけでついてくる
❹食べ終わってふたを閉じると「ありがとう!」と声が流れる
❺ふたを開けると音楽が流れる

いかがだろうか。
これまで鉄道の知識力を試す「鉄道検定」と呼ばれるものは多数あったが、『鉄道マイスター検定』はJR東日本の関連会社であるジェイアール東日本企画が企画し、問題作成には『鉄道ダイヤ情報』の出版元である交通新聞社が協力した“ガチ”の検定。鉄道界の広告&出版会社が監修となれば、問題がハードになるのは必然だろう。もちろん、知っている問題はすぐに答えられる。だが、わからないものは本当にわからない(笑)。


「時刻表」分野の例題の出題画面イメージ

また気を付けなくてはならないのが、引っかけ問題が多数あること。焦って答えた末に減点されてしまっては、問題作成者の思うツボだ(ちなみに、問題を考案したのは『鉄道ダイヤ情報』の前・編集長だとか……)。

近頃は脳細胞のネットワークが断絶しがちな私だが、今ばかりはと、各問題を噛みしめるようにして大脳皮質と海馬から記憶を引き出す。
「あ、これ食べたことがあるんだけどなぁ!」
「え、これ前に見たことがあるんだけど……」
と独り言が止まらない。
もちろん、壮吾さんもまったく同じような独り言を繰り返していた。
ときには頭を掻き、ときにはテーブルの前で腕を組み……思案を繰り返す。しかし、出てこないものは出てこない!
これはあとになって編集部から聞いたことだが、そんなようすの私たちを見て、制作陣の方々はたいそう喜んでいたそうな。


壮吾さんから笑顔が消える 集中力半端ない!

つい考え込む、でも時間は刻一刻と過ぎてゆく

そんなこんなで残り1 0 分を迎えると、画面右上のタイマーが赤色に変わった。やばい! 私も壮吾さんも一応は50問すべてをこなしていたので、苦手な分野や先送りした問題の最終見直しに入る。

いざ結果発表。合格なるか!?

そしてついに……検定終了! 
結果待ちになった。合格ラインは正答率80%、50問中、40問以上の正解で合格だ。
伊達に鉄道で仕事をしていない壮吾さんと私だが、結果はいかに……?

「結果が出ました!」。開発者さんがパソコンの画面を見せてくれる。おそるおそる覗くと…… 壮吾さん66%、私は68%!? まさかの2人とも不合格!? 思わず2度見してしまったが、わずか1問多く私が正解し、かろうじて塾長の面目を保てたかたちだ。「3分の2 近く正解しているなんてすごいですよ!!」とみなさんに褒めて(?)いただいたが、これはかなり悔しい……! 「たしかに難しかったですけど、すごくおもしろかったです!」とは壮吾さんの弁。その前向きな姿勢は見習わなくてはならない。


結果は2人とも「不合格」 それでも、正解数1問(2%)差で塾長 の面目を保った!

時刻表が得意分野のはずの壮吾さんだが、カテゴリ別の正解率を見ると真逆の結果に

頭を長時間フル回転させただけあって、心地よい疲労感が試験会場を包む。私にいたっては、難問の数だけ髪が抜けてしまったようだ。しかし努力もむなしく、残念ながら2 人とも不合格……。ここで私はハッとした。

連載が! 編集部が先ほどの圧を思い出さないよう、それとなく話題を逸らし続けてフォローする。次第に緊張もほぐれて、壮吾さんと私は「あの問題はこれが答えですよね!」「え!? まさか間違い??」と回答をめぐって大盛り上がり。こんなやりとりも、マニアを唸らせる難問あってこそだろう。


検定の結果は残念に終わったが、2人で難問を思い返しながらトークをするのが、これまた楽しかった

『鉄道マイスター検定』はひとりで受験するのもいいが、鉄道趣味仲間と集まって受験するのも楽しそうだ。

2%で勝ち取ったプライドを胸に

これにて、超緊急指令『鉄道マイスター検定を体験受験・合格せよ』は無事(?)幕を下ろした。だが、内容はまさにミッションインポッシブル。実にハードな検定だった。

さて、この『鉄道マイスター検定』だが、第1回の受験期間は、記念すべき150周年の日でもある10月14日『鉄道の日』からスタート。期間中は何度でも受験して、高得点を目指したい。なお、合格者には特典として『デジタル合格認定証』と『鉄道マイスター検定認定バッジ』などがプレゼントされるとのこと。『鉄道マイスター検定認定バッジ』をカメラバックにつけていたら、現場でも羨望のまなざしを向けられるに違いない……。少なくとも私は向けてしまう!

みなさんもぜひ『鉄道マイスター検定』に参加して、自身の鉄道知識力を試していただきたい。かく言う私も、本試験を応募済みだ。その結果はどうなるか、『鉄道ダイヤ情報』の発売日時点で判明しているはずだ。雪辱ならずに再試験か、はたまた“真の鉄道マイスター”になっているか……。

めざすは「鉄道マイスター」


『鉄道マイスター検定』、とても難しかったです……(笑) 取材の前にホームページの例題を確認していたので、ある程度の“覚悟”はしていましたが、ここまで問題のレベルが高いとは思いませんでした。さまざまなジャンルから幅広く出題されているので、試験対策をするにしても、とても難しいなという印象です。

でも、これが鉄道の面白さ、楽しさなのだなと再確認しました。どれだけ長く、深く鉄道に触れていても、まだまだ知らないことがたくさんある。
これだから鉄道はやめられない!
 
次回以降の「はらから鉄道塾」は、合格しなければ参加できないとのこと(?)なので、私も再受験します!
ぜひみなさんも、合格を目指して『鉄道マイスター検定』に挑戦してみてください!

伊藤壮吾


鉄道マイスター検定 実施概要

[受験期間]
第1回 2022年10月14日~12月13日(予定)

[受験料金]
受験料4500円、再受験料2500円(税込)
〈期間内であれば、何度でも再受験可〉

[受験形式]
パソコン、スマートフォンなど、インターネットに接続可能な端末からのオンライン検定(通信料は受験者負担)。
問題数は50問、制限時間内に解答。

[出題範囲]
「車両・列車・駅」「歴史」「技術」「時刻表」「旅・食」の5分野。

[合格者]
正答率80%以上で合格。合格者には“デジタル合格認定証”、“ 鉄道マイスター検定認定バッジ”など特典を進呈予定。『鉄道マイスター検定』webサイトでは、正答率のランキング上位30位までを発表するほか、新しい情報を順次発表。


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  • 提供=鉄道マイスター検定実行委員会
  • 本記事は、『鉄道ダイヤ情報』2022年11月号からの転載です
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