2023.04.10旅行VRで廃線ウォークも! EL・SLぐんまよこかわ沿線は、鉄分たっぷりのイベントが満載だった【体験レポート】
信越本線では、4月からSLがけん引する「SLぐんまよこかわ」が運行されます! せっかくなので、SLぐんまよこかわに乗車する列車旅に出かけたいですね。
EL・SLぐんまよこかわは見たり乗ったりするだけでも十分楽しめますが、ただ乗って帰ってくるだけではもったいない! 実は、EL・SLぐんまよこかわの沿線では、親子で楽しめるものや鉄道ファン向けのものなど、たくさんのイベントが開催されています。
そこでトレたび編集室が、実際に高崎駅・磯部駅・横川駅まで足を運び、イベントの一部を体験してきました!
これからEL・SLぐんまよこかわに乗車しようと考えている人は、この記事を参考に、様々なイベントに参加してみましょう!
信越本線沿線の魅力を感じよう! 「信越線SL謎解きラリー」
最初に参加したイベントは「信越線SL謎解きラリー」です!
このラリーは、信越本線沿線の高崎エリア・磯部エリア・横川エリアの3カ所に隠された合計8つの謎を解いてキーワードを集める、というもの。
参加しながら、SLのヒミツや信越線の魅力を知ることができるイベントになっています。
SLの魅力が伝わってくるパンフレット
ラリーに参加する前に、まずはパンフレットを手に入れましょう。
パンフレットはJR 東日本高崎支社の主な駅や安中市観光機構などに設置されています。また、ウェブサイトから印刷して用意することもできます。
さっそくパンフレットを開いてみると、レールの名前やレンガの積み方がキーワードになっています。
「少し難しそう…?」と思った方、ご安心を。パンフレットの裏面には、ラリーに役立つ情報が紹介されており、これがヒントになります。子どもと一緒でも、列車について勉強しながらラリーを楽しめそうですね。
それではさっそく、謎を解いていきましょう!
列車を降りたらすぐにスタート! 「高崎エリア」
東京駅から上越新幹線「とき」に揺られること49分、到着したのは高崎駅。ここからSL謎解きラリースタートです。
レトロな雰囲気の駅名標がお出迎え
高崎エリアには2つの謎が隠されています。どちらの謎も改札内にあるので、間違って改札の外を探さないように注意しましょう。
1つ目の謎があるのは、改札内のトイレの壁。群馬県の有名なあのダルマの名前です。
2つ目の謎は石炭階段を上がると、すぐに見つかりました!
ヒントへと向かう階段には石炭のデザインが!
子どもも参加しやすいようにヒントが散りばめられている
これで高崎エリアのキーワードは集まりました! そのまま列車に乗って次の「磯部エリア」へと向かいます。
温泉&せんべいも楽しめる「磯部エリア」
次は磯部駅周辺で2つの謎を探していきます。
3つ目の謎は、駅を出てすぐのところにある少し変わった側溝。これ、実は「アプト式」という鉄道方式に必要不可欠なレールなんです。
「アプト式」とは、急勾配を乗り越えるために導入される鉄道方式です。線路の中央部分にこのレールを設置して、歯車のかみ合わせで急勾配を登降したんだとか。
難しい謎のようですが、レールをよ~く見てみると…謎が解けました!
レールの隙間にキーワードが隠されていた!
4つ目の謎は、磯部温泉にまつわるものです。
磯部エリアは温泉で有名で、あの温泉マーク発祥の地ともいわれています。駅から徒歩3分のところには、なんと足湯も。
4つ目の謎はそのすぐそばで見つかりました。
磯部温泉を気軽に楽しめる足湯
足湯のすぐとなりで、あの温泉マークの由来が分かる
ここでちょうどラリーも折り返し地点。足湯に浸かって一息ついてから、次のエリアへと向かいます!
磯部エリアのおすすめ① 「磯部せんべいサクサクウォーク」
おせんべいを焼いている様子も楽しめる
磯部エリアで温泉とならんで有名なのが、温泉の鉱泉を使用した「磯部せんべい」です。
磯部駅から歩いてすぐのところに「せんべいストリート」と呼ばれる通りがあり、多くのおせんべい屋さんが軒を連ねています。お店ごとに味が違っているので、いろんなお店のおせんべいを味わいたいですね。
そんな磯部せんべいの食べ歩きにおすすめのイベントが「磯部せんべいサクサクウォーク」です。
このイベントでは、磯部せんべいと交換できるチケット10枚を使って、各店舗のおせんべいの食べ比べを楽しめます。ぜひ磯部駅周辺を散策しながら参加してみましょう。
磯部エリアのおすすめ② 「舌切雀のお宿 磯部ガーデン」
ホテル内にある「サイボットシアター」には多くの人が
「磯部温泉に浸かってゆっくりとすごしたい!」という方は、ぜひ「舌切雀のお宿 磯部ガーデン」へ。
和の情緒あふれる贅沢なお部屋でゆったりとくつろぐことができます。また群馬県の食材を使った絶品料理と、さまざまなタイプの磯部温泉が楽しめるのも魅力の一つです。
名前にもあるように、磯部温泉で生まれたといわれる童話「舌切雀」がモチーフ。ロボットと映像を使って舌切雀の物語を上映する「サイボットシアター」や、舌切雀ゆかりの品々の展示されている「宝物殿」など、童話の世界にも浸ることができます。
移動中は「ELぐんまよこかわ」を楽しむ
磯部駅からは、ELぐんまよこかわに乗車しました。
横川駅にやってきた「ELぐんまよこかわ」
ELぐんまよこかわの魅力はなんといっても、レトロな雰囲気あふれる客車です。
1938〜1955年に製造された木目調の旧型客車、1978年に製造された12系客車と、それぞれ違った時代の雰囲気が感じられます。
今回乗車したのは12系客車。国鉄時代のような雰囲気の列車旅を楽しみました。
のどかな自然を感じられる車窓も、もちろん魅力的!
車内にはほかに、SLの豆知識を紹介する掲示や、SLぐんまよこかわグッズの車内販売も。「次に来るときはSLぐんまよこかわと旧型客車に乗りたい!」という想いもいっそう強くなりました!
ラリーも後半戦へ! 「横川エリア」
信越本線の終点・横川駅にやってきました! ここで残りの謎を探していきましょう。
と、列車の中で意気込んでいると、和太鼓の演奏や地元のゆるキャラ「こうめちゃん」がお出迎えしてくれました。ラリーの後半戦にも気合が入ります!
駅員さんのほかにも、地元の方々もたくさん
まず、横川駅の改札内に隠されている2つの謎を探します。
5つ目の謎は、横川駅構内でも駅そばを販売している、あの有名な駅弁の名前。
6つ目の謎は、構内に展示されている双頭レール展示の横に書かれていました。
横川駅構内にある「アプト式」を伝える模型の展示
残りは2つ。改札の外に出てラストスパートです。
7つ目の謎は駅からすぐのところにある橋の欄干。どんな謎が待ち受けているのかと期待して行ってみると…
ここだけ答えが書いてある…(答えはぜひ現地で確認を!)
まあ、きれいなデザインの欄干が楽しめたのでよしとしましょう。気を取り直して、最後の謎に挑みます!
駅から歩くこと5分、諏訪神社の鳥居前にある歴史的な建物が「国鉄浄化貯水槽跡」です。最後の謎はこの建物のレンガの積み方。
「最後にして最大の謎かな?」とパンフレットに目をやると、レンガの積み方が3種類紹介されています。建物のレンガとパンフレットを見比べて、なんとか謎を解明しました!
趣ある「国鉄浄化貯水槽跡」
じっくり観察するとレンガの積み方に特徴が
ラリーも終わってキーワードを記入したら、ぜひ安中市観光機構や「ホテル磯部ガーデン」のフロントに持っていき、達成賞を手に入れましょう(ただし数量限定なのではお早めに)。
横川駅のおすすめ 「峠の釜めし 荻野屋」
人気の駅弁の一つ「峠の釜めし」。その発祥の地にあたるのが、横川駅にある「荻野屋」です。
「峠の釜めし」は、1953(昭和28年)に、当時の社長が旅行客一人ひとりにお弁当の好みを聞いて回ったことで生まれたという経緯があります。まさに「旅行客にとってうれしい駅弁」です!
横川駅では、2店舗のほかに駅の売店でも荻野屋のお弁当を買うことができるので、横川駅に来る際には「峠の釜めし」をぜひ味わいましょう。
EL・SLぐんまよこかわの沿線には、「秋間梅林」や「後閑城址公園」など、紹介しきれなかった観光スポットが盛りだくさんです。
安中市観光機構の公式Youtubeチャンネルでは、そうした安中市の魅力を紹介する動画が公開されています。ぜひこちらもチェックしてみてください!
その他の動画はこちら(安中市観光機構公式Youtubeチャンネル)
横川駅のさらに先へ! 「碓氷峠鉄道文化むら」&「廃線ウォーク」
信越本線の終点といえば横川駅ですが、かつては、さらに先まで列車が走っていました。それが、1997年9月30日まで運行していた、信越本線横川駅~軽井沢駅間です。
横川駅~軽井沢駅間は、標高差は552.5mの日本一の急勾配で、それを乗り越えるために「アプト式」が導入されるなど、鉄道の歴史の中でも注目を集めた区間です。
せっかく横川駅まで来たなら、さらに足を伸ばして、そんな鉄道の歴史の一端にも触れてみます。
小さな子どもから鉄道ファンまで楽しめる!「碓氷峠鉄道文化むら」
まず、横川駅に隣接した「碓氷峠鉄道文化むら」で碓氷峠の鉄道の歴史を学びましょう。
「碓氷峠鉄道文化むら」は、碓氷峠の鉄道文化や歴史を知ることができる鉄道テーマパークです。
「アプト式ED42形」など碓氷峠にゆかりのある車両を展示する「鉄道展示館」、碓氷線の歴史についての資料がそろった「鉄道資料館」など、碓氷峠や鉄道についてしっかりと学ぶことができます。
こんなに間近に車両が
そのほかにも、EF63形電気機関車の運転の体験やイベントも充実していて、まさに鉄道好きにはたまらない施設。
園内を蒸気機関車などが走り、子どもも楽しめる
歴史をしっかりと学んだあとは、施設内から運行しているトロッコ列車に乗車するのがおすすめです。
このトロッコ列車、実は廃線となった信越本線横川~軽井沢間の下り線が使用されています。信越本線が走っていた時代に想いを馳せながら、横川駅のさらに先へと向かいましょう。
とうげのゆ駅行きの列車で途中停車するまるやま駅では、「旧丸山変電所」を見学
「廃線ウォーク」で碓氷峠の歴史を肌で感じる
碓氷峠の歴史を学んだあとは、「廃線ウォーク」で実際に列車が走った線路を歩いて、碓氷峠の歴史に直接触れてみましょう。
今でも列車が走っていそうな廃線を歩く
レールの構造をつぶさに観察
「廃線ウォーク」とは、横川駅~軽井沢駅間の約11.2kmの廃線を実際に歩くことができるイベントです。普段は立ち入り禁止の区間を特別に歩き、トンネルなどの歴史的な遺構を間近に見ることができます。
途中には、日本最大級のレンガ造りのアーチ橋・めがね橋があります。橋の雄大さを感じるのはもちろん、橋の上にのぼって、絶景を楽しむのもおすすめです。
今回同行していただいたガイドの方からは、碓氷峠の歴史や豆知識などを教えてもらえました。
さらに、運が良ければ、カモシカやキジといった野生の動物に出会えることもあるそう。廃線を楽しみながら、自然も感じられるという魅力もありますよ。
トンネル内では、碓氷峠の歴史が学べる動画を投影
自宅でも「廃線ウォーク」が楽しめるVR動画
現在、廃線を使った新たな取り組みが進められています。
1つ目に、VRの映像で、廃線ウォークを気軽に楽しめるようになりました。トンネル内部や線路上の風景が360度再現されて、まるで廃線を実際に歩いているかのような感覚に。
現在VRの映像が公開されているので、自宅でも廃線ウォークを楽しんでみましょう!
碓氷峠に列車が帰ってくる!? 進化する「廃線ウォーク」
もう一つの取り組みとして、なんと廃線の上を電動のレールカートが走ります!
廃線を走るレールカート
カートのデザインは、同区間で活躍したアプト式電気機関車ED42形を再現。
カートが廃線の上をゆっくりと進むので、鉄道遺構や風景もじっくりと楽しむことができます。
こちらはまだ実証実験の段階ですが、より多くの人が気軽に廃線の魅力に触れられるように、実用化が進められています。横川駅~軽井沢駅間にED42形(?)が帰ってくる日も近いのかもしれません。
今回はレールカートに乗ってVRの映像を楽しめた
SLぐんまよこかわの鉄道イベント&これからの取り組みに注目!
この記事ではトレたび編集室が実際に体験してきたイベントをまとめて紹介してきました。
子どもと楽しめる「SL謎解きラリー」や、鉄道ファンにはたまらない「碓氷峠鉄道文化むら」・「廃線ウォーク」など、信越本線の沿線にはイベントや観光スポットが盛りだくさんです。SL・ELぐんまよこかわに乗車する際には、ぜひ楽しんでみてください。
また、より多くの人が楽しめる取り組みもどんどん進んでいるので、信越本線沿線のこれからにも注目していきましょう!
「SLぐんま よこかわ」についてもっとくわしく
- ※文:トレたび編集室
- ※写真:安中市観光機構(廃線ウォーク)、トレたび編集室
- ※掲載している情報は2023年3月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。