トレたび JRグループ協力

2025.09.16ジパング俱楽部「香り」について|ジパング世代はどうしてる?

今回のテーマは【香り】。

香りは、私たちの暮らしに深くかかわっていたり、旅や昔の記憶を鮮やかに呼び起こしたりと、不思議な力を持っています。
ふとした香りで、あの日の風景が蘇ることもあれば、思わぬトラブルの原因になることも。

好きな香りや旅先での印象的な匂い、そして匂い対策やトラブルまで、リアルな声をお届けします。

  • 調査期間:2025年6月16日~7月14日
  • 回答者:「giftee BOX 1000ポイント分 」にご応募いただいた60代から80代の方1605名


Q1.特別に好きな香りはありますか?

7割以上が“特別に好きな香り”あり


ある 72%、ない 28%

好きな香りのトップ5は1位ラベンダー、2位柑橘系、3位バラ、4位キンモクセイ、5位ジャスミン

アンケートでは、72%の方が「特別に好きな香りがある」と回答しました。

人気のトップはラベンダー、次いで柑橘系、バラ、キンモクセイ、ジャスミンと続きます。
男女差は大きくありませんが、女性は「花の香り」といった大きなカテゴリーで答える傾向が見られました。

また、スパイスやハーブ、コーヒーや焼きたてパンなど、食べ物の香りを挙げる方も少なくありませんでした。

Q2.「プルースト効果」が起こる香りはありますか?

「約4割が“香りで記憶が蘇る”体験あり」


ある 37.9%、ない 62.1%

アンケートでは、37.9%の方が「プルースト効果を感じたことがある」と回答しました。

プルースト効果とは、特定の香りをきっかけに過去の記憶や感情が蘇る現象のこと。
たとえば、石けんの香りでこどもの頃の実家を思い出したり、キンモクセイの香りで学生時代の通学路を思い出すといった体験です。

では、実際にどんな香りで、どんな記憶が蘇ったのでしょうか?
次に、寄せられたエピソードをご紹介します。

  • マスカット(紅茶のブレンド)。10数年前、夫の転勤先の友人宅で飲んだマスカットの紅茶と同じ紅茶を飲んだ時、友人との情景がはっきりと思い出され、とても不思議な体験をしたことがあります。(67歳 女性)
  • 郷里は神戸です。大人になり親元を離れ、久しぶりに帰省した朝、実家の最寄りの駅を出て懐かしい町を歩き始めたら、どこからともなくパンのほのかな甘い香りがしてきました。その一瞬で、「神戸はパンの町だったのだ!」という今更の驚きとともに、幼い頃の家族の愛に包まれた幸せな日々の記憶が蘇りました。(69歳 女性)
  • 柑橘系の香り。『五月待つ 花橘の香をかげば 昔の人の 袖の香ぞする』という歌を半世紀以上も前の中学時代に習った。恋に憧れる年ごろ。とても刺激的な歌で、匂いとともに記憶に残った。なので大人になり柑橘系の香りがすると、この歌とともに、恋に憧れていた中学生の自分を思い出す。(74歳 女性)
  • カモミール。15年位前、荒浜(宮城県)に住んでいたころ、隣の奥さんが入れてくれてたお茶をはじめてごちそうになりました。その後、私が今の場所に移り、次の年、津波で何もかもがなくなってしまった荒浜。どうしてるだろうと思いだします。あれ以来、カモミールは飲んでいません。(75歳 女性)
  • 雨降りのレインコートの香り。こどもの頃、保育園に徒歩で通園していましたが、雨降りの時だけは近所のおじさんがども達を車に乗せて、保育所まで行っていました。その時の車内の香りが、園児が着ている黄色いカッパの匂いで充満していたので、一気にその頃を思い出します(笑)(62歳 女性)
  • 小学校の夏休み、岩手県の山奥の母の実家に泊まりに行った。朝、畑に出ると朝霧の中でトマトの青臭い匂いがした。バッタを取ったりとうもろこしを収穫したり、川で泳いだり楽しかったが、夏休みというと、なぜかトマトの青臭い匂いを思い出してしまう。(61歳 女性)

Q3. 旅先で嗅いだ香りで印象的な香りはありますか?

「旅先で“香りの記憶”を持つ人は約半数」


ある 49.5%、ない 50.5%

アンケートでは、49.5%の方が「旅先で印象的な香りがあった」と回答しました。

旅先ならではの香りには、温泉の香り、海辺の潮風、南国の花々、ハーブやスパイス、市場の食材の香りなどがあります。 こうした香りは、その土地の空気や思い出と結びつき、強く印象に残るものです。

では、実際にどんな香りが、どんな旅の記憶を呼び起こしたのでしょうか?
次に、寄せられたエピソードをご紹介します。

  • 5月の釧路。川をさかのぼってくる潮の香り、盛り場特有の匂い、魚を焼いた匂いやや香ばしい醤油の残り香などが全部混じって、朝の街角に残っていました。その匂いで、40年程前に一人旅で訪れたちょっと怖い港町の盛り場の面影が思い出されて、なんだか泣きそうになりました。(62歳・女性)
  • 奈良の室生寺の香りです。白檀だと思いますが、甘くて煩悩を癒やしてくれるなんともいえない香りにとりこになりました。その香りを求めて室生寺まで行くこと数回。巡礼の度にそれに似た香りを求め続けております。東大寺にもありました。(71歳・女性)
  • 高校の修学旅行で行った京都の寺院でキンモクセイの花が満開に咲いていて、その横を一緒に歩いた友の顔を思い出します。その友人は4年前に他界してしまったのですが、キンモクセイの香りがするだけで、今もその時の楽しい時間が思い出されます。(60歳・女性)
  • 最近、沖縄旅行で備瀬のフクギ並木に行きました。小さな黄色の花は、ほんのりとポプリの香りがあり、フクギ並木の小道は心休まる香りがありました。関係ないと思いますが、フクギの花言葉は「澄んだ心」です。(72歳・女性)
  • 先日、関西万博に行きました。大屋根リングの近くに行くと、ふわっと木の香りがしてきました。テレビでは絶対に伝わらない香りにすごく癒やされました。やっぱりその場に行って、実際に触れる空気、香りを体験することが大切ですね。(66歳・女性)
  • 夏の田んぼの稲の香り。こどもの頃、毎年夏になると母の田舎に帰省し、従妹たちと田んぼの周りで遊んだ事を懐かしく思い出した。今ではもう田舎に田んぼはなくなってしまった。(67歳 男性)
  • 小1だった娘と小豆島に旅行した時、港で胡麻油の香りを嗅いだのが印象的でした。二十四の瞳の映画村に行って、なんともいえない感情が蘇ってきた時のことを思い出します。(65歳 女性)
  • かなり前のことですが、京都の妙心寺で出合った香りが印象に残っています。香木なども扱うお店でいくつか香料を購入していますが、なかなかその香りにはめぐり合うことはできていません。(78歳 男性)
  • プルメリアの花の香り。ハワイの空港に降り立った時に感じた香りで、若き日の恋の思い出が蘇りました。後で調べたら、「プルメリアは大切な人の幸せを願う」というものでした。(69歳・女性)
  • 1998年にデリーの空港に降り立った時の香り。カレーのスパイスでもなく、体臭でもなく空港に充満していた香りは忘れられません。その後、空港は新しくなり、その香りはなくなってしまいました。(74歳 女性)
  • イタリアへ居合を教えに行っていました。午前中の稽古が終わるとシャワーを浴びてランチの支度に入るのですが、香水なのかそれぞれいい香りをしていました。コロナ以降は行かなくなりましたが、懐かしいです。(76歳・女性)
  • 日本の香りです。海外にしばらく滞在したのちに帰国し、日本の空港に降り立った時に「日本ってこんなに匂いがする国だったんだ」と驚きました。梅雨の頃だったので、余計に感じたのかもしれません。しばらくすると慣れてしまって、もうその匂いを感じることもなくなりました。(65歳・女性)

Q4.普段から、ご自身の匂い対策をしていますか?

「匂い対策をしている人は約半数」


対策している 48.5%、とくにしていない 51.5%

ジパング世代に聞いた! におい対策 1位 こまめに歯磨きをしている, 2位 こまめに入浴・シャワーを浴びる, 3位  消臭効果のある洗濯洗剤や柔軟剤を使用している, 4位  出かける前に、制汗剤や汗拭きシートを使う, 5位 ガムやマウスウォッシュ(洗口液)を使っている

「普段から匂い対策をしている」人と、「とくにしていない」人はほぼ半々の結果となりました。
対策をしている方に具体的な方法を尋ねたところ、口臭や体臭への配慮が中心であることがわかりました。

次のような工夫にも多くの回答が集まりました。
香水・コロンを使う
体臭対策のシャンプーやボディーソープを使う
制汗剤や汗拭きシートを持ち歩き、出先で使用
食事に気を遣う
また、少数派ながら、「香水は直接つけない」「ハンカチにアロマオイルを垂らす」「靴や手袋の除菌」「無香料の洗剤を選ぶ」など、香りの強さや周囲への配慮を意識した回答もありました。

一方で、約半数は「特に対策していない」と回答しており、匂いに対する意識には個人差があることがうかがえます。

Q5.匂いが原因で不快な思いをしたりトラブルになったことはありますか?

「6割以上が不快な思いや匂いトラブルを経験」


ある 61.2%、ない 38.8%

61.2%の方が「匂いが原因で不快な思いをしたり、トラブルになったことがある」と回答しました。
近年は、柔軟剤や香水などの強い香りによる「香害(こうがい)」が社会問題として取り上げられることも。

公共交通機関や職場、集合住宅など、他人と空間を共有する場面では、香りの好みや感じ方に個人差があるため、思わぬトラブルにつながることもあります。

38.8%の方は「ない」と回答していますが、香りのマナーや配慮が求められる時代になっていることがうかがえます。

では、実際にどんな匂いが原因で、どのような場面で不快な経験やトラブルが起きたのでしょうか?
寄せられたエピソードをご紹介します。

  • 30年近く前ですが、満員電車で隣の席にいらした女性の方の香水が凄まじく、過呼吸状態になりました。近くにいた男子学生さんがホームに出して、ベンチに座らせてくださいました。そして、「おばちゃん、悪いけど僕学校行かなあかんから、気つけてな〜」と言って車両に戻りました。なんて温かい子がいるのかと感謝しました。それからは彼の立場になったらできることをしようと思いました。(63歳 女性)
  • 真夏の満員電車の中で、サラリーマンの方の汗臭というか、オヤジ臭というか……とにかく臭くて、息ができず苦しくなったことがあります。一日一生懸命働いた証……と思いつつも、ガマンするのに苦労しますが、コロナ以降はマスクという武器をいつもカバンにしのばせて自己防衛しています。(62歳 女性)
  • 音楽会に行った時、隣の席のご婦人がきつい香水をつかわれていたので、気分悪くなりました。スタッフの人に場所を代わりたいと言ったら、遠くの隅っこの席に案内されました。せっかく特等席だったのに……密集している所の香水はやめてほしい。でも、言えません。(74歳 女性)
  • バスツアーに行った時。隣席の人がヘビースモーカーだったようで、停車の度に下車して、戻って来た時には強烈なタバコ臭。匂いに過敏な私は酷い頭痛になり、席を替えてもらったことがあります。それでも、結局は旅を楽しめず散々でした。(74歳 女性)

Q6. 香りや匂いに関するエピソードを教えてください。

  • 鶏そぼろに、シナモンの粉末をどっさりと振り込んでしまった。小さい穴の開いたキャップをはずしていたのだ。失敗作……ではあったがそのまま保存して、サラダなどに少量ずつ入れました。いつのも材料で仕立てたサラダが、なんだかおしゃれな一皿に。小さい頃、シナモンは薬臭くて嫌いだったけれど、大人になってさまざまな食材や香辛料に出合い、使うようになった。香りに結び付く感情は、体験で作られるのだとつくづく思います。(64歳 女性)
  • 近鉄からJRに乗り換えるために大阪の鶴橋という駅で電車から降車した際に焼肉のいいにおいがしてきたのにはびっくりしました。こんな駅もあるんだな~って(笑)。駅にいる間、ずっと焼肉のにおいが。食べたくなりました。(62歳 女性)
  • 宿泊したホテルで心地よい香りがすると、リラックスできて気持ちがいい。電車内でもいい香りがしたらいいなと、思います。(62歳 女性)
  • 夫はほぼ加齢臭もなく、よかったと思っていたら、先日単身赴任先から帰ってきた時、「ん!臭う」と思ってしまった。臭いがしないと思っていたのは、ただ単に長いこと一緒に居たからなのかも知れない。(64歳 女性)
  • 前に飼っていた犬がシャンプーから帰ってくると娘が普段の犬の匂いの方がいいと嘆いていた。(65歳 女性)
  • 自分のこどもの匂いが好きです。おでこの毛の生え際が好きでクンクンして幸せな気持ちに……。でも大きくなるにつれ、それをさせてもらえなくなる寂しさに耐えるのには苦労しました。(63歳 女性)
  • 私は昔からコロンが好きで、とにかくちょっと気に入ったらすぐに買ってしまいます。ですが、すべてが自分に合うわけではなく、身につけてみるとまったく違う香りになってしまったりして、結局一度使っておしまいの商品も数かぎりなく。それでもついつい買ってしまう匂いフェチです。(66歳 男性)
  • 私は香りに敏感です。友人からフレグランスオイルなどいただきますが、香りの強いものをいただいた時は、もったいないので、オイルのビンに割り箸を何本か入れ軒先に。風でお庭にほんのりと香りが揺らぎます。(72歳 女性)
  • 好きな香りは白檀。白檀扇子が欲しくて店に見に行っていたが、やっと買えてうれしかった。白檀の香りは私の癒やしです。(63歳 女性)
  • 担任として受け持っていた小学生。ヘビースモーカーの親をもつ子の教科書等が、すべてタバコ臭くてクラスのこどもたちに指摘されていました。保護者への対応に苦慮しました。(64歳 女性)
  • 「お母さんが絶対に好きな香りだから」と娘がハンドソープとハンドクリームをプレゼントしてくれたのですが、私の好みにドンピシャで、それらを使うたびに娘の優しさを感じて幸せな気分になります。(63歳 女性)
  • 中学生まで住んでいた団地は、キンモクセイがたくさん植えてあり、秋の訪れとともに香りに包まれる。その季節に、思いも告げられぬままに転校しなければならなかった切なさ。毎年、キンモクセイが何処からか香ると必ず切なく、胸がキューンとなる。(64歳 女性)
  • 先日亡くなった母の荷物を整理していた時に、母がよく使っていたエプロンにまだ母の残り香があり、涙が出ました。(65歳 女性)
  • 推し活をしています。グッズとして香水が発売され、苦手だった匂いも推しに包まれていると思えば嫌ではなくなるのが不思議。(63歳 無回答)
  • おでかけの時に、お気に入りのアロマオイルを下着の胸元につけるのが私のルーティンです。ほのかな香りに気持ちがホッと癒やされます。仕事で会う人から、いい香りがするねと言ってもらう事も。香りって、自分を表現するツールでもあると思います。(63歳 女性)
  • 高校生の頃、おしゃれな先輩がつけていた大人っぽい香り。通りすがると香りとともに胸がキュンとしました。大人になり、香りとは程遠いタイプの夫と結婚。ある時、あのオーデコロンをプレゼントしましたたが、あの先輩のような香りはまったく香ってきませんでした。その時、香りはただの匂いでないのだと知りました。結局、そのコロンはいつしかトイレに置かれました。(65歳 女性)
  • 義母が入院した時、食事もできず酸素マスクをしていたので、唇が乾くのを防ぐためりんごの香りのリップクリームを塗ってあげていました。りんごが好きな人だったので。(66歳 女性)
  • ドライブに誘うとき、女性を乗せるなら、ユーカリプタスの香りが最高に喜ばれる。自身で運転するときは、ペパーミント、レモンの香りが効きます。(79歳 男性)
  • おでかけの時、夫がプレゼントしてくれる香水を付けると、夫は何となく機嫌がいい。(62歳 女性)

まとめ

先日、大阪歴史博物館で行われていた、「正倉院 THE SHOW」を訪れました。
目的は、再現された「蘭奢待(らんじゃたい)」の香り体験コーナー。
蘭奢待とは、正倉院の宝物のひとつで天下第一の名香と呼ばれる香木。今回は、小さな脱落片を調査・分析し、調香師の感覚により、その香りを蘇らせたそうです。
香料の入ったガラス容器からフワッと漂う香りを「これが天下取りの香りか……」と味わってきました。

9月20日からは東京の上野の森美術館で同じ展示が行なわれるそうなので、今回のアンケートで、好きな香りに沈香(じんこう)・白檀(びゃくだん)・伽羅(きゃら)といった伝統的な香りやスギ・ヒノキなどの樹木の香りを挙げた方にはぜひ体験していただきたいです。

また、ご自身の匂い対策やにトラブルについてのアンケートも興味深いものでした。
トラブルのもとになる匂いとしては、体臭・タバコ・香水や柔軟剤が多く挙がりました。とくに新幹線の車内やホテルとなると、回避するのも大変。

個人差もありますが、周囲への配慮を忘れず、無臭を含め好きな香りで日々を楽しみたいですね。

それでは次回もお楽しみに。